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速報・現地リポート

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全中国運動会・速報2009

 速報担当は「衝撃!馬琳、ノーチャンスで若手の閻安に屈す!」という見出しを作っていた。昨年の世界ジュニアの中国代表の閻安が、思い切りの良い両ハンドのカウンター連打で馬琳をあと一歩まで追い詰めた。

 試合前にチームメイトと40分近くみっちり練習していた閻安に対し、ゆっくり入ってきておしゃべりをはじめ、練習時間は10分ほどだった馬琳。その差が出たのか、序盤からエンジン全開、馬琳の変化サービスも迷いなくフリックでレシーブし、パワードライブをたたき込む閻安の前に、馬琳は防戦一方だった。
 閻安がゲームカウント3-0とリードした第4ゲーム、閻安4-1のリードで馬琳がタイムアウト。このあたりから、やや閻安の足が止まり始める。一方の馬琳はサービスの間合いをやや長くして、得意の心理戦に持ち込む。若武者・閻安、やはり勝利を意識したのか、5-5に追いつかれると6-11で第4ゲームを落とし、ここから閻安にチャンスは訪れなかった。最終ゲームは2-3から馬琳が5本連取して勝負を決めた。

 試合後の握手で、「残念だったな」と言わんばかりに、閻安の手をパチッと叩いた馬琳。スロースターターである馬琳にとって、この苦戦が先々に吉と出るか?

★男子シングルス3回戦
馬琳(広東) -7 、-5、-3、7、6、5、4 閻安(北京)
★男子シングルス3回戦
王皓(解放軍) 6、3、5、7 唐偉(内蒙古自治区)
許シン(上海) 2、-9、8、3、5 王建軍(四川)
王励勤(上海) 7、5、2、-9、6 侯英超(北京)

 王皓は、昨日の2回戦で江天一(香港)を打ちのめした唐偉をまったく寄せ付けず。唐偉のスマッシュも中陣からのフォアドライブ、裏面ドライブで落ち着いて対処。唐偉は守備力の弱さが出てノーチャンスだった。
 許シンは王建軍とのペンドライブ型対決。試合前にふたりで練習するなど、特にベテランの王建軍にはそれほど気迫が感じられず。フォアドライブの華々しい引き合いも随所に展開されたが、動きの良さと3球目ドライブの決定力で許シンが初のベスト8入りを決めた。
 許シンと同じ上海チームの王励勤は、カット主戦型の侯英超に完勝。元世界ランキング10位の侯英超も第4ゲームを奪って意地を見せたが、王励勤のカット打ちにはミスがなく、侯英超の反撃もしっかりブロックでシャットアウト。侯英超にしてみれば、壁と打ち合っているような試合だった。

 現在、馬琳が若手の閻安と大激戦中、ゲームカウント0-3の1-5とリードされた馬琳が心理戦にもちこみ、なんとかゲームオールに戻した。速報担当の眠気も吹っ飛んだこの試合、結末はどうなるか??
 午後から始まる男子シングルス3回戦(ベスト8決定戦)を前に、ボランティアの方々もお昼寝中。フロアで写真を撮るためのビブスを渡してくれる彼も、机に伏せってスヤスヤと。
 右の写真は、お昼のお弁当に入っていた鶏の串揚げの串。今野編集長の一本にだけ、なぜか「ねぎま」の文字が。「日本で売れなかったのを輸入してるんじゃないの?」という今野編集長のひと言に、高橋発行人の箸が止まりました…。
☆女子シングルス3回戦
郭躍(遼寧) -5、-3、9、-2、3、8、8 姚彦(上海)

 郭躍、第5ゲームからようやく前陣でのカウンターが見られるようになったが、やはり本調子ではない。他の選手に比べると姚彦のボールはやや打球点が遅く、重い球質でタイミングが合っていなかったせいもあるが、体調が万全ではないのかもしれない。逆転で取った第3ゲームを落としていたら、ストレートで敗れていてもおかしくなかった。
☆女子シングルス3回戦
郭炎(北京) 4-1 李暁丹(山西)
李暁霞(山東) 4-0 王シュアン(黒龍江)
饒静文(湖北) 4-2 姜華君(香港)

 郭炎、李暁霞は格下を相手に順当な勝利。厳しいコース取り、ボールの球威でトップ選手の貫禄を見せた。ここまでほとんど番狂わせがない男女シングルスだが、現在女子シングルス3回戦の最後の試合、郭躍(遼寧)が姚彦(上海)に大苦戦。序盤、動きにまったく精細を欠いて姚彦にゲームカウント1-3とリードされ、今なんとかゲームオールまで持ち込んだ。

下写真左:くじ運にも恵まれ、姜華君を破ってベスト8に躍進した饒静文。バック表ソフトの異質攻撃型だが、プレー領域はやや中陣寄りで、フォアドライブ連打で攻めるオーソドックスなプレースタイル
下写真右:最後の全中国運動会となる郭炎、一球入魂
☆女子シングルス3回戦
張怡寧(北京) 4-0 蔡賽(広東)
彭陸洋(山東) 4-0 張瑩瑩(江蘇)
丁寧(北京) 4-0 馮亜蘭(湖北)

