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 樊振東(中国)の男子シングルス優勝を持って幕を閉じた、中国・鄭州で行われたITTFワールドツアー・グランドファイナル(12/12〜12/15)。日本選手では女子ダブルスの木原美悠/長﨑美柚が初出場、初優勝という快挙を達成し金メダルを獲得。また、混合ダブルスでは水谷隼/伊藤美誠が決勝で許シン/劉詩ウェン(中国)にゲームカウント2-0から逆転でタイトルは逃したが銀メダルを獲得した。
 白熱した戦いの模様は卓球王国2020年3月号(1月21日発売)に掲載します。お楽しみに!

各種目の上位の結果は以下のとおり。
 
■ITTFワールドツアー・グランドファイナル結果
● 男子シングルス
優勝:樊振東(中国)
2位:馬龍(中国)
3位:林高遠(中国)、許昕(中国)

● 女子シングルス
優勝:陳夢(中国)
2位:王曼昱(中国)
3位:伊藤美誠(日本)、王芸迪(中国)

● 男子ダブルス
優勝:樊振東/許昕(中国)
2位:廖振珽/林昀儒(チャイニーズタイペイ)
3位:梁靖崑/林高遠(中国)、ボル/フランチスカ(ドイツ)

● 女子ダブルス
優勝:木原美悠/長﨑美柚(日本)
2位:田志希/梁夏銀(韓国)
3位:孫穎莎/王曼昱(中国)、陳思羽/鄭先知(チャイニーズタイペイ)

● 混合ダブルス
優勝:許昕/劉詩雯(中国)
2位:水谷隼/伊藤美誠(日本)
3位:林昀儒/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)、黃鎮廷/杜凱琹(香港)

ITTF大会サイト
https://www.ittf.com/tournament/5013/2019-ittf-world-tour-grand-finals/

 坂本龍馬の妻・おりょうさんが眠る神奈川県横須賀市大津町。第5回となる「〜おりょうと龍馬の〜 全日本わらじ卓球大会」が令和2年2月2日(日)に神奈川・横須賀市大津行政センターで今年も開催される。仮装も大歓迎!という大会。前日の1日(土)には「わらじ卓球体験会」も開催される。お近くの方、興味のある方はわらじ卓球に挑戦してみよう!

★第5回〜おりょうと龍馬の〜 全日本わらじ卓球大会
■日時:令和2年2月2日(日)10〜14時
■開催場所:横須賀市大津行政センター2階体育室
■種目:ダブルス(男女問わず)
■参加費:1ペア1,000円(保険料含む)
■参加資格:小学生以上(卓球初心者大歓迎!)
■申し込み方法:往復はがき又はメールで①代表者の住所・氏名・年齢・電話番号②参加者の氏名・年齢③ペア名(フリガナ)④仮装の有無 を記入しお申し込みください
※ メールでのお申し込みには受付確認メールを返信いたします。
■ 申し込み/問い合わせ先:
〒239-0808 神奈川県横須賀市大津町3-34-40
大津地域運営協議会・わらじ卓球係(大津行政センター内)
TEL. 046-836-3531
Eメール. ota-ci@city.yokosuka.kanagawa.jp
■ 募集人員:32組(64名)※定員を超えた場合は抽選
■ 申し込み締め切り:1月10日(金) 
※期限後も定員に達していない場合は参加可能ですのでお問い合せください
※ わらじ卓球体験会は2月1日(土)18〜20時に開催

●男子シングルス決勝
樊振東(中国) 6、10、6、−6、8 馬龍(中国)

 男子シングルス優勝は樊振東、馬龍に4−1で快勝!!

 一時期はフォアハンドの強化に重点を置き、バックサイドのボールを強引に回り込んで打球点が落ち、攻めが遅くなっていた感のある樊振東。昨年のグランドファイナルではカルデラノに敗れるなど、外国選手にも多くの敗戦を喫したが、今大会のプレーの充実ぶりは目を見張るものがあった。試合の序盤から、非常に打球点の早いバックストレートへのバックドライブを連発し、3球目でもバック対バックでも、馬龍のフォアサイドを何度も抜き去る。全盛期ほどの動きの幅はないとはいえ、抜群のフットワークを誇る馬龍のフォアをこれだけノータッチで抜けるのは樊振東ならでは。久しぶりに伝家の宝刀の切れ味を見た。

