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 12月18・19日に宮城・元気フィールド仙台(宮城野体育館)で『2019世界選手権ブダペスト大会(個人戦)』女子シングルスの日本代表選手の第1次選考会が行われた。
 出場有資格者20名がA・B二つのグループに分かれ、総当たりリーグ戦を行った後、各グループの同じ順位同士による順位決定戦を行い、最終順位を決定した。
その結果、1位:早田ひな、2位:加藤美優、3位:森さくら、4位:笹尾明日香の4名が、来年3月2日に宮城・カメイアリーナ仙台で開催される国内最終選考会への出場権を獲得した。

 昨年の1次選考会に続いて1位となった早田は、16日に終わったばかりのグランドファイナル(韓国・仁川)での伊藤美誠と組んだ女子ダブルス優勝の疲れも見せず、負けなしの10戦10勝。落としたのは1ゲームのみという完璧な強さを見せた。「世界選手権には昨年、今年と協会推薦で出場させていただいているので、選考会で自分の力で勝ち取って出たいという思いがある」と語った。
 10月に開幕したノジマTリーグにも触れ「世界トップレベルの選手との対戦が増えたことで、自分の技術の中で世界に通用する部分が明確になり、戦術の幅が広がったことがよかった」と語った。
4位に入った笹尾明日香は、昨年の1次選考会では12位、世界ランキングでは今回参加の20人中16位からの大躍進。橋本帆乃香、安藤みなみ、浜本由惟といった格上を破っての文句なしの出場権獲得となった。

なお、最終選考会は、今回出場権を獲得した4人に、今月行われたグランドファイナルの女子シングルス出場者などを加えた8名(重複選手が出た場合は今回の選考会結果から繰り上げ)で行われ、優勝者1名が「国内選考会による世界選手権の出場権」を得る。最終的に世界選手権の女子シングルスには、国内選考会優勝者1名を含め、世界ランキング、来年1月の全日本選手権優勝者などの規定に従って3~5名が出場する。

試合結果は下記のとおり。

【リーグ戦順位】※数字は勝敗

<Aグループ>
1位:早田ひな 9-0(日本生命)
2位:笹尾明日香 7-2 (早稲田大学)
3位:安藤みなみ 6-3(専修大学)
4位:橋本帆乃香 6-3(ミキハウス)
5位:浜本由惟 5-4(木下グループ)
6位:野村 萌 4-5(愛み大瑞穂高校)
7位:白山亜美 3-6(明徳義塾中学校)
8位:塩見真希 3-6(四天王寺高校)
9位:相馬夢乃 2-7(遊学館高校)
10位:小塩遥菜 0-9(JOCエリートアカデミー)

<Bグループ> 
1位:加藤美優 7-2(日本ペイントホールディングス)
2位:森さくら 7-2(日本生命)
3位:木原美悠 6-3(JOCエリートアカデミー)
4位:長﨑美柚 6-3(JOCエリートアカデミー/大原学園)
5位:森薗美月 5-4(木下グループ)
6位:大藤沙月 5-4(ミキハウス)
7位:永尾尭子 4-5 (デンソー)
8位:松澤茉里奈 3-6(十六銀行)
9位:平侑里香 2-7(サンリツ)
10位:吉田一葉 0-9(さくら組ジュニア)

【最終順位】
※ A・Bグループの同順位同士の対戦で決定

1位:早田ひな (日本生命)
2位:加藤美優 (日本ペイントホールディングス)
3位:森さくら (日本生命)
4位:笹尾明日香 (早稲田大学)
5位:安藤みなみ (専修大学)
6位:木原美悠 (JOCエリートアカデミー)
7位:長﨑美柚 (JOCエリートアカデミー/大原学園)
8位:橋本帆乃香 (ミキハウス)
9位:浜本由惟 (木下グループ)
10位:森薗美月 (木下グループ)
11位:大藤沙月 (ミキハウス)
12位:野村 萌 (愛み大瑞穂高校)
13位:永尾尭子 (デンソー)
14位:白山亜美 (明徳義塾中学校)
15位:松澤茉里奈(十六銀行)
16位:塩見真希 (四天王寺高校)
17位:平侑里香 (サンリツ)
18位:相馬夢乃 (遊学館高校)
19位:小塩遥菜 (JOCエリートアカデミー)
20位:吉田一葉 (さくら組ジュニア)

