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 T2ダイヤモンドの最終日。19時からのセッション2は、男女シングルスの3・4位決定戦と決勝が行われた。それぞれの記録は下記の通り。

●女子シングルス3・4位決定戦
○丁寧(中国) 11-3、11-6、11-9、11-6  加藤美優

●男子シングルス3・4位決定戦
○許昕(中国)  6-11、11-6、11-3、7-11、11-8、5-2 黃鎮廷(香港)

●女子シングルス決勝
○朱雨玲(中国)11-9、11-6、7-11、11-7、5-2   王曼昱(中国)

●男子シングルス決勝
○林昀儒(チャイニーズタイペイ)11-7、11-4、8-11、11-5、5-0  樊振東(中国)

 男子シングルスは、17歳の林昀儒が樊振東を撃破した。林昀儒は例に漏れずサービスで先手を奪うと、入れるだけになることが多い樊振東の甘いレシーブを逃さずに3球目ドライブで決めた。林昀儒のサービスは長短がわかりづらいだけでなく、これでもかというほど相手の読みを外すコース取りが光る。そのサービスに惑わされた樊振東は得意のチキータができず、後手にまわっていた。

 また、林昀儒のフォアドライブは中国選手のような迫力あるスイングではないが、なぜか決定率が高い。
 林昀儒のフォアドライブのスイングを良く見てみると、インパクト時のボールの捉え方が良く、ロスが少ない。そのためバウンド後に伸び上がるような打球になるため樊振東はカウンターはおろかブロックもうまくできなかった。
 林昀儒のバックハンドはどんなボールに対しても強打ができ、樊振東のドライブも上から叩きつけるようなバックドライブで餌食になっていた。
 ここまで書くと林昀儒を褒めすぎだと感じるかもしれないが、今大会の彼のプレーを現地で見た者としては、決して大げさに書いているわけではない。それほど、この17歳の天才のプレーは衝撃的だった。

 前日の馬龍を倒した時と同様に優勝を決めてもガッツポーツはなく、うれしそうな笑顔も見せなかった林昀儒。今大会で一気に東京オリンピックでもメダル候補に跳ね上がったが、もしオリンピックでメダルを獲得したら、その瞬間に笑顔を見せてくれるのだろうか。
 そんな林昀儒だが、表彰式で司会者に何か言われて、一瞬だけ笑顔になった。あいにく中国語でのやり取りだったため意味はわからなかったが、17歳の青年らしさが感じられた。

 水谷、馬龍、黃鎮廷、樊振東という名だたる選手を破った林昀儒。今大会で林昀儒のプレーを連続写真で撮影しているので、そのプレーのすごさを技術特集として近く誌面で紹介できればと思う。

 女子シングルスは、守備的なプレーから脱却した朱雨玲が王曼昱の強打を跳ね返して優勝を飾った。
 朱雨玲は、これまでの両ハンドで相手の様子を伺いながらジワリジワリと戦っていくというプレースタイルから、早い段階でバックハンドで強打を仕掛けていくスタイルに変貌。特にバック側に打たれた相手のチキータやバックドライブを1本目からストレートに弾き返すバックハンドが光り、攻撃的なプレーを意識していることが伝わった。
 第一線から外されかけていた朱雨玲だが、今大会のプレーで東京オリンピックの代表争いをアピールできたのではないだろうか。

 3・4位決定戦に出場した加藤は、初対戦の丁寧にストレートで敗れた。
 「丁寧のドライブは回転があり、とても威力があって押されてしまった。ビデオなどで見て、想像していたよりも威力があった」と試合後に加藤が言うように、丁寧のドライブに終始押されてしまった。だが、敗れたとはいえ、男女とも日本勢が早々と姿を消す中、ベスト4入りは立派。加藤にとっても自信につながった大会だったはずだ。