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平成24年度全日本選手権大会

 女子ジュニア2回戦に登場したJOCエリートアカデミーの浜本由惟。172cmの長身は、小柄な選手が多い女子ジュニアではひと際目立つ。ベンチには元全日本チャンピオンの偉関晴光さんが入り、中国語でアドバイスをしていた。浜本のお母さんの楊子さん(中国名:楊菲)さんは、元男子五輪代表の新井周さんらとともに愛知・桜丘高に中国人留学生として来日。留学生選手の先駆けといえる選手だった。

 長身で懐の深い両ハンドドライブは、ピッチ打法主体の女子選手の中ではスケールの大きさを感じさせる浜本。フォアストレートへも強打が打てるスタイルだが、ここのところプレーに迷いがあるように見え、成績にも一時の勢いがない。女子ジュニア2回戦はストレート勝ちを収めたが、試合中の表情もネガティブなものが多い。
 この苦しい時期を乗り越えれば、さらに飛躍が望めるだけに、全日本でひとつのきっかけをつかんでほしい。
 代々木第一体育館の会場入り口には10あまりのメーカーブースが並び、その様子はさながら「卓球商店街」。新作ラケットやラバーには思わず手が伸びる。「専門店やネットでいつでも買えるよ」という人も、大会限定Tシャツは見逃せない。特別割引をしているメーカーもあるので、少しくらい財布の紐(ひも)をゆるめてみるのもいいかも。

下写真は左上から時計回りにバタフライ、ドニック、そして個性的なラケットケースやボールケースのラインナップが目を引く三英の「PING PONG HEAVEN」。
 大会第2日目の1月16日。今日は混合ダブルス2回戦で吉村真晴/石川佳純(愛知工業大/全農)、藤本海統/平野早矢香(近畿大/ミキハウス)、そして昨年優勝の松平賢二/若宮三紗子(協和発酵キリン/日本生命)など、五輪代表・世界代表クラスの選手たちが早くも登場する。他の種目に比べて注目度が低い混合ダブルスだが、今回は会場が変わったこともあり、早く会場に慣れる調整の意味合いもある。

 また、女子シングルス1回戦と女子ジュニア3回戦では、平野美宇(ミキハウスJSC山梨)と伊藤美誠(豊田町卓球スポーツ少年団)という同世代のライバルが登場。女子ダブルスで四元奈生美/吉田光希(東京アート/Dr.casl)の登場もあり、こちらにもマスコミの注目が集まりそうだ。
  • 雪の残る代々木第一体育館

 昨年11月の全日本カデットで、ダブルス準優勝の好成績を挙げた桑原穂実(豊田町卓球スポーツ少年団)。ダブルスのパートナーはクラブの先輩で、一学年上の伊藤美誠だった。今大会の女子ジュニア1回戦では、高校生の藤本(城南高)を下し、明日の2回戦へ進出した。

 桑原はまだ上背はなく、選手たちの中でもひと際小さく見えるが、両ハンドのボールさばきは非常に正確で、強打の威力もある。同じサウスポーということもあり、かつての石川佳純を彷彿とさせる打球センスの良さを随所に見せる。

 今日の試合が終わり、代々木第一体育館から原宿駅までの雪の残った帰り道。階段のところでは、大きな桑原のトランクを伊藤(美誠)が笑顔で運んであげていた。頼れるお姉さんですね。
 下写真左は吉村友斗(東海中)、右は石川梨良(JOCエリートアカデミー)。
 吉村は長男・真晴(愛知工業大)、次男・和弘(野田学園高)に続く「吉村三兄弟」の三男。残念ながらジュニア1回戦で敗れたが、まだまだこれからが楽しみな選手。長い手足を生かした両ハンドドライブと巧みなサービスは、兄ふたりにソックリだ。