 馬龍としては10−8でゲームポイントを握った2ゲーム目を取っていれば、接戦に持ち込めたはずだが、ここを10−12で落としたのが大きく響いた。そして印象的だったのが3ゲーム目の3−2と馬龍がリードした場面。バックサイドに来るドライブを、馬龍が横回転を入れた「ワイパースイング」のバックブロックで、樊振東のフォアに返球。樊振東のミスになるか、ノータッチで抜けるかという場面だったが、樊振東は目にも留まらぬ前陣での飛びつきで、フォアクロスに打ち返して得点。この前陣でのフォアへのフットワークも、間違いなく改良されたポイントだ。

 馬龍としてはバックハンドで何度もフォアを抜かれるため、バックサイドへのボールに対してもどうしても反応が遅れる。回り込みの手数が減り、らしからぬバックドライブのミスが多かった。4ゲーム目は馬龍が11−6で奪い返したが、5ゲーム目は樊振東が馬龍のフリックに対してもカウンターを連発し、11−8で優勝を決めた。

 試合後の表彰式で中国卓球協会の劉国梁会長からトロフィーを受け取った時、「この調子で頑張れ」と声をかけられたという樊振東。優勝会見で「試合前から十分な準備をしてきたし、試合中にどのような困難に対して、どのように立ち向かっていくかを自分に言い聞かせていた。勝つことができてうれしい。今年は自分にとって特別な1年になった」とコメント。東京五輪の団体メンバー入りもほぼ当確で、あとは許シンとシングルスの座を争うことになりそうだ。

 一方、馬龍は敗れたとはいえ、貫禄の強さで決勝まで勝ち上がった。「2020年に向けては中国卓球協会とコミュニケーションを取りながら戦略を立て、東京五輪でベストの結果を残すつもりです」と最後のビッグゲームに向けた抱負を語った。
●女子ダブルス決勝
木原美悠/長崎美柚 10、6、6 田志希/梁夏銀(韓国)

 木原/長崎ペア、韓国ペアをストレートで下してグランドファイナル初出場・初優勝!

 オーストリアオープン、世界ジュニア、そしてワールドツアーグランドファイナルと圧巻の3大会連続V。この決勝も、6−9とリードされた1ゲーム目を12−10で奪ってからはまさに「電車道」。試合を通じて、木原のレシーブと両ハンド強打が猛威を振るった。自在にコースを打ち分け、威力あふれる木原の両ハンドに、韓国ペアが返球できたシーンは数えるほど。効果的にストレートへのボールを混ぜる木原の攻めに、完全に足を止められた。3ゲーム目の9−6では、木原が強烈なフォアフリックでレシーブエースを奪い、田志希が苦笑いを浮かべるほど。競るとうるさい韓国ペアをストレートで料理した。

 コートに入る時も試合中も、ずっと笑顔を浮かべていたふたりのプレーは、まるで卓球界のスマイルシンデレラ。木原はその理由について中国メディアに尋ねられ、「笑顔を浮かべていると緊張が和らぐので、意識的にやっています」とコメントした。

 世界ジュニアの決勝でも中国ペアをストレートで一蹴し、優勝したふたり。中国チームの首脳陣も「あのペアは強すぎる、勝てない」とその強さに舌を巻いたと大会後に聞いた。それにしてもグランドファイナル優勝まで一気に駆け上がるとは驚きだ。以下は優勝後の囲み会見でのふたりのコメント。

長崎「(3大会連続優勝ですが)正直信じられないので、だから自信がつくというより、試合の中でのひらめきとかが経験値につながっているかなと思います。1ゲーム目は今までだったらリードされたら、消極的になったり単調になってしまったけど、世界ジュニアで学んだのは中国選手に同じことをしていたら絶対に勝てないということ。必ず変えていかなきゃいけないし、それが今大会でも生きて、大事な場面で思い切ったプレーをしたことによって良い流れをつかむことができたかなと思います」