なお、男子の選考会は本日19日午後から同じ会場で行われており、明日20日に最終選考会出場権獲得者が決定する。
  • 1次選考会を1位抜けした早田ひな

  • 1位の早田ひな(日本生命)

  • 2位:加藤美優 (日本ペイントホールディングス)

  • 3位:森さくら(日本生命)

  • 4位:笹尾明日香(早稲田大学)

 本日、12月18日(火)より、宮城・元気フィールド仙台(宮城野体育館)で『2019世界卓球選手権ブダペスト大会(個人戦)男女日本代表選手1次選考会』が開催されている。
 
 本日18日〜19日の昼までが女子の選考会、19日15時〜20日の夕方までが男子の選考会というスケジュールで、男女各20名が参加。先日、ITTFグランドファイナルの女子ダブルスで優勝した早田ひな(日本生命)が参戦しているほか、同大会男子ダブルス3位の森薗政崇(岡山リベッツ)、17年世界選手権混合金メダルの吉村真晴(名古屋ダイハツ)をはじめ多くのトッププレーヤーが参戦予定。

 試合方式は、全試合5ゲームスマッチ3ゲーム先取で、男女各20名をA・Bブロックにわけ総当たりのリーグ戦を行う。上位入賞者は、3月2日に宮城・カメイアリーナ仙台(仙台市体育館)で開催される最終選考会に出場する。

 観戦は無料。お近くの方はぜひ会場へ!


【男子参加予定選手】(12/12現在)
吉村真晴(名古屋ダイハツ)、上田仁(岡山リベッツ)、松平健太(木下グループ)、森薗政崇(岡山リベッツ)、吉村和弘(愛知工業大学)、吉田雅己(岡山リベッツ)、及川瑞基(専修大学)、宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)、平野友樹(協和発酵キリン)、松山祐季(愛知工業大学)、三部航平(専修大学)、田中佑汰(愛工大名電高校)、金光宏暢(大原学園)、髙見真己(愛知工業大学)、戸上隼輔(野田学園高校)、有延大夢(リコー)、木造勇人(愛知工業大学)、松平賢二(協和発酵キリン)、松島輝空(木下グループ)、谷垣佑真(愛工大名電中学校)

【女子参加予定選手】(12/12現在)
加藤美優(日本ペイントホールディングス)、橋本帆乃香(ミキハウス)、早田ひな(日本生命)、長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)、安藤みなみ(専修大学)、大藤沙月(ミキハウス)、森さくら(日本生命)、浜本由惟(木下グループ)、塩見真希(四天王寺高校)、木原美悠(JOCエリートアカデミー)、相馬夢乃(遊学館高校)、森薗美月(木下グループ)、小塩遥菜(JOCエリートアカデミー)、松澤茉里奈(十六銀行)、永尾尭子 (デンソー)、笹尾明日香(早稲田大学)、平侑里香(サンリツ)、野村 萌(愛み大瑞穂高校)、白山亜美(明徳義塾中学校)、吉田一葉(さくら組ジュニア)
 12月16日、張本智和が弱冠15歳にしてグランドファイナル(韓国・仁川)で優勝した。張本の得意技はバックハンド全般だが、中でも世界で1、2を争う威力と精度を誇るのが「チキータ」と言われる打法だ。
 今回の決勝の林高遠(中国)戦でも、勝負どころで連発し、最後は2本連続のチキータで鮮やかなノータッチを取って史上最年少の優勝を決めた。

 チキータは、ここ数年テレビで取り上げられることが多くなり、一般的にも知られるようになっている。軌道が曲がるためにバナナのブランドから命名されたというトリビアが添えられることもある。
 それほど有名であるにもかかわらず、その具体的な打法については「イマイチわからない」「難しい」という感想が一般の方々から聞かれる。
 そう言われるたびに私は答える。「無理もありません。わかるはずがないんです」と。
なぜか。実は、テレビでチキータとして解説される場面のおよそ半分がチキータではなく、当然その解説も本質を外したものになっているからだ。だから、どれほど真剣に見ようとも、いや、真剣に見れば見るほどチキータがどういう打法なのかわからないようになっているのだ。

 今夏、NHKが放送した『アスリートの魂』の「勝つために生まれ変われ~卓球 水谷隼~」でも、水谷がチキータの習得に挑戦する奮闘が描かれたが、水谷が実戦でチキータをしているとされた場面8回のうち、チキータはなんと4回だけだった。半分がチキータではないのだ。チキータとチキータではないものを混ぜこぜにしてチキータとして説明しているのだからわかるわけがない。公共放送であるNHKですらこうなのだから、いわんや民放のバラエティーをや。
 チキータが何かが分からなければ、当然、張本の本当の凄さなどわかるはずもない。なんともったいないことだろう。

