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速報・現地リポート

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世界卓球ブダペスト大会

●男子シングルス4回戦(ベスト8決定)
ゴーズィ(フランス) 0、5、4、8 ワン・ヤン(スロバキア)

 昨日、第2シードの許シンを破ったフランスのゴーズィの進撃が止まらない。中国からの帰化選手、ワン・ヤンの変則カットを苦にせず、ストレートで仕留めた。
 ゴーズィは準々決勝でスウェーデンのファルクと対戦する。ヨーロッパからメダル獲得選手が登場する。ヨーロッパからの男子シングルスのメダル獲得は2011年のボル(ドイツ・3位)以来、8年ぶり。もしフランスからのメダル獲得選手が出れば1993年のガシアン(優勝)以来、26年ぶり、スウェーデンでは1999年のワルドナー(3位)以来、20年ぶりとなる。
  • ゴーズィ、許シン戦の勝利でさらに自信を深めたか

  • ナックルチョッパー、ワン・ヤンはベスト16

 安宰賢に敗れ、茫然とした表情でミックスゾーンに現れた張本智和。安宰賢には16年世界ジュニア団体決勝2番で、3ー1で勝利していたが、ジュニア世代の選手の成長速度を考えれば参考にならない。
 安宰賢はフォア面に中国製の粘着ラバーを貼り、バックハンドでは回転をかけて伸ばしながら、隙あらばフォアハンドの回り込みを狙ってくるタイプ。そのフットワークは、ジュニア時代に田㔟邦史・男子JNT監督が「日本選手にも見習ってほしい」と語っていたほど。張本戦でも、随所に強烈なパワードライブを打ち込んできた。以下は試合後の張本のコメント。

「実力が足りなくて、特に対策されて負けたというわけでなく、自分の凡ミスや相手のスーパープレーがあって、思い切って攻めることができなかった。いつも負ける時はそんな感じですけど、展開を変えることができなかった。練習の時からチキータにミスが多くて、修正できずに試合に入ってしまった。試合でもチキータで決められたプレーは1、2本しかなく、その後のプレーもまったく入らなかった。本当に全然ダメな試合でした。

 今日は特別緊張していた。理由はよくわからない。いつもは1ゲーム目を終わると緊張は解けてくるんですけど、今日は緊張したままでした。昨日は100%向かっていけたけど、今日はあと少しでメダルというところで、少し守りに入ってしまった部分はありました。東京五輪まで1年半もない中で、メダルを獲って自信をつけたかったですけど、オリンピックにも恐らく出てこない選手にこうやって負けたというのは残念です」(張本)

 張本はボル(ドイツ)の棄権については聞いていなかったようで、ミックスゾーンで記者から質問され、逆に目を丸くしていた。絶好のドローに加え、ボルの棄権という好条件を生かせなかったが、「今日のプレーだったら、今の試合に勝っても次は勝ち上がれないと思う。そこまでいけなかった自分が悪いと思います」と潔く語った。
 
 これまで、打球点の早いアジア勢との打ち合いには強く、中陣で変化をつけてくるヨーロッパ勢に対して課題があると言われてきた張本。この安宰賢は韓国選手の中でも、台から距離を取ってプレーするタイプで、それだけに相性の悪さが出たというのはある。チキータはことごとく中陣で変化をつけてブロックされ、連続攻撃に移行できなかった。今後さらに研究されれば、対アジアでも同じような張本対策を講じられるだろう。

 「今後は戦術の引き出しを増やしていかないと、こういう大きな大会で勇気を持って戦術は変更できない。そういったところが今後の課題かなと思います」。ベンチに入った倉嶋洋介監督はそう語った。右手薬指の負傷を抱えながら、必死で戦い抜いた5日間の戦い。誰よりも敗戦を糧にしてきた選手だからこそ、今大会を真摯に反省し、さらなる成長を望みたい。
●男子シングルス4回戦(ベスト8決定)
安宰賢(韓国)  7、−3、8、7、−8、9  張本智和(日本)
馬龍(中国) −8、8、1、3、8 カルデラノ(ブラジル)
張禹珍(韓国) 棄権  ボル(ドイツ)

