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欧州リポート

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 10月4~12日にロシア・サンクトペテルブルクで行われるヨーロッパ選手権の団体戦の組み合わせが決定した。公式抽選会は大会開催の1カ月前の9月5日にサンクトペテルブルク「The Peterburgsky Sports Complex of St Petersburg」にて、ヨーロッパ卓球連合(ETTU)のボッシ会長も出席し、盛大に行われた。
 組み合わせは以下の通り。北京五輪男子団体で銀メダルを獲得したディフェンディングチャンピオンのドイツはグループA。メイスのいるデンマーク、エロワ・シーラのいるフランス、若手主体のハンガリーと、クセのあるチームとの対戦が続く。開催国のロシアはグループB。プリモラッツ・譚瑞午・ガチーナのクロアチア、エース・サムソノフがいるベラルーシと、同じ組になり、苦しい戦いになりそうだ。
  女子ロシアチームは、オランダ・チェコ・ブルガリアと対戦。リー・ジャオ、リー・ジエと中国帰化選手がいるオランダはかなり強敵だが、地の利を生かして上位進出を狙いたい。

 また、同日にはヨーロッパ選手権の新しいメダルのデザインが承認された。新しいメダルは、ラケットの形を生かしたデザインが特徴で、表面には大会のロゴ、裏面にはETTUのロゴが描かれている。

〈男子団体・チャンピオンシップディビジョン〉
グループA:ドイツ・デンマーク・フランス・ハンガリー
グループB:クロアチア・ベラルーシ・ロシア・スロバキア
グループC:ポーランド・オーストリア・セルビア・スウェーデン
グループD:ルーマニア・ギリシャ・ポルトガル・ベルギー

〈女子団体・チャンピオンシップディビジョン〉
グループA:ハンガリー・フランス・ベラルーシ・スペイン
グループB:ロシア・オランダ・チェコ・ブルガリア
グループC:ドイツ・クロアチア・ルーマニア・セルビア
グループD:イタリア・オーストリア・ベルギー・ポーランド
 今季からドイツ・ブンデスリーガに参戦する松平健太(青森山田高)のデビュー戦が9月6日に行われた。松平が所属するのは、昨季2位のフリッケンハオゼンと昨季8位のヴュルツブルグが合併して生まれたフリッケンハオゼン・ヴュルツブルグ。

 開幕戦はアウェーで、昨季4位でワルドナー(スウェーデン)のいるフルダマーバーツェルが相手だ。1番でシュテガーが王熹を、2番で譚瑞午がスベンソンを、ともにストレートで下して、フリッケンハオゼン・ヴュルツブルグの絶好の流れの中、3番で松平が登場。相手はワルドナーで、新旧“天才”対決が実現。試合は松平が第1ゲームを5本で奪い、第2ゲームは12-14でワルドナーに返されたが、第3ゲームを12-10で奪うと、第4ゲームを6本で退けて見事に3-1で勝利。チームもストレートで勝利を収めた。
 1989・97年世界チャンピオン、92年バルセロナ五輪金メダリストのワルドナーはとうにピークを過ぎているとはいえ、まだまだそのテクニックは健在。そのワルドナーに翻弄されることなく、しかもブンデスリーガのデビュー戦で破ってしまうのだから、やはり松平のポテンシャルは底が知れない。これからどんな活躍を見せてくれるのか楽しみだ。

 また、7日に行われた試合では岸川と高木和が今季2戦目を迎えた。ブレーメンの岸川はゲナン戦の3番手でフィルスに勝利、1-3でチームは敗れた。ユーリッヒの高木和はオクセンハオゼン戦の3番手で登場するも、アポローニャに敗れ、チームも0-3で敗れた。

松平健太(フリッケンハオゼン・ヴュルツブルグ)
vs.フルダマーバーツェル
○松平 5、-12、10、6 ワルドナー
通算:1勝

岸川聖也(ブレーメン)
vs.ゲナン
○岸川 11、-7、5、4 フィルス
通算:2勝1敗

高木和卓(ユーリッヒ)
vs.オクセンハオゼン
 高木和 9、-4、-8、-5 アポローニャ○
通算:3敗
 8月30日に開幕したドイツ・ブンデスリーガ新シーズン。翌31日には07-08シーズン王者のデュッセルドルフが登場、フルダ・マーバーツェルと対戦した。デュッセルドルフは、今季は水谷が抜けたが、1番手がボル、2番手がオフチャロフ、3番手がズースで、北京五輪で銀メダルを獲得したドイツ代表チームだ。約1800名の観客が集まったこの試合は、3番でズースがワルドナー(スウェーデン)に敗れるも、4番でボルが王熹(中国)を破り、3-1で勝利。まずは順当に白星スタートとなった。

