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平成25年度全日本選手権大会速報

 5連覇が期待された藤井/若宮は最終ゲーム、序盤リードしていたが最後逆転されて準決勝の舞台で姿を消すことになった。
 試合直後に、藤井寛子がこの試合を最後に現役生活を引退することが発表され、日本卓球協会から花束が贈られた。日本女子のお姉さん的存在が退くことはとても残念だが、長く日本卓球会を支えてきてくれたことに心から感謝したい。卓球王国もインタビューや取材などで大変お世話になりました。ありがとうございました。そして、お疲れさま!

●女子ダブルス 準々決勝
中川博子/土田美佳(中国電力) -11、11、7、-7、8 藤井寛子/若宮三紗子(日本生命) 
市川梓/中村薫子(日立化成)  -12、5、9、8   阿部恵/岡本真由子(サンリツ)
田代早紀/藤井優子(日本生命) 5、3、10  土田美紀/三宅菜津美(中国電力)
平野早矢香/石川佳純(ミキハウス/全農) 8、8、4  池田好美/平野容子(日立化成/東京富士大)

  • 5連覇ならなかった藤井/若宮

大会最終日の試合開始前の練習で、パワードライブをビシビシ決めている男がいる。全日本2回優勝の実績を持つ吉田海偉だ。前回大会は吉田雅己に完敗してベスト32、躍動的なフットワークも影を潜め、「さすがにピークを過ぎたか」と思われた。しかし、現在はナショナルトレーニングセンターを拠点に練習し、「若い子たちの速いボールにも慣れている」と語る。コート上での「迫力」が去年とは明らかに違う。

シングルス準々決勝の相手は岸川聖也。「ぼくは聖也には負けないですよ」と岸川に対して相当自信を持っているようだ。準々決勝で最も注目される対戦カードであることは間違いない。
大会最終日となる1月19日。今日は、残り2種目となった男子シングルス、女子ダブルスの優勝者が決定する。

昨日の6回戦で、優勝候補の松平健と丹羽が敗れた男子シングルス。これにより、水谷の3年ぶりの優勝が見えてきたと言えるだろう。対抗の大本命は岸川だが、岸川の準々決勝の相手は元日本王者の吉田。岸川に対しても自信がある様子で8年ぶりの優勝に向けて気合いは十分だ。また昨日は世界レベルのプレーで松平を沈めた高木和も注目。準々決勝、上田との対戦は激しいラリー戦が予想される。
しかし、何が起こるかわからない今年の全日本。大波乱の結末が待っているかも知れない。

●男子シングルス準々決勝の組み合わせ
吉田(愛知工業大) vs 町(明治大)  
岸川(ファースト) vs 吉田(DIOジャパン) 
高木和(東京アート) vs 上田(青森大)   
坪井(青森山田高) vs 水谷(DIOジャパン)

また女子ダブルスは、5連覇を狙う藤井/若宮と、ロンドン五輪ではメダルを決めた平野/石川の勝ち上がりが濃厚。今大会で引退を表明している藤井が有終の美を飾ることはできるのか。

●女子ダブルス準々決勝の組み合わせ
藤井/若宮(日本生命) vs 中川/土田(中国電力)
市川/中村(日立化成) vs 阿部/岡本(サンリツ)
田代/藤井優(日本生命) vs 土田/三宅(中国電力)
平野/石川(ミキハウス/全農) vs 池田/平野(日立化成/東京富士大)
  • 上田、高木和とのラリー戦を制するか?

  • 吉田、8年ぶりの優勝なるか?

