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中国リポート

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 来年2月24日~3月2日まで、広東省広州市で開催される第49回世界卓球選手権大会[団体戦]。その組織委員会の成立大会が9月25日に行われた。

 組織委員会の名誉委員長は国家体育総局局長の劉鵬と、広州市委員会書記(広州市の実務上のトップ)の朱小丹。卓球関係では国家体育総局副局長の蔡振華が組織委員長、ピン羽運動管理中心(卓球・バドミントン管理センター)主任の劉風岩が実務を担当する執行委員長に就任している。

 今回の世界選手権団体戦は、中国で開催される4回目の世界選手権。ここ数年、中国で毎年のように大きな大会が開催されていることを考えると、まだ4回目というのは意外に少ない印象を受ける。1961年北京大会、95年天津大会、2005年上海大会[個人戦]に次ぐ大会ということになる。

 世界の150を越える国と地域から参加する選手、コーチ、報道陣は総勢3,000人を超えると言われる広州大会。団体戦が初めて採用される北京五輪を控えているだけに、その意義は例年になく大きい。2010年にはアジア競技大会も開催される広州市、大会運営にかける意気込みは相当なもののようだ。

Photo:中国チームの活躍に、会場となる広州体育館もヒートアップしそう。写真は2001年の第9回全中国運動会の様子で、広州体育館はこの大会のために建て替えられた

 トップクラスの美女たちと、次から次へ噂が絶えない上海出身のプレイボーイ…。まるでどこかの青年実業家のようだが、これは中国のマスコミを賑わせている、現世界チャンピオンのお話。

 2007/07/04の中国リポート「馬琳のフィアンセは女演員?」でもお伝えしたが、今年2月、世界選手権ザグレブ大会の選考リーグを間近に控えた王励勤に熱愛報道が持ち上がった。お相手の趙薇(チャオ・ウェイ/ヴィッキー・チャオ)はあの『少林サッカー』にも出演し、日本でも9月22日に公開された映画『夜の上海』では、主演女優として本木雅弘と共演している正真正銘のトップ女優。その趙薇と王励勤がたびたび二人で会っているところが週刊誌やネットに掲載されたのだ。
 この時は二人とも交際は否定。「王励勤の両親が交際に反対した」「王励勤には長年つき合っている彼女がいる」「趙薇にはもう新しい恋人ができた」と様々な情報が乱れ飛ぶ中で、次第に報道はおさまっていった。

 しかし8月末、趙薇がインタビューの中で、王励勤との交際を暗に認めるような発言をしたことから、交際報道が再燃。さらにその直後には、またも新たな“本命”の存在が報道された。今度のお相手はビリヤード(ナインボール)の女子世界チャンピオン・潘暁ティン(女+亭)。こちらも中国では大人気の美人選手。
 ビリヤードは中国で卓球(一般的には台球)とも言うので、ある意味ではお似合いのカップルかもしれないが、王励勤曰く「面識すらまったくない」。潘暁ティンもインタビューに対して「会ったことも話したこともない。卓球選手で知っているのは孔令輝と劉国梁だけ」と、ともに全否定。どうやら完全に事実無根だった模様。

 「火のないところに煙は立たぬ」と言うが、「火のないところに火をつける」マスコミも結構いるようだ。今は北京五輪での金メダル獲得が最重要任務の王励勤。ストイックな彼にとっては、「恋愛は二の次」というのが正直なところかもしれない。

Photo:なかなか隅に置けない世界チャンピオン。豆知識ですが、趙薇が主演する『夜の上海』には、映画『ピンポン』で孔文革役を演じたサム・リーも出演してマス
 少し前のことになるが、9月2日、乳製品やパン類などを製造する食品メーカーで、「麦趣爾 MAIQUER」ブランドで知られる麦趣爾集団有限責任公司と、中国卓球チームの共同記者発表が行われた。今後、「麦趣爾 MAIQUER」ブランドの製品は中国卓球チームの「指定産品(推薦商品)」となる。同時に現女子世界チャンピオンの郭躍が形象代言人(イメージキャラクター)に選ばれた。
 麦趣爾集団有限責任公司は新彊(しんきょう)ウイグル自治区の昌吉市に本社があり、ウイグルの明るく健康的なイメージにぴったりだということで郭躍が選ばれたようだ。
 ちなみに、麦趣爾は月餅(げっぺい)の製造も行っている。中国では旧暦8月15日の中秋節に月餅を食べる習慣があり、今年はちょうど今日9月25日がその中秋節に当たる。

COLUMN-スポーツ選手は大人気。形象代言人って何?

