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 現在、ポルトガル・ゴンドマルで行われている東京五輪・卓球競技の世界団体予選。1月23日、女子第1ステージの代表決定戦8試合のうち4試合が行われ、ポーランド、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、シンガポール、ハンガリーが五輪団体戦への切符を手にした。世界団体予選では男女各9チームが五輪団体戦の出場権を獲得し、団体戦に出場する全16チームが決定する。

 一方、順当に代表切符を手にすると思われていた韓国は、代表決定戦で北朝鮮に当たるという厳しいドローになり、1−3で惜敗。代表決定戦で敗れた8チームがトーナメントを行う第2ステージに回った(勝ち抜いた1チームのみ代表権獲得)。実は大会直前の1月18日、韓国女子は昨年12月に辞任した劉南奎監督の後任として、秋教成(94年アジア競技大会・男子複優勝)が監督に就任。新体制は苦難の船出となった。

 北朝鮮戦に出場した韓国女子のメンバーは、徐孝元・崔孝珠・申裕斌。エース格の田志希が、この重要な五輪団体予選に出場していないのには理由がある。五輪団体予選は良いシードを獲得するため、世界ランキングが高い選手を出場させるのが基本だが、劉南奎・前監督は世界ランキングではなく国内選考会で代表選手を選出。田志希は選考会での成績が振るわなかった。

 このことに不満を抱いた田志希は、劉南奎・前監督に抗議。その時の会話を録音し、韓国卓球協会に提出した。日頃から劉南奎・前監督による「パワハラ」に当たる言動もあり、田志希や梁夏銀ら一部の代表選手は不満を募らせていたようだ。結局、昨年12月に劉南奎は監督を辞任。騒動の渦中にある田志希も、五輪団体予選への協会推薦枠を得ることができず、韓国女子は大幅な戦力ダウンを強いられている。

 卓球が初めて五輪競技に加わった1988年ソウル五輪の男子金メダリストで、韓国卓球界のシンボルとも言える劉南奎。しかし、指導者としては韓国男子チームの監督職も就任と辞任を繰り返し、今また女子チームの監督の座からも降りることになった。初の自国開催となる世界選手権団体戦・釜山大会を前に、内紛を繰り返す負のスパイラルから抜け出せない韓国卓球界。韓国卓球協会の若きトップ、柳承敏会長のリーダーシップに期待するしかなさそうだ。
  • 昨年11月のチームワールドカップで、韓国女子のベンチに入った劉南奎・前監督