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卓球ワールドカップ団体戦

 日本男子チームに、謝らなければいけない。ドイツ戦トップのダブルスで丹羽/吉村ペアが敗れた時点で、日本の勝利をイメージするのは難しかった。残るシングルス4試合、ドイツはオフチャロフの2点とボル、そしてフランチスカ。この4試合で3勝をもぎ取るのがどれほど困難か、卓球ファンならお分かりだろう。しかし、日本はラストにすら持ち込ませず、2番から3連勝で準決勝進出を決めてみせた。恐るべき底力だった。

 「ぼくらは1回負けているし、向かっていくだけという点では優位でした。逆にドイツは日本が下に入ってくるのは嫌だったんじゃないですか。選手たちも一度負けて吹っ切れて、今日は昨日より良いプレーを見せてくれた。明後日、中国とできるのが楽しみです」。ドイツ戦後のミックスゾーンで、倉嶋洋介監督は語った。「このままドイツに負けたら、嫌なイメージのままで東京五輪を迎えていた。今日ドイツに勝って、それを払拭できて良かった」(倉嶋監督)。本当にそのとおりだ。

 欧州の盟主から2勝をもぎ取った張本のプレーは、シニアの日本代表として戦う団体戦ではベストのものだろう。「今日は勝ったのを素直に喜びたいですけど、反省もしっかりやりたい。水谷さんがいない中、厳しいドローでもメダルが取れたのは大きな自信になりました。誰が抜けても日本は強いんだと示すことができた」(張本)。試合後、時間が経っていたためにその口調は冷静だったが、語る言葉の一つひとつが力強かった。

 そして今日の殊勲者は、何と言っても吉村真晴。大舞台での強さに加え、団体戦でチームに流れを引き寄せてしまうこの「陽」の力は一体何だろう。ムードメーカーとしての吉村真晴の存在感は、唯一無二のものだ。以下は吉村のドイツ戦後のコメント。

「ぼくはもともと3番で、フランチスカに当てるオーダーでした。フランチスカには今年の香港オープンでも4−0で勝っているし、苦手意識はない。フランチスカも調子良さそうに見えたんですけど、3番には出てこなかったですね。ボルが3番だということがわかって、短い時間でもしっかり調整することを心がけた。
 今大会は智和が2点起用で、エースの自覚を持ってプレーしてくれている。ぼくと孝希のダブルスがしっかり勝って、智和が2点取るのが理想なんですけど、今日はサプライズでぼくがボルに勝てたということですね。3ゲーム目を落としていたら、もっとサービスに慣れられて、粘られていたかもしれない。サービスは効いていたし、自分のフォアドライブで攻めきれるというイメージを持っていた。」(吉村)

 「初戦(イングランド戦)で負けたことで冷静になれた。自分が弱いんだと改めて認識して、そこからチャレンジャーになれたのは非常に良かった。次の中国戦はぶつかっていくだけです」と語る吉村。倉嶋監督が「ぼくの物差しでは計り切れない」という大舞台での強さを、中国戦でもぜひ見せてもらいたい。