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平成29年度全日本選手権速報

 男子シングルス決勝で2−4で敗れ、10回目の全日本選手権優勝はならなかった水谷隼。表彰式後の会見で、「1ゲーム目が本当に大事だと思っていたけど、そこを落として相手に流れがいってしまった。張本は思いきってやってきたのに、むしろ僕のほうが縮こまっていた」と試合を振り返った。

 「フォアサイドに来るチキータやバックハンドでの攻撃は想定していたけど、想定を上回っていて、最後まで対応できなかった。5ゲーム目は追い込まれていたので開き直ってやれたけど、6ゲーム目にはまた勝ちたいという気持ちが出てしまって、リラックスしてプレーできなかった。
 張本は一つひとつの技術の精度や、フォアハンド・バックハンドの威力が上がっている。ぼくも守っているだけでは勝てない。
 決勝で勝てなかった悔しさはありますけど、自分のプレーは出し切ることができました。12年連続で決勝にいくことができて、張本とやることができたのはうれしさもある。今回の全日本が本当に自分にとってのスタートなので、これをバネにまた頑張っていきたいです」(水谷)

 水谷の会見では、張本のプレーや印象についての質問が集中した。その質問に対して、水谷は冷静にプレーの印象を語り、飾ることも強がることもなかった。敗れたとはいえ、王者らしい態度を見せた。
 「今日試合した感じでは、今までたくさん中国選手とやってきましたけど、彼らと同じレベルにあると感じました。今日の彼のプレーが特別なものではなく、普段どおりの実力なら、これから何回やってもボクは勝てない。一番脅威なのはやはりバックハンド。最近世界でもバックハンドがうまい選手が台頭しているけど、張本のバックハンドは中国の樊振東と同等に脅威だと思う。
 バックハンドはぼくのフォアへ逃げていくし、それ自体を返せなかったり、やっと返しても次で決められる。打球点もコースも厳しく、間違いなく世界トップレベルの技術です。今日の張本は去年の全日本選手権や、世界選手権よりも数倍強かったし、僕以外の日本選手も勝てないですね」

 「純粋に、張本が出てくる前に自分がたくさん優勝しておいて良かったと思いました。今まで全日本選手権で数十試合やってきて、一番しんどい試合でした」。会見の終盤ではそんな言葉も飛び出した水谷だが、時に日本男子の中で孤軍奮闘の感もあった彼が、若きライバルの出現を歓迎しているという雰囲気も感じられた。本人も語っているとおり、2020年東京五輪に向け、ここからリスタートだ。