 卓球の人気が根強い中国では、卓球選手が形象代言人(イメージキャラクター)として、多くの企業と契約している。スポーツ選手には健康的なイメージがあるということで、食品関係の企業が結構多いようだ。昨年7月には中国男子チームの劉国梁監督が、スポーツドリンクなどで有名な広東健力宝集団と契約。王励勤は地元・上海の上海冠生園有限公司と契約を結び、王励勤が登場するのど飴「十全草堂-養喉宝」のパッケージや街頭広告を、上海では良く目にする。

 同じ上海にある中国達能(仏ダノン社)餅干有限公司と2004年に契約を結んだのは張怡寧。餅干というのはビスケットのことだが、張怡寧はそのビスケットのCM撮影でNGを連発。ビスケットをひと口食べて、笑顔で「ハオチー(美味しい)!」と言うだけなのに、30回以上のテイクを繰り返したという。ずいぶん喉が渇いただろうが、クールな女王ならではのエピソードだろう。

 また、2002年からポルシェの形象代言人に起用されていたのが孔令輝と劉国梁。ふたりとも優待価格でポルシェを購入し、プライベートで乗り回していたが、昨年7月に孔令輝がそのポルシェで飲酒運転事故を起こしている。こちらは何とも笑えないエピソードだ。

Photo上:丸顔の郭躍には月餅がよく似合うかも…
Photo下:張怡寧、ビスケットを美味しそうに食べるほうが、卓球よりも難しい?!

 9月17日に江蘇省楊州市で開幕した第18回アジア卓球選手権。
 女子団体・シングルス、男子ダブルスのタイトルを失い、「歴史的な惨敗」と言われた前回の韓国(済州島)大会の雪辱を期して、フルメンバーで挑んだ女子団体は圧勝。男子団体でも、大健闘の日本男子を若手中心のメンバ-でねじ伏せ、大会5連覇を達成した。

 ところで、開幕と同じ9月17日の昼過ぎ、中国の映像サイトに「劉国梁がハオ帥にビンタ」という映像が流れた。中国男子チームがレストランでにぎやかに食事をしている中、劉国梁が携帯で話しているハオ帥に歩み寄り、頭を叩き、携帯を取り上げた様子が録画されている。携帯の録画機能を使って隠し撮りしたものだが、確かにその場は一瞬の緊張感に包まれている。
 この映像に対して「酒に酔って若い選手を殴るなんてひどい」「いや、そういう場で携帯で話していたハオ帥は失礼だ」と多くのコメントが寄せられた。この思わぬ事態に対し、劉国梁は個人のブログで、ずっと携帯で話しているハオ帥をコーチやチームメイトの陳杞が呼び、ハオ帥が陳杞に対して「うるさい」と言ったのを、コーチに対して言ったのだと取り違えたと説明している。実際に、劉国梁はハオ帥の頭をかるく小突いたあと、携帯を取り上げただけ。中国卓球チームとしても、事態をさほど重く見てはいないようだ。

 それにしても、その映像が録画されたのは昨年末のオフシーズンらしいのだが、なぜこのタイミングで流されたのだろうか。「壁に耳あり、障子に目あり」と言うが、彼らほどの有名人になると、コートを離れてもなかなか油断がならない。