丹羽孝希を沈め、男子シングルス最大の波乱を演出した吉田雅己。ともに北海道出身で、青森山田ではチームメイト。「小学生時代から数え切れないほど対戦しているけど、小さい大会で2回勝ったことがあるくらい。自分の中では勝ったうちに入らないし、とにかく負け続けてきた。だから丹羽はライバルだと思っていないかもしれないけど、ぼくはずっとライバルだと思ってきた」と試合後に語った。まさに意地の勝利だった。

「今回の全日本では丹羽戦に勝つことだけを考えていた。これまではチキータをさせないことを考えていたけど、今日はあえてチキータをさせて、そこからの展開を考えた。大きいラリーになれば、自分のほうがパワーがあるから有利だと思っていました。
 昨年の12月31日にドイツから帰ってきて、グレンツァオ(ドイツ・ブンデスリーガの所属チーム)には左利きの選手はいなかったけど、日本ではずっと左利きの選手と練習していた。……明日右利きの選手と当たったらどうなるか心配ですね」(吉田)

明日は青森山田時代のもうひとりの同期・町飛鳥と対戦する吉田。丹羽戦での勝利で満足するつもりはない。「明日は優勝を狙います」と力強く語った。
本日最後の試合は、男子シングルス6回戦。前年度チャンピオンの丹羽、世界卓球代表の松平が敗れる波乱。
松平と対戦した高木和は両ハンドドライブが絶好調で、スーパープレーを連発。最初は受け身に回っていた松平も中盤以降アグレッシブに攻め、巧みなカットブロック&カウンターで応戦するも、ことごとく高木和がそれを上回り、勝利ならず。初優勝が期待されたが叶わなかった。
優勝候補の岸川、水谷はきっちり勝利し、準々決勝に勝ち進んだ。

●男子シングルス6回戦
吉田(雅)(愛知工業大) 8、9、-7、8、-4、9  丹羽(明治大)  
町(明治大) -1、4、-8、-7、11、4、5 森田(シチズン)   
岸川(ファースト) 7、10、8、9 大島(早稲田大)
吉田(海)(DIOジャパン) 9、8、-8、6、7 御内(シチズン) 
高木和卓(東京アート) 12、8、-5、12、-8、5 松平(健)(早稲田大)  
上田(青森大) -6、8、7、10、-5、8 酒井(JOCエリートアカデミー/帝京) 
坪井(青森山田高) 8、-8、8、10、2 時吉(ZEOS)  
水谷(DIOジャパン) 10、3、10、5 及川(青森山田高)

明日の準々決勝は吉田雅vs町、岸川vs吉田海、高木和vs上田、水谷vs坪井。
  • 吉田、ライバル対決を制す

  • 前回王者がまさかのベスト16ストップ

  • 絶好調・高木和が松平を打ち崩す

  • 松平、善戦するも相手の勢い止められず

準決勝で福原愛を4-0で退けた森さくらと、平成22年度チャンピオンの石川佳純との対戦となった女子シングルス決勝。結果は4-0で石川の勝利。石川が6試合で1ゲームしか落とさない圧巻の強さを見せ、女子チャンピオンの座に返り咲いた。
福原戦ではナックル系のサービスでも長く深くツッツキを送り、ラリー戦に持ち込んでいた森だが、石川のサービスの変化は予想以上。特にフォア前に出される横上回転系サービスの変化が読めず、レシーブが浮いたところを、石川の強烈な3球目攻撃を浴びた。森としては第1ゲーム10-7のゲームポイントを活かせなかったのが、最後まで響いた。

石川は、優勝インタビューで「(森さんは)福原さんに勝って上がってきた選手なので厳しい試合になるとは思っていた。1ゲーム目は取れるとは思っていなかったが、粘って粘って取ることができたので、その後につながった。昨日、ミックス(ダブルス)で負けてしまったのがとても悔しくて、今日はその分も頑張ろうと思った。福原さんのようにいい試合をしよう、と心がけていた」と涙声で語った。

石川のベンチに入った陳莉莉コーチ(全日本社会人4回優勝)は、「1ゲーム目によく我慢してくれた。相手は高校生で勢いに乗っていたから、それが大きかったですね。今大会は全体的に、佳純はしっかり自分をコントロールできていた。少し成長してくれたかな、という気がします」と語った。4月のJA全農世界卓球でも、石川の活躍が楽しみだ。

