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中国リポート

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 今日11月24日、タイ・コラートで開幕した世界ジュニア選手権。17回大会の開幕を記念して、2003年の第1回サンチアゴ大会から今大会までの中国の世界ジュニア代表メンバー、男女各4名をひたすら掲載します。それでは、どうぞ!

2003 第1回 チリ・サンチアゴ
[男子]李虎・鄭長弓・張継科・馬龍
[女子]李茜・彭陸洋・曹臻・李暁霞

2004 第2回 日本・神戸
[男子]馬龍・李虎・周斌・林晨
[女子]常晨晨・劉詩ウェン・范瑛・王シュアン

2005 第3回 オーストリア・リンツ
[男子]楊策・劉ミャオ・方力・石磊
[女子]丁寧・彭雪・曹麗思・劉凱倫
※北京市ジュニアチームを派遣

2006 第4回 エジプト・カイロ
[男子]徐克・呉ハオ・姜海洋・許鋭鋒
[女子]馮亜蘭・文佳・木子・武楊

2007 第5回 アメリカ・パロアルト
[男子]許鋭鋒・宋時超・閻安・張聖伍男
[女子]楊揚・文佳・木子・李暁丹

2008 第6回 スペイン・マドリッド
[男子]閻安・宋鴻遠・程靖チィ・方博
[女子]曹麗思・王大琴・陳夢・熊欣芸

2009 第7回 コロンビア・カルタヘナ
[男子]方博・閻安・林高遠・宋鴻遠
[女子]武楊・顧玉ティン・陳夢・曹麗思

2010 第8回 スロバキア・ブラチスラバ
[男子]宋鴻遠・林高遠・周雨・呉家驥
[女子]朱雨玲・易芳賢・趙岩・顧玉ティン

2011 第9回 バーレーン・マナーマ
[男子]林高遠・鄭培峰・宋鴻遠・呉家驥
[女子]陳夢・朱雨玲・顧玉ティン・顧若辰

2012 第10回 インド・ハイデラバード
[男子]樊振東・林高遠・范勝鵬・徐晨皓
[女子]朱雨玲・顧玉ティン・顧若辰・劉高陽

2013 第11回 モロッコ・ラバト
[男子]周愷・孔令軒・周啓豪・梁靖崑
[女子]顧玉ティン・劉高陽・王曼昱・劉㬢

2014 第12回 中国・上海
[男子]于子洋・薛飛・劉丁碩・呂翔
[女子]王曼昱・朱朝暉・何卓佳・陳可

2015 第13回 フランス・ヴァンデ県
[男子]劉丁碩・薛飛・朱誠・王楚欽
[女子]王曼昱・王芸迪・陳可・陳幸同

2016 第14回 南アフリカ・ケープタウン
[男子]楊碩・徐海東・于何一・徐英彬
[女子]石洵瑤・孫芸禎・劉ウェイ珊・袁媛

2017 第15回 イタリア・リーヴァデルガルダ
[男子]薛飛・王楚欽・牛冠凱・徐海東
[女子]孫穎莎・王曼昱・石洵瑤・銭天一

2018 第16回 オーストラリア・ベンディゴ
[男子]徐海東・向鵬・徐英彬・于何一
[女子]銭天一・石洵瑤・郭雨涵・黄凡真

2019 第17回 タイ・コラート
[男子]徐英彬・向鵬・曾蓓勲・劉夜泊
[女子]蒯曼・陳熠・石洵瑤・呉洋晨

 ……こうして振り返ってみると、現在の中国代表の主力選手は、必ずといっていいほど世界ジュニアを経験している。唯一と言っていい例外が許シンで、2006年に北九州で行われたアジアジュニアには出場したが、世界ジュニアに出場することはなかった。

 2006年大会のジュニア男子シングルス決勝で、松平健太に敗れた「モヒカン少年」徐克。2007年大会のジュニア男子団体決勝で、勝利を決めた後に台に乗って物議をかもした宋時超などは懐かしい名前。宋時超は腰を傷め、20歳でラケットを置いて学業の道に戻った。2008年マドリッド大会で、シェークフォア表ソフトの攻守で4冠に輝いた女王・曹麗思は、シニアではほとんど活躍できず。チャンピオンクラスでも、決して将来が約束されているわけではないのが中国代表の厳しさだ。
 11月14日、中国卓球協会は『中国卓球協会による国家チーム選手・王楚欽、及び担当コーチ・劉国正に対する処罰に関する決定』を発表。王楚欽を11月13日〜2020年2月13日まで3カ月間の「停賽(大会出場停止)」処分とし、担当コーチである劉国正も11月13日〜12月13日までの1カ月間、大会への帯同を禁ずることを明らかにした。王楚欽と劉国正コーチは大会期間中に中国へ帰国した。