 また、同日に行われた他の2試合にはブレーメンの岸川聖也とユーリッヒの高木和卓が登場。ふたりとも1番手での起用となったが、岸川は1勝1敗、高木和は2敗とふるわず、どちらのチームも敗れた。

岸川聖也(ブレーメン)
vs.プリューダーハオゼン
○岸川 7、12、-8、5 コソウスキー
 岸川 -9、-7、-8 カラカセビッチ○

高木和卓(ユーリッヒ)
vs.グレンツァオ
 高木和 -8、-6、7、-12 パベルカ○
 高木和 -12、12、-4、-6 フェイヤー-コナート○
 ヨーロッパ最高峰のプロリーグ、ドイツ・ブンデスリーガの08-09シーズンが8月30日に開幕した。昨季までは8単2複で行われていたが、よりスピーディでエキサイティングな試合展開を目指して、今季は4単1複に変更された。もっとも、4単1複といっても日本で多く行われているような方式ではなく、下記のように両チームの1・2番手が必ず対戦するようになっており、実力伯仲の試合が期待できる。

●ブンデスリーガ新方式
1.「1番手vs.2番手」
2.「2番手vs.1番手」
3.「3番手vs.3番手」
4.「1番手vs.1番手」
5.「ダブルス」

 8月30日の開幕戦のカードは、昨季3位のオクセンハオゼンvs.昨季10位のゲナン。オクセンハオゼンには荘智淵(チャイニーズタイペイ)が復帰。クリサンとの2枚看板は強力で、あっさりと勝利するかと思われたが、2番でその荘智淵がフィルス(ドイツ)に敗れると、3番ではイェレル(スウェーデン)が新加入の江宏傑(チャイニーズタイペイ)に敗れた。なんとかラストのダブルスで勝利を収め、3-2で勝利したオクセンハオゼンだったが、初戦から思わぬ苦戦を強いられた。しかし、開幕戦からラストまでもつれる熱戦に、約1200人もの観客は大いに盛り上がった。
 ETTU(ヨーロッパ卓球連合)と提携している「ハーン-e-ビジネス社」は、7月11~20日に開催されたヨーロッパユース選手権(イタリア・テルニ)のストリーミング放送(インターネット放映)の総視聴時間を発表した。その数字はなんと1,793,876分。初日に若干のトラブルはあったが、世界中の卓球ファンに約29897.9時間も視聴されていたことになる。ちなみに、視聴者が多かった国はドイツ、フランス、スウェーデン、イングラド、そして地元イタリアだった。

 今年の世界選手権広州大会ではITTF(国際卓球連盟)もストリーミング放送を行い、こちらも成功を収めている。今回も大成功に終わったことによって、これからは国際大会などのストリーミング放送が増え、世界中の大会がインターネットを通じて見られるようになるかもしれない。
 ETTU(ヨーロッパ国際連合)は、スポーツ仲裁所がどのような判断を下そうとも、08-09シーズンの女子ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)にクロッパッハ(ドイツ)が参加してもOKとの見解を示した。

 クロッパッハは07-08シーズンのドイツ・ブンデスリーガで優勝し、ECLでも決勝に進出した強豪チーム。その決勝はオランダのヘーレンとの対決になったのだが、クロッパッハのホームで迎えた第1試合で、公式の国際審判員が会場に現れないという事件が起こり、結局ドイツ人の審判員が急遽その試合をジャッジしたものの、敗れたヘーレン側が無効試合ではないかとETTUに訴えを起こした。
 ETTUはヘーレンの訴えを認めて再試合を行うことを決定。しかし、今度はこれに反発したクロッパッハはスポーツ仲裁所に訴えて判断をゆだねたが、スポーツ仲裁所はクロッパッハの訴えを取り下げ、再試合が行われることになった。そして行われた決勝戦第1試合の再試合は今度はヘーレンが勝利。これを不服としてか、クロッパッハはETTUが提示した第2戦の開催日時は全て都合が悪いと拒み続け、結果的にクロッパッハは棄権負け扱いになり、何とも後味の悪い07-08シーズンの幕切れとなってしまった。

 クロッパッハが決勝という大舞台をこのような形で棄権したことで、何らかの制裁が加えられるかと注目を集めていたが、ETTUは来季の参加を正式に認めた。クロッパッハは強豪チームでファンも多いだけに、そのファンの期待に応えられるように試合内容だけでなく試合態度でも素晴らしいものを見せてもらいたい。今季は試練のシーズンとなりそうだ。
 2009年1月30日~2月1日に開催される「ヨーロッパユーストップ10」の開催地がオランダ・ロッテルダムに決定した。ロッテルダムでは、2011年世界選手権個人戦が開催されることも決まっている。