 波乱が起きた。世界ランキング4位の張本が4回戦で敗れた。世界ランキング157位の安宰賢に2−4で敗れた。張本の速攻を中陣からのカウンタ−で狙い打った安。
 張本のブロックではボルが棄権し、準決勝での対戦が予想された許シンも敗れており、ランキングからすれば張本の準決勝進出、そして決勝への可能性もあっただけに悔やまれる一戦となった。


  • 張本、安宰賢に苦杯

  • 最後まで自信に満ちたプレーを見せた安宰賢

  • 試合後は「何も考えられなかった、信じられないという気持ちだった」(張本)

  • 豪腕カルデラノ、馬龍から1ゲーム目を先取するも、及ばず

 男子シングルス4回戦、ドイツのティモ・ボルが発熱のために棄権することが国際卓球連盟のツイッターでわかった。張禹珍(韓国)が不戦勝となる。

 シングルスは棄権するものの、回復に努め、ダブルスに出場することを本人は希望している。
  • 昨日の男子シングルス3回戦でプレーするボル

●男子シングルス4回戦(ベスト8決定)
梁靖崑(中国) −5、4、8、9、−8、7 樊振東(中国)
ファルク(スウェーデン) −11、8、8、5、6 李尚洙(韓国)
丹羽孝希(日本) 10、5、−5、8、−8、10 プツァル(クロアチア)
林高遠(中国) 8、9、9、6 鄭栄植(韓国)

丹羽孝希、プツァルを破ってベスト8進出!
対戦相手は、オフチャロフを破って上がってきたプツァル(クロアチア)。「はじめて対戦する相手だったのでどんな卓球をするか予想できなかった。身体が大きいので意外とドライブの回転がかかっていた。それにチキータはすごい。なかなか取れないので、サービスを散らしてチキータの質を落とさせるようにした」と試合後のコメント。1ー7、7ー10のビハインドから逆転した1ゲーム目が大きくものを言った。

「1ゲーム目も(7−10から逆転)、なんで取れたか自分でもわからなかった。カウンターがうまくいかなかったので、ブロックを入れた。次の相手は梁靖崑ですね。樊振東には何度もやられている。梁靖崑ははじめての対戦。やる気が出てきた」と丹羽は語った。

 世界ランキング1位の中国の樊振東は、同士討ちで梁靖崑に敗れるという波乱が起きた。かなり体が絞られた樊振東だが、球質まで軽くなっているのか、バック対バックでも梁靖崑の球威に押されていた。丹羽は明日、梁靖崑と対戦し、メダルを狙う。
 
 前回3位の李尚洙を破ったのはスウェーデンのファルク。長身を利した速攻で李尚洙のドライブを封じた。

「試合の最初ではナーバスになってしまったけど、2ゲーム目から落ち着いて試合ができた。とてもうれしいよ。あとはメダルを目指して頑張るよ」とファルクの試合後のコメント。

 ハルムスタッドではヨルゲン・パーソンが練習相手とコーチを務めているファルク。以前はマティアス・カールソンという名前だったが、奥さんのお母さんが亡くなったあと、ファルク家の名前を残すために、カールソンからファルクに変えた。
 190cmを超す長身でありながら、フォア面表ソフト、バック面裏ソフトの異質攻撃選手。スウェーデンには昔からシェル・ヨハンソン(1967、69、73年世界ダブルスチャンピオン)に代表されるような「スマッシュ」を打つ伝統がまだ残っている。ドライブ全盛時代にファルクは異彩を放っている。
  • 丹羽、ベスト8入りを決めてこのガッツポーズ!