 「事件」は前日の11月13日、ITTFワールドツアープラチナ・オーストリアオープンの決勝トーナメント進出決定戦で発生。チームメイトの趙子豪と対戦した王楚欽が、ゲームカウント0ー2の3ゲーム目、6ー10から失点。苛立ちを抑えきれず、ラケットを放り投げてしまった。趙子豪サイドのコートで弾み、フロアに落ちたラケットは趙子豪が拾い上げた。試合は結局、王楚欽が0ー3から3ー3まで追い上げたものの、趙子豪が4ー3で勝利。趙子豪はそこから決勝まで勝ち上がり、樊振東に敗れたものの、準優勝という好成績を残している。

 プレーにはまだ粗さが残る王楚欽だが、試合では決して「キレやすい」タイプではなく、むしろ粘り強く戦う印象があった。今回の一件はチームメイトとの対戦ということで、精神面のあまさが出てしまったのだろう。

 選手の問題行動に迅速な対応を見せた中国卓球協会は、今年1月のハンガリーオープンでも、ラケットを交換しようとしてラバーを故意に剥がした周雨に3カ月の出場停止処分、コーチの馬俊峰に国際大会への帯同禁止1カ月の処分を下した。2018年1月には、中国卓球クラブスーパーリーグの試合中に対戦相手の張煜東を罵(ののし)ったハオ帥がリーグ戦で2試合出場停止。さらにさかのぼれば、2006年の神戸でのアジアカップで、王皓に敗れた陳チィ(王+己)がラケットを放り投げ、フェンスを蹴り上げ、農村へ1週間の「下放」処分を受けた。畑の草取りをしている陳チィの画像を、当時はよく目にしたものだ。左利きの選手が多いのは、偶然かそれとも必然か……。

 王楚欽はITTFワールドツアーのスタンディング(獲得ポイントのランキング)で7位。今週行われるT2ダイヤモンドの出場選手リストにも入っており、中国卓球協会の処分が実行されれば、両大会の出場はキャンセルになる。ワールドツアーのスタンディングでは、日本の丹羽孝希が18番目に名を連ねており、故障などで出場をキャンセルする選手が出れば、繰り上がりでグランドファイナルに出場できるチャンスも出てくる。最終盤に入った日本の五輪選考レースに、思わぬ影響を及ぼすかもしれない。
  • オーストリアオープンでの王楚欽のプレー(写真提供:ITTF)

 11月6〜10日に東京・東京体育館で行われた『JA全農 ITTFチームワールドカップ』。中国は男子が8連覇、女子が9連覇を達成した。
 最終日の女子団体の表彰が行われたあと、中国選手団が表彰式で集合写真を撮っているのを見て、改めて驚かされたが、総勢40名を超える大選手団。開幕の10日前に来日して調整合宿を行い、男女ともライバルチームの主力選手と同じプレースタイルの若手選手を、スパーリングパートナーとして何人も連れてきていた。調整からベストを尽くしてつかんだタイトルだった。

 そんなチームワールドカップで撮影した中国選手の写真を、お蔵入りになる前に「中国選手写真館」としてご紹介。スマートフォンではちょっと見にくいかもしれませんが、どうぞご覧ください。来週末からタイで開催される世界ジュニア選手権を取材する中国リポート担当。世界ジュニアの中国代表選手なども紹介していきます。
  • 遠い目をした梁靖崑と許シンのペア。許シン、結構小言が多いのでしょうか…

