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平成29年度全日本選手権速報

●男子シングルス準々決勝
張本智和(JOCエリートアカデミー) 12、4、4、−8、10 大島祐哉(木下グループ)
森薗政崇(明治大) −10、8、7、13、−11、5 渡辺裕介(明治大)

男子シングルス準々決勝の残り2試合は、張本智和と森薗政崇が勝利!
張本は昨年12月の世界代表選考会で勝利した大島に、今大会でも勝利。1ゲーム目に9−10でゲームポイントを握られたが、ここを14−12で押し切ると、2・3ゲーム目は一方的なゲーム展開。バックハンドという絶対的な武器を持つ張本は、大島のミドルやフォアを突いてから早い打球点でバックを攻め、得点を重ねる。バックハンドを強化してきた大島といえども、揺さぶられてからのバックハンドにはミスが続いた。

張本は4ゲーム目、終盤でややプレーが消極的になり、逆転を許して1ゲームを落とした。フォアを連続で突かれた時の対応にわずかな課題も見えたが、5ゲーム目は9−10から11−10と逆転し、大島のチキータ封じのロングサービスをフォアハンドで狙い打って勝利を決めた!

森薗対渡辺という、明治大の先輩・後輩、そしてダブルスのパートナー対決は、森薗が押し切った。森薗のフォアサイドを切り裂く渡辺のバックハンドのパワードライブは強烈だったが、森薗は相変わらずよく動き、フォアハンドでストレート・クロスへ自在に強打を打ち分けた。
  • 大島を下して頂点にまた一歩近づいた張本

  • 選考会に続き、張本に屈した大島

 3年前の決勝に続き、水谷隼にストレートで敗れた神巧也。先手を取って連打で攻めきるプレーを目指したが、水谷は厳しいサービス・レシーブで先手を譲らず、また神のドライブを完璧に狙い撃った。

●神 水谷戦後コメント
 見ての通り完敗です。前に決勝で対戦した時は、最初は水谷さんが合わせてきて、それで最初は少しはリードできた。今日は1ゲーム目から置きに来なかった。1、2ゲーム目が勝負だと思っていたけど、点を取られて厳しくなった。いつもの横回転系ではなく、縦回転のサービスで入ってきて、少し戸惑った。回転が読めず、ズコズコと打ち込まれてしまった。
 試合をやっていて、同じ中学、高校、大学で卓球をやっていたのに、水谷さんはなんでこんなことができるんだろう?と不思議に思ったほど。それでも勝ちたいという気持ちは強いので、まだまだ上を目指したい。針の穴を通すような、唯一の点を取れるところを研究してきたが、そこでも歯が立たず、差を感じさせられた。張本が勝った試合を何回も見て研究した。台上から先手を取って攻めるしかないが、それをさしてもらえなかった。どうやったらこの人に勝てるのかと、またモチベーションが高まった。
 ユニフォームだけは目立ってたんですけどね(笑)。完敗でした。
●男子シングルス準々決勝
松平健太(木下グループ) 5、9、-7、6、8  松平賢二(協和発酵キリン)

 ついに実現した松平兄弟対決。今までの対戦では健太が勝っている。まずは弟健太が2ゲーム先取。中陣で動き回る兄賢二に対し、前陣で早いタイミングでさばききる健太。
 とは言え、賢二は攻めるしかない。3ゲーム目を攻め続けて11-7で取る。
 4ゲーム目、台上で崩し、先手を取る健太は、11-6で取り返す。5ゲーム目は一進一退で8-8。そこから健太が押し切り、11-8。兄弟対決は弟の健太の勝利となった。

★健太コメント
「手の内を知っているので、ラリーになるので我慢強く攻め切ろうと思った。兄弟対決はやりづらいけど、いざ試合となれば一人の選手どうし。5回戦とかであたるより、準々決勝のような上であたれたのは嬉しい。(賢二は)色んなところからサービスを出してきたり、横回転を多くしてきたり、ラリーになるようにしてきたので、やりづらかった。
 (5年ぶりの準決勝について)一戦一戦やってきて、目の前の試合しか考えていない。順調ですフォアがまあまあで、バックでもっと得点できればいい。世界選手権代表と優勝を狙っている。
 世界選手権ではダメだったが、その後バックハンドを強化して、それから安定し、充実している坂本コーチからは「動けているし、振り切れている。もっと自信を持て」明日は8オールとかジュースとかになることが多いと思うので、その2本、3本をどう取るかが鍵だと思う」