 チキータを見分けることはそれほど難しいことなのだろうか。そんなことはない。チキータの外見上のもっとも簡単な特徴は、バックハンドでラケットを引いてから打ち終わるまでの間、ラケットが卓球台の上にあることだ。これでボールに前進回転をかけるようにラケットの先端を上方に旋回する打ち方をして速いボールを打っていればチキータなのだ(似たような打ち方にフリックがあるが、最近はほとんど使われないので無視してよいだろう)。
 テレビでチキータと混同されるのがバックハンドの「ドライブ」で、ラケットを卓球台よりも下に引いてから上に振り上げる打法だ。
 つまり、打つ前にラケットを卓球台より下げていればドライブで、下げていなければチキータなのだから、誰でも簡単に見分けがつくのだ。
そして、実はこの違いこそがチキータの価値、威力そのものなのである。

 もう少し詳しく説明する。他のラケット競技と同様に、卓球でも、もっとも得点しやすいのは速いボールだ。ところが、速いボールほど軌道が直線的になるため、相手のコートに入れるのが難しくなる。
仮にネット上端と同じ高さから全力で速いボールを打つと相手のコートにはほとんど入らない。ところが、ボールに前進回転をかけると、空気抵抗によって軌道が極端に山なりになるため、速いボールを入れることができてしまうのだ。これがドライブだ。ドライブこそは、通常はトレードオフになるはずの、速さと確実性を兼ね備えた理想的な打法なのだ。だから現代のほとんどの卓球選手は相手より先に強烈なドライブを打とうと手段を尽くす。
 ところが、ドライブを打つことができないボールがある。ドライブはボールを斜め上に激しく擦り上げる打法であるため、打つ前にラケットを卓球台よりも下げなくてはならない。そのため、卓球台の上で2バウンドするような「短いボール」だけは卓球台が邪魔になってドライブを打つことができないのだ。

 この構造に風穴を空けたのがチキータだ。チキータは、15年ほど前に登場したときこそ、軌道が曲がるボールを打てることが特徴だったが、ほどなく、台上で強烈なドライブをかける打法に進化した。肘を高く上げて、打つ前にラケットの先端が時計の針にして4時くらいになるまで引き(右利きの場合)、一気に12時くらいまで旋回させて打つことでドライブをかけるのだ。通常、相手のボールはネットぎりぎりの高さなので、卓球台表面とボールの間には15センチほどの空間しかない。その15センチの空間に、幅が16センチもあるラケットを面を寝かせて差し込み、ボールを激しく上に擦ってドライブをかける方法として開発されたのが、このラケットを約270度も旋回させるチキータなのだ。

 つまり現代のチキータは、それまで不可能であった短いボールに台上でドライブをかけるための打法になっているのだ。前進回転なので当然軌道は曲がらない。あえて言えば下に曲がる。だからこそ速いボールが入るのだ。もちろん昔のような曲がるチキータが使われることもあるが、頻度は少ない。曲がることよりも速いことの方が勝負でははるかに価値があるからだ。これが現代のチキータの本質である。
 それまで絶対安全圏であったネット際を安全圏でなくしてしまったこの技術は、卓球の戦略地図を完全に塗り替えるものであり、130年近い卓球の歴史において1、2を争う画期的な技術革新だった。だからこそ水谷は若手のチキータを恐れるのであり、自らはその習得に苦しんでいるのだ。
そのチキータを、卓球台の外で打つ普通のドライブと混同してしまうことが、どれほど壊滅的な間違いかおわかりだろう。