  • 力感あふれる許シンのグリップ。インタビューした時、指の長さに驚きました

  • 米俵を手に笑顔の馬龍と許シン。相当重いと思っていた様子

  • 大先輩に挟まれて、ひとりで米俵を受け取った孫穎莎。丁寧ウケてます

  • 隣に劉国梁、両脇に劉詩ウェンと陳夢…。「中の人」の心境やいかに

  • 美しい李隼監督のハイタッチ。お父さんは解放軍体操チームの監督さん

  • 好調だった樊振東。この打球点から相手コートにねじ込むとは…

  • どちらが勝者か……。樊振東にとっても相当ナーバスな一戦だった

 10月3〜6日、遼寧省卓球協会が主催する『2019 大国体育杯 遼寧卓球チームU7−U17公開選抜大会』が、遼寧体育館卓球場で行われる。昨年からスタートしたこの大会は、ホープス以下とジュニアの年代の選手たちを年齢別に男子8・女子9のクラスに分け、総当たりでシングルスの試合を行うもの。昨年は10の省と市から400名余りの選手たちが出場した。

 各クラスの成績優秀者には遼寧省チームの一員となる資格が与えられ、男子の2007〜2009年生まれのクラス、女子の2008〜2009年生まれのクラスで1位になった選手には、毎月1700元(約2万6千円)の手当に加え、生活費が免除となる。会場には遼寧省チームのコーチたちも来場し、高い潜在能力が認められた選手は、集合訓練への参加が認められる。

 ジュニア以下の遼寧省チームの「公開オーディション」とも言うべきこの大会。遼寧省と言えば、かつては卓球界に多くの人材を供給してきた「世界王者の揺りかご」。近年だけでも男子の馬琳・馬龍、女子の王楠・郭躍・李暁霞・劉詩ウェンなど錚々(そうそう)たる顔ぶれで、現在も女子の陳幸同・李佳イが国家チームでプレーしている。

 一方で人材の流出による「空洞化」も顕著で、馬龍は北京市、李暁霞は山東省、馬琳と劉詩ウェンは広東省の所属選手。中国スーパーリーグでも2000年代までは男子の錦州銀行、女子の遼寧鞍鋼が地元選手を揃えて活躍していたが、両チームともすでにスーパーリーグから撤退している。

 遼寧省卓球協会の王萍会長は、昨年の公開選抜大会の開催に際し、「地域に制限を設けることなく、遼寧省チームにより多くの『新鮮な血液』を注入したい。大会期間中は、チームのすべてのコーチが会場に足を運び、人材の発掘に当たる」(出典:『新華網』)とコメントしている。昨年創立60周年を迎えた遼寧省卓球協会による、名門再建の新たな試み。第二の王楠や郭躍は現れるだろうか。
  • 99年東アジアホープス優勝の郭躍。写真は99年12月号に掲載されたもの

 天津市・武清体育センターで開催中の『2019 中体産業杯 全国卓球選手権』。大会前半は男女シングルスと混合ダブルス、後半は団体戦が行われる「ミニ・オリンピック」方式。前回の記事で「トップ選手も欠場するわけにはいかない」とお伝えしましたが、直後に馬龍・樊振東・許シン・丁寧・劉詩ウェンが大会を欠場。……失礼致しました。五輪代表の本命が不在で、五輪と同じタイムテーブルの大会をやる意味があるのかと思わないでもないが、若手選手たちの予行演習というところか。

 大会の最大のサプライズは、昨シーズンのTリーグで、木下マイスター東京の秘密兵器として活躍した侯英超の男子シングルス優勝。20歳で優勝した2000年大会以来、実に19年ぶりの優勝だ。バック表ソフトの変化カットと強烈な攻撃を武器に、準々決勝で梁靖崑、準決勝で周啓豪をともに4ー1で破り、決勝では王楚欽にストレート勝ち。「運が良かったということだね。王楚欽は準決勝の(カットの)馬特戦で肩を傷めていた。もし彼が故障を抱えていなかったら、ぼくにとってはもっと厳しい戦いになっていただろう」と試合後に語った。

 「19年前に優勝した時はプレーもメンタルもまだまだ未熟で、全力を尽くすことで良いプレーができた。今はよりリラックスして、試合を楽しむことができている。勝敗はそれほど重要なことではないからね」(侯英超)。
 筋骨隆々とした体つき、迫力ある風貌の侯英超だが、その語り口は実に知的で理路整然。さながら「大学教授」という感じで、Tリーグ取材でもそのギャップに少々驚かされた(失礼)。中国のインターネットでの試合解説も好評で、最強解説員の異名を取るほど。若手にとっては貴重なレッスンとなった。

