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 4月29日から始まる世界選手権ハルムスタッド大会の期間中に行われる国際卓球連盟(ITTF)AGM(年次総会/5月1日)で、実質的なブースター自由化が提案されることがわかった。
 これはITTFの執行委員会とアスリート委員会からの提案で、現行のラケット規定の修正である。しかし決定するためには投票権のある出席者の4分の3(75%)の賛成が必要である。
提案内容は以下の通り。
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2.4.7 ラケット(ラバーを含む)は人体に危険で不健康なものと考えられる、いかなる物理的、化学的、もしくは他の加工なしで使われることとする。

*根本理由
1 現在の検査方法ではブースターをコントロールすることが不可能である。現行ルールで強制できない
2 ラバーに入る有害物質の問題は,現在のVOCコントロールを行うことで和らげられている
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解説:
 1980年代から世界的に流行したのがスピードグルーで、揮発性溶剤を使い、ラバーを膨らませ、ラバーの弾性を高める接着剤だった。しかし、身体に有害ということで2008年に全面禁止となった。
 日本では前倒しでグルー禁止となったために、代替え品として「スピードブースター」(スピード補助剤)が登場。これはオイル系が主成分で、接着力はない。しかし、これもITTFの「ラバーを製品完成後に物理的、化学的に加工することを禁止(後加工禁止)」というルールのために卓球市場から消えた。
 ところが、その後、中国を中心にブースターが使われていた。これを塗るとスピードグルーほどの効果はないが、ラバーを柔らかくして弾性を高める効果がある。特に中国ラバーのように硬いラバーには効果を発揮する。近年、ルール上、禁止されているブースターをネットなどの闇で売る日本の業者も出現し、一部の選手の間では「ルール禁止のブースターを塗る」不正行為が出ていた。
 
 現行ルールでは2.4.7のラケットに関しては、「 2.4.7 ラケット(ラバーを含む)はいかなる物理的、化学的、もしくは他の加工なしで使われることとする」。つまり、どういう後加工でも禁止とするルールだが、提案されるのは「人体に危険で不健康な後加工は禁止」。裏を返せば、危険で不健康だとVOC(揮発性有機化合物)コントロールで検出されないものはラバーが大きく物理的に変化しなければ使っても良いとも読み取れる。

 しかし、問題はこのブースターは協会のVOC検査では検出されないこと。今回のITTFの執行委員会とアスリート委員会は、実質的に検査できないブースターを禁止にして、選手間の中で疑惑や不正がまん延するのであれば、検出されないブースターであれば解禁にして、選手間での公平性を保つと言うことだろう。

 会議での4分の3(75%)の賛成票が必要な提案なので、5月1日の総会が注目される。 (今野)