スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 1月10日、42歳の誕生日を迎えた元国家チーム総監督の劉国梁。彼の誕生日と時を同じくして、中国国内では「劉国梁が卓球界に復帰できる望みは断たれたのか」という報道が流れた。その根拠となっているのは、国家チームに長年帯同しているCCTV(中国中央電視台)のアナウンサー、李武軍さんが「今日は劉国梁の誕生日、誕生日おめでとう!」と微博でつぶやいたのに対し、劉国梁が発したこんなコメントだ。

 「ぼくが国家チームの選手だった時も、選手からコーチに転身した時も、そしてコーチを引退したあとも、君はまだ走り続けている。この卓球という世界では、どうやらぼくは君に追いつけそうもないね……」

 「コーチを引退した」と自ら述べている劉国梁だが、昨年12月には王楠の夫である郭斌さんが微博で、ITTFワールドツアー・グランドファイナルで優勝した樊振東に対し、劉国梁が電話でアドバイスをしていたことを告白。その行為を疑問視する報道もあったが、卓球界との絆は断たれたわけではない。年が明けてからの協会側の「劉国梁カラー」を一掃しようとする動きを見ると、現場への復帰はしばらく難しいと言わざるを得ないが、中国共産党の上層部の体制が変われば復帰も可能か。

 ただ、まだ40代前半とはいえ、指導者として14年に及ぶキャリアと、国際大会での輝かしい成績を残してきた劉国梁。指導者としてはやるべきことはすべてやった、という気もする。昨年11月には郭斌・王楠夫妻とともに、山東省威海市でスポーツ・レジャーをテーマにした街の開発に乗り出し、「実業家に転身か」と騒がれたこともある。双子の娘さんのひとり、7歳の劉宇婕ちゃんはゴルファーとして頭角を現しており、本人の最大の関心事はこちらかもしれない。

 近々、国家チーム内では新しいコーチグループの体制が発表されると言われている。昨年6月、劉国梁が総監督の座を退任し、同時に監督1名・コーチ5名による国家1軍チームの管理体制を改編。「教練組(コーチグループ)」を設置して、よりフラットな管理体制を目指すと発表されたのだが、グループのチーフコーチが正式に発表されたことはない。
 中国オープンでのボイコット事件に加担した男子チームの秦志戩監督は、すでに国家チームを追われたという話も聞く。現状では男子は呉敬平、女子は李隼というベテランコーチが仮のチーフのような形になっているが、5月の世界選手権団体戦はどのような体制で臨むのか。こちらも注目が集まるところだ。
  • 昨年5月の世界選手権で、解放軍の後輩・樊振東にアドバイスする劉国梁