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北京五輪

 20日の午後からの試合。まず福岡は力を出し切った。あと1本、2本の差だった。確かに戦術的に正しかったかどうかという議論は総括では出てくるだろうが、彼女の持っている力を全部出したという点では悔いはないだろう。あと1本の差というのはスコアではわずかではあるが、世界のトップクラスにおいてはとてつもなく大きなものに感じる。
 福原は申し分ない試合だった。最近の中で今大会の福原は充実している。特にきっかけはオーストリア戦のリュウ・ジャ戦で3ゲーム目4-7から福原が変わったとも言える。精神的に吹っ切れ、それからのプレーは一皮向け、次の香港戦では完全にスパークし、一段階上のレベルに到達したようだ。
 平野は、高軍に悔しい負け方をした。ドライブや速攻などで攻めてくるタイプには相当強いのだが、高軍のようにブロック、しかも様々に変化してきたり、カット性のブロックを混ぜられると、それを一発で撃ち抜くパワーはないし、前後の揺さぶりに弱いことを露呈した。戦術的にもこのタイプへの対応が正しかったのか。バックからの展開ではなく、フォアをついてからバックの打点を狂わすような攻め方ができなかったのか。彼女の普段のすさまじい努力、卓球への真摯な取り組み、五輪への思いを知っているだけに胸が痛くなるような敗戦だった。しかし、平野の五輪は終わり、そしてまた始まる。もっと強くなり、もっと逞しくコートに戻ればいい。
 水谷はまさに彼らしい戦いだったのかもしれない。もつれた6ゲーム目、6-8から5本連取。そこで勝負はついた。7ゲーム目はいきなり6-0とエンジンに急に火がついた。レシーブに苦しみ、台から離れることの多かった水谷だが、最後は自分の世界に相手を引きずり込んだ。こういう勝ち方ができるのも天才・水谷だからこそだ。