 女子シングルス優勝は孫穎莎。陳幸同、陳夢、朱雨玲というライバルたちを完璧にねじ伏せて頂点に立った。体格的なハンデから、国家チーム内での評価は低いと言われてきたが、「最近は大会が多いけれど、毎日必ずトレーニングを行っているし、試合が続いても疲れたという感覚はない」とタフさを見せる。経験重視の五輪代表選考レースで、逆風を切り裂いて代表権を手にできるか。
 大会前半の個人戦3種目の主な結果は、下記のとおり。

〈男子シングルス〉●決勝トーナメント1回戦
王楚欽(北京市) 7、3、5、ー8、10 趙子豪(上海地産集団)
侯英超(陝西体彩) ー10、9、7、7、ー10、9 劉丁碩(山東魯能)
●準々決勝
王楚欽 9、ー9、6、8、9 林高遠(広東省)
馬特(湖北省) 12、ー11、8、3、8 方博(山東省)
周啓豪(広東省) 9、ー7、ー7、ー4、13、4、9 薛飛(湖北省)
侯英超 7、10、ー7、2、8 梁靖崑(八一南昌)
●準決勝
王楚欽 9、ー8、ー6、3、6、13 馬特
侯英超 6、7、11、ー7、10 周啓豪
●決勝 侯英超 11、7、9、2 王楚欽

〈女子シングルス〉●決勝トーナメント1回戦
孫銘陽(八一南昌) 9、ー7、ー9、ー8、4、6、6 武楊(山西省投資集団)
王曼昱(黒龍江省) 9、8、9、3 顧玉ティン(山東省)
王芸迪(遼寧省) 10、9、7、8 馮亜蘭(湖北省)
●準々決勝
陳夢(山東省) 6、5、ー10、5、7
孫穎莎(河北省) 8、10、6、8 陳幸同(遼寧省)
何卓佳(河北省) 8、ー7、8、9、ー7、9 王曼昱(黒龍江省)
朱雨玲(八一南昌) ー7、8、ー7、4、6、7 王芸迪
●準決勝
孫穎莎 8、ー7、6、6、3 陳夢
朱雨玲 2、7、8、ー9、5 何卓佳
●決勝 孫穎莎 9、4、8、8 朱雨玲

〈混合ダブルス〉●決勝トーナメント1回戦
夏易正/車暁㬢(河南民生薬業/黒龍江省) 6、ー10、ー8、9、4、7 王楚欽/孫穎莎(北京市/河北省)
薛飛/張瑞(湖北省) 9、0、5、7 于子洋/陳夢(山東魯能/山東省)
●準々決勝
鄭培峰/顧玉ティン(福建省/山東省) 12、9、6、4 夏易正/車暁㬢
周啓豪/陳幸同(広東省/遼寧省) ー8、9、12、4、ー5、7 梁靖崑/朱雨玲(八一南昌)
周雨/木子(八一南昌) 5、11、ー5、ー8、8、4 薛飛/張瑞
林高遠/王曼昱(広東省/黒龍江省) 4、ー5、8、5、ー6、9 趙剣彦/黄凡真(八一南昌)
●準決勝
周啓豪/陳幸同 9、ー10、1、8、2 鄭培峰/顧玉ティン
林高遠/王曼昱 ー5、10、2、9、2 周雨/木子
●決勝 林高遠/王曼昱 ー17、8、9、9、6 周啓豪/陳幸同

※写真提供:『ピンパン世界』(中国)
  • 陝西(せんせい)省チームから出場し、栄冠を勝ち取った侯英超

  • 変化の激しいバックサービスも威力を発揮した

 7月23日から8月2日まで、中国・天津では『2019 中体産業杯 全国卓球選手権』が開催される。会場は17年全中国運動会の舞台となった武清体育センターだ。

 4年に1度の全中国運動会に比べ、注目度が低くなりがちな全中国選手権だが、今年はちょっと様子が違う。大会前半に男女シングルスと混合ダブルス、後半に男女団体が進行するスケジュール。いわば「ミニ・オリンピック」として大会が行われるのだ。1952年から続く伝統ある大会で、男女ダブルスをスパッと開催種目から外すあたり、いかにも「合理的」な中国らしい。

