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 中国の無錫で行われているアジア選手権大会。女子団体では伊藤美誠、平野美宇、早田ひなで戦い、日本は準々決勝でシンガポールを、準決勝では韓国をともにストレートで破り決勝に進出。決勝では中国を相手に随所で互角のラリーを展開したが、0-3で敗れて準優勝となった。

 男子団体では準々決勝でインドに3-2と辛勝。大島祐哉が2点を落としたものの丹羽孝希が2点取り、準決勝に進出した。しかし準決勝の韓国戦では松平健太、丹羽、吉村が敗れてストレートでの敗退、決勝進出はならなかった。
(公財)日本卓球協会・名誉顧問で、元千葉県卓球連盟会長の重村旦(しげむら・はじめ)さんが、4月10日に逝去された。享年86。

 日本卓球協会では、平成8〜11年に専務理事を務め、副会長・名誉副会長を経て、平成18年から名誉顧問を務めていた。千葉県卓球連盟では平成19年から会長として県卓球界を牽引。91年世界選手権千葉大会では事務局長代理として活躍、裏方として大会の成功に尽力した。

  • 日本卓球協会の元専務理事、副会長を務めた重村旦さん(写真は2012年撮影)

 茨城県の日立市池の川さくらアリーナで開催された第26回日本リーグビッグトーナメント。男子は地元茨城県出身の吉村和弘(愛知工業大)、女子は田代早紀(日本生命)がともに初優勝を飾った。入賞は以下の通り。

【男子】
優勝:吉村和弘(愛知工業大)
準優勝:神巧也(シチズン時計)
3位:松下海輝(日鉄住金物流)、有延大夢(リコー)

【女子】
優勝:田代早紀(日本生命)
準優勝:石垣優香(日本生命)
3位:宋恵佳(中国電力)、加藤杏華(十六銀行)

 男子は吉村和弘が圧倒的な強さを見せて優勝をさらった。吉村は4月から契約メーカーが変わり、新しい用具(ラケット、ラバー)でのプレーとなったが、全日本2位の力を発揮して、社会人の強豪を連破した。チキータと両ハンドドライブにさらに磨きがかかり、「次は日本リーグでのいいプレーを見せたいです。そして、国際大会でも勝っていきたい」と話した。
 女子は田代早紀が安定感のあるプレーで優勝。今大会では左利き攻撃、ペン攻撃、シェーク攻撃、カットマンと異なる戦型と対戦したが、どのタイプにもしっかりと戦うことができるのが田代の強みだ。「ここ数年成績を出すことができなくて苦しかったですが、今大会で優勝できたことで、良い方向に向かいたいです」と優勝後に語った。
 今大会は雨にもかかわらず大勢の観客が詰めかけた。トップ選手たちの豪快なプレーに酔いしれた1日となった。
  • 男子優勝の吉村和弘

  • 女子優勝の田代早紀

  • 男子準優勝の神巧也

  • 女子準優勝の石垣優香

 オフィシャルサプライヤーになったとは言え、当初「ヤマト卓球は男子の公式ウエアサプライヤーが務まるのか? デザインは大丈夫だろうか?」と不安視する声もあったのは事実だ。落札すること以上に、代表チームをケアすることが難しいからだ。
 さらに4月に設立した「一般社団法人Tリーグ」に専念するために松下浩二氏はヤマト卓球の社長を3月いっぱいで降り、会長職になった。
 誰が引き継ぐのかという疑問が湧き起こる中で、スヴェンソングループが出した結論・・・それは2015年に兒玉圭司氏から社長を引き継いだ兒玉義則氏が、ヤマト卓球の社長を兼任するという決断だった。

 明治大卓球部では松下氏と同期で、名門・熊谷商高から明治大、日産自動車と進んだ一流卓球選手だった兒玉義則氏。スヴェンソンでのビジネス経験を生かしつつ、卓球メーカーだけの知見だけでなく、グループとしてのアイデア、知識、そして資金を使いながら改革を進めようとしている。