 昨年9月の世界ジュニア女子予選会で高校生の強豪を相手に健闘した石川は、この1年でかなり伸びてきている。こちらはストレート勝ちで1回戦突破。ハイトスサービスからのフォア強打は、こちらも姉によく似ているが、妹・梨良のほうがややラリー志向か。
 本大会の最年少選手である小学3年生の張が、愛工大附中の主力・松山と対戦。センスを感じさせる前陣カウンターで1ゲームを奪う検討を見せたが、受け身に回らずに攻めに徹した松山の連打の前に、なかなか先手を取れずに敗れた。

 ジュニア1回戦だけが行われる大会初日、専門誌以外のマスコミはさほど多くないが、張の試合にはビデオカメラが並んだ。


●ジュニア男子シングルス1回戦
松山(愛工大附属中) 8,3,-9,5 張(仙台ジュニアクラブ)
 スタッフの拍手の中で会場入りした「卓球台」。雪景色の中をトラックが入ってくると、北国からマグロでも積んできたみたいだが、こと本日に関しては天然のクロマグロ並みに貴重な卓球台ですね。

 卓球台の到着後、大急ぎでフェンスなどの設置が行われ、ようやく選手たちの練習がスタートした。第1試合の開始は17時30分からというアナウンス。試合開始が2時間半遅れたため、今日の最終試合の予定だった18時30分開始の試合は、明日の9時半に順延となった。
 開会式後、代々木第一体育館の第4会議室で行われた五輪代表選手&男子現チャンピオン・吉村の記者会見。

 女子は福原、石川、平野の五輪三人娘が会見に臨んだ。マスコミの注目度は相変わらずで、大会初日にも関わらずテレビ局と新聞社が各社集結している。現女王の福原愛は「観客の皆さんは、ロンドン五輪の時のようなプレーが見たいと思って会場に足を運んでくださるので、五輪の時と同じように思い切ってプレーしたい。一回戦から強い選手ばかりなので、がんばりたい」とコメント。「右ひじの調子は何%?」の質問には、「ひじはロンドン五輪の時とは比べたくない。新しい腕と交換してもらったと考えているので。新しい腕にはだいぶ慣れました(笑)」。

 男子の会見では、王座返り咲きを目指す水谷が「全日本ではしっかりイメージを作って、自分のプレーをしたい。今回優勝すれば6回目の優勝なので、全力を尽くしたい」とコメント。「自分はロンドン五輪で引退する可能性もあったので、こうしてプレーできることがうれしい」という言葉に、五輪後の苦しい胸中がうかがえた。

 また、女子の会見後、記者クラブの卓球分科会による選手表彰が行われた。今年の最優秀選手賞は、五輪団体銀メダルの福原・石川・平野の3選手。また、特別賞にはロンドン五輪男子シングルスベスト8の岸川が選出された(下写真)。
 昨年度大会から入場行進がなくなり、男女スーパーシードの選手のみが参加して行われるようになった開会式。東京体育館よりも少し広くなった代々木第一体育館の真ん中で行われると、ちょっと寂しい印象もある。
 選手宣誓は昨年度チャンピオンの吉村真晴が行い、昨年決勝で敗れた水谷隼や、五輪代表の岸川聖也、丹羽孝希らが見守った。水谷、岸川、丹羽は競技開始は18日からだが、吉村は石川佳純と組む混合ダブルスで、明日初陣を迎える。写真左は日本卓球協会の大林剛郎会長に選手宣誓をする吉村、右はずらりと並んだスーパーシードの選手たち。
 13時45分から開始予定の開会式は、とどこおりなく行われた代々木第一体育館。しかし、昨日の大雪のため、到着予定の卓球台が遅れている。15時過ぎに日本卓球協会の前原正浩専務理事から、「卓球台の到着まであと40分」というアナウンスがあった。間もなく卓球台が到着し、それからフロアマットやフェンスの設置、試合前の練習を経て、男女ジュニア1回戦がスタートするのは早くても6時くらいか。

 速報ページでは開会式や、五輪代表選手たちの記者会見などをお伝えしていきます。