 東京はまるで夏が戻ってきたかのような暑さ。こういう天気の日には冷たいアイスやビール(?)もいいけれど、少し冷やした果物の爽やかな甘さも捨てがたい。
 中国は果物がとても美味しい。露点や市場には果物が所狭しと並べられ、甘いブドウや桃を量り売りで安く買うことができる。ちょっと値段は張るが、みずみずしいライチや、濃厚で気品のある甘さの哈蜜(ハミ)瓜もオススメだ。

 それら多くの果物に加えて、7月下旬になると北京市内に出回る巨大なブドウ(葡萄)がある。その名も「ピンパン葡萄(プゥタオ)」(字は左を参照)。直径は3.2センチから最大で4センチ以上と、ピンポン球と同じくらいの大きさがあることから、「ピンパン葡萄」の愛称で親しまれている。
 薄紫の果皮に包まれた果肉はとても甘く、酸味がほとんどない上に種もない。20年ほど前に日本から藤稔(ふじみのり)という大粒種のブドウが移入され、その中からより大粒で早熟なものが選抜されてきたのだとか。

 残念ながらこの「ピンパン葡萄」、その大きさのあまり葡萄棚に長くぶらさがっていられない。そのため生産量も少ないし、旬も非常に短い。7月下旬からせいぜい8月いっぱいまでしか出回らないため、その味わいとも相まって品切れになる店が多いそうだ。
 来年の北京オリンピックの時にはちょうど旬を迎えるこの「ピンパン葡萄」。皆さんも夏の北京を訪れた際は、ぜひ味わってみてください。(私もまだ食べたことはありません…)。

左:『新鮮なピンポン葡萄発売!』という意味。写真がないので色味だけ少し近づけてみました

☆2007中国超級リーグ女子 最終成績
1. 北京首創 ベイジン ショウチュアン(15勝3敗/北京市)
2. 遼寧鞍鋼 リャオニン アンガン(15勝3敗/遼寧省)
3. 深セン長園新材 ションジョン チャンユェンシンツァイ(12勝6敗/広東省)
4. 山東魯能 シャントン ルゥノン(10勝8敗/山東省)
5. 北大方正 ベイダァ ファンジョン(9勝9敗/北京市)
6. 上海電信理工 シャンハイ ディエンシンリィゴン(9勝9敗/上海市)
7. 河北金能 ハァベイ ジンノン(8勝10敗/河北省)
8. 八一工商銀行 パァイー ゴンシャンインハン(7勝11敗/解放軍)
9. 重慶康徳遠景 チョンチン カンデァユェンジン(3勝15敗/重慶市)
10. 江蘇麗華快餐 ジァンスゥ リィホァクァイツァン(2勝16敗/江蘇省)

☆シングルス勝率TOP5
1. 李暁霞(16勝3敗/山東魯能)
2. 王楠(13勝2敗/遼寧鞍鋼)
3. 郭躍(23勝7敗/遼寧鞍鋼)
4. 劉詩ブン(雨+文)(23勝8敗/深セン長園新材)
5. 張怡寧(18勝7敗/北京首創)

 戦前の予想どおり、宿命のライバルである北京首創と遼寧鞍鋼が激しいデッドヒートを繰り広げた超級リーグ女子。
 王楠と郭躍のふたりで、シングルス36勝を叩き出した遼寧鞍鋼に対し、北京首創は2番手の郭炎が中盤から不調に陥り、通算成績も9勝5敗。張怡寧と合わせても27勝止まり。しかし、12勝4敗で勝率トップのダブルス(郭炎/丁寧)が大きくものを言った(遼寧鞍鋼の王楠/常晨晨は9勝9敗)。男女とも、優勝チームに強いダブルスのペアがいたのは偶然ではない。中国男子チームが北京五輪に備え、国際大会でのペアリングに必要以上に神経を使うのも、この試合方式でのダブルスの重要性を認識しているからだろう。