 日本代表ウエアも従来のプリント柄とは違うシンプルで男性的なデザインを披露し、これからさらにVICTASブランドのイメージや商品を変えていこうとしている。
 そして吉村和弘、松平賢二のトップ選手との契約も卓球関係者を驚かせた。しかも、名前だけでない、これらの選手がVICTASの用具を使えると判断してからの契約だと聞いている。獲得できるトップ選手に対しては好条件のオファーで一気に取り込む作戦だろう。
 また、4月1日のウエア発表会で「男子金メダルへの1億円の報奨金」をサプライズで公表するなど、従来の卓球メーカーにない動きを見せている。
 日本代表公式ウエア発表という記事になりにくい会見で、いきなり「1億円の報奨金」と発表し、メディアの驚きと注目を誘った。狙いどおり、翌日の各紙はこぞってこの話題を記事にした。「広告効果」抜群の発表であった。

 卓球メーカーとして超優良企業であるタマスがオフィシャルサプライヤー(日本代表ウエア)の入札で敗れ、トップ選手がアドバイザリー契約から離れている現状を考えると、手堅い経営ではあるが、ブランディングという意味においては、バタフライという「絶対的ブランド」を 追いかけているのは、「過激なVICTAS」だ。
 特にオフィシャルサプライヤーになってからは、卓球以外の人からの知恵を入れ、新しいイメージ作りを図ると同時に卓球市場やメディアにサプライズを提供し続けている。

 今後、ヤマト卓球が視野に置くのは世界戦略だろう。
 国内売上げでタマスと肩を並べたとは言え、世界市場では圧倒的な差をつけられている。ヨーロッパや他のアジアではVICTASブランドは浸透していないし、ヤマト卓球の売上げも微々たるもの。タマスが時間をかけて築いてきた世界市場でのイメージと市場を崩すのは並大抵の努力ではできない。
 ヤマト卓球が国内市場での戦略を海外でどう転換できるのかに注目が集まる。そこにはお金だけでは解決できない、「人材」と「商品力」という大きな壁が立ちはだかっている。 (今野)

  • 全日本2位の大物・吉村和弘と契約したヤマト卓球(写真は兒玉社長)

 「オフィシャルウエア落札」「1億円の報奨金」・・・日本の卓球市場をここ1年、2年、ヤマト卓球が突き動かしている。
 2010年に現役を引退した卓球界のレジェンド、松下浩二氏が社長に就任。その背景には松下氏の後見人とも言える明治大卓球部総監督の兒玉圭司氏の存在が大きかった。兒玉氏はヘアケアビジネスのスヴェンソンの創業者であり、当時の社長(現会長)だった。
 経営状況が困難だったヤマト卓球を買収し、スヴェンソングループの傘下に置き、松下氏が同時に社長に就任したのが『ヤマト卓球再起のストーリー」の始まりだ。

 ビジネス経験に乏しかった松下氏だったが、抜群の知名度でトップセールスを行い、ヤマト卓球をV字回復させ、売上げを倍増させた貢献は大きい。また社長就任1年後に、元もとのTSPブランドとともに高級路線のVICTASを立ち上げた。
 問屋、ショップへの高めの出荷価格(大幅なの値引きの抑制)、自身のブランド(たとえば松下浩二ラケット)のイメージアップを計る戦略だった。これはバタフライのやり方にも共通したものだったが、いかんせん商品力が弱かったのは否めず、爆発的な売上げの伸びは見られなかった。ユーザーからもTSPとVICTASの差別感がわからないという声が挙がっていた。
 とはいえ、会社全体としては順調に売上げを伸ばしつつ、国内での卓球メーカーの売上げはタマス(バタフライ)、日本卓球(ニッタク)、そしてヤマト卓球がほぼほぼ横一線になっている。

 そして、昨年1月に五輪代表の丹羽孝希(スヴェンソン)と新規契約を結んだヤマト卓球。トップ選手はタマスと契約し、テナジーを使うという卓球界の常識をまずここで覆した。これは元チャンピオンの松下氏の手腕と選手からの信頼度によるところが大きい。 そして、昨年の「日本代表のオフィシャルサプライヤー(ウエア等)」の入札では、破格の金額を提示し、日本男子のサプライヤーをヤマト卓球が獲得。しかし、その背景にはスヴェンソングループの資金面でのバックアップがあった。
 このあたりから卓球市場の流れは変わり始めていった。(続く)(今野)

