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全国高校選手権(インターハイ2018)

 8月3〜8日、愛知・スカイホール豊田で行われたインターハイ。最終結果は下記のとおり。インターハイの大会特集は、8月21日発売の卓球王国10月号に早くも掲載されます。これから東京に戻り、締め切りに全力投球。ご期待ください!

【学校対抗】

●男子
優勝:愛工大名電(愛知)
準優勝:鶴岡東(山形)
3位:遊学館(石川)、滝川第二(兵庫)

●女子
優勝:四天王寺(大阪)
準優勝:遊学館(石川)
3位:愛み大瑞穂(愛知)、明徳義塾(高知)

【シングルス】

●男子
優勝:戸上隼輔(野田学園・山口)
準優勝:田中佑汰(愛工大名電・愛知)
3位:金光宏暢(大原学園・東京)、手塚崚馬(明徳義塾・高知)

女子
優勝:野村萌(愛み大瑞穂・愛知)
準優勝:塩見真希(四天王寺・大阪)
3位:高山結女子(札幌大谷・北海道)、相馬夢乃(遊学館・石川)

【ダブルス】

●男子
優勝:田中佑汰・加山裕(愛工大名電・愛知)
準優勝:田原彰悟・曽根翔(愛工大名電・愛知)
3位:橋本一輝・横谷晟(愛工大名電・愛知)、中橋敬人・星翔太(鶴岡東・山形)

●女子
優勝:出雲美空・相馬夢乃(遊学館・石川)
準優勝:青木優佳・小畑美月(横浜隼人・神奈川)
3位:大島奈々・野村萌(愛み大瑞穂・愛知)、永道麻依加・稲吉美沙(希望が丘・福岡)
 前回大会はベスト8ながら、女子シングルスでサプライズの優勝を飾った野村萌。決勝の塩見戦でのプレーは圧巻。地元開催でありながら、プレッシャーとは無縁のプレーで最後まで攻め切った。「打てば入る」プレーだった。以下は優勝後のコメント。

「団体で日本一になるという目標を持ってやってきて、四天王寺に準決勝で負けてしまったので、その悔しい気持ちをシングルスにぶつけようとみんなで言っていました。すごくうれしいんですけど、まだ実感がわかないです。

 地元開催なので、応援が大きい分それをプレッシャーに変えてしまう選手もいると思うんですけど、私はそれを力に変えて背中を押してもらえた。本当に応援してくださった方たちのおかげです。
 
 決勝の塩見さんに対しては、気持ちの面でも「絶対に勝ってやろう」と思ってしまうとプレーできなくなるので、ここまで来られたのは自分でもすごいことだと思うので、「やりきる」ことを意識して、一球一球目の前のボールに集中していました。大会前は、やはり上のレベルになるとサービス・レシーブが重要だと思うので、時間があればサービス練習をやってきました」(野村)

 「卓球では緊張しないです。インタビューのほうが緊張します(笑)」と笑顔で語った野村。笑顔と勇気の初優勝だった。
  • 愛み大瑞穂の神谷監督と、笑顔のツーショット

敗れた田中に涙はなかった。
むしろどこかカラッとした表情で、結果を受け入れて納得しているように感じた。

「最後のシングルスは悔しいけどやりきれたと思います。相手のパワーを意識しすぎて、細かくやりすぎました。自分の展開にならなかった。相手に打たせてからの展開が得意なのに、自分が打ってしまったのがダメでしたね。状況を整理して、意思のあるボールが少なかった。もっと素早く判断できたら良かった。

 2ゲーム目は最後にリードしたけど、取れなくて3ゲーム目の出足が悪かった。結果的に3ゲーム目は取ったけど2ゲーム目を落としたのが大きい。作戦を考えてきたけど、自分が迷ってしまいました。
 どんなに点数が離れても諦めることは1回もない。今年は世界ランキング100位以内、全日本でランクを目指して頑張りたい」(田中)

そしてベンチの今枝監督は地元でのインターハイを振り返った。
「田中がいないと、団体もダブルスも優勝できていないでしょう。本当に田中が頑張った。寮でもずっと後輩を指導して、チームをまとめてくれている。自分がどう見られているかを常に考えて、どこにいてもしっかりしている。今年は田中のチームでした。毎年、インターハイが近づくと、ドキドキしていましたが、今年はいつ来ても大丈夫だと。それだけ田中がしっかりしていて、ダブルスも加山を引き締めて、意見交換をしていた。
最後にシングルスで優勝して、抱きしめたかったですよ。力があるのに勝たせてやれなかった。内容的には負けていなかったけど、作戦!作戦!と頭で考えずにもっと自分勝手にやれば良かったかな」
●男子シングルス決勝
戸上隼輔(野田学園) 10、13、-6、9 田中佑汰(愛工大名電)

