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中国リポート

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 国家男子チームの劉国梁監督から減量の指令を受け、今年1月の厦門(アモイ)での集合訓練でダイエットに取り組んでいた現世界チャンピオンの王皓。81キロあった体重は「目標は75キロだったが、想像以上に減量が順調で、73キロまで落ちた」(八一解放軍男子チーム・王涛監督)という。ITTF(国際卓球連盟)のitTVなどでは、かなりほっそりした王皓の姿を確認することができる。
 しかし、肝心の試合は全くの不調。カタールオープンでは(04年アテネ五輪決勝で敗れたものの)圧倒的な勝率を誇っていた柳承敏(韓国)に敗れ、クウェートオープンでは準々決勝で後輩の張継科に競り負けた。この中東の2大会に先駆けて行われた「直通莫斯科」では、初戦でハオ帥にストレート負けを喫しており、現世界チャンピオンの悩みは深い。

 「マスコミが王皓の体重にばかり注目するから、それが彼にとって大きなプレッシャーとなり、不調を招いている部分がある。そんなに王皓の体重ばかり書き立てるのは止めてくれないか」。自身も現役時代、太鼓腹(たいこばら)の丸々とした体格で「パンダ」の愛称をとった王涛監督は『中国体育報』でそうコメントしている。試合中にミスをすると「王涛、痩せろ!」の声が飛んだという、中国卓球史に残る「ぽっちゃりプレーヤー」だった王涛。それだけに、体重ばかり取り上げられる愛弟子の窮状が見過ごせないのかもしれない。
 「太っているか、痩せているかはそれほど大事なことじゃない。体重100kgだって勝つことはできるよ。92年のバルセロナ五輪では僕は体重60kg、95年の世界選手権天津大会では72kgもあった。それでも、キレのあるプレーができれば良いと確信していたからね。王皓は今73kgくらいだけど、身長は176cmある。それに比べたら、当時の僕のほうがずっと太っていたよ」。

 驚異的な運動能力を誇る選手が、必ずしもビッグタイトルを獲るとは限らないし、体重が急激に落ちると逆にフォアで動き過ぎ、勝ち味が遅くなってしまう選手もいる。1カ月半ほどで体重を8kg落とした王皓、確かに少々ダイエットを急ぎすぎたのかもしれない。現在の不調が彼にとって、ロンドン五輪を見据えたいわば「メンテナンス」の時期であることを祈りたいが、馬龍・張継科・許シンらの若手も虎視眈々(こしたんたん)と五輪の椅子を狙っている。26歳と選手としてはピークの年齢で、体重の乱高下から招いた不調が長引き、若手に遅れをとってしまうようなことがあれば、悔やんでも悔やみ切れないだろう。

Photo:09年全中国運動会の団体表彰で、ともに写真に収まる王涛と王皓