 そして、五輪を想定した日程で行われる以上、トップ選手も欠場するわけにはいかない。近年にないほどワールドツアーに連続して出場し、T2ダイヤモンドが終わってようやくひと息つけるというところで、なんともハードなスケジュールだ。

 さて、前置きが長くなりました。この全中国選手権で、会場の武清体育センターを運営・管理する中体場館運営管理(天津)有限公司が、「撮影大賽」なる取り組みをしている。大会期間中、プロ・アマのカメラマンや撮影愛好家、つまりあらゆる人を対象に大会に関するベストショットを募集するというもの。選手の迫力あるプレーでもいいし、観客席のファンの熱い応援でもいい。作品には作者の名前と連絡先を付記してメールで応募。8月20日に入選作が発表される。

 ちなみに一等は奨金500元(約7850円)と、大会スポンサーである『MIHOU』のスキンケアセット、そして選手のサイン入りラケット。二等は奨金300元、三等は奨金100元にそれぞれスキンケアセットがついてくる。……奨金としては「ゼロがひとつ少ない?」くらいシブい金額だが、大会の良い記念にはなりそう。発表される入選作に、ちょっとだけ注目したい。
  • 全中国選手権の会場となる武清区体育センター

 5月末からスタートした、アジア・オセアニアを舞台にしたITTFワールドツアー。中国オープン(プラチナ)、香港オープン(レギュラー)、ジャパンオープン(プラチナ)、韓国オープン(レギュラー)、オーストラリアオープン(プラチナ)と一気に5大会を消化した。さらに今週末には、T2ダイヤモンドのマレーシア大会という重要な大会が控えている。

 そしてこの5連戦、特に後半戦で驚異的な活躍を見せたのが許シンだ。ジャパンオープン、韓国オープン、オーストラリアオープンと3大会連続優勝。先にマッチポイントを取られたオーストラリアオープン準決勝のフランチスカ(ドイツ)戦をはじめ、敗戦の瀬戸際まで追い詰められた試合もあったが、伝家の宝刀であるフォアのカウンタードライブの切れ味は最後まで健在だった。7月発表の世界ランキングでは、2015年2月以来の1位に返り咲いた。

 いつも辛口の劉国梁会長も、ジャパンオープンの閉幕後に「許シンは中国男子チームにあって、最も周囲を安心させてくれる万金油(万能薬)。東京五輪で金メダル独占を目指す中国にとって、欠くことのできない戦力だ」と賛辞を送っている。東京五輪での中国男子チームのエントリーは、馬龍と樊振東が団体とシングルス、許シンが団体と混合ダブルスの2種目出場が既定路線だが、樊振東の不調が長引くようだと、許シンのシングルス出場の可能性もゼロではない。

 この復活の理由について、許シンは『新浪体育』の取材に対し、意外なコメントを残している。「体力トレーニングはさらに増やしていく必要があるね。少なくとも人の2倍はやらなければ、非常に負荷のかかる試合の中で良い状態をキープすることはできない」(許シン)。彼は体力の衰えをテクニックでカバーするのではなく、体力トレーニングで高い身体能力を維持し、残る競技生活を完全燃焼しようとしている。

 中国チームは以前から、海外のトレーニングコーチやリハビリトレーナーを招聘し、集合訓練などに帯同させているが、2017年からはポーランド人のトレーニングコーチ、バルテク・ビブロウィクツ氏と契約。さらなるパワーアップを目指し、男女チームの「肉体改造」を継続的に行っている。ビブロウィクツ氏は昨シーズンの中国スーパーリーグで、山東魯能女子チームの優勝にもトレーナーとして貢献した。

 もちろん、ストップからの台上パワードライブや4球目カウンターなど、許シンのプレーがより精度を増していることは言うまでもない。「ペンホルダーに一番大切なものは?」と聞かれれば、「脳子(頭の良さ)」と即答する男なのだ。

 筆者の頭に浮かぶ許シンのイメージは、いつも傷だらけだ。4種目のフルエントリーもある全中国運動会では、全力投球の団体戦を終えて個人戦に入ると、サポーターにテーピング、アイシングのオンパレード。17年大会では左肩、脇腹、右ひざと体中に故障を抱え、アイシングとテーピングでミイラ男のようになっていた(言い過ぎました)。集大成となる東京五輪の大舞台を迎えるまで、重大な故障に見舞われることがないよう祈りたい。
  • オーストラリアオープンで、ワールドツアー3大会連続Vの許シン(写真:ITTF)