  • 2010年1月に社長就任を発表した松下浩二氏とスヴェンソンの兒玉圭司社長(当時)

「一般社団法人Tリーグ」設立の会見での星野氏、松下氏とのメディアとの質疑応答は以下の通りだ。

Q シーズンは?
松下 1シーズン目は2018年の9月か10月にスタートして、翌年の4月まで。中国の超級リーグは世界選手権の後なので、それをはずして9月か10月に始めて、世界ランキングでトップ10に入るような中国選手をリーグに招聘したい。試合方式は案として、世界選手権方式か五輪方式で3人で戦うものを考えています。

Q トップ選手には声掛けをしているのですか? それと実業団リーグ(日本リーグ)の反応はどうでしょう?
松下 すでに声をかけている選手もいます。こちらも具体的に徐々に固まってきているので声をさらにかけていきたい。日本リーグに対しては、現在はよい方向に進んでいると思います。日本リーグ関係者もすべての会議に参加していただいている。プロ・アマ関係のない組織なので門戸を開いています。日本リーグの企業チームにもT1かT2に参加していただける形を協議しています。

星野 日本リーグの理事会が6月にあるので、そこで話し合いをすると聞いています。今の段階では参加するかどうか決まっていないと思います。

Q 今あえてTリーグを立ち上げるメリットとは何ですか?
松下 短期的には2020年(東京五輪)ですけど、長期的な卓球界を考えてTリーグを立ち上げます。Tリーグで育った選手がナショナルチームで活躍してほしい。低年齢層の選手を育てて、レベルを上げていく。世界の2番ではなく、1番を狙うための事業になると思っています。
 今海外に出て行く選手が多い。日本の中でそれだけの練習環境やお金を稼げる場がない。しっかりとした環境の中で卓球をすることで層を厚くしたい。国内に強いリーグがあれば海外に行く必要はない。海外との往復をする時間のロスも防ぎたい。
 T1であれば選手はクラブを拠点にしてNT合宿以外ではそこで練習できるし、海外の選手は試合の時だけ来るケースもあるかもしれないし、ある程度日本に滞在してプレーする選手もいると思う。

星野 1980年代からホープスの全国大会が始まりましたが、88年の五輪に卓球が参加した当初から、ホープスのチャンピオンが五輪代表になれない状況があった。協会として2000年前後から文部省が掲げた一貫指導カリキュラムやJOCが掲げていたゴールドプランと呼ばれる、指導者の養成や一貫指導のプログラムを活用してきましたが、もっと地域で盛り上げる、地域を発展させていくための仕組みを作りたい。その一端がこのTリーグになると思います。
 リーグとして海外の選手を招聘することも考えています。プロ的な興行と地域貢献、卓球の振興の両方を実現させるのがTリーグ構想です。

Q 日本リーグ(実業団)がもし参入する場合はTリーグに吸収される形になるのでしょうか?
星野 日本リーグが段階的にTリーグに入ると考えるのか、部分的に入ると考えるのか、あるいは18年にスタートする様子を見てから参戦するのか、いくつかのパターンがあって、現時点では日本リーグの主体性を見守りたいと思っています。

Q Tリーグ構想を発表してから、どういう反応ですか?
松下 12月の理事会での発表後に全国各地で前向きな反応をいただいています。子どもたちに夢を与えることができますから。また、いくつかの企業でも興味を持っていただけています。反響はあったと思います。もちろん心配している声も聞こえていますが、それも応援の裏返しだと思っています。これからTリーグに必要な人材を雇用して事業をすすめていきたい。

Q 予算規模はどうですか?
松下 選手は6名ほどで、それに監督とコーチ。スタッフも入れ、トップ選手への報酬や人件費、試合の運営費など諸々の経費を含めた運営の予算規模は2億円です。すでに始まっているBリーグが参考になっています。

Q このTリーグの法人自体の予算は?
星野 今年はリーグは立ち上がらないので、初年度の活動は卓球協会が予算を組んで支援する形です。

松下 本来はクラブが自立して運営したり、スポンサーを集めなければいけないが、開幕まで1年と少ししかないので、リーグが主体となってスポンサーを集めることや世界のトップ選手に声をかけることをやらなければいけないかもしれない。シングルエンティティ(単一事業体)と呼ばれるリーグ主導の形を取り入れながら、分配していく方法を考えています。
 仮に男女4チームずつだと合計8チームでそれぞれが2億円から2.5億円なので合計で16億円以上になって、リーグ自体の活動費が2億円から2.5億円なので18億円から20億円ほどの事業になる。そのお金をクラブとリーグが協力し合って作っていかないといけない。

