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速報・現地リポート

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世界選手権ドルトムント大会(団体戦)

●男子準決勝
 〈中国 3-0 韓国〉
○馬龍 2、7、10 呉尚垠
○王皓 -4、5、3、8 柳承敏
○張継科 -8、10、5、2 金ミン鉐

 3月31日、大会第7日目の最終戦。男子準決勝の中国対韓国は、3-0で中国が制した。
 韓国はカットの朱世赫ではノーチャンスと、朱世赫をオーダーから外し、3番に若手の金ミン鉐を起用。この金ミン鉐が張継科から1ゲームを奪い、2ゲーム目も中盤までリードして会場を沸かせた。金ミン鉐のタイミングを外す緩いバックフリックに張継科はタイミングが合わず、金ミン鉐の中陣からのバックドライブも非常に威力があった。
 しかし、途中から張継科にコースを読まれ、攻撃を待たれるようになると、途端に攻撃が淡泊になり、第4ゲームは完全にワンサイドゲーム。金ミン鉐、打球センスは抜群だが、勝負に賭ける執念はまだ物足りない。何度も跳ね返されながらも、中国の壁に挑み続けた先輩たちの気概を受け継ぐことができるか。

 また、2番では世界選手権ロッテルダム大会に続き、王皓と柳承敏が対戦。言わずとしれた04年アテネ五輪決勝の対戦カードだが、今回の対戦では出足で柳承敏が王皓の裏面ドライブを、カウンターのシュートドライブで次々に打ち抜き、会場を沸かせた。しかし、試合の中盤からそのカウンターをも王皓に待たれ、コースを突いてブロックされ、万事休す。

 これで明日13時(日本時間20時)の男子決勝は中国対ドイツ、16時(日本時間23時)スタートの女子決勝は中国対シンガポールと、前回のモスクワ大会と同じ顔合わせ。今大会は珍しく男子決勝が先に行われる。大会も明日がいよいよ最終日だ。下写真は左から柳承敏、金ミン鉐、張継科。
●女子準決勝
 〈中国 3-1 香港〉
○丁寧 9、4、4 姜華君
 李暁霞 -10、-9、7、-12 帖雅娜○
○郭炎 4、8、3 于國詩
○李暁霞 5、1、4 姜華君

 中国女子と香港の試合は、日本男子対ドイツ戦の直後に行われたが、観客の多くがメーカーブースやスナックの売店に行ってしまい、観客席の光景は少々寂しかった。中国2軍と言われる香港と中国の対戦では、ドイツの卓球ファンも食指が動かないのだろう。しかし、香港は2番で帖雅娜が李暁霞を破り、今大会で中国が初めて失点した。李暁霞が勝負を急ぎすぎ、強打に頼ってミスが増えたのに対し、帖雅娜は両ハンドでどっしり構え、特にバックハンドで左右に揺さぶる。第4ゲーム13-12のマッチポイントで、李暁霞のミドルを切り裂いた強烈なバックハンドには、帖雅娜の意地を感じた。それにしても息の長い選手だ。

 この2番で敗れた李暁霞だが、4番の姜華君戦のプレーは完璧だった。もともと姜華君は李暁霞と同じ山東省チーム所属で、超級リーグでも山東魯能で05年シーズン優勝時のチームメイト。姜華君のバック表ソフトの強烈なバックハンドも難なくバックドライブで返球し、クロスへパワードライブを打ち込んだ。

 明日の女子決勝は、これで3大会連続の顔合わせとなる中国対シンガポール。中国女子、これまでベンチを温めている劉詩ウェンのサプライズ起用があると面白いが、さすがに丁寧・李暁霞・郭炎で手堅く戦うだろうか。下写真は左から帖雅娜、李暁霞、勝利後にじゃれ合う丁寧と劉詩ウェン
●女子5~8位決定戦
 〈日本 3-0 ドイツ〉
○福原 -10、-6、6、6、10 ジルベライゼン
○石川 -9、8、8、-9、10 呉佳多
○平野 4、8、-8、10 ヴィンター

 サブアリーナで行われた日本女子チームの5~8位決定戦。予選リーグで3-0で完勝したドイツと再び相まみえた。

 カットのイヴァンカンでは不利と見て、ジルベライゼンを2点起用し、3番には前回大会で活躍した若手のヴィンターを起用。日本はジルベライゼンに分が悪い福原がトップで当たり、いきなり2ゲームを連取されたが、ゲームオール10点というスコアで逆転勝ちした。「相手がイケイケでどうしたらいいのかなと…。ジルベライゼンは強いです。試合前に対策を練ったのにボールは男子みたい。途中から戦術やービスを変えたり、積極的に攻めて、勝つことができたので自信になりました」(福原)

 2番は石川対呉佳多。まるでピッチの早いラリー練習のように、前陣で激しいラリー戦を展開。昨年12月のプロツアー・グランドファイナルでは快勝した石川だが、「緊張しました。というか負けると思った。昨日の反省を生かして、最後まで粘ろうと思った」(石川)。トップ福原と同じゲームオール10点でドイツ女子のエースを振り切った。

 3番平野は、ヴィンターに3-1だったが、序盤の快勝ペースが終盤は一転して接戦に。「最後危なかった。しんどかった。でも、メインじゃなかったけど、ああいう中で試合できたのは良かったし、早く次の試合に向けてスタートを切らないといけない」(平野)。日本女子、苦しみながらも3-0のストレートで勝利した。