一進一退の攻防の中で、サービス・レシーブの組み立てが勝敗を分けた。
昨年2位の戸上がリベンジ。野田学園初のシングルスの優勝を達成した。

今年の東京選手権決勝で相対している両者。その時はフルゲームで戸上が勝利。しかもゲームカウント1−3からの大逆転だった。田中にとって戸上は「競るけど勝てない」鬼門の相手。

今まで勝ったことがない田中は、戸上対策を考えてきたのだろう。しかし、「意識しすぎて細かくやりすぎた」と試合後に語った。
戸上に強打を打たせたくないから、ストップで展開していくが、ぶち切った戸上の下回転に対しネットミスをしてしまう。
チキータで狙おうとすると、今度はナックルサービス。そして時折ロングサービスを見せることで、田中に台に入らせない。配球は完璧だった。

2ゲームを連取された田中、3ゲーム目も5−2とリードを許し、すかさずタイムアウト。
5−5に追いついて、6−6から5連続ポイント。大きなガッツポーズ、田中はまだ死んでない。

大胆に行きたかった4ゲーム目。田中の小さいミスが少しずつ点差を広げていく。
ここで決めるぞ!と戸上はバック対バックの打ち合いで、的確にミドルを攻めるなど、冷静なコース取りで点数を重ねていった。
9−8でフォア前へのサービスを強気のフォアフリック。
最後はサービスエースで取り、両手を広げて拳を握った!

「試合前から絶対に競ると思っていました。競った場面でも自分のプレーができた。団体・ダブルスで負けて苦しい大会だったけど、シングルスで優勝できて少しは貢献できたかな。昨夜はいろんな人からメッセージをもらって、絶対に優勝しようと思っていました。野田学園のOBの方々にも喜んでいただけるとうれしいです」(戸上)

プレーに似合わず、普段は優等生。
「いろんな人のアドバイスを全部聞くんです。でも取捨選択はできない。本当に素直な子なんですよ」と橋津監督。

心優しき王者、今年は戸上隼輔がNo.1だ
  • 強打につなげる技術の発展を見せた戸上

  • 田中は苦手な相手に慎重になりすぎたか・・・

  • ベンチの橋津監督に歓喜の抱擁

  • 野田学園の応援団にガッツポーズ!

●女子シングルス決勝
野村萌(愛み大瑞穂) 10、4、6 塩見真希(四天王寺)

 地元・愛み大瑞穂の野村が、塩見をストレートで破り、初優勝!
 愛知・卓伸クラブの出身で、生粋の地元選手である野村が、最後の最後で大輪の花を咲かせた!

 1ゲーム目、塩見が4−0とスタートダッシュをかけながら、野村が6−6に追いつき、10−8で先にゲームポイントを奪ったこの試合。塩見が10−10に追いつくが、野村が11−10の3回目のゲームポイントで、塩見のフォアに弧線の高いボール、次の1球は目にも留まらぬ速さでバックに切り返し、バックサイドを打ち抜く。

 出足でリードしながら1ゲーム目を落とした塩見は、これでペースを見失ってしまった感があった。野村にフォアサイドに出されたサービスへのレシーブミス、対ツッツキの攻撃のミスが多く、野村のコースの読みにくいバックハンドにも手を焼いた。

 「相手はフォア前やバック深くのサービスからの展開だと力を出してくるので、フォア表なので大胆にフォアにサービスをもっていって、持ち上げさせたボールを上から狙おうと話をしていました。ラリー戦でも強気に、上から攻めていくことができていた。本当にすごいです」と愛み大瑞穂・神谷監督。2ゲームを連取した3ゲーム目も、4−4から一気に9−4と突き放し、10−5でマッチポイント。観客席の応援団から「やりきるよ−!!」という声援が飛ぶ中、10−6で押し切って優勝を果たした。

 「こういう大きな舞台は初めてで、すごく緊張したんですけど、上(観客席)で応援してくださる方がたくさんいたので、すごく心強かったです。ひたすら強気で攻めていきました。これで満足せずに、全日本とかもっと上の舞台で勝っていける選手になりたいです」(野村・優勝インタビュー)。いつも笑顔が絶えない選手だが、地元でつかんだ栄冠に満面の笑顔が輝いた。
  • 得意のバックハンドとフォア強打が冴えた野村

  • 観客席の応援団と一体になって戦った

  • 塩見は野村の大胆なフォア攻めに敗れた

  • 地元・愛知で最高にうれしい優勝!

