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中国リポート

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★世界選手権団体戦モスクワ大会・男子第5代表決定戦
○馬琳 10、-6、7、4 王励勤


 5月12日に行われ、馬琳が王励勤を3-1で破り、宿命の「龍虎対決」を制した国家男子チームの世界団体戦・第5代表決定戦。中国では馬琳が「モスクワ行きの『末班車』に乗った」という表現がよくされている。「末班車」は最終電車という意味。まさにすべり込みでの代表入りということだ。
 「今日の試合はほとんどの観客の目から見て、王励勤のほうが技術的に優位に立っていただろう。しかし、勝ったのは馬琳だった」と試合後に劉国梁が評したこの一戦。やはり試合の大きなポイントとなったのは、馬琳が第1ゲームを逆転で奪ったこと(1-7、6-10から逆転)。王励勤は試合後、「いつもスロースタートなので、出足で集中することを心がけたが、終盤の詰めが甘かった」と悔やんだ。第3ゲーム中盤でも6-6からの2本のレシーブミス、7-8からのチャンスボールの強打ミス。ここまで完全に勝利から見放されていた馬琳を復活させてしまった。

 結果にどれほど影響したのかは分からないが、この試合にはひとつの面白い伏線がある。レッドの代表ウェアを着用してコートに現れた王励勤に対し、馬琳はブラックの代表ウェアを着用。なんとこのブラックのウェアは馬琳本人ではなく、馬龍のものだった。用意していたレッドのウェアが王励勤と重なってしまった馬琳、その他のウェアはスポンサー広告が現行のものではなかったため、止むなく馬龍にウェアを借りたのだ。王励勤が苦手としている馬龍のウェアで勝利を掴んだ馬琳、ウェアのご利益も多少はあったかもしれない。
 この一大決戦の翌日、5月13日に行われた国家男子チーム最後のエキシビションマッチには出場せず、故郷の上海に戻った王励勤。「今回の敗戦がすべてという訳ではないし、ロンドン五輪という目標は決して諦めない」と語っており、「代表落ち→即引退」というシナリオに対しては、本人も周囲も否定的なコメントを残している。今日17日には北京に戻り、国家チームと合流する予定だ。

 当初、3回の「直通莫斯科」で代表3名を決定し、残る2名は協会推薦で決定すると発表されていた国家男子チームの代表選考。「直通莫斯科」の終了時点では、馬琳のあまりの不調ぶりから、王皓と王励勤の推薦出場が濃厚とも言われていた。代表選手全員を試合形式で決定した今回のやり方は、「公平かつ公正な選考」という選考会の理念に則したものなのか。それならば、第4・5代表決定戦にも陳杞やハオ帥、李平を加えるべきだろう。「直通莫斯科」で好成績を挙げていたハオ帥を切り捨て、第4代表決定戦まで負け続けた馬琳に再びチャンスを与えることが、「公平」なのだろうか。対外的な実力を考えれば、王皓・馬琳・王励勤の3名から代表を選ぶのは順当なところだが…。
 「直通莫斯科」で五輪代表3名が通過できなかったため、思わぬ展開を見せた今回の選考レース。国家男子チームは5月20日に北京を出発、モスクワ入りする予定になっている。

Photo:引退の時期に注目が集まる王励勤だが…?