  • 13年全中国運動会で、右ひざの故障を悪化させた許シン

  • 15年世界選手権では左肩を傷めた

  • こちらは17年全中国運動会。個人戦では満身創痍だった

 昨日16日に終了したITTFワールドツアープラチナ・LIONジャパンオープン。5月末から中国、香港、そして日本で行われたワールドツアー3大会。中国チームは中国オープンとジャパンオープンには主力クラスをエントリー。合間の香港オープンは、主力クラスが札幌で調整合宿を行ったため、若手中心のエントリーとなった。

 毎年のことながら、世界選手権後のこの時期、世界代表の選手たちの状態はピーク時の50〜60%といったところ。その中で、ふたりのダークホースが飛び出した。香港オープンの女子シングルスを制した王芸迪(ワン・イーディ)と、ジャパンオープンで男子シングルス3位となった孫聞(スン・ウェン)。ともに遼寧省出身のふたりについて、少し紹介してみたい。

 すでに国際大会にも多く出場している王芸迪は、ダークホースと呼ぶのは失礼かもしれない。陳幸同と同じ1997年生まれで、陳夢・朱雨玲と王曼昱・孫穎莎に挟まれた世代だ。
 王芸迪の出身地は、馬龍や李暁霞、郭躍を輩出した「卓球の街」遼寧省鞍山市。しかし、小学校を卒業後に地元を離れ、江蘇省南通市にある中国卓球協会卓球学校に第一期生として入学し、13年全中国ジュニア選手権で3位に入って同校初の国家チームのメンバーとなった。15年世界ジュニアでは決勝で王曼昱に敗れて準優勝。その後、年下の王曼昱や孫穎莎が国際大会で頭角を現す中、17年全中国運動会ベスト4、18年全中国選手権団体優勝と主に国内大会で成績を残し、次第に国際大会にも派遣されるようになっている。

 打撃戦で一歩も退かない闘争心、左右に振られても体幹がブレないフィジカルの強さを備えている王芸迪。17年全中国運動会では雲南省に「転会(レンタル移籍)」して出場していたが、この大会での活躍がひとつの転機になったのではないか。あとは課題のカット打ちに加え、何かひとつ彼女にしかない武器が欲しい。

 一方、ジャパンオープンで吉村真晴、張本智和、李尚洙(韓国)、梁靖崑(中国)と強豪を連破した孫聞はまさにダークホース。181cmの堂々たる体躯からフォアのパワードライブを連発し、まさに「豪腕」というイメージだ。

 孫聞のプレーを初めて見たのも、17年全中国運動会。ジャパンオープンにも出場していた張煜東とのペアで男子複でベスト4に入ったが、中陣でフォアドライブを「ブン回す」姿に目を奪われた。「中国にもまだこんな大振りの選手がいるのか」「プレーが遅いし、シングルスでは厳しいだろうな」というのが当時の印象。ジャパンオープンでのプレーを見ると、バック系の技術がかなり進歩したように思える。

 孫聞は王楠や劉詩ウェンの出身地である遼寧省撫順市の出身。遼寧省で生まれ、ジュニア時代は湖北省代表としてプレーし、現在は江蘇省チームに所属。スーパーリーグでも江蘇中超電纜・利永に所属しており、昨シーズンは樊振東に2連勝するなど、チームの主力として活躍した。張本戦の後、「張本は気迫あふれるプレーをするから、彼との試合ではより気迫をみなぎらせて戦う必要があった」と語ったファイター。果たして二度目のチャンスは、与えられるだろうか?
  • 与えられたチャンスで結果を残した孫聞

  • 香港オープン優勝の王芸迪(写真提供:ITTF)

 3月8日、中国卓球協会は4月21〜28日にハンガリー・ブダペストで行われる世界選手権個人戦の中国代表メンバーを発表した。各種目へのエントリーは下記のとおり。

★世界選手権(個人戦)ブダペスト大会・中国選手のエントリー
●男子シングルス

馬龍、樊振東、許シン、林高遠、梁靖崑
●女子シングルス
丁寧、劉詩ウェン、陳夢、王曼昱、孫穎莎
●男子ダブルス
馬龍/王楚欽、梁靖崑/林高遠
●女子ダブルス
陳夢/朱雨玲、王曼昱/孫穎莎
●混合ダブルス
許シン/劉詩ウェン、樊振東/丁寧