 チキータの意味がわかると、それまで見えていなかった攻防が見えてくる。一般に卓球選手は、攻撃においてはバックハンドよりフォアハンドの方が威力も安定性もある。だからほとんどの攻撃選手はレシーブのとき、できるだけ多くのボールをフォアハンドで攻撃できるようにバック側に構える。張本もそうだ。
 これに対してチキータは、人体の構造上バックハンドでしか打てない。やってみればわかるが、ラケットの先端を270度も上方に旋回させながらボールを上方に擦ることはフォアハンドでは無理だ。そのため、レシーブからチキータをされたくない選手は、フォア側に短いサービスを出してチキータをさせまいとする。あるいは、フォア側でチキータをさせておいて、次のボールで空いたバック側を狙おうとする。
 張本は、相手のサービスが短いとわかるや否や猛然とフォア側に移動してチキータをする。チキータをした後は長いボールの応酬になるので、素早く元の位置に戻らなくてはならないのだが、張本はこの往復が異常に早い。そのため、チキータ自体の威力と正確性があるし、その後のラリーでも攻め続けることができる。
 チキータが持つ「短いボールを攻撃できる」という利点と「バックハンドでしか打てない」という制約をめぐるこのような攻防も、現代卓球の見どころのひとつなのであり、それは卓球観戦をより深みのあるものにする。

 静寂の中、緊張した面持ちでサービスを出す選手。そこから繰り広げられる瞬きも許さない手に汗握るラリー。ネットを弾くボールと選手の咆哮。ひとしきり沸いた会場が、次のサービスのために再び静寂で満たされる。
 チキータの本質を知らなくても卓球は面白い。しかし、知ればなお面白い。
(卓球コラムニスト・伊藤条太)
  • 世界でも1、2位の威力と精度を誇る張本のチキータ

ITTFグランドファイナル仁川大会 最終結果

●男子シングルス
優勝:張本智和
準優勝:林高遠(中国)
3位:水谷隼、カルデラノ(ブラジル)

●女子シングルス
優勝:陳夢(中国)
準優勝:何卓佳(中国)
3位:朱雨玲(中国)、丁寧(中国)

●男子ダブルス
優勝:張禹珍/林鐘勲(韓国)
準優勝:何鈞傑/黃鎮廷(香港)
3位:森薗政崇/大島祐哉、鄭栄植/李尚洙(韓国)

●女子ダブルス
優勝:早田ひな/伊藤美誠
準優勝:陳幸同/孫穎莎(中国)
3位:田志希/梁夏銀(韓国)、陳可/王曼昱(中国)

●混合ダブルス
優勝:黃鎮廷/杜凱琹(香港)
準優勝:張禹珍/チャ・ヒョシム(韓国/北朝鮮)
3位:森薗政崇/伊藤美誠、林鐘勲/梁夏銀(韓国)

グランドファイナルは終わったが、選手たちは来年1月の全日本選手権に向けて、戦いが始まる。
水谷は「まずは心も体も休めて、全日本に向けて調整したい」とコメント。
また、丹羽は「12月のTリーグはお休みして、この1カ月間はニッタクボールで練習する予定です」と、調整を入念に行うようだ。
逆に張本は「Tリーグは12月も全部でる予定です。Tリーグが終わってからニッタクボールで練習します。昨年やったときにニッタクでのバックの調子が良かったからボールに対して不安はありません。あと、試合が続いたほうがぼくは調子が良い」と試合感を落とさずに全日本に乗り込む。

今大会の報道は卓球王国3月号(1月21日発売)に掲載予定。お楽しみに!
●男子シングルス決勝
張本智和 4、−13、9、9、9 林高遠(中国)

●女子ダブルス決勝
早田ひな/伊藤美誠 9、11、10 陳幸同/孫穎莎(中国)

なんという男だ、張本智和。
史上最年少のグランドファイナルの優勝。決勝で林高遠に攻め込まれながらも、粘りの逆転勝ちで、ナンバーワンの座をつかんだ。
試合は序盤から張本が両ハンドを打ち込みペースをつかむ。2ゲーム目こそ逆転で林高遠に取られたが、3ゲーム目からは劣勢になっても諦めずにボールをつなぎ、じわりじわりと林高遠を追い込んでいく。

5ゲーム目、9−9。フォア前のサービスに対し、チキータで林高遠のフォアを抜く素晴らしいボールを決めると、10−9ではその再現かと思うようなチキータでノータッチ。
トレードマークのガッツポーズではなく、信じられないと言わんばかりのボーズで喜びを表現した張本。
「最高としか言いようがないです。優勝して、こんなに興奮することもないです。優勝することも目標でしたが、中国のトップ選手に勝ち続けることも大きな意味がある」(張本智和)

前日は「勢いに任せるのではなく、しっかり自分の実力で勝ちたい」と語っていた張本。決勝のパフォーマンスは、誰も文句のつけようがない最高のものだった。恐ろしい15歳、そしてなんと頼もしい15歳なのだろう。

