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 画期的な卓球エンターテインメントの「T2 APAC」。
 運営費に数億円を投じ、マレーシアのジョホールバルの映画スタジオを借り切り、カメラ10台を回し、あらゆる角度から卓球の醍醐味を伝えようとしている。日本の水谷隼をはじめ、ボル、オフチャロフ、サムソノフ、荘智淵、丁寧(初戦のみ)、馮天薇、早田ひな、梁夏銀、などの世界のトップ選手を集めたエンターテイメント。賞金総額約2億円。
 大きな会場で観客を多く集めるのではなく、インターネットを通して世界中の人に提供するやり方を貫く。
 女子の初代王者はルーマニアのスッチ、というのはご愛敬だが、これはT2の試合方式が時にギャンブル性を発揮するからだろう。もちろん、その部分が観る人を熱くさせている面もある。

 最大の特徴は時間制限制であり、その時間内でのゲーム(セット)数を争う。ゲームが10-10になったらジュースなしの1本勝負。残り試合時間2分を切って最終ゲームに入ったら5本勝負の「キルゾーン」に入る。
 時間制限があるため1本ごとの遅延行為は認められず、ボールはボールボーイが次々と選手に渡す。試合のテンポは非常に心地よい。
 T2の初戦が6月にあり、その後、日本で全日本実業団選手権の取材。団体の準決勝や決勝の試合で、ゆっくりとしたボール拾いと間の長さで、1試合が50分を超えることがありたまらなかった。間延びして、完全に観客無視の状態。もしそんな調子で団体ラストまで行ったら、4時間を超える試合になってしまう。これはワールドツアーなどでも見られる光景だ。

 ブンデスリーガではたくさんのボールを使って、ボールボーイならぬ審判が次々と選手に渡す。これもストリーミング(映像配信)を意識したルールだ。
 
 さらにT2はポスター、トレーディングカード、プロモーションビデオなど、徹底してビジュアルにこだわっている。写真撮影などの選手負担も相応にあるとのことだが、卓球選手の露出のさせ方が素晴らしい。まるで劇場映画の予告編を見ているようだ。

 その試合そのものも、まさに劇場型卓球の演出に徹底している。ツアーや全日本選手権などの真剣勝負を観ている人からすれば、やりすぎに見えるかもしれないが、エンターテイメントと思えば納得するだろうし、独特の試合方式のせいで選手たちは真剣勝負を繰り広げるのが特徴だ。 <続く> (今野)
  • 会場のパインウッドスタジオ

  • 試合前には監督、選手たちが戦況を予想するなど、テレビを意識した演出だ

  • ボールボーイが新しいボールをすぐに投げてくれる

  • 水谷隼のポスター。こんな卓球選手の見せ方は他にはない