* シングルエンティティ (single entity)=リーグ機構とチームを実質的にひとつの会社とし、そしてリーグに所属するチームを各部署とみなす運営方法。そのため、社員が部署ではなく会社と契約するのと同じように、選手はチームではなくリーグ機構と契約する。日本においては、bjリーグや大相撲が実質的にシングルエンティティを形成している

*Tリーグ構想の詳細は卓球王国5月号(最新号)でも特集しています


  • 松下浩二理事

  • 星野一朗理事

「一般社団法人Tリーグ」設立に関して、星野氏、松下氏の会見でのコメント。
 まず冒頭に星野理事のコメント。
「卓球は比較的、するスポーツでしたが、支えるスポーツ、見るスポーツという面にも波及させながら振興を図っていきたい。これまでのサッカーやバスケットボールにあったような、プロかアマかのリーグということではなく、新たなTリーグというプロもアマもないリーグの構想を育てていきたい。
 今後、数年間かけて既存の組織とも連携させていくことも想定しています。T1ののチームが自前で下部組織を設けなさいということではなく、現状ある組織と連携を図ってもらいたい」

松下浩二理事のコメント。
「T1リーグを来年の秋に開幕させたい。そこから下のリーグに下ろしていきたい。T1は男女4から6チームの構成を目指し、世界ランキング10位以内の選手がこのリーグでプレーしてほしい。それによって日本の選手と交わり、レベルを上げていく。
 そしてプロフェッショナルな興行を目指しつつ、卓球を知らない一般の方々にも卓球の試合に足を運んでほしい。
 1日24時間練習に打ち込める環境を整えると同時に、3歳から6歳までの子どもたちが卓球を始める環境を整え、リーグとして育成していく。地域と密着して、地域が活性化していくことを期待したい。同時に、卓球は何歳でもできるスポーツなので地域の中で健康増進に卓球を役立ててほしい。この点は他のリーグと形態は違っています。
 他の国のリーグとも提携し、アジアチャンピオンズリーグを将来的に作っていきたい。
 すべての卓球愛好者が160万人と言われていますが、 将来的に、10年後、20年後に200万人の規模にして、そのすべての人をピラミッド型のTリーグに取り込めるようにしたい。今日はその出発の第一歩です」
 4月3日、午後3時から東京の岸記念体育館会議室にて、「一般社団法人Tリーグ」設立の記者会見が開かれた。会見の出席者は設立時の理事である星野一朗氏(日本卓球協会専務理事)と松下浩二氏。以下は同リーグからの資料。

・法人名称 一般社団法人Tリーグ
・設立日  2017年3月30日
・設立時社員 公益財団法人日本卓球協会
       星野一朗
       松下浩二
・設立時理事 藤重貞慶(代表理事・日本卓球協会会長)
       星野一朗
       松下浩二
・設立時監事 栗山貴行

<Tリーグが目指すこと>
・プロ・アマの区別無く参加できるリーグとします
・世界のトッププレーヤーが最高のパフォーマンスで、人々を惹きつけます
・興行性を重視したプロフェッショナルな運営を行います
・世界一になるプレーヤーを輩出することを目指します
・世界のトッププレーヤーが目指すリーグとなることを目指します
・日本卓球協会の傘下団体として、卓球界の強化、普及、育成に貢献します

<今後のスケジュール予定>
2017年夏 チーム参加条件の決定、募集開始
2017年末 初年度参加チーム決定
2018年秋 Tリーグ開幕

<藤重代表理事からのコメント>
 様々な議論を経て、一般社団法人Tリーグが設立されました。これから具体的な準備を加速していきます。日本のスーパースターと世界のスーパースターが最高の技を競い合う卓球のプロフェッショナルなリーグを目指していきたいと思います。
 また舞台は日本にとどまらず、アジアを、世界を対象にして活動していきたいと思います。
 Tリーグの充実により、日本卓球界のさらなる強化、振興、発展を目指します。皆様のご支援をお願いしますとともに、Tリーグの成功をご期待ください。
  • 左が星野一朗氏、右が松下浩二氏