★賢二のコメント
「昨日まではかなり良い状態でできていたし、作戦、戦術も良かったし、体も動いていた。今日からコートが広くなって、勝手に台から下がって、勝手にミスしている。健太とは公式戦ではインターハイ、ビッグトーナメント、これが3回目かな。勝ってないです。台上がうまいんで、どんなサービスを出してもストップされる。されないようにアップ系サービスを出していっても止められる。
 コートが広いんで、フォアに来たボールは昨日までは一本ストレートとかミドルに打っていたのに、今日は巻き込んで打って、勝手にミスをしていた。 
 社会人になってから初めてベスト8以上。前回入っていたのがいつか忘れました。山は良かったので最低限8に入らなければと思ってました。
 健太とやると、いつも意識しないように思うと、勝手に力が入っているし、台から下がらないように思っていても勝手に下がっている。あいつはぼくとやるとやりやすそうにやっている。相手を動かしてフォアを使わせようとしたんだけど、一本目のドライブをポロポロミスしてしまった。昨日までブロックがうまくできていたのに、やっぱり距離感がだめでした」
  • 兄弟対決に勝利した健太

  • 賢二はベスト8で終わる

  • 最後はガッチリ握手する松平兄弟

●男子シングルス準々決勝
水谷隼(木下グループ) 5、7、3、8 神巧也(シチズン時計)
松平健太(木下グループ) 5、9、−7、6、8 松平賢二(協和発酵キリン)
●女子シングルス準々決勝
石川佳純(全農)  -8、8、-14、7、11、7 森さくら(日本生命)

準々決勝の最後に残ったひと試合は、石川が森を破り、今年もベスト4進出!

「ボールをバックに集めていこうと、レシーブも研究してきた」という森に、石川は中盤まで苦しんだ。森は弧線をうまくコントロールし、石川のバックに何本でもバックハンドやブロックを集めながら、要所で鋭いバック強打を石川のフォアに突き刺す。「ギャオッ!」と悲鳴にも似た気合いで、闘志を全面に出して戦う森に、石川は苦戦を強いられた。

しかし、石川は試合後「バックに集められたボールを入れるだけだったので、相手のフォアへ厳しく突くようにした」とコメント。「森さんとは2年前の韓国オープン以来で、力をつけているのはわかっていたし、注意していた。4−0や4−1では勝てないので、『最後は2点差で勝つ』ことを意識しました」(石川)。パワーのある森に長いラリーで力負けしないことを心がけ、高い集中力で勝ち切った。

★敗れた森のコメント
「ツキがなかったですね。ツキがなくても競っていけるようにならないといけない。ボールをバックに集めていこうと、レシーブも研究してきたけど、石川さんのほうが上だった。対応能力が全く違いました。今は負けた悔しさより、課題が見つかって良い試合だったと思います。(森)
  • 森を振り切りベスト4入りを決めた石川

  • 森の力強いガッツポーズもおよばず

●女子シングルス準々決勝
伊藤美誠(スターツSC) -8、7、4、8、8 石垣優香(日本生命)

 女子シングルス準々決勝、伊藤美誠が石垣優香に4−1で勝利。
 1ゲーム目を落とした伊藤だが、そこから3ゲームを連取。5ゲーム目も伊藤が終始リード。伊藤が前後左右に揺さぶり、それに対して石垣はカットと攻撃で対応するが、伊藤のカット打ちは崩れない。5ゲーム目、10−8の伊藤のマッチポイントで、最後は石垣の回り込み強打が空振り。11-8で伊藤が勝利した。
 石垣はこれが引退試合となった。最後、観客席に一礼した。2014年世界選手権東京大会のオランダ戦での活躍で、日本の決勝進出の原動力となった石垣。最後はベスト8に進出して、力を見せながら、静かにラケットを置いた。