●女子シングルス決勝
石川佳純(全農)12、8、5、9  森さくら(昇陽高) 
  • 優勝の瞬間、感極まって……

  • 表彰台で笑顔の石川

  • 決勝後、ベンチの陳莉莉コーチと涙の抱擁

●男子ダブルス決勝
森薗/三部(青森山田高) −9、7、4、9 岸川/水谷(ファースト/DIOジャパン)

過去5回優勝の岸川/水谷ペアを決勝で下し、森薗/三部が初優勝!
昨夏のインターハイでは2位。昨年12月の世界ジュニアでもベスト8止まりだった森薗/三部。三部がやや先輩の森薗に遠慮している感もあったが、この決勝では見事なコンビネーションを披露。森薗が意外性のあるコース取りでラリーの主導権を握り、三部が豪快なフォアドライブを決めた。打球点がやや落ちたところからでも、フォアクロスに一発で抜ける三部のパワードライブは見事だった。第4ゲーム10−9のマッチポイントでも、三部の豪快なカウンタードライブが決まり、先輩ペアに引導を渡した。
岸川/水谷も中陣での粘りからの逆襲など、ダブルス巧者ぶりを随所に見せたが、ラリーではやや受け身に回ったか。6回目の優勝はならず。

★森薗/三部の優勝インタビュー
森薗「まだ本当に自分たちがダブルスの全日本チャンピオンになった実感がないです。でも日本の1位のペアと2位のペアを倒して優勝できたのは本当にうれしい」
三部「……いや、ちょっと緊張して(苦笑)。……良いプレーができたので良かったです」
森薗「相手は日本のエースダブルスなので、とにかく胸を借りるつもりで、自分たちにできるプレーをしようと話し合って試合に臨みました。ぼくたちの長所は速い卓球。台上から自分たちでどんどん攻めていって、自分たちの展開にすることを意識しました」
三部「持ち味は出せたと思います。森薗さんに助けてもらったなという感じです」
森薗「今大会ではぼくたちの力の120%が出せた。まだまだ、これが自分たちの力とは思わずに、これから頑張っていこうと思います」
 女子ダブルスの5回戦が終了し、ベスト8が決定した。5連覇を狙う藤井/若宮ペアも準々決勝に進出。

●女子ダブルス5回戦
藤井/若宮 -2、8、2、2 小野/山梨 
中川/土田佳 9、-8、8、5 酒井/松本
市川/中村 -9、10、4、10 加藤/加藤
阿部/岡本 5、4、8 石垣/橋本
田代/藤井優 10、5、10 小西/森
土田紀/三宅 8、-8、8、6 堀/安藤
平野/石川 -9、7、8、-8、4 平侑/平真
池田/平野 9、6、-8、9 石塚/平田

明日の準々決勝は藤井寛/若宮vs中川/土田佳、市川/中村vs阿部/岡本、田代/藤井優vs土田紀/三宅、平野/石川vs池田/平野。
●女子シングルス準決勝
森(昇陽高) 11、11、4、6 福原(ANA) 
石川(全農) -8、3、5、8、12 若宮(日本生命)

女子準決勝で福原愛がまさかの敗退。しかもゲームカウントは0-4。福原を破ったのは高校生の森さくら。
決勝戦は石川佳純と森さくらの対戦になった!