その後始まった女子ダブルスでも日本の早田/伊藤が中国ペアにストレート勝ちで優勝を決めた。
日本ペアの早い展開に相手はついていけず、中陣から孫穎莎がなんとか盛り返すも、点数が競ったときの伊藤の大胆なロングサービスも活き、一気に寄り切った。

「去年のグランドファイナルで準優勝だったので、今年は絶対に優勝しようと話していました。昨日、一日練習できたので、ダブルスも良くなっている。美誠に助けられました」(早田)
「出足から良かった。オーストリアオープンで勝っている相手だけど、自分たちらしい試合をしようと決めていた。すごくうれしいのひとことです。さらに上を目指して世界チャンピオンになりたい」(伊藤)

最終日、日本の2種目制覇で幕を降ろしたグランドファイナル。
張本の強さ、早田/伊藤の大胆さ。そしてつかんだ世界ナンバーワン、本当におめでとう。
  • 勝負をかけたチキータが林高遠のフォアをぶち抜いた

  • 観客の拍手に応える張本

  • 林高遠は試合中盤から自信をなくしているように見えた

  • ストレート勝ちだが苦しい展開。早田/伊藤が優勝

  • 伊藤のスピードと早田の威力のナイスコンビ

  • なかなか勝機を見いだせなかった陳幸同/孫穎莎

  • 男子シングルス優勝:張本智和

  • 女子ダブルス優勝:早田ひな/伊藤美誠

●女子シングルス決勝
陳夢(中国) −9、5、8、10、7 何卓佳(中国)

●男子ダブルス決勝
張禹珍/林鐘勲(韓国) −10、11、8、−10、8 何鈞傑/黃鎮廷(香港)

陳夢が2連覇達成。勢いのある何卓佳をきっちり下し、賜杯をつかんだ。
序盤は何卓佳のバックにつかまり、思うようなプレーができなかった陳夢だが、フォア深くへ厳しいコース取りで何卓佳を左右に動かす。
フォアへの2度突き、そして空いたバックへ連続強打を放ち、精巧な何卓佳の切り替えを崩した。

ダブルスの決勝は「ファイティーン」の大応援が降り注ぐ中、韓国ペアがボールに食らいつく。
黃鎮廷のチキータ、裏面ドライブはやっかいだが、何鈞傑を狙い、3ゲーム目を逆転で取ると、一気加速した。
4ゲーム目でマッチポイントをつかんだが、香港ペアが意地を見せて取り返すも、最終ゲームは張禹珍が何本も中陣からボールをねじ込んだ。

地元優勝に会場は歓喜爆発。お祭り騒ぎ状態だった。
さあ、次は男子シングルスに張本智和が登場だ
  • 的確なコース取りからフォアで仕留めた陳夢

  • 敗れたが今大会の活躍は目覚ましかった何卓佳

  • 地元優勝で歓喜爆発

  • 黃鎮廷は混合と合わせて2冠はならず

  • 女子シングルス優勝:陳夢(中国)

  • 男子ダブルス優勝:張禹珍/林鐘勲(韓国)

●男子シングルス準決勝
張本智和 7、8、8、5 カルデラノ(ブラジル)
林高遠(中国) 5、9、6、10 水谷隼

●女子シングルス準決勝
陳夢(中国) −9、6、5、−5、11、3 朱雨玲(中国)
何卓佳(中国) −12、−9、17、4、6、5 丁寧(中国)

文字通りの殴り合いの試合を制したのは、張本智和・15歳。
「打ち合いになると不利だから、細かいコース取りを重視した」という張本。ブロックでしのぎ、相手を後ろに下げさせてから、上から叩く。カルデラノの強烈なチキータに対しても確実なブロックで返球してからラリーを展開し、あれよあれよのストレート勝ち。

「ずっと樊振東が来ると思っていたので、短い時間ですがしっかり準備して、良いイメージで臨めた。前回は自分から打ってカウンターをもらい、負けていたし、樊振東もまともに打ち合って負けていた。カルデラノは今大会で一番パワーがある選手だし、細かくコースをついていこうと思ってやりました。
自分は足があまり動かなかったけど、予測が良かったので、動かないなりに良い位置で打つことができた。明日はこれに加えて、足を動かしていきたい。やっとここまで来られたので、勢いに任せるのではなく、しっかり自分の実力で勝ちたい。ユース五輪も銀だったし、決勝はこの1年のすべてをぶつけたい」(張本)