★石垣のコメント
「今はすっきりしてます。1ゲーム目は自分のやりたいことができたけど、そこから徐々に私のやりたいことをやらせてくれなかった。伊藤さんはうまさがあった。強かった。
 試合前は・・・(涙)たくさんの方にお世話になったので、最後の一本まで感謝の気持ちを込めてやろうとしたことが良いプレーにつながった。1回でも多く勝つことが恩返しだと思ってやった。試合にもあまり出ていなかったし、ケガもしていて練習もできなかったけど、1試合目を乗り越えたら緊張もほぐれた。
 9歳の時に卓球を始めたので約20年、ハタチですね(笑)。記憶に残っているのは東京の世界選手権でオランダ戦で勝った試合ですね。カットマンになって、苦しいこともたくさんあったけど、たくさんの人に支えてもらって、カットマンだからこそ良い瞬間も味わえたし、すごく幸せな競技生活だった。
 最後の試合は伊藤さんで、年下ですけどすごく尊敬している。その選手とこの舞台でできて幸せだった。
 まずはおいしいお肉を食べて、旅行に行きたいです(笑)」
  • 石垣のカットを攻略した伊藤

  • 引退試合となった石垣

  • 最終試合を終え会場に頭を下げる石垣

 リベンジを期す松澤に土俵際まで追い詰められながら、粘り腰で勝ちきった平野美宇。試合後、「昨日と同じ大接戦だったけど、勝てて良かったです。4年連続の対戦で、毎年競っているけど、最後は自分が勝っている。今回も勝とうという気持ちで頑張りました」と語った。

 「最初は全然ボールが入らなかったけど、2−3になってから気持ちが変わって入るようになった。ミスばかりで『入らないな』と思っていたのが、『勝つしかない』と吹っ切れた。もう白目を剥きながらやってましたね(笑)。観客の方にドン引きされるような表情をしていたと思います。
 今回は接戦が多いけど、それは調子の良し悪しより、相手のレベルアップと対策を立てられているから。それは当たり前のことだし、それでも勝てる対策を立ててきた。(6ゲーム目の10−4から10−9になった場面では)まず自分の卓球という意識で、ラリーがどんどん速くなってしまわないよう気をつけました。6ゲーム目からは絶対負けたくない、絶対1点もやらないという気持ちでした」(平野)

「今日の試合はこれで終わりなので、時間を有効に使って、明日朝の準決勝でまず勝てるように頑張りたい。決勝も勝って連覇したいです」と語る平野。明日の準決勝は左腕の永尾との対戦だ。
●女子シングルス準々決勝
平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園) −11、9、−3、10、−4、9、8 松澤茉里奈(十六銀行)

女子シングルス準々決勝、昨日に続いて平野美宇がゲームオールの大激戦を制す!

これで平野とは4年連続の対戦となる松澤。過去3連敗の雪辱を果たすべく、入念な平野対策を感じさせた。序盤、徹底して平野のフォア前にバックサービスを集め、レシーブはミドルからフォア。平野が得意とするバック対バックの展開に持ち込ませない松澤。自分から速攻で仕掛けて速いラリーにするより、先に平野に持ち上げさせてカウンターを狙い、ミドルへの攻めを有効に使った。
クロスへの返球が多くなった平野は、ややプレーが守勢に回っていた感があり、ゲームカウント2−3とリードされる。

 しかし、平野は6ゲーム目の出足から「ここで負けたら終わり、絶対負けたくない、絶対一点もやらないという気持ちだった」と気持ちを切り替え、目の覚めるようなフォアドライブを振り抜く。10−4から10−8まで挽回され、タイムアウト後に10−8とされても「自分の卓球をやるだけ」と言い聞かせて11−9で奪取する。

 最終ゲームは平野が5−0とリードしてチェンジエンド。松澤も6−1から8−7まで挽回するが、最後は対ミドルをつないでいった松澤に対し、強く振り抜いた平野という積極性の差が出たか。敗れた松澤は「勝つために対策を立ててきたので悔しい。競ることはできたが、最後は勝ちを意識してしまった。最終ゲームはわざとかけないドライブをしてこられて、序盤はなされた。大舞台を経験しているだけあり、戦術転換が早いのは流石で、私も見習わないといけない」と語った。
  • 大接戦を乗り切った平野

  • 松澤は4年連続平野に敗れる

●女子シングルス準々決勝
永尾尭子(アスモ) 10、-7、-8、-3、9、9、7 佐藤瞳(ミキハウス)

 第1ゲーム、佐藤が9-5とリードするも永尾が10-9とひっくり返し、12-10で永尾がゲームを先取した。第2ゲーム、7-7と一進一退を続けるが、ここから佐藤が連取し、11-7で取り返した。
 第3ゲーム、ジリジリと佐藤ペースになっていく。ツッツキとカットで変化をつけながら、永尾のミスを誘っていく。第4ゲーム、永尾は手がなくなった感じで3本で落とす。試合は完全に佐藤ペースだった。