 女子のトップ選手はどのような戦いを見せたのか。現世界チャンピオンの郭躍は、序盤の第6節までで6勝4敗とやや出遅れたが、最終的に23勝7敗とエースらしい数字は残した。張怡寧には2連勝、ダブルスのパートナーである李暁霞に2連敗している。五輪女王の張怡寧は18勝7敗とやや物足りないが、勝負どころで見せた集中力と試合勘はさすが。「北京五輪が最後の舞台」という王楠は、シングルスでは存在感を見せたが、常晨晨とのサウスポーダブルスで結果を残せなかったのが惜しまれる。
 世界選手権ザグレブ大会準優勝の李暁霞は16勝3敗で最優秀選手に選ばれたものの、チームが予想外の不振では素直に喜べないだろう。逆に、ジャンプアップ選手賞を獲得した劉詩ブンは、チームを8位から3位へ押し上げる原動力となった。シングルスでも張怡寧、郭躍、李暁霞をなぎ倒し、通算23勝8敗。今年の超級リーグ女子の主役と言っても過言ではない。郭躍に次ぐ天才少女は、一気に世界の舞台へ飛び出してきそうだ。

 その他の注目選手としては、最終戦で李暁霞を下し、北京首創の優勝を決定づけた丁寧。技術はまだ荒削りだが、パワーがあり、勝負度胸も良い。11勝13敗の姚彦(北大方正)、9勝10敗の饒静文(上海電信理工)はこれから国際舞台に起用される機会が増えるだろう。

Photo:張怡寧は集中力にややムラがあったが、大事な試合ではバツグンの働き
Photo:超級リーグに「劉詩ブン旋風」が巻き起こった!
Photo:175cmの長身ながら、シャープな速攻を展開する姚彦

★2007中国超級リーグ男子 最終成績
1. 寧波北侖海天 ニンポォ ベイルンハイティエン(12勝6敗/浙江省) 
2. 浙商銀行 ジャシャン インハン(12勝6敗/浙江省)
3. 四川全興 スーチュアン チュアンシン(11勝7敗/四川省)
4. 八一工商銀行 パァイー ゴンシャンインハン(11勝7敗/解放軍)
5. 遼寧錦州万通 リャオニン ジンジョウワントン(10勝8敗/遼寧省)
6. 海寧皮革城鵬翔 ハイニン ピィグチェンポンシアン(9勝9敗/浙江省)
7. 江蘇江南電纜 ジァンスゥ ジァンナンディエンラン(8勝10敗/江蘇省)
8. 天山万杰隆 ティエンシャン ワンジェロン(8勝10敗/陜西省)
9. 魯能中超電纜 ルゥノン ジョンチャオディエンラン(7勝11敗/江蘇省)
10. 江蘇華都琥珀 ジァンスゥ ホァドゥフゥポォ(2勝16敗/江蘇省)

★シングルス勝率TOP5
1. 王皓(28勝4敗/八一工商銀行)
2. 馬龍(26勝5敗/四川全興)
3. 王励勤(24勝6敗/海寧皮革城鵬翔)
4. 馬琳(21勝7敗/寧波北侖海天)
5. ハオ帥(19勝6敗/浙商銀行)

 優勝戦線が混沌とする中、第17節の浙商銀行との優勝決定戦を制し、栄冠を勝ち取った寧波北侖海天。エース馬琳の調子がなかなか上がらず、「優勝争いから脱落か」とさえ思える前半戦から一転、後半戦では馬琳が大車輪の活躍で連勝街道を突っ走った。
 12勝4敗と高い勝率を残した李静/柳洋組の存在も大きい。昨シーズン、この李静と柳洋はともに八一工商銀行(06年2位)に所属しており、しかもエースは王励勤だった。その八一工商銀行から李静と柳洋が寧波北侖海天に移籍し、さらに馬琳を入札で獲得したことで、エースを王励勤から馬琳に入れ替えただけのチームになった。それで今年は優勝したのだから、「馬琳は王励勤より上?」と言いたくなるが、昨シーズンの陜西銀河は馬琳・ハオ帥・高礼澤とかなり強かった。とにかく、李静と柳洋のふたりが、頼れるスーパーサブだということは間違いない。

