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中国リポート

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 プラボール時代になってボールの回転量が落ち、強引にフォアハンドで仕掛けて苦しい展開が増える選手も多い中で、プラボールへの変更を追い風にした林高遠。
 同じ左腕の許昕にインタビューした時、「回転量が落ちるプラボールへの変更が、ペンホルダーにとっては最大の打撃」と語っていた。同じ左腕でも対照的だ。少しでも台から出るボールはフォアハンドで攻める、「仕掛けて勝負する」許昕と、相手にうまく打たせてカウンターで優位に立つ、「仕掛けさせて勝負する」林高遠。世界選手権では許昕が最終ゲーム5ー10から意地の逆転劇を見せたが、国内での対戦では林高遠のほうが分が良くなってきている。

 ただ、ジャパンオープンでは2回戦で李尚洙(韓国)に快速ロングサービスで押され、バックハンドでのレシーブを狙い打たれてストレートで完敗。続く中国オープンでは予選リーグで林兆恒(香港)に敗れたが、ロングサービスを交えてフォアサイドにサービスを集められ、それを強くレシーブできずに守勢に回った。
 全中国運動会でも、馬龍を破った男子団体準々決勝までは最高のプレーだったが、追う者から追われる者になった準決勝の四川省戦でのプレーは別人のように消極的だった。国家チームの担当コーチである劉恒コーチには、試合の後で大目玉を食らったそうだ。劉恒コーチ本人が言っていた。

 ちなみに林高遠の生まれは広東省深圳市。父親の林建宇さんも若い頃はトップ選手を志した卓球人で、小さい頃から抜群のセンスを見せていた林高遠のため、赤字覚悟で卓球場を経営して練習環境を整えた。全国大会が開催される時には息子を連れて会場を訪れ、一流選手のプレーを学ばせたという「父子鷹」。アジアカップ優勝の後、『私の夢を息子がかなえてくれた。さらに努力して代表チームの主力に定着してほしい』というコメントが『深圳晶報』に掲載された。

 アジアカップ優勝後のITTFのインタビューで、林高遠は「ワールドカップでプレーできることにすごく興奮しています。大会前はワールドカップでプレーできるなんて考えもしなかった。目標はただ、すべての試合で良いプレーをすることだけでした」と語っている。ワールドカップで上位に食い込むことができれば、張継科に代わる中国男子の主力として、首脳陣に大きくアピールできる。まずは来年の世界選手権団体戦で、団体メンバーの5人に入ることが目標になる。

 最近は女性ファンも増加中。6月のジャパンオープンで、中国から何人も女性ファンが来日していたのには驚いた。応援用のバナーを配っていた女性に彼の魅力を聞いた時、満面の笑顔で「何よりもカワイイから!」と言われ、「そんなことないでしょう!」とも言えず……。当の林高遠は声援にピクリとも反応しないが、張継科くらい「ツンデレ」なファンサービスができれば、もっとファンが増えそうだ。
  • 全中国運動会の男子団体準々決勝では、馬龍との激戦に勝利した

  • 準決勝の四川省戦では2敗を喫し、ベンチで落胆…