もうひとつの準決勝では林高遠が水谷にストレートで勝利。
バック対バックの打球点、威力で林高遠が上回り、フォアカウンターも的確に打ってくる。水谷は下げられてから逆襲を狙うが、照明が気になるのか、台との距離感が合わない。「相手は前陣で早いから、そこで勝負は難しい。でも上から照らすような照明に水谷が慣れなくて、下がったときにミスが多かった」と邱建新コーチ。

「相手のバックハンドが速くて、サイドを抜かれる展開が多かった。いいレシーブをしても、さらにいいボールで返ってきた。全体を通して、良い内容がなかったですね。
でも手応えを感じました。今回、中国選手と3人試合をして、今までは中国ラバーに対してブロックになってしまったところをカウンターできたし、中国ラバーに対する球質の違いをあまり感じなかったのが良かった。中国ラバーに対するトラウマを感じなかったことは良かった」(水谷)。

女子はベスト4を中国が独占。その中で陳夢と何卓佳が決勝を争う。
今大会、陳夢の調子がかなり良い。フォアの強さとバックの固さはもちろん、切り替えが早くなっており、少しでも甘いボールをフォアに送ると、一撃のフルスイングで打ち込んでくる。以前は苦しくなると、フォアで強引に攻めていたが、競っても冷静に立ち回っている。例えるならば、パワー型劉詩雯のようなスタイルに進化している。
五輪に望みをつなぐために、陳夢はここで勝っておきたい。

その相手は丁寧を破った何卓佳だ。こちらも前陣での切り替えが抜群に早く、粒高でのハーフボレーは丁寧がネットミスをする場面もちらほら。
バックが固く、止めたり伸ばしたりなど多彩で、フォアはドライブと、スマッシュが打てるスタイル。同じ中国同士でもやりにくさが顕著に出ていた。
丁寧のフォアドライブを何本も押し返した何卓佳の粒高アタックに明日も注目したい。
  • 張本、素晴らしい試合巧者ぶり

  • カルデラノの大砲がことごとく止められた

  • 4ゲーム目を取っていたら変わっていたかもしれない

  • 鉄壁バックハンドで決勝進出した林高遠

  • 陳夢は2連覇まであとひとつ

  • 朱雨玲は打ち合いに屈した

  • 何卓佳のサプライズウィンに丁寧親衛隊が悲鳴を上げた

  • 粘り負けた丁寧。この展開は誰も予想できなかっただろう

 12月15日、(公財)日本卓球協会が平成30年度 第3回理事会を開催した。
 主な報告事項は以下のとおり。

【福原愛さんに特別功労者表彰】
 10月に現役にひと区切りすることを発表した福原愛さん(ANA)を、特別功労者として表彰することが決まった。

 星野一朗・日本卓球協会専務理事は、「幼少時からメディアに取り上げられ続けたことによる卓球界への貢献度の高さ/女子選手としてオリンピックに4大会連続で出場、12年ロンドン・16年リオデジャネイロではメダル獲得などの実績/国内はもとより国際的な面でも卓球を通して貢献してきたこと」を高く評価したと述べた。

 福原さんへの表彰は、来年1月の全日本選手権期間中、1月19日(土)に予定されている。


【来年度大会の統一球について】
 来年度(2019年度)の大会での統一球が報告された。
 適用大会および統一球のメーカーは以下のとおり。
・19年7月 全日本選手(ホープス・カブ・バンビの部):ニッタク(日本卓球)
・19年11月 全日本選手権(カデットの部):バタフライ(タマス)
・20年1月 全日本選手権(一般・ジュニアの部):VICTAS(VICTAS)

 なお、来年1月(2019年1月)に開催される全日本選手権(一般・ジュニアの部)の統一球は、ニッタクのボールとなっている。


【2022世界卓球(団体)開催地への日本からの立候補について】
 2022年世界選手権(団体戦)の開催地に、日本は福岡県(北九州市)で立候補することが報告された。
 ただし、同大会開催地への立候補は「これまでになく多いと聞いている」(星野一朗・日本卓球協会専務理事)ということで、事前選考などで落とされなければ、2019年4月(世界選手権期間中)に開催される国際卓球連盟(ITTF)年次総会(AGM)に立候補地として上げられることになる。

 2022年世界選手権(団体戦)は、各大陸などでの予選を通過した男女各32チームのみでの開催となり、今までの大会よりも参加チーム数が大幅に少なくなる。規模がスリムになることで、立候補する協会が多くなっていると予想される。