木原「ダブルスでは自分はすごく自信がついています。前にドイツオープンで(田志希/梁夏銀に)負けた時は、自分たちの思い通りのプレーができないことが多くて、少し困っていた。今回のグランドファイナルでは、1ゲーム目から自分たちが思っていたプレーができて、良い流れになって勝ったという感じです。(オリンピックへの思いについては)2020年は少し難しいですけど、2024年のパリでは絶対に出るという意識を日々持って、練習していきたいです」
 今大会、卓球界初のビデオ判定が導入されることが大会前に発表された。審判の判定に対して選手は2回まで、ビデオ判定による「チャレンジ」を要求することができ、成功すれば回数は減らない。

 大会を通じて、選手がチャレンジを行った回数は決して多くはない。女子シングルス準々決勝の劉詩ウェン対陳夢戦でエッジかサイドかのチャレンジが一度あったが、その他はほとんどがサービスへの判定に対するもの。トスの高さが16cm上がっていない、トスが斜めに上がっている、頭や腕でボールを隠しているなどの理由でてフォールトを取られた時だ。

 ちなみに馬龍は「頭でサービスを隠している」として2回フォールトを取られ、そのたびにチャレンジして2回とも「UNSUCCESSFUL」(チャレンジ失敗)の判定。厳密に言うと、多くの選手がフォールトに該当するのかもしれないが、馬龍は特に頭から突っ込むようにサービスを出すフォームなので、フォールトを取られやすいのだろう。

 今大会はビデオ判定は試験的な導入。大会前半のコートが2台の時は、第1コートにしかビデオ判定の設備がないため、公平ではなかった部分もあるが、歓迎されるべき試みだ。
●女子シングルス決勝
陳夢(中国) 9、6、6、−9、6 王曼昱(中国)

女子シングルス優勝は陳夢!
17年アスタナ大会、18年仁川大会に続く3連覇を達成。劉詩ウェン(11〜13年大会)に並ぶ連続優勝のタイ記録だ。

 準決勝の伊藤戦でも、バック対バックでの多彩なバックハンド技術が光っていた陳夢。バックが強い王曼昱にもバック対バックでチャンスを作ると、長身の王曼昱のフォアを突くストレートへのバックハンド、そして電光石火の回り込みドライブがノータッチで抜ける。台上に浮いたボールに対するバック強打にも迷いがなかった。1ゲーム目3−7のリードから9−9に追いつかれたが、11−9で振り切り、2ゲーム目も7−1、9−3とリードを広げて11−6で奪取。3ゲーム目も台上からのバックハンドが冴え、5−6から6点連取で優勝に王手をかける。

 王曼昱も4ゲーム目、バックドライブの弧線に変化をつけて弧線の高いボールを送るなど、陳夢を揺さぶる。陳夢も優勝を意識したか、やや受け身になってこのゲームを落としたが、5ゲーム目は中盤で突き放して11−6でゲームセット。歓喜のガッツポーズの後、指で3連覇を表す「3」を作って自らを祝福した。以下は試合後の会見での陳夢と王曼昱のコメント。

 「三大会連続の優勝はうれしい。今大会は大きな自信になったし、2020年も良いスタートを切ることができると思う。今年の後半は成績が不安定でしたが、いろいろな困難に直面するのは当然だし、まだ最高のパフォーマンスはできていない。東京五輪までの1試合1試合で全力を尽くしたい。
 今年の大会で一番印象深いのは負けた試合。メンタルも技術も多くの課題がありますが、それは伸びしろもあるということ。その部分を伸ばして東京五輪を目指していきたい」(陳夢)

 「今大会は全体的にプレーが良かったし、この半年くらいで初めて決勝に進出することができた。一番パフォーマンスが良かったと思います。この1年、1試合1試合が私にとっては宝物。若い選手は多くのことを経験していかなければならないし、成績がすべてではありませんから」(王曼昱)
●男子ダブルス優勝
樊振東/許シン(中国) 7、6、−11、3 寥振ティン/林昀儒(チャイニーズタイペイ)

 男子ダブルスは樊振東/許シンが初優勝!
 3ゲーム目に11−10のマッチポイントを決め切れなかったが、4ゲーム目は7−0でスタートダッシュ。許シンのフリックと樊振東のチキータから、ラリー戦を確実に制した。タイペイペアも許シンのフリックを何本もカウンターで打ち抜き、ラリー戦でも引けを取らなかったが、台上でも多彩なテクニックを見せた中国ペアに軍配が上がった。

