今大会、今までの中でのベストゲームではないか。
丹羽の卓球は人間の反応速度の限界に挑むような速さだった。
試合後、ミックスゾーンでは興奮するでも、笑顔をみせるでもなく、いつもの丹羽がいた。
試合後の丹羽のコメント
「オフチャロフはサービスの種類が多いので最後までそれに苦しめられました。それにボールにパワーがあってバックでは抑えきれないので、オールフォアでやっていきました。1ゲーム目、フォアのしゃがみ込みサービスを出してきて、あの対策をやっていなかった。すごく下回転がかかっていて、チキータが遅くなって、それを狙われていました。
試合をやっているうちに気持ちがだんだん入ってきて途中からは絶対勝つんだという気持ちで戦っていました。競った時にはバックをつぶしていこうと思いました。
彼には初めて勝つことができました。オフチャロフは世界ランキング5位なので向かっていくだけでした。彼のパワーボールはクロスにしか来ないので、それを狙って打ちました。
樊振東には2年前の世界選手権でシングルスとダブルスで負けていて、今回もダブルスで負けているけど、今の試合のようにアグレッシブに攻めて勝ちにいきたい」
「ベスト8に二人? いつ以来ですか? というか、もうそんなのどうでもいいです」と倉嶋監督は笑った。彼もまた落ち着きを取り戻していた。
倉嶋洋介監督
「1ゲーム目、しゃがみ込みサービスに切り替えられて動揺してゲームを取られた。あのゲームを取っていたら4-1くらいだったかも。巻き込みサービスをフォア前とバック前に出して相手のチキータを狙っていくという戦術でした。打てるときにはフォアに打ちたいけど、どうしてもバックに集まってしまう。最後は良く力を抜いてフォアに打ってくれた。
丹羽の持ち味である快速速攻が良かった。オフチャロフのフォアハンドはバックで処理するのは難しいので、それを回り込んでフォアで打っていこうと練習していて、それが相手を驚かせるようなボールになった。
オフチャロフはサービスの種類が多いので基本はチキータ狙いだけど、難しかったらフォアのレシーブで相手を持ち上げさせてカウンター狙いだった。
球威は上がっているし、前陣で相手のボールを受け止めるパワーがついてきた。タフな試合だったけど、最後まで集中力を切らさずによく頑張ってくれました」