 ヨーロッパユーストップ10は、ジュニア(17歳以下)とカデット(15歳以下)の2種目が行われ、出場者はETTU(ヨーロッパ卓球連盟)が各9名を選抜し、残り1名は地元オランダから推薦される。ヨーロッパユーストップ10自体はまだ歴史が浅いが、この前身の大会にはボル(ドイツ)やサムソノフ(ベラルーシ)など世界で活躍している選手も出場していた。

 ヨーロッパユーストップ10に出場する選手の中から、2011年世界選手権にも出場するような未来のトッププレイヤーが現れるかもしれない。
 7月11~20日、イタリアのテルニでヨーロッパユース選手権が行わた。各国が共同してジュニア以下の強化策を進めているヨーロッパらしく、アジアにおける中国のように金メダルを独占するような国は現れず、全12種目で8カ国が金メダルを分け合う形となった。そんな中、女子カデット種目のP.ゾルヤ(ドイツ)が2冠、女子ジュニア種目のペソツカ(ウクライナ)と、男子ジュニア種目ではドリンコール(イングランド)が3冠を獲得した。

 女子カデットで2冠を獲得したP.ゾルヤは、07年世界ジュニアベスト4に入ったA.ゾルヤの妹。国内ではA.ゾルヤに匹敵するかそれ以上のセンスがあると評判の選手だ。
 女子ジュニア3冠のペソツカは、06年ヨーロッパユース選手権カデットの部でも3冠を達成しており、今回ジュニアになってもその力を見せつけた。特に団体戦決勝トーナメントでは全試合で2得点を挙げる絶対的な存在としてチームを引っぱった。
 そして男子ジュニア3冠のドリンコール(イングランド)。05年ヨーロッパユース選手権カデットの部シングルスで優勝し、注目を浴びたドリンコールは、すでにイングランド代表として世界選手権にも出場している。2012年ロンドン五輪でのメダル獲得を目指して、中国合宿なども行っているが、その成果が着実に現れてきているようだ。

各種目の優勝者(組)は以下のとおり 

〈カデット種目〉
●男子団体:フランス
●女子団体:ルーマニア
●男子シングルス:エバンス(イングランド)
●女子シングルス:P.ゾルヤ(ドイツ)
●男子ダブルス:インデヘルベルグ/ロッソム(ベルギー)
●女子ダブルス:P.ゾルヤ/ジルス(ドイツ)
●混合ダブルス:ローレンツ/ガスニエ(フランス)

〈ジュニア種目〉
●男子団体:フランス
●女子団体:ウクライナ
●男子シングルス:ドリンコール(イングランド)
●女子シングルス:ペソツカ(ウクライナ)
●男子ダブルス:ドリンコール/ナイト(イングランド)
●女子ダブルス:ペソツカ/バラゾワ(ウクライナ/スロバキア)
●混合ダブルス:ドリンコール/コロジャジナヤ(イングランド/ロシア)

 華麗な前陣プレーと、その端正なルックスから“貴公子”と称されるヨーロッパチャンピオンのボル(ドイツ)が、フランスのオイルメーカー「MOTUL」とスポンサー契約を結んだ。

 MOTULは世界有数のオイルメーカーで、主に自動車レースやバイクレースなどで高い評価を得ている。一見、卓球とオイルは関係が薄いように見えるが、MOTULはロシアでの販路拡大を目指しており、年々人気が高まっている卓球に目をつけ、ロシア国内でも抜群の人気を誇るボルに白羽の矢を立てたのだ。
 4度目の五輪出場を目前に控えていたオランダの雄・ケーンが、国内の五輪派遣規則(ITTFプロツアーの成績による)を満たしていないことから、オランダオリンピック委員会に北京五輪出場を認められず、五輪出場が夢が断たれることとなった。今年36歳を迎えたケーンは、五輪出場を目指して4月のヨーロッパ予選、5月の世界最終予選に出場。世界最終予選は5位に終わり、あと一歩のところで出場権を逃したケーンだったが、繰り上がりでシングルスの出場権を獲得していた。
 ケーンの不出場で空いた枠にはブラシュチック(ポーランド)が繰り上がりで出場権獲得。こちらはすでにポーランドオリンピック委員会、ポーランド卓球協会ともに承認が得られているため、五輪出場は問題なさそうだ。