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 日本リーグ側から資料は不十分と指摘されたプロリーグ設立検討準備室(以下準備室)。学連はおおむねプロリーグ設立には賛成していると聞いているが、プロリーグからの大きな影響を受ける日本リーグに関して松下浩二室長に聞いてみた。

——日本リーグとしては、準備室からの資料が不十分なので、何かを決める段階ではないと言っています。
「設立検討委員会で3年間、準備室が立ち上がってから6カ月経っています。今まで何度も話し合っているし、その設立検討委員会のメンバーに佐藤真二・日本リーグ専務理事も入っています。何度も会議をやってきて、ここに来て『企画書として整っていない、これは日本リーグ用ではない、共存共栄できる日本リーグの立場になった案じゃないといけない』言われています。佐藤専務理事が一番わかっているはずですが、本当に今までの経緯や話し合いを日本リーグの方たちに説明しているのかどうか疑問です」

——今までの資料は状況説明だけで具体性に欠けるものだった、というのがリーグ側の見解ですが。
「今までリーグのほうから具体的にどの部分が不足しているのかという要望は一度も出ていない。今ままでの資料にはプロリーグの収支、スポンサー問題、分配金、運営費などのことも書いています。これ以上何を望んでいるのか具体的な指摘がなく、『もっと良いものを』と言われています。過去に出した資料でも何が足りないのかを言わないまま、『もっと具体的なもの』を出してくれと言われても作りようがないのが現状です」

 松下浩二室長が日本リーグの対応に業を煮やしているのはコメントを見てもわかる。スタディチームで2年間、設立検討委員会で3年間という時間を費やしてきて、それでも日本リーグからの意見が出ないことに苛立ちを隠せない。
 しかし、日本リーグの他の関係者も「松下室長との打ち合わせが少なすぎる。今年の春に準備室ができてから日本リーグとの打ち合わせがなく、やっと会議を持ったのが10月だった。松下室長は本気にプロリーグをやるつもりなのか。しかもその時に出てきた資料は1年前のものとたいした変わりはなかった。もっと具体的なプラン示すべき。熱意が感じられない」と指摘する。

 この日本リーグ関係者の指摘に対して松下室長はこう答える。
「10月まで日本リーグとの複数による会議を持てなかったのは謝罪したいし、その会議でも謝罪させて頂きました。設立検討準備室が3月にできて、ある程度の素案が6月にできてからは、毎月のように佐藤専務理事とは会って話はしていたし、それが他の日本リーグの方にも伝わっていると思っていた。ところがフタを開けてみたら伝わっていなかった。資料はブラッシュアップはさせたが基本部分は変える必要がないと思っています。その資料の何が問題なのかを日本リーグから指摘してほしいと思っています」

 「資料は十分だ」「いや、あんな資料では不十分だ」というお互いの見解は平行線のままだ。本来は、協会の上層部に強いリーダーシップを発揮してもらい、うまくまとめてほしかった。
 日本リーグ関係者の立場からすれば、プロリーグができて自分たちの居場所がなくなるような錯覚に陥るのも理解できる。しかし、プロリーグの構想は日本リーグの上部団体を作ろうとしているわけではない。アマチュアリーグとは全く違うプロリーグという組織の創設なのだ。
 仮に日本リーグが反対しても、日本卓球協会がプロリーグをスタートさせると決定し、実行することもできるが、現時点では日本リーグに最大限の配慮をしようとしている。日本リーグができて38年が経ち、日本リーグは長く日本卓球界の競技力を支え、学生選手の重要な就職先にもなってきた。協会としては、その日本リーグに最大の敬意を払い、共存できる道を模索している。  (続く/今野)
  • プロリーグ設立検討準備室の松下浩二室長