 張怡寧は静かな戦いぶりで、当然と言わんばかりに準々決勝進出。若手がひたすら力で攻めてくるのに対し、張怡寧は回転、コース、滞空時間とあらゆる要素で得点を重ねていく。同じ卓球でありながら、対戦相手の蔡賽は2次元、張怡寧は3次元の世界で卓球をしているような感じだ。
 彭陸洋は帖雅娜のキケンで勝ち上がった張瑩瑩(99年世界混合複優勝)を全く寄せ付けず、実力どおりのベスト8進出。今大会、充実のプレーを見せている。
 丁寧は同世代の馮亜蘭に快勝。回転量の多いドライブでチャンスを作り、フォアストレートとバッククロスへのキレのあるシュートドライブが光った。台を大きく使うダイナミックなラリーは、見ていても面白い。身体能力も非常に高く、これからどこまで伸びるか、予測できないスケールの大きさがある。
●男子ダブルス準々決勝
陳杞/単明杰(江蘇) 3-1 馬龍/張括(北京)
ハオ帥/李平(天津) 3-2 雷振華/柳洋(解放軍) 
邱貽可/王建軍(四川) 3-1 唐鵬/江天一(香港)
王励勤/許シン(上海) 3-2 王皓/張継科(解放軍)

 各種目で上位進出が期待された馬龍は、格下の張括とのペアで敗れた。混合ダブルス、男子ダブルスともベスト8に終わり、残る男子シングルスで頂点を目指す。
気合い溢れる邱貽可/王建軍は、香港ペアを下して勝利の咆哮(ほうこう)。対戦相手の唐鵬/江天一はあまり気合いが入っていなかった。今大会、香港は李静と帖雅娜が大会を棄権し、残りの選手も覇気が感じられない戦いぶり。

 準々決勝で最もファンタスティックな一戦は、王励勤/許シンvs王皓/張継科。中陣からも後陣からも入ってくる、蛇のようにからみつく許シンのフォアドライブでラリー戦を制し、王励勤/許シンが2ゲームをあっさり先取したが、第3ゲームから王皓が前に落とすドライブや、前陣についてのブロックなどを織り交ぜてラリー戦に持ち込ませず、ゲームオールに追いつく。最終ゲームは得点の離れないシーソーゲーム。ボールが2回も割れた大激戦は、王励勤が台上バック強打をバックストレートに決め、上海ペアが勝利を収めた。
☆女子シングルス3回戦
劉詩ウェン(広東) 7、10、5、5  曹臻(山東)

 小柄な体格と、ポイントを取るたびに上がる甲高い声。遠目に見るとジュニア選手同士の試合に見えるこの一戦が、世界ランキング4位(劉)と16位(曹)の対決だった。劉詩ウェンが両コーナーへ厳しく攻めるボールに、曹臻はすばらしいサイドワークで追いつき、見応えあるラリー戦を展開した。

 勝負の分かれ目となったのは、バック対バックでの安定感。劉詩ウェンはしっかり回転をかけたライジングのバックドライブで、曹臻とのバックの打ち合いで完全に優位に立った。劉詩ウェンはラリーになると、回転をかけた弧線の高いボールでチャンスメイクもできる。フォアドライブの切れ味、コースの厳しさは完全に国家チームのトップクラスに並んだ。曹臻は得意のバックハンドで優位に立てず。思い切って打った3球目強打にもミスが出た。
 終わって見れば劉詩ウェンの圧勝。前回大会はベスト16止まりだったが、今大会はまったく危なげなく、日本時間午後3時45分スタートの準々決勝へ名乗りを上げた。

下写真左が劉詩ウェン、右が曹臻
●混合ダブルス準決勝
ジャイ一鳴/常晨晨(遼寧) 4、16、-6、8、9 丁寧/閻安(北京)
王皓/文佳(解放軍) 5、2、6、4 徐克/劉純(解放軍)

前回大会で、郭躍/徐輝が優勝した遼寧。今回も決勝にジャイ一鳴/常晨晨ペアを送り込む。ベンチには日本リーグの住友金属物流で活躍した于沈童が入り、試合後に抱き合って勝利を祝福した。

下写真は日本時間21時30分スタートの混合ダブルス決勝で対戦する2ペア。王皓/文佳(左)とジャイ一鳴/常晨晨(右)
 明日は10月1日、中国の建国記念日に当たる「国慶節」だ。今年は1949年の中華人民共和国の成立からちょうど60周年。中国全土が一週間の休みに入り、天安門広場では人民解放軍の一大パレードなども行われる。そのテレビ中継に合わせて、明日は午前中の試合はお休みだ。

 チベット、ウイグルなど国内に政情不安を抱える中国。国慶節に合わせてテロ活動が活発になる可能性もあり、会場入り口には27日から、空港にあるようなセキュリティゲートが設けられている。青島国際空港の入管で足止めを食らったユウキも、今のところ引っかかってはいない。