 「4月18日まではエントリーの変更は可能」としているが、このメンバーで確定と見ていいだろう。男子シングルスのエントリーは予想どおり。5番目の選手には、「地表最強12人」(世界代表選考会)で2位となった梁靖崑が入り、2大会ぶりのシングルス代表となった。左ひざの故障からの復帰を目指す馬龍も代表入りを果たし、荘則棟(61・63・65年大会優勝)以来となる男子シングルス3連覇を目指す。

 一方、女子はサプライズがあった。現世界ランキング2位で、前回の世界選手権でも2位だった朱雨玲がシングルスの代表から外れ、20歳の王曼昱と18歳の孫穎莎がシングルスに出場する。世界ランキング2位の選手が世界選手権に出られないというのは、近年の中国のエントリーを振り返ってみても前例がない。

 「地表最強12人」で朱雨玲は6勝5敗の6位に終わったが、東京五輪時の年齢は選手としてのピークと言える25歳。朱雨玲を外すなら、東京五輪時には29歳となる劉詩ウェンを外してもおかしくないところだが、昨年のスウェーデンオープン決勝で、伊藤美誠選手に一蹴されたのが大きなマイナス要因か。もともと李隼監督が担当していた朱雨玲が、同じ四川省出身の邱貽可に担当コーチが変わったことで、両者の不仲説を伝えるマスコミの報道もあるが、それだけとも考えにくい。

 また、ダブルス3種目のエントリーも興味深い。近年は国際ペアを組み、それほど成績を重視していなかった混合ダブルスで、久々に「本気」のエントリー。国家チームの指導陣への賞罰制度でも、世界選手権の男女ダブルス優勝はポイントゼロで、混合ダブルス優勝には「2000点」というポイントが与えられる。混合ダブルスが種目に加わる東京五輪を見据えた方針転換だ。男女ダブルスは若手を中心に、混合ダブルスに出場しない選手でペアを作り、どの選手も最大でも2種目の出場。体力の消耗を防ぎ、男女シングルスと混合ダブルスで確実に優勝を狙う構えだ。
  • 4月のアジアカップには出場する朱雨玲だが、世界選手権ではまさかの単不出場

 3月3日に終了した世界選手権(個人戦)ブダペスト大会の中国代表選考会『地表最強12人』。中国の卓球雑誌『ピンパン世界』から、開会式の写真が届いた。選手たちはなんと宇宙服をイメージした衣装を着て登場。宇宙服というより、どちらかというと防護服に見えるが……。なかなか攻めた演出だ。

 100万元(約1670万円)という巨額の優勝賞金でも話題を集めた『地表最強12人』。しかし、ネットで販売されたチケットがあっという間に完売した17年の選考会に比べると、観客の入りはもうひとつだったようだ。

 前回はスリリングな3ゲームズマッチだったが、今回は5ゲームズマッチを平日を含む4日間に渡って行うスケジュール。そしてなんといっても、男子の花形選手である馬龍、そして張継科の不在が大きい。馬龍はチームには帯同しており、今月末のカタールオープンにもエントリー。少しずつ基礎練習やランニングにも取り組んでいるというが、どの程度までリカバリーできているか、注目が集まる。

 そして張継科は……、テレビのeスポーツの番組やバラエティ番組に出演するなど、すでに半分くらい「テレビタレント」になりつつある。2月16日の誕生日には、ファンクラブが青島の高層ビル53棟を「ジャック」して誕生日を祝う広告を流すなど、人気は相変わらず。中国男子の秦志戩監督も「まだコートに立つだけのモチベーションと勇気があれば、中国チームはいつでも彼の復帰を歓迎する」とコメントしているが、復帰への道のりは相当険しい。

※写真提供:『ピンパン世界』
  • 宇宙服姿で登場した丁寧

  • ヘルメットをしていると、もはや誰が誰だか……

  • 選手たちの表情は、少々微妙

  • 開会式は15分ほどで終了したとのこと