スマホ版に
戻る

トピックス

トップニューストピックス
●鮮やかなラストスパート。1枚目の切符は伊藤美誠が獲得

 11月12〜17日に行われたITTFワールドツアープラチナ・オーストリアオープン。女子シングルスで優勝した伊藤美誠が、世界ランキングのランキングポイント「2250ポイント」を獲得。東京五輪・卓球競技の女子シングルス代表候補に選出されることが決定的となった。

 東京五輪・卓球競技のシングルス代表候補は、2020年1月発表の世界ランキング上位、男女各2名が選出される(団体戦に出場する残り1名は強化本部推薦)。伊藤はオーストリアオープンでの優勝で、2020年1月時点で有効な世界ランキングポイントが13510ポイントに到達。さらに11月21〜24日にシンガポールで行われるT2ダイヤモンドでは、初戦敗退でも400点のボーナスポイントが加算されるため、2020年1月時点で伊藤は最低でも13910ポイントを保持していることになる。

 これを追う世界ランキング10位の平野美宇は現在10295ポイント、8位の石川佳純は10230ポイント(いずれも2020年1月時点で有効なポイント)。両選手が年内に出場する国際大会はT2ダイヤモンド、ITTFチャレンジプラス・ノースアメリカンオープン(12月4〜8日/カナダ)、そしてITTFワールドツアー・グランドファイナル(12月12〜15日/中国)の3大会だけだ。3大会連続で優勝しても、平野と石川が上積みできる世界ランキングのポイントは最大2850ポイントで、合算すると平野13145ポイント、石川13080ポイントとなり、伊藤の13910ポイントには届かない。

 10月からのワールドツアー3大会で、優勝1回・準優勝2回と一気に世界ランキングのポイントを積み上げた伊藤。鮮やかなラストスパートでシングルス代表候補の1枚目の切符をつかんだ。2枚目の切符をかけた平野と石川の一騎打ちは、最終戦となる12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルまでもつれそうだ。

●張本もシングルスの切符は確定。残る1枚は水谷か、丹羽か

 日本男子で選考レースをリードしてきた世界ランキング5位の張本智和も、このオーストリアオープンで五輪シングルスの代表候補入りが確定した。オーストリアオープンではベスト16と成績を伸ばせなかった張本だが、2020年1月時点で有効な世界ランキングポイントは11375ポイント(T2ダイヤモンド出場での400ポイントを加算)となっている。

 張本を追うのは、世界ランキング11位の丹羽孝希と13位の水谷隼。2020年1月時点で有効なポイントでは、水谷が8425ポイント、丹羽が8365ポイントと僅差ながら水谷がリードしている。残る男子の大会は、T2ダイヤモンド、男子ワールドカップ(11月29日〜12月1日/中国)、ITTFチャレンジプラス・ノースアメリカンオープン、ITTFワールドツアー・グランドファイナルの4大会。このうち、水谷は男子ワールドカップの出場資格がなく、丹羽はT2ダイヤモンドとITTFワールドツアー・グランドファイナルの出場権を得られなかった。

 4大会中3大会に出場できる水谷が、その3大会すべてで優勝した場合、2020年1月時点で有効なポイントは11275ポイント。張本の11375ポイントには100ポイント届かない。この時点で張本は日本男子の上位2名以上に入ることが確定した。世界ランキング5位でITTFワールドツアーでも好位置のシードをキープし、要所で着実に成績を残してきた張本。ITTFワールドツアー・グランドファイナルで2連覇を果たし、東京五輪に向けてさらにランキングを上げていきたい。

 一方、男子シングルス代表候補の残る1枚の切符については、まだ流動的な部分もある。現時点では、獲得したポイントをそのままボーナスポイントとして加算できるT2ダイヤモンドに出場でき、なおかつ12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルの出場権を得ている水谷が優位。しかし、オーストリアオープンの決勝トーナメント進出決定戦で、試合中にいら立ちからラケットを放り投げた王楚欽が、中国卓球協会から3カ月の大会出場停止の処分を受けるという「事件」が起きた。

 王楚欽はT2ダイヤモンドの出場選手であり、ITTFワールドツアー・グランドファイナルの出場者(全16名)を決めるスタンディング(ITTFワールドツアーのポイントランキング)でも7番目につけていた。王楚欽の両大会への出場がキャンセルになった場合、特に日本選手への影響が大きいのはグランドファイナルだ。スタンディングでは水谷が16番目で出場枠にすべり込み、丹羽が18番目で出場を逃す形だが、王楚欽が欠場すれば17番目の黄鎮廷(香港)が繰り上がり出場。あとひとり欠場者が出れば、丹羽は出場枠に入ることができる。ITTFチームワールドカップで予選2試合の出場に留まった馬龍(中国)など、故障や体調不良で欠場者が出る可能性はゼロとは言えない。まずは今週行われるT2ダイヤモンドの結果に注目だ。