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中国リポート

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 ジャパンオープンでワールドツアー初出場・初優勝、中国オープンでは決勝で丁寧に敗れたものの、準決勝で劉詩ウェンをストレートで破って準優勝、さらに韓国で行われたアジアジュニア選手権では4冠王……16歳の新星・孫穎莎(スン・インシャ)の快進撃が止まらない。
 世界ランキングは今年1月の時点で82位。その後ランキングから外れていたが、7月発表の世界ランキングではいきなり10位に飛び込んできた。丁寧・朱雨玲・劉詩ウェン・陳夢のトップ4人に次いで中国女子で5番目の位置だ。

 孫穎莎は2000年11月4日生まれで、日本の平野美宇・伊藤美誠・早田ひなと同い年。河北省・石家庄市の出身で、5歳の時に卓球を始めた。彼女の啓蒙教練(初心者を指導するコーチ)である張張欣コーチは、初めてボールを打つ彼女を見た瞬間に「この子は才能がある」と感じたという。それからは休日も祝日も関係なく練習に明け暮れ、誰よりも早く練習場に来て、誰よりも遅くまで練習した。全身をしっかり使って打つ、彼女のパワフルなフォアドライブは、この時期の徹底した基礎練習で培われた。

 10歳の時に河北省女子チームの楊広弟監督にその才能を見出され、河北省チームで練習するようになった孫穎莎。「身長はすこし低かったけれど、センスが良かったし、強くなるオーラを持っていた。そして何より卓球が大好きだった」(出典:『衡水日報』)と楊監督は語っている。2015年に全中国少年選手権で優勝して国家2軍チームに入り、今年1月に2軍チームと1軍チームの入れ替えリーグ戦で3位となり、1軍チーム昇格を果たしたばかりだった。

 河北省の女子チームというと、カット型の施婕(ジィ・ショップ/ドイツ)、成紅霞、王ティンティン(女+亭)、シェーク異質攻撃の耿麗娟、白楊、張墨(チャン・モー/カナダ)、ペン表攻撃の李恵芬など異質やカットの選手が多く、近年では国家チームの「トレーナー養成所」のような印象もあったが、孫穎莎は本格派の右シェークドライブ型だ。……とはいえ、6月の世界選手権個人戦前の集合訓練では、王曼昱らとともに「仮想・平野美宇」のトレーナーとして駆り出されたのだが、このまま活躍を続ければ、「仮想選手」からは卒業できるだろう。

 ちなみに平野美宇選手の印象については、ジャパンオープンでの優勝会見で「すごくスピードのあるプレーだし、最先端のプレーだと思います。私とは身長が同じくらいで、プレーにスピードがあるところも似ていると感じます」と語っていた孫穎莎。両親は「普段は活発で、性格は単純。だからこそ卓球に没頭できるんでしょうね」と語っている。競った場面でもフォアフリックでレシーブから仕掛けられるのは、余計なことを思い悩まない性格のおかげなのかもしれない。
  • 要所で決まる、孫穎莎の威力あるフォアフリック

  • アジアジュニアでは4冠を達成(写真提供:アン・ソンホ)