 優勝後の会見で許シンは「東京五輪ではドイツや韓国、日本などがライバルになるし、五輪団体戦では1番がダブルスなのでとても重要になる。ぼくらはとても良いペアだと思うし、もっとプレーを良くしていきたい」とコメント。樊振東も「最大の目標は東京五輪。五輪の(団体戦の)ダブルスはもっとタフな戦いになるでしょう」と語り、団体戦でのふたりのペアリングはすでに既定路線か。馬龍のシングルス2点に樊振東と許シンの単複。……スキのない布陣だ。
 グランドファイナルの大会最終日、午後の部と夜の部で2試合ずつの入れ替え制だが、午後の部も観客はよく入っている。会場の鄭州オリンピックセンター体育館の前には、入場待ちの行列ができた。

 少し外を歩いていると、何度も「ダフ屋」から「チケットある?」「チケット買うよ!」と声を掛けられた。ダフ屋の数はざっと見ても30人以上はいたでしょうか。チケットを値切ろうと、集団でダフ屋を取り囲む馬龍ファンの姿も。さすがにたくましい……。
 ITTF(国際卓球連盟)が主催するワールドツアーのグランドチャンピオンを決める、ITTFワールドツアー・グランドファイナル。もちろん、生粋の国際大会なのだが、今大会の雰囲気はまるで中国の国内大会。全中国運動会か何かのようだ。

 海外からわざわざ中国まで応援に来るのは、日本の一部の熱心なファンだけだし、会場の雰囲気が圧倒的に中国びいきになるのは致し方ない。しかし、中国選手と海外選手の対戦になると、ゲーム間にアナウンサーが中国語で中国選手の応援をあおり、会場は中国語の大声援に包まれる。さすがにこれは、両方の選手にエールを送ることができないものか。中国選手のサポーターが作った横断幕が四方を埋め尽くし、中国選手のサービスがフォルトを取られると悲鳴やブーイングが起きる。

 大会の人気No.1は、圧倒的に馬龍。アナウンサーがゲームの合間に会場のファンにインタビューすると、例外なく好きな選手は「馬龍」。男性ファンまで「我愛ニィ、馬龍!(愛してます、馬龍)」と言ったほど。また、会場でのクイズで「歴代のグランドファイナル最多優勝選手は?」という問題に対して、「馬龍!」と答えた女性ファンは優勝年度から開催地までスラスラ答えて、観客をたじろがせたほど。ホテルには馬龍をひと目見ようと、女性ファンが大挙して詰めかけている。

 ちなみにメディアシートにも、例によって、どこから潜り込んだのかという馬龍の女性ファンが一番良い席を取っている。メディアどころか、ホームページにスコアを入れるスタッフでさえ、馬龍が1点取るたびに大きな拍手を送るほど。記者席の他の中国メディアも、7割くらいはどうも仕事をしているように見えないのは、いつものことだが……。
●男子シングルス準決勝
樊振東(中国) 7、−11、3、3、−9、3 林高遠(中国)
馬龍(中国) 7、14、7、−4、−4、6 許シン(中国)

 中国が4強を独占した男子シングルス、ファイナリストは樊振東と馬龍!

 林高遠を4−2で下した樊振東は、バックドライブでフォアサイドを攻められた時の対応に進化を見せた。林高遠の高速バックドライブを、前陣ですばやく飛びついてクロスに打ち返し、余裕があればストレートへのカウンターも狙う。以前はフォアサイドを突かれた時の対応や、そこからの戻りが遅れて台から下げられるシーンもあったが、この前陣でのフォアの飛びつきは見事だった。

 そして大会第3日目のラストマッチは、馬龍対許シン。圧倒的な数のファンが会場に詰めかけた馬龍、10−7からジュースにもつれた2ゲーム目を16−14で競り勝って、一気に3ゲーム連取。許シンもお互い手の内を知り尽くした馬龍に対し、不用意に中陣に下がっては不利になると、前陣でのフォアドライブと裏面ドライブの連打で応戦する。昨日の張本戦では満身創痍の状態だった許シンだが、同士討ちのシングルスでも集中したプレーを見せ、2ゲームを取り返す。

 好ラリーの連続に、時計の針が23時を回った会場にはまだほとんどの観客が残り、大声援を送った。結果は4−2で馬龍の勝利。馬龍は最多記録を更新する6回目の優勝まであとひとつとした。