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 WEB卓球王国の最新の用具ランキング(3月)が発表された。注目すべきは裏ソフト部門だ。これは協力していただいている専門ショップ6店舗だけの売り上げなので、日本全体を通しての結果とは言えないが、ひとつの指標にはなる。
 2月の裏ソフト部門では上位10品目のうち6品目がテナジーだった。値上げ前の駆け込み需要はあろうが、卓球のラバー市場を表す結果だった。

 そして2月21日のタマスの価格改訂後、3月の用具ランキングではテナジーはトップ10から姿を消した。そしてマークV(ヤサカ)以外の9品目をドイツ系テンションラバーが占めた。
 1位にヴェガヨーロッパ(XIOM)が入り、トップ10にヴェガは3品目が入り、RAKZA(ヤサカ)が4品目入った。また今まで裏ソフトではあまり話題に上らなかったミズノのGFが初のトップ10入りを果たした。

 テナジーがトップ10から姿を消したのは、当然だろう。現在卓球ショップ、ネットショップでも税込みで8300円から8800円ほどで販売され、2月21日以前と比べれば3000円ほど値上がりした。また2月21日までにユーザーは買いだめしているために、現在はストックされたラバーを使っている可能性もある。5月から6月にかけて、買いだめしたラバーがなくなり始めた時にユーザーがどう動くのかに注目したい。その時に再びテナジーに戻るのか、それとも「ポスト・テナジー(テナジー後)」として他のラバーに移るのか。

 テナジーが値上げした後、1カ月後に日本経済新聞に興味深い記事が掲載されていた。ルイ・ヴィ・トン、ブルガリ、シャネル・タグホイヤーなどの高級ブランドが中国市場で次々値下げに踏み切るという記事だった。理由はテナジーのケースと似ている。
 中国では日本やヨーロッパから物品を輸入すれば関税(20%以上)がかかり、さらに物品販売で増値税が17%がかかる。増値税は日本で言う消費税のようなもので、つまり日本から1万円の商品を輸入すると4000円近くが税金として支払うことになる。同じ利益を得るためには14000円の値段をつけるようになる。

 そういう状況の中、中国には「代理購入」業者(いわゆるブラックバイヤー)がいて、ネットや買い付けで海外から中国へ並行輸入する。ネットで買う時には国際郵便などで送ってもらい、税金を逃れる。このために中国で正規ルート以外の購入や、二重価格が生じたり、コピー商品が横行することになる。
 こういった非正規ルート購入、二重価格やコピー商品を防ぎ、中国国内の代理店を守るために、上記のブランド商品の中国国内での価格を下げるという方策をとった。値下げの理由のひとつは、「国際為替による価格調整」。中国元が上がり、ユーロは安めに動いていることを表向きの理由にしているが、実はブラックバイヤーのうまみを減らし、並行輸入を食い止めようという狙いなのだという。

 そう考えれば、テナジーなどのバタフライ主力商品の価格改訂は当然の帰結だったのか。「ならば中国でのテナジーの価格を下げるべきだ」という声も上がってくるのは当然だが、ブランドが確立されたバタフライならではの苦悩とも言える。
 さらに卓球市場の関心事は5月から6月にかけての「テナジーの売れ行きの動向」に移っていく。 (今野)
 
卓球王国WEB用具ランキング
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