  • ベンチの倉嶋監督と笑顔で握手

  • 梁靖崑、樊振東との「太め対決」を制す

  • プレーに精細を欠いた樊振東。以前のような迫力がなかった

  • ファルクは躍進のベスト8入り

深夜のブダペスト。痛恨の敗戦後に石川が見せた矜持。
「情けないなと思います。90%くらい勝っていた試合だった」


 時計の針は夜の11時20分を指していた。メダル候補と目されていた石川佳純がベスト8を決める4回戦で敗れた。
 彼女が選手のつとめとして、ミックスゾーンでテレビとペン記者の質問に答えていけば、時計の日付は24日から25日に変わっていくはずだ。

 私は石川佳純ほど純粋に卓球と向き合い、明るい光を放つ選手を知らない。
 世界選手権個人戦ブダペスト大会、4月24日の夜、 彼女は混合ダブルスとシングルスに出場した。吉村真晴と組んだ混合ダブルスでは、3大会連続のメダルを確定させ、その2時間後にシングルスの4回戦で香港の杜凱琹(ドゥ・ホイカン)に最終ゲーム、リードを奪いながら痛恨の逆転負けを喫した。

「情けないなと思います。90%くらい勝っていた試合だった。自分の力は出せたわけではないけれど、悪いなりに何とか粘って最後まで頑張った。でも、最後の詰めが甘かった」と彼女は絞り出すように言葉を発した。世界ランキングでは6位の石川と12位の杜。しかし、このくらいの差はトップ選手同士ではないに等しい。

 試合の出足から石川のプレーはしっくりこない。レシーブに迷いが出て、一気呵成に打ち抜いていく石川の卓球ではなかった。少しでも躊躇すれば、杜は強烈な両ハンドの連打で主導権を奪ってくる。混合ダブルスでメダルを決めてから、すぐの試合だったことが影響を与えたのかと問われると、「準備する時間が短いのは関係ない。みんなそうですから」と石川は語った。「バックハンドのミスが多かった。相手がゆっくりとしたタイミングで打ってきたのを焦って、打ち急いでしまった。レシーブがうまくいかなくて少し弱気な部分があったと思う。杜さんの手の内はわかっている。最後はミスが多かった。焦りと迷いがあった」(石川)。

 彼女は言い訳など用意していなかった。「うまくいかなかったのはどの部分なのか」と記者に問われると、数秒間の沈黙。そして、頭を抱え込みながらうずくまりそうになった。「自分でもわからないです。焦りかも、そして迷いも」と答えた。 この1年間、石川の戦いは自分との戦いだった。熾烈を極める五輪代表の選考レース、しかし、その先にあるのは今まで成し得ていない世界選手権と五輪のシングルスのメダルではなかったか。

 彼女の卓球は見るたびにアグレッシブになり、その打球点は明らかにボール1個、2個分は早くなっていた。この数cmの差は0.2秒から0.5秒の時間でボールが飛び交う現代卓球では大きな変革であり、アドバンテージになる。石川の飽くなき探究心、強くなることへの欲求が止められないのは手に取るようにわかった。だが、速い卓球、アグレッシブな卓球を追求すればするほど、焦りや迷いという心の揺れが生じた時に、その卓球はわずかな狂いを見せることが、このシングルスの敗戦で垣間見えた。

世界で最も美しいスイングであるがゆえの弱点がある

 石川佳純ほど、美しい身体の動きとボールの軌道を作る選手はいない。身体の左右のバランス、その無駄のないスイングは「世界で最も美しい卓球フォーム」を形成している。しかし、逆に対人競技の卓球ではそれが弱点になることもある。卓球はフォームの美しさを競う競技ではなく、相手のミスを誘う戦術的なスポーツなのだ。
 彼女の美しいフォームから放たれるボール軌道の美しさゆえに、相手はやりにくさを感じずに合わせやすくなる。