●男子シングルス決勝
戸上隼輔(野田学園) 10、13、−6、9 田中佑汰(愛工大名電)

男子シングルス優勝は、野田学園高2年の戸上隼輔!
準優勝だった昨年度大会の雪辱を果たした。詳報は後ほどお伝えします!
●女子シングルス準決勝
塩見真希(四天王寺) 8、13、9 高山結女子(札幌大谷)
野村萌(愛み大瑞穂) 8、10、14 相馬夢乃(遊学館)

女子シングルス決勝の対戦カードは、塩見真希vs野村萌に決定!

塩見は1ゲーム目に4−7、6−8と中盤でリードを許したが、ここから5点連取で逆転。「リードしてても追い上げてくるし、大事なところで絶対に一本取ってくる。私は取らないと、取らないとと思って勝ち急いでしまったのが負けの原因」と試合後に高山は語った。高山の両ハンドドライブは威力十分だったが、相手が決めにいったボールをシャットアウトする塩見の守備力は抜群。ここ一本に強い。

そして野村は、ここまで大活躍のチョッパー相馬に見事なストレート勝ち。
バック面表ソフトの野村は、序盤から無理にフォアドライブで攻めるのではなく、フォア前にサービスを出してフォア面表ソフトの相馬に軽くレシーブさせてから、バックハンドでコースを突いたり、ツッツキで振り回してからバック強打とスマッシュで狙い打つ。誰もが嫌がる相馬のナックルボールが、野村にはチャンスボールになった。

相手のドライブに対しては高い守備力を発揮し、カットの変化も巧みな相馬だが、野村に対しては変化をつけられず、反撃のタイミングも見出せなかった。3ゲーム目、10−9としてから5回ものゲームポイントを握ったが、14−14に追いつかれ、最後もミドルに野村の強烈なスマッシュを浴びた。

「これまではずっと出雲さんと一緒だったけど、シングルスで台数が少なくなって、今までで一番緊張した」と試合後の相馬。大物感を漂わせるスーパー1年生にも、インターハイの魔物は襲いかかった。「スマッシュで狙われるので、コースを厳しくして対応したかったけど、うまくいかなかった。出足があまり良くないところがあるので、1ゲーム目から3ゲーム目くらいのプレーができていたら、もっと良い試合ができていたと思います」。1年生での決勝進出はならなかったが、まだまだ伸びてほしい逸材だ。
 
決勝は塩見真希対野村萌。優勝候補筆頭の塩見が勝負強さを発揮するか、野村の必殺バックハンドが堅陣を打ち抜くか?
  • 塩見、接戦での勝負強さは抜群

  • 初のランク入りから3位に躍進した高山

  • 野村、地元で決勝に躍進。相馬戦は圧巻のプレーだった

  • 相馬はこの敗戦を糧にしてほしい

●男子シングルス準決勝
戸上(野田学園)9、9、6 手塚(明徳義塾)
田中(愛工大名電)−11、6、9、8 金光(大原学園)

決勝のカードはやはり本命の二人。
戸上と田中のライバル対決となった。

戸上は手塚のスマッシュ戦術に、スピードで対抗。レシーブから一発を狙いにいき、前中陣からの両ハンドは他の選手と鋭さが違う戸上。
スマッシュで叩き落としたい手塚だったが、的を絞れずに守勢に回ってしまった。
「自分の嫌なところを攻められてしまった。自分の得意なラリーにもっていく前の細かい技術に差があって戦えなかった」(手塚)
特徴的なスタイルを武器に1年生で見事な3位。試合後に明徳応援団に拍手で迎えられたルーキーは、少し照れくさそうにお辞儀した。

前陣でのバックハンドの叩き合いになった田中と金光の一戦。
序盤は金光の強烈なボールに田中のブロックがオーバーする場面も多かったが、そこは修正力の高い田中が対応していく。
3ゲーム目の10−9でミドルへのロングサービスでエース。4ゲーム目は一気に8−1まで離した。
そこから田中が手を抜いたわけではないが、金光がことごとくラリーを取り、1点ずつ忍び寄る。10−8まで迫り、もしやと思わせたが、反撃もそこまでだった。