 なお、宮﨑義仁・日本卓球協会強化本部長からは、2019年4月開催の世界選手権ブダペスト大会(個人戦)へのシングルス代表内定者の発表について、1月の全日本選手権(一般・ジュニアの部)から約1週間後に強化本部会議を開き、シングルス代表5名のうち4名を決めることが報告された。
 シングルス代表のあと1名(男女各)については、ジャパントップ12の初日(3月2日)に開催される国内最終選考会(8名によるトーナメント)の優勝者となる。
 トップ12大会は例年とは試合方式など変わり、優勝賞金も300万円にアップ、場所も東京ではなく宮城・仙台で開催される。

●LIONカップ 第23回ジャパントップ12卓球大会
(兼 2019年世界卓球選手権日本代表選考会)
開催日:2019年3月2日(土)〜3日(日)
会場:宮城県・カメイアリーナ仙台(仙台市体育館)
3月2日:世界選手権最終選考会 男女各8選手によるトーナメント
3月3日:世界選手権シングルス代表内定選手(2日の優勝者含め5名)によるトーナメント
優勝賞金 300万円(賞金総額1,470万円)

●混合ダブルス決勝
黃鎮廷/杜凱琹(香港) 6、8、4 張禹珍/チャ・ヒョシム(韓国/北朝鮮)

韓国メディアがずらりと並び、「コーリア」の声援が響く中、混合ダブルス決勝が始まった。
その声援が向けられているのは、もちろん韓国と北朝鮮のペアだ。統一旗を背負い、「優勝しかない」という気合いも入っている。
だが、それを香港ペアの気迫がさらに上回り、観客をため息の沼へと引きずり込んだ。

黃鎮廷のチキータの質、精度が高く、打たれると女子選手はまず対応できない。そして中陣に下げられても、まるで龍が襲うかのようなフォアハンドで盛り返す。杜凱琹のブロック、カウンターも冴え、一方的なスコアで香港ペアが勝利した。

それでも会場からは惜しみない拍手が送られた。来年以降も組む予定は?という問いには「わかんないよ」と笑う張禹珍。
今後も南北チームとして、団体、ダブルスなど出場するだろう。
  • 裏面は大きな武器になる。決勝でも大暴れした

  • 守勢に追い込まれ、活路を見いだせず

  • 最後は感謝の握手

●女子シングルス準々決勝
何卓佳(中国) 4、9、-11、12、-9、-7、9 石川佳純

●男子シングルス準々決勝
水谷隼 −7、9、−8、3、6、9 梁靖崑(中国)

息を呑む粘り合いの末、何卓佳に屈した石川佳純。
バックの粒高に慣れるまで時間がかかってしまったのが敗因か。しかし、3ゲーム目からの粘りは素晴らしく、最終ゲームも8−4とリードしていたのだが、そこから逆転負け。「本当に悔しい」と肩を落とした。

「最後まで我慢して、なんとか我慢して、でも最後に我慢できなかった。8−4になり、相手に2本取られてしまい、早く点数がほしいとおもってしまった。それまでラリーでとっていたのに、打ち急いでしまった。
先月0−4で負けていて、今回は行けるんじゃないか、勝てると思って試合をしていました。全体的に頑張ったと思うけど、最後だけが・・・。本当に悔しい」(石川)

そして男子準々決勝には水谷隼が登場。
水谷は「内容が良くなかった」と語ったが、とてもそうは見えない。梁靖崑の強打を跳ね返し、充実のプレーで勝利。

「相手のミスもあったし、ラッキーもあった。序盤はこちらから強く攻めてしまい、ミスが多かった。とりあえず1本入れて次を狙おうと考えて、ゆっくりのボールを使ったら、そっちのほうが効いた。それを最後までやりました。でもいつもよりツキが多い。本当にそれだけですよ」(水谷)

今大会で新ラバーを試しているという水谷。
「まだ確定ではないけど、自分の理想のボールが出る。用具はかなり合ってます」(水谷)。
新しい武器を手に、中国選手を2タテ。次は林高遠だ。
  • 対応力を見せた石川は紙一重で勝利を逃してしまう

  • バックの粒高でのハーフボレーで石川を苦しめた何卓佳

  • 体のキレが良い水谷、このまま決勝へ進みたい

  • 梁靖崑の豪打は強烈だが、水谷の戦術変更にやられた