 新たに求められるのは、その美しさを壊すほどの「作戦としての意外性」という、一見矛盾するような高度なものだ。相手の逆を突くコース取りやモーション、相手を惑わす一撃……しかし、これらは彼女がジュニア時代に持っていたものだ。2009年の世界選手権で実質的な世界デビューを果たした石川が、その後、ストイックに自身の卓球を鍛えれば鍛えるほど、「より速くより強い卓球」を求めれば求めるほど、彼女の生真面目な性格ゆえに彼女の卓球は死角のない速い卓球の方向性に進んでいき、いつしか意外性の部分は消えていった。

 09年以降、石川は10年間、日本女子卓球の中核としてその屋台骨を支えてきた。その間、先輩である福原愛や平野早矢香とともに戦い、五輪んでメダルもつかんだ。そしてその二人が引退すると、彼女は後輩である伊藤美誠、平野美宇としのぎを削ってきた。
 彼女が中学生でいきなり全日本選手権の一般で3位に入り、日本のトップへ飛びだしてきた頃、「天真爛漫な天才少女」と卓球王国誌でも表現していた。そんな天才少女も大人になり、今や日本の顔として風格さえ漂う。そして、その肩には日本のエースとしての重圧がのしかかっていた。

 シングルスで敗れた瞬間、天をあおぎ、呆然とした表情でベンチに戻った石川佳純。ミックスゾーンで自分を責めるかのように「情けない」と言葉を発した石川。時間が経てば経つほど、「90%くらい勝っていた」自分を責め、「なぜ自分が負けるのか」という問いを自分へぶつけるのだろう。  しかし、石川のブダペストはまだ終わっていない。25日のブダペストの夜に吉村真晴との混合ダブルス準決勝が待っている。24日、朝10時から夜11時過ぎまでの長くタフなタイムスケジュールを記者に問われた時も、彼女はひと言も弱音を吐かなかった。「みんな一緒です。そういうタイムスケジュールで自分が救われたこともありますから」。日本の女王としての矜持は染みついたものだ。 パートナーの吉村は「自分のミスを石川さんがかばい、救ってくれた。彼女にボールを何とか回せば、決めてくれる」という絶対的な信頼感を寄せる。 勝った瞬間のあの可憐な笑顔と、試合中の鬼気迫る表情のギャップこそが「人間・石川佳純」を表す幅であり、魅力だ。彼女の、卓球を極め、勝利をつかもうとするひたむきな姿勢に心を打たれない人はいない。  石川佳純はまだブダペストの舞台にいる。その舞台から最高の笑顔を日本に届けるはずだ。(今野)
  • 世界一美しい石川のスイング

  • 「90%くらいで勝っていた」石川の敗戦

  • 吉村との混合ダブルスで期待がかかる。石川の笑顔が日本を勇気づけるはずだ

  • 吉村、石川の相手は昨日森薗、伊藤が敗れたフランチスカとゾルヤのペア

★大会5日目・4月25日のタイムテーブル(日本選手関係)

〈男子シングルス4回戦(ベスト8決定戦)〉
●11:00~(日本時間18:00~) 丹羽孝希 vs.プツァル(クロアチア)
●12:00~(日本時間19:00~) 張本智和 vs.安宰賢(韓国)

●その他の4回戦の対戦カード
樊振東(中国)vs.梁靖崑(中国)
李尚洙(韓国)vs.M.ファルク(スウェーデン)
鄭栄植(韓国)vs.林高遠(中国)
馬龍(中国)vs.カルデラノ(ブラジル)
ワン・ヤン(スロバキア)vs.ゴズィ(フランス)
張禹珍(韓国)vs.ボル(ドイツ)

〈女子シングルス準々決勝(メダル決定戦)〉
●16:00~(日本時間23:00~)
平野美宇 vs.丁寧(中国)
杜凱琹(香港)vs. 陳夢(中国)
●17:00~(日本時間24:00~)
加藤美優 vs.劉詩ウェン(中国)
王曼昱(中国) vs. 孫穎莎(中国)