森のボールは回転量が多く、重い球質。それでいて、ミドルのボールに対して、高い打球点でストレートへ決定打が打てる。大きく左右に振られても、広いスタンスで前陣で打ち返し、体勢を崩さずにすぐに次球が打てるのは、相当体幹が強いのだろう。
「ピッチの早さなら敵はいない」と思われた福原がラリー戦で押され、次第に打つ手がなくなった。福原は2ゲーム続けてジュースで落とした後、第3ゲームは0−4、2−9と一気に離され、やや集中力を欠いた状態に。第4ゲームも森が中盤でフォアクロスへの超前陣カウンタードライブなど、スーパープレーを連発し、そのまま一気に押し切った。勢いだけでは福原には勝てない。この実力は本物だ。

石川は若宮とのサウスポー対決を制した。1ゲーム目にいきなり0−6と離され、このゲームを落としたが、2ゲーム目の4−3から3ゲーム目の6−0まで、なんと13点連取の離れ業。4ゲーム目も4−8のビハインドから7点連取で逆転。バックストレートへの威力ある回り込みドライブが随所で決まった。
「石川さんとは左対左で、お互いにやりにくさはあるけど、自分の中に流れを変えられる技術がなかった」と試合後の若宮。「組み合わせを見て最低でもベスト4に入りたいと思っていた。その目標がクリアできたのは良かった」(若宮)。
  • ストレートで福原を破った森

  • 石川は2度目の優勝まで王手

●男子シングルス5回戦
丹羽(明治大) 8、8、8、-9、6 上江洲(愛工大名電高)
吉田(愛知工業大) 8、-7、8、-9、7、8 森薗(青森山田高)  
町(明治大) 6、12、10、10 加藤(愛知工業大)  
森田(シチズン) -9、8、13、-6、10、8 松平賢(協和発酵キリン)   
岸川(ファースト) 8、7、5、-11、9  松下(明治大)
大島(早稲田大) 4、4、9、5 田中(シチズン)
吉田(DIOジャパン) 8、10、11、-7、5 吉村(愛知工業大)  
御内(シチズン) -9、9、8、-8、-9、9、9 大矢(東京アート)
松平健(早稲田大) -9、4、7、3、5 田添健(希望が丘高)
高木和卓(東京アート) 7、5、-8、-4、8、8 軽部(シチズン)  
上田(青森大) 6、3、9、2 森本(愛知工業大)  
酒井(JOCエリートアカデミー) 10、-11、6、12、9 下山(協和発酵キリン) 
坪井(青森山田高) -9、4、-7、9、9、12 張(東京アート)
時吉(ZEOS) 8、11、-9、-5、-6、9、6 笠原(協和発酵キリン) 
及川(青森山田高) 7、2、10、7 久保田(シチズン)  
水谷(DIOジャパン) 7、3、8、6 藤村(愛知工業大)

男子シングルスでベスト16が決定!
松平賢二、吉村真晴、張一博という優勝候補の選手たちが敗退。波乱の展開だ。

松平賢は左シェークドライブ型の森田(シチズン)に対し、台から下がりすぎて不利な展開になった。森田の上から叩くような攻撃の前に、松平はオーバーミスが多かった。完全に相手のペースに合わせてしまった感があった。

吉村と吉田の元チャンプ対決は、吉田に凱歌。吉村は第2ゲーム10−11からサービスミスでゲームを落とし、試合が進むにつれて自分のプレーにいら立ってしまった。「自分につまらないミスが多すぎて、全然納得のいかないプレーだった。吉田さんのドコがイヤとか、そういう問題じゃなくて、とにかく自分の問題」と自分への怒りが収まらない様子だった。

そして張一博は、同じ左シェークドライブ型の坪井に2−4で敗戦。昨日、スーパーシードの有延(明治大)を破った坪井がまたも大物食い。「初めての相手でサービスが分からなかった。有延の対策をしていたし、コートが変更になったりして、気持ちの整理がつかなかった」と張は試合後に涙を浮かべた。張が語ったように、隅のコートは風が舞うということで使用されず、コートが変更になった。この待ち時間も選手の心理状態に、微妙な影響を与えたようだ。

  • 吉村を破ったベテラン吉田

  • 張を破り初ランク入りした坪井

  • 松平賢は森田に敗れランク入りを逃す