 3月29日〜4月2日にタイ・バンコクでITTFチャレンジ・タイオープンが開催され、男子シングルスで上田仁(協和発酵キリン)が、女子シングルスで佐藤瞳(ミキハウス)が優勝を遂げた。また、男女ダブルス、男女アンダー21の4種目でも日本選手が優勝。日本が6種目全てを制覇し大会を終えた。

 男子シングルスで上田は準決勝で朴廷宇(韓国)とのゲームオールの接戦を制し決勝へ進出。決勝ではベテランのガオ・ニン(シンガポール)を4-1で下しツアー初優勝を飾った。上田は男子ダブルスでも松平賢二(協和発酵キリン)とのペアでガオ・ニン/パン・シュエジエ(シンガポール)をストレートで下し優勝。大会2冠を達成した。

 女子シングルスでは佐藤が前回のベラルーシオープンに続きツアー2連覇を達成。決勝ではダブルスのパートナー・橋本帆乃香(四天王寺高)を下し今季2勝目を上げた。女子ダブルスでも決勝で杜凱琹/麥子詠(香港)をストレートで下し優勝を決めた佐藤/橋本。上田と同様に佐藤も大会2冠を獲得した。

 アンダー21でも坪井勇磨(筑波大)と芝田沙季(ミキハウス)がタイトルを獲得した。
 
 優勝と日本選手の上位記録は以下のとおり。

【ITTFチャレンジ・タイーオープン記録】
●男子シングルス優勝:上田仁
●女子シングルス優勝:佐藤瞳 2位:橋本帆乃香
●男子ダブルス優勝:松平賢二/上田仁
●女子ダブルス優勝: 佐藤瞳/橋本帆乃香
●男子アンダー21優勝:坪井勇磨 3位:郡山北斗
●女子アンダー21優勝:芝田沙季 2位:安藤みなみ 3位:塩見真希
 日本のプロ選手契約に異変が起きている。
 男子において、『テナジー』というモンスターラバーを武器にトップ選手を総取りしていた「バタフライ」(タマス)。選手は他のメーカーと契約したくても、『テナジー』から離れることが難しかった。国内外でもタマスとの契約ではないのに『テナジー』を使用している選手がいるのも事実だ。
 しかし、昨年1月に元全日本チャンピオン、世界ランキング10位代の丹羽孝希(スヴェンソン)がヤマト卓球と契約し、VICTASのアドバイザリースタッフになってから業界の風向きが変わってきた。

 そして、ここに来て、吉村和弘、松平賢二という国内の大物選手がヤマト卓球と契約することになり、他社も「うちにも契約できる可能性があるかも」と思うだろうし、丹羽以来の契約の流れが、選手と卓球メーカーとの契約金を高騰させることになっていくだろう。
 契約金の金額はメーカーと選手との守秘義務により明かされないが、選手同士は「阿吽(あうん)の呼吸」でそれとなく金額を推測できるものだ。プロ選手であれば、使用できる用具があるのであれば、好条件のメーカーとの契約を模索するのは当然のことだ。

●最近のトップ選手の契約メーカー移籍(ブランド名で表記)
丹羽孝希 バタフライ→VICTAS
張本智和 ヤサカ→バタフライ
吉村和弘 バタフライ→VICTAS
松平賢二 バタフライ→VICTAS
森薗美咲 ニッタク→ミズノ

 ただし、昨今、契約を複雑にしているのは、アドバイザリー契約でありながら「ウエアは着用するけど、用具は使えません」もしくは「ラケットは使えますがラバーは勘弁してください」「シューズだけは他社と契約したい」という要望を選手が出すケースだ。依然としてラバーの『テナジー』やミズノやアシックスのシューズが選手の支持を得ている現実が一方である。
 そういう意味では4月1日付の吉村と松平の契約は卓球市場を動かしていくきっかけになるかもしれない。 (今野)
  • 吉村和弘、松平賢二、昨年契約した丹羽孝希と写真に収まるヤマト卓球・兒玉社長