〈男子ダブルス準々決勝〉
●18:00~(日本時間25:00~)
鄭栄植/李尚洙(韓国)vs. 馬龍/王楚欽(中国)
ボル/フランチスカ(ドイツ)vs. アポロニア/モンテイロ(ポルトガル)
イオネスク/ロブレス(ルーマニア/スペイン)vs. M.ファルク/K.カールソン(スウェーデン)
梁靖崑/林高遠(中国)vs.何鈞傑/黃鎮廷(香港)

〈女子ダブルス準々決勝(メダル決定戦)〉
●19:00~(日本時間26:00~)
陳夢/朱雨玲(中国)vs.杜凱琹/李皓晴(香港)
早田ひな/伊藤美誠 vs.チャ・ヒョシム/キム・ナムへ(北朝鮮)
橋本帆乃香/佐藤瞳 vs.鄭先知/劉馨伊(チャイニーズタイペイ)
キム・ジンハン/キム・ソンイ(北朝鮮)vs.孫穎莎/王曼昱(中国)

〈混合ダブルス準決勝〉
●20:00~(日本時間27:00~)
樊振東/丁寧(中国) vs.許シン/劉詩ウェン(中国)
吉村真晴/石川佳純 vs.フランチスカ/P.ゾルヤ(ドイツ)

大会第5日目、4月25日のタイムテーブルは上記のとおり。まず男子シングルス4回戦が行われ、丹羽がプツァル(クロアチア)、張本が安宰賢(韓国)と対戦する。ともに格下とはいえ、プツァルはYGロングサービスからのバックハンド連打が厳しく、安宰賢は台上から中陣でのパワードライブまでこなすオールラウンダー。決して油断はできない相手だ。

女子シングルス準々決勝では平野が丁寧、加藤が劉詩ウェンと対戦。厳しい戦いになることは間違いないが、昨日のゴーズィに続いて会場の雰囲気を味方につけ、中国越えを狙う。
女子ダブルス準々決勝はメダルを懸けた戦い。そして最終試合の混合ダブルス準決勝で、吉村/石川が3大会連続の決勝進出を目指して出陣する。頑張れニッポン!
  • 4回戦で安宰賢と対戦する張本。油断のならない相手だ

 女子シングルス4回戦、優勝候補の王曼昱と熱戦を繰り広げた佐藤瞳。前回の対戦、18年スウェーデンオープンでも3ー4の接戦を演じていたが、この試合でも王曼昱のパワードライブ連打を何本でもバックカットで返球。ロビングに追い込まれても低いバックカットで再び体勢を立て直し、ストップにも食らいついた。王曼昱のカット打ちはまだ未熟だが、パワーなら中国女子でも指折りのものがあるだけに、佐藤の健闘は光った。

 試合後、ミックスゾーンで瞳を潤ませ、「悔しいのひと言です。6ゲーム目はリードしていたので、最後のゲームまで持っていきたかったけど、レシーブミスで流れが変わってしまった。そこで逆転されたのが悔いが残るところです」と語った佐藤。「相手は前回よりもミドルを攻めてきたり、粘り強くボールを選んでやってきた。カットの部分はすごく良かったと思うけど、攻撃で決めきることができなかった。攻撃で得点できれば、相手も打ち急いでミスが出てくると思う」(佐藤)。

 前回はサマラ(ルーマニア)に激戦の末敗れてベスト32、今回はベスト16。プレー内容を見ても、プレーの細かい部分の精度が少しずつ向上し、イージーミスはさらに少なくなった。一歩ずつ、着実に。それが佐藤瞳の成長曲線だ。そこに何かもうひとつ、対戦相手が目を丸くするような「飛び道具」がほしい。
  • 佐藤瞳、カットの基礎技術は世界屈指

  • 王曼昱のカット打ちは、まだまだこれから

 女子シングルス4回戦を勝ち抜き、ベスト8進出を果たした加藤美優と平野美宇。

 加藤は陳思羽(チャイニーズタイペイ)との対戦だったが、加藤にとって最も戦いやすいタイプのプレーヤーだったのではないか。フォアとバックの「両翼」は強く、女子選手離れしたパワードライブを打ち込んでくるが、細かいコース変更による揺さぶりやミドル攻めへの対応力は柔軟性に欠ける。柔らかく回転をかけて返すのではなく、強く弾いてしまうことが多く、ミスが出やすい。