 第5ゲーム、終始永尾が1、2本リードしていく。攻撃に緩急をつけ、ツッツキも多用する永尾。11-9で永尾が取り、流れを引き寄せようとする。
 第6ゲーム、出足から永尾がリード。9-8、永尾リードで、佐藤がスマッシュを決め、9-9。次を佐藤がスマッシュミスで10-9で永尾。最後は永尾のバッククロスのシュートドライブで11-9で取り、ゲームスコアは3-3となった。

 最終ゲームにもつれ込んだこの1戦。佐藤の粘りに対し、広角にドライブを打つ永尾、さらに前に落とすドライブも有効に使っている。いきなり永尾がアグレッシブに攻め、3-0とリードし、佐藤がタイムアウト。4-4と佐藤が追いつくも、佐藤が連続攻撃で打ちミスが出て、5-4でチェンジエンド。永尾シュートドライブで6-4。7-5。佐藤のドライブミスで8-5と永尾。9-6、10-6とマッチポイントを握り、10-7で最後は佐藤のロビングを永尾がスマッシュで決め、11-7で逆転勝ちした。初の準々決勝に進出した永尾は、勢いに乗り、ベスト4を決め、明日平野美宇と対戦する。

★永尾のコメント
「(佐藤さんとは)高校生の時に1回やっているだけ。向こうは国際大会で活躍している選手で、カットもすごく切れていて、攻撃の幅も多かった。自分の中で我慢することを言い聞かせて、1-3でゲームをリードされた時も冷静に戦おうとしました。
 自分の武器としているドライブが決まらなくて、前半焦ってしまった。1-3で負けている時もこのゲームを我慢して取れば相手も焦ってくるだろうと思っていたし、5ゲームを冷静にやれて、取れたことが大きかった。それまでは連続で打ちに行っていたので、5ゲーム目からツッツキを混ぜたり、ゆっくり打つのと強く打つのを混ぜていったのが良かった。
 最終ゲーム3-0から4-4-に追いつかれて焦ってしまったけど、後半は良い流れで戦えた。
 今回の目標は去年のベスト16を上回ることだったので、明日は思い切ってやるだけ。今日は観客も多くて緊張しました。
 平野さんとは今までやったことがない。ピッチも速いし、戦術の幅、コース取りのうまい選手。まず速さについていき、自分の良さを出していきたい」
  • 永尾はカットの佐藤を攻略し4強へ

  • 逆転負けを喫した佐藤

★大会第6日目/1月20日のタイムテーブル

10:00〜
●女子シングルス準々決勝
平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園) vs. 松澤茉里奈(十六銀行)
永尾尭子(アスモ) vs. 佐藤瞳(ミキハウス)

11:00〜
●女子シングルス準々決勝
伊藤美誠(スターツSC) vs. 石垣優香(日本生命)
森さくら(日本生命) vs. 石川佳純(全農)

12:00〜
●男子シングルス準々決勝
水谷隼(木下グループ) vs. 神巧也(シチズン時計)
松平賢二(協和発酵キリン) vs. 松平健太(木下グループ)

13:00〜
●男子シングルス準々決勝
森薗政崇(明治大) vs. 渡辺裕介(明治大)
大島祐哉(木下グループ) vs. 張本智和(JOCエリートアカデミー)

14:00〜
●女子ダブルス準決勝
早田ひな/伊藤美誠(日本生命/スターツSC) vs. 田代早紀/前田美優(日本生命)
佐藤瞳/橋本帆乃香(ミキハウス) vs. 梅村優香/塩見真希(四天王寺高)

14:35〜
●男子ダブルス準決勝
水谷隼/大島祐哉(木下グループ) vs. 宇田幸矢/張本智和(JOCエリートアカデミー・大原学園/JOCエリートアカデミー)
上田仁/吉田雅己(協和発酵キリン) vs. 藤村友也/吉村和弘(日鉄住金物流/愛知工業大)

15:40〜 ●女子ダブルス決勝
16:15〜 ●男子ダブルス決勝

大会第6日目の土曜日、会場の外には「名物」である長蛇の列ができた全日本選手権。本日のタイムテーブルは上記のとおり。男女シングルスの準々決勝、男女ダブルスの準決勝・決勝が行われる。注目カードが目白押しだ!
  • 東京体育館をグルリと巻いた大行列

  • 明日並ぶ方は、暖かくしてお出かけください