 他のトップ選手の戦いぶりはどうだっただろうか。現世界チャンピオン王励勤は24勝6敗で勝率第3位。まずまず及第点という成績だが、第6節までに4敗を喫するなど、序盤戦でチームを勢いに乗せられなかったのはエースの責任か。八一工商銀行の王皓は28勝4敗と抜群の成績で、今シーズンの最優秀選手に選ばれた。チームも中盤戦で一時首位に立つなど、若手主体ながらよく健闘した。
 若手では、浙商銀行のエース・ハオ帥が19勝6敗の好成績。特に王励勤戦での2勝が光る。開幕前にチームの名称やホームまで変わってしまった状況の中で、最後まで優勝戦線に残ったのは大健闘だ。四川全興の馬龍も昨シーズンの14勝9敗から26勝5敗と大きくジャンプアップした。一方、チームの期待を裏切ったのが江蘇江南電纜の陳杞。世界ランク8位でありながら、後半戦では単複での起用にとどまり、通算成績も11勝13敗。いくらダブルスのスペシャリストとはいえ、これでは北京五輪への出場は難しいだろう。

 その他に健闘が目立った選手としては、22勝11敗で勝率第6位の雷振華。王励勤、馬琳、ハオ帥を破るなど、中国チームの先輩たちに一歩も引かない戦いを見せた。同じ遼寧錦州万通の徐輝も王励勤を2度破っている。最優秀新人賞の許シン(日+斤)も、17歳という年齢でチームを降格の危機から救ったのは見事だった。

Photo:ハオ帥、中国チームの首脳陣に大きくアピール
Photo:飛躍のシーズンとなった雷振華、国際舞台へと羽ばたくか
Photo:陳杞はシングルスに大きな課題を残した

 9月14日、北京市の天壇飯店にて、2007中国超級リーグの表彰式を開催。国家体育総局副局長の蔡振華をはじめとする卓球界の重鎮に加え、芸能人やスポーツ選手で構成される「中国明星ピンパン球隊(中国スター卓球チーム)」の歌手や映画俳優、そして全国から抽選で選ばれた100名を超える卓球ファンで会場は大いに盛り上がった。おもな表彰者は以下の通り-


☆2007賽季優勝(2007シーズン優勝チーム)
男子-寧波北侖海天(12勝6敗)
女子-北京首創(15勝3敗)

☆最佳教練[最優秀監督]
男子-朱小勇(寧波北侖海天)
女子-周樹森(北京首創)

☆最有価値球員[最優秀選手]
男子-王皓(八一工商銀行/28勝4敗)
女子-李暁霞(山東魯能/16勝3敗)

☆最佳組合[最優秀ペア賞]
男子-李静/柳洋(寧波北侖海天/12勝4敗)
女子-郭炎/丁寧(北京首創/12勝4敗)

☆進歩最快球員[ジャンプアップ選手賞]
劉詩ブン(’06-5勝8敗→’07-23勝8敗/深セン長園新材)

☆最佳新人[最優秀新人賞]
許シン(日+斤)(天山万杰隆/12勝13敗)

Photo:今シーズンの最優秀選手に選ばれた王皓(上)と李暁霞(下)
  ITTF(国際卓球連盟)は2008年1月から、ジュニアの大会で揮発性有機溶剤を含む接着剤(以下スピードグルー)の使用を禁止し、検査を実行する。これに先がけ、すでにドイツでは9月1日から、ジュニアの大会でスピードグルーの使用が禁止された(欧州リポート2007/07/30参照)。

  中国でも、今年12月の全国青少年集合訓練、国家ジュニアチーム選抜リーグ戦では、ラバーの検査が行われる。スピードグルーを使用すると失格、というほど厳格なものではないようだが、ジュニア選手たちに水溶性グルーを普及させるのが目的のようだ。また、9月7~11日まで行われた中国卓球クラブ甲Aリーグ(超級リーグのひとつ下のリーグ)で、水溶性グルーの使用方法が紹介された。
 すでに中国国内でも、欧州メーカーや、紅双喜などの国内メーカーが水溶性グルーを発売している。ちなみに中国語で水溶性グルーは水溶(シュゥイロン)ジャオ(月+交)水(ジャオシュゥイ)。