「いつもリードされてからじゃないと思い切り振っていけない。経験が足りない。田中には3連敗してて、最初から最後まで押されてしまった」(金光)

これで戸上、田中の頂上対決が実現。
最後の1戦がこれから始まる。
  • 昨年2位の戸上。頂点まであとひとつ

  • 手塚パンチはインターハイでも旋風を起こした

  • 台上も丁寧だった田中。3冠王がかかっている

  • 金光に必要なのは自信だろう。フルスイングは誰にも止められない

  • 戸上が攻めの早さで振り切った

  • バックの安定感は田中のほうが上。優位な展開を作った

●男子シングルス準々決勝
戸上(野田学園)−15、6、8、−19、7 岩永(帝京安積)
手塚(明徳義塾)7、13、−10、9 星(鶴岡東)
田中(愛工大名電) −10、−7、8、3、10 田原(愛工大名電)
金光(大原学園) −5、−12、7、1、10 加山(愛工大名電)

激戦しかない準々決勝。
戸上は岩永のミスのない両ハンドに押されるも、ここぞの集中力はさすが。野田学園最後のひとりとして、なんとかつなぎとめた。

愛工大名電の同士討ちとなった田中vs田原は、サービスの名手田原が2ゲームを連取。強烈な巻き込みサービスは部内でも効果は抜群。田中はチキータで狙って行けず、後手を引いた。
最終ゲームは田中のネットイン、エッジボールが続き、田原にとってはアンラッキーなポイントが続いたが、「気持ちが弱かった」(田原)と反省の弁。
しかし高校最後の年に一気に爆発した田原。「全体的には満足です。充実したインターハイでした」と笑顔を見せた。

そして劣勢から逆転で加山に勝利した金光。
最終ゲーム3−7から踏ん張り、メンタルの強さを見せた。
次の相手は田中。この試合は注目だろう!
  • かなり消耗した戸上。準決勝は10分後にやってくる

  • オールラウンダー岩永は4強まであと一歩だった

  • 上から叩きまくった手塚

  • 星は先手を取られ、下げられてしまった

  • 運も味方した田中。このチャンスを活かしたい

  • 3種目で入賞した田原にとって今大会はターニングポイントになるだろう

  • 崖下から生還した金光。今年こそ優勝したい

  • まさかの逆転負けに肩を落とす加山

●女子シングルス準々決勝
相馬(遊学館) 7、2、5 青木(横浜隼人)
野村(愛み大瑞穂) 10、−8、−9、7、8 出雲(遊学館)
高山(札幌大谷) 7、−6、−11、8、7 中田(玲)(愛み大瑞穂)
塩見(四天王寺) 4、5、7 黒野(武蔵野)

女子シングルス準々決勝が終了!

1年生チョッパーの相馬は、横浜隼人の左腕・青木をカットの変化と攻撃で翻弄。3ゲーム目に迎えたマッチポイントもフォアの表ソフトでの反撃で仕留めた。一発の強打に威力のある青木だが、相馬のカットの変化に苦しんだ。

野村と出雲の一戦は、最終ゲームの中盤まで競り合ったが、ここで出雲に痛いミスが続いた。「昨日の女子学校対抗決勝での負けを引きずってしまった。バックハンドのミスが多かった」と出雲。バックハンド主戦でラリー戦に強い野村は、精神力の強さも見せ付けた。

札幌大谷の3年生・高山は、愛み大の守護神・中田に逆転勝利。中盤でループドライブからのスマッシュにミスが出ていたが、持ち味の重いドライブを粘り強く打ち続けて勝利をつかんだ。「ゲームをリードしたところで守りに入ってしまった。悔しいです」と試合後の中田。しかし、今大会での活躍は見事だった。

塩見はカットの黒野にストレート勝ち。フォア表ソフトの塩見は強打は少ないが、カット打ちに回転の変化をつけ、黒野のミスを誘った。学校対抗から個人戦まで、ハツラツとしたプレーを見せた黒野は試合後、「塩見さんの攻撃の、ナックルの変化に対応できなくてミスが出てしまった。ブロックが堅いので反撃も難しかった」と語った。
  • ハートの強さを見せつける野村。ベスト4入りを決めた

  • 武蔵野のエース黒野、攻守に冴えたプレーを見せた

  • 高山のフォアドライブは伸びがすごい!

  • 横浜隼人の青木、敗れたもののフォアの一発は破壊力あり