 「陳思羽戦ではバック対バックに持ち込めればいけるし、フォアに下げられたとしても引き合いができたのが良かった」と試合後の加藤。バック対バックでもフォアの引き合いでも、一見すると加藤が押されているように見えるのだが、前陣では巧みにボールの弧線をコントロールしてミスを誘い、下げられてもラケットに当てれば必ず入れる。抜群のボールセンスを生かした異端のオールラウンドプレー。それは他の誰とも違うスタイルだ。

 平野は蘇慧音(香港)との試合後、「3・4ゲーム目に少し焦ってミスが出てしまったので、それを引きずらずに5・6ゲーム目にプレーできたのが良かった。急いで打ちミスしてしまったので、ちょっとゆっくりにしました」と語った。先に打たされ、緩急をつけられた時にひたすら速いプレーをしようとして打ちミスが多くなる。そのような敗戦が多くなっていただけに、今大会での緩急や攻守の切り替えは、平野美宇の新たな一面と言える。

 「攻めるだけで勝てる時代ではなくなっているので、攻めと守り、両方をしっかりやることで勝てるんだなと改めて思いました。1年前くらいから意識してるんですけど、なかなか試合で使えなくて。でも最近やっと試合で使えるようになってきた」(平野)

 準々決勝で平野は丁寧、加藤は劉詩ウェンという中国のツインエースと相まみえる。ゴーズィ対許シン戦に続く「中国越え」で、会場を大いに沸かせてもらいたい。
  • ここまで安定感抜群のプレーを見せている加藤。課題の体力面も問題ない

  • 陳思羽は加藤の術中にはまった

  • 平野、速さだけに頼らないプレーへと進化しつつある

  • 昨年の世界団体では髪がピンクだった蘇慧音。落ち着きました

 女子シングルス4回戦で、Tリーグの木下アビエル神奈川のチームメイトである杜凱琹に惜敗した石川。ゲームカウント1ー3の劣勢から3ー3に追いつき、最終ゲームは4ー0、6ー1と大きくリード。勝利は目の前だった。「情けないなと思います。90%くらい勝っていた試合だった」と石川は試合後にコメントした。
 
 「自分の力は出せたわけではないけれど、悪いなりに何とか粘って最後まで頑張った。でも、最後の詰めが甘かった。バックハンドのミスが多かったです。相手がゆっくりとしたタイミングで打ってきたのを焦って、打ち急いでしまった。レシーブがうまくいかなくて少し弱気な部分があった。杜さんの手の内はわかっているけど、最後はミスが多かった。焦りと迷いがあった」(石川)

 5・6ゲーム目と7ゲーム目の中盤までは、バックの強い杜凱琹に対し、ミドルへのバック軽打の連打からチャンスボールを回り込んで狙うなど、うまい駆け引きを見せていた石川。しかし、本人も語るように最後の最後で我慢ができなかった。もともとジュニア時代から、緩急や前後のボールの押し引きに抜群の冴えを見せていたクレバーなプレーヤー。技術や戦術というより、セルフコントロールの術を身につければ、攻め急ぎ、打ち急ぎという課題は克服できるはずだ。

 アジアカップの陳夢(中国)戦で効果的だったフォアの巻き込みサービスは、杜凱琹に対してもよく効いていた。しかし、7ゲーム目の終盤など、競った重要な場面ではなかなか使っていくことができない。まだ3球目への移行がスムーズではないとはいえ、互いに手の内を知る相手だからこそ、使ってみても良かったのではないか。
  • 石川、杜凱琹のYGサービスに対し、レシーブに苦しんだ部分があった

  • ふてぶてしさすら感じさせる杜凱琹。勝利の瞬間は大きくガッツポーズ

  • ベスト8入りを目前に、無念の敗戦となった