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中国リポート

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 昨日16日に終了したITTFワールドツアープラチナ・LIONジャパンオープン。5月末から中国、香港、そして日本で行われたワールドツアー3大会。中国チームは中国オープンとジャパンオープンには主力クラスをエントリー。合間の香港オープンは、主力クラスが札幌で調整合宿を行ったため、若手中心のエントリーとなった。

 毎年のことながら、世界選手権後のこの時期、世界代表の選手たちの状態はピーク時の50〜60%といったところ。その中で、ふたりのダークホースが飛び出した。香港オープンの女子シングルスを制した王芸迪(ワン・イーディ)と、ジャパンオープンで男子シングルス3位となった孫聞(スン・ウェン)。ともに遼寧省出身のふたりについて、少し紹介してみたい。

 すでに国際大会にも多く出場している王芸迪は、ダークホースと呼ぶのは失礼かもしれない。陳幸同と同じ1997年生まれで、陳夢・朱雨玲と王曼昱・孫穎莎に挟まれた世代だ。
 王芸迪の出身地は、馬龍や李暁霞、郭躍を輩出した「卓球の街」遼寧省鞍山市。しかし、小学校を卒業後に地元を離れ、江蘇省南通市にある中国卓球協会卓球学校に第一期生として入学し、13年全中国ジュニア選手権で3位に入って同校初の国家チームのメンバーとなった。15年世界ジュニアでは決勝で王曼昱に敗れて準優勝。その後、年下の王曼昱や孫穎莎が国際大会で頭角を現す中、17年全中国運動会ベスト4、18年全中国選手権団体優勝と主に国内大会で成績を残し、次第に国際大会にも派遣されるようになっている。

 打撃戦で一歩も退かない闘争心、左右に振られても体幹がブレないフィジカルの強さを備えている王芸迪。17年全中国運動会では雲南省に「転会(レンタル移籍)」して出場していたが、この大会での活躍がひとつの転機になったのではないか。あとは課題のカット打ちに加え、何かひとつ彼女にしかない武器が欲しい。

 一方、ジャパンオープンで吉村真晴、張本智和、李尚洙(韓国)、梁靖崑(中国)と強豪を連破した孫聞はまさにダークホース。181cmの堂々たる体躯からフォアのパワードライブを連発し、まさに「豪腕」というイメージだ。

 孫聞のプレーを初めて見たのも、17年全中国運動会。ジャパンオープンにも出場していた張煜東とのペアで男子複でベスト4に入ったが、中陣でフォアドライブを「ブン回す」姿に目を奪われた。「中国にもまだこんな大振りの選手がいるのか」「プレーが遅いし、シングルスでは厳しいだろうな」というのが当時の印象。ジャパンオープンでのプレーを見ると、バック系の技術がかなり進歩したように思える。

 孫聞は王楠や劉詩ウェンの出身地である遼寧省撫順市の出身。遼寧省で生まれ、ジュニア時代は湖北省代表としてプレーし、現在は江蘇省チームに所属。スーパーリーグでも江蘇中超電纜・利永に所属しており、昨シーズンは樊振東に2連勝するなど、チームの主力として活躍した。張本戦の後、「張本は気迫あふれるプレーをするから、彼との試合ではより気迫をみなぎらせて戦う必要があった」と語ったファイター。果たして二度目のチャンスは、与えられるだろうか?
  • 与えられたチャンスで結果を残した孫聞

  • 香港オープン優勝の王芸迪(写真提供:ITTF)