 来年8月の北京五輪まではスピードグルーが使用できるとはいえ、卓球大国・中国にとってもスピードグルーの禁止は大問題。2000年9月の40mmボールの導入以上にプレーへの影響は大きいかもしれない。
 トップ選手たちはこれまで、時には10回以上もスピードグルーを重ね塗りして、粘着性ラバーの弱点である弾みの悪さを補ってきた。新しいスピード増強剤の開発や、より弾みの良い粘着性ラバーの開発も進むだろうが、しばらくは試行錯誤の時期が続きそうだ。

Photo:現国家女子チームコーチの孔令輝も、現役時代はグルーイングに長い時間をかけていた

★★★ 2007中国超級リーグ 男子第18節(最終戦) ★★★
[八一工商銀行 3-0 天山万杰隆]
[四川全興 3-1 海寧皮革城鵬翔]
[江蘇江南電纜 3-2 江蘇華都琥珀]
[魯能中超電纜 3-0 寧波北侖海天]
[浙商銀行 3-1 遼寧錦州万通]

◎ラストで陳杞が爆発した江蘇江南電纜、辛くも残留。注目の一戦!
[江蘇江南電纜 3-2 江蘇華都琥珀]
○陳杞 5、8、-8、8 張超
○林晨 7、6、-8、-1、6 侯英超
 朱江/林晨 -5、5、-4、-12 張洋/張超○
 朱江 -9、-2、-8 侯英超○
○陳杞 7、7、5 張洋

 男子もついに最終節を迎えた2007中国超級リーグ。
 今シーズンの優勝チームは寧波北侖海天に決定し、やや消化試合の感もある中で、必死の戦いを見せたチームが2つある。8位の江蘇江南電纜(7勝10敗)と、9位の魯能中超電纜(6勝11敗)だ。勝ち星ではひとつの差があるが、直接対決の得点率では魯能中超電纜が4-3でリードしているため、最終節で両チームが並ぶと、江蘇江南電纜が9位で入れ替え戦に回る。ちなみに両チームのチーム名にある「電纜(日本語読み:でんらん)」は「ケーブル」という意味だ。

  超級リーグ残留を賭けて、ホームである江蘇省無錫市で江蘇華都琥珀と対戦した江蘇江南電纜。
 この試合でシングルス2得点を挙げ、ようやくチームの期待に応えたのがサウスポーの暴れん坊・陳杞。今シーズンはシングルスで結果を残せず、シーズン途中から単複での起用にとどまっていた。第17節を終えた時点で、シングルスの通算成績は9勝13敗。いかにダブルスのスペシャリストとはいえ、この数字はエースとしては失格だろう。
 2002年頃、中国男子チームには「六小龍(リウシャオロン)」と称される有望な選手たちがいた。王皓・陳杞・ハオ帥・邱貽可・張超・單明杰の6人だ。今では彼らの地位には歴然とした差がついてしまったが、世界ランキング8位の陳杞さえ、まだ“勝ち組”とは言い切れない。抜群のスイングスピードの速さ、刀で斬りつけるような豪快な回り込みドライブは魅力いっぱいだが、シングルスでの実績がなかなかついてこない。北京五輪への出場も可能性はまずあるまい。これからが陳杞の正念場になりそうだ。

 入れ替え戦に回る魯能中超電纜は、6勝3敗の前半戦から、後半戦は一転して8連敗。前半戦の健闘が光っていただけに残念な結果だ。
 2007中国超級リーグはこれですべて終了。チームの最終順位、個人成績、総評なども順次アップしますので、お楽しみに!

Photo:攻撃は荒っぽいが、卓球そのものはクレバーな一面もある陳杞
Photo:張超(写真左)のトレードマークはバリバリの剃り込み。05年全中国運動会の男子複準決勝で勝利し、馬琳アニキと歓喜のタッチ! 同じ広東省チームに籍を置くふたりだが、今シーズンは馬琳は優勝、張超は最下位とハッキリ明暗が分かれた