 明日の朝9時30分(日本時間16時30分)スタートの女子5~6位決定戦では、オランダとの対戦が決定。日本女子はどの選手も順位決定戦を戦うのは初めてだが、試合での集中力は高い。「明日もオリンピックで当たる可能性のあるチームなので、日本にとっては試合ができることは大きい。しっかり頑張ります」。平野早矢香はコメントをそう締めくくった。

下写真:左からジルベライゼン戦での福原、平野を苦しめたヴィンター、試合後の福原と平野
 ドイツ戦でボル、オフチャロフに敗れた水谷隼。日本男子チームの宮崎義仁監督は、試合後に「彼本来の自由自在のフットワーク、自由自在のラリーが影を潜めていた。水谷は日本全部を背負って、一人で戦ってしまった。彼を精神的に楽にさせてやれなかった」と語った。

 そのプレッシャーの大きさは、コートサイドにも伝わってきた。これまでメダルを獲得してきた2大会では、韓陽と吉田海偉という先輩がいたが、今回のチームでは名実ともに水谷が大黒柱。「若いチームなので、ぼくがしっかり引っ張っていきたい」とドイツ出発前の記者会見でも語っていたが、そのプレッシャーが水谷のプレーの幅を狭めてしまった。

 「最近はオフチャロフに連勝していて、プレッシャーに耐えられる自信が足りなかった。オフチャロフ戦で1ゲーム目、6-4でリードしていたのに、そこで凡ミスをしてそのまま7-10まで持って行かれて、そのまま落とした。2,3ゲーム目をジュースで落としたけど、あそこで1点取っていたら自分が2-1でリードした可能性もあった。ああいう苦しい中で1ゲームも取れないと試合で勝つのは難しい。
 今日は4ゲームのジュースを落とした。競り合いで点数がとれないとボルにもオフチャロフに対しても厳しい。プレー自体、自分のプレーができなかった。準決勝という舞台で2点落としてしまったのは自分の甘さ。今日、2点落として申し訳ないし、リベンジをしたい。今のままでは(ロンドンも)勝ち目がないし、もっともっとチーム全体を自分が引っ張っていって、もっとしっかり練習して日本の卓球が世界で通用するように頑張りたい」(水谷)

 水谷をオーダーから外して敗れたポーランド戦は、日本男子チームにとっての水谷の存在の大きさを物語っている。「水谷がいなければ、日本男子チームは中堅のチームになってしまう」という世界の卓球関係者の声も聞かれた。7月のロンドン五輪がリベンジの舞台だ。
 〈日本 1-3 ドイツ〉
 水谷 -7、-13、-11 オフチャロフ○
 丹羽 -5、-7、-9 ボル○
○岸川 9、6、-5、11 バウム
 水谷 -6、-8、-11 ボル○

 日本、4番水谷がボルとのエース対決に敗れ、メダルの色は3大会連続でブロンズ。
 「こういう舞台のほうが燃える。ドイツにひと泡ふかせたい」と準々決勝後に語っていた水谷だが、地元ドイツでボルと戦うプレッシャーは相当なものがあったのではないか。第3ゲーム終盤では、ボルが一点取るたびに雷鳴のような拍手、地鳴りのような歓声が起きた。

 両ハンドのブロックでコースを突き、チャンスにはフォアドライブで決める「ブロッキングゲーム」ではなく、バックでブロック一辺倒になってしまった水谷。レシーブでも、台上バックドライブで積極的に先手を取りに来るボルに対し、水谷はストップで置きにいくプレーが多かった。第3ゲームは5-8で水谷がタイムアウトを取るも、8-10でボルがマッチポイント。ここで水谷、ようやく逆モーションのバックドライブ、フォアドライブの連打が出て11-10と逆転したが、このチャンスも生かせず。
 水谷は、第2ゲーム7-3のリードを生かせなかったのが悔やまれる。日本ベンチもタイムアウトは第3ゲームの終盤ではなく、第2ゲームに、より早いタイミングで取るべきではなかったか。
 〈日本 1-2 ドイツ〉
 水谷 -7、-13、-11 オフチャロフ○
 丹羽 -5、-7、-9 ボル○
○岸川 9、6、-5、11 バウム
 水谷 vs. ボル
 丹羽 vs. オフチャロフ

 日本男子、3番岸川が勝利して4番水谷につないだ!
 岸川は出足から積極的に回り込み、バックストレートへパワードライブを決める。ポーランド戦で2点を落とし、ここまで出番がなかった岸川。チームが0-2と追い詰められた状況でも、積極性と冷静さを失わなかった。プレーに硬さが見えるバウムに対し、岸川は深く切れたツッツキとループドライブを使って得点を稼いだ。第2ゲーム、中陣での打ち合いの中で、相手のバックを粘り強くドライブで攻め、最後にフォアストレートを打ち抜いたプレーは見事。ヨーロッパ選手権2大会連続2位のバウムを破った!

 4番水谷、ボルを破ったモスクワ大会の再現を!
 〈日本 0-2 ドイツ〉
 水谷 -7、-13、-11 オフチャロフ○
 丹羽 -5、-7、-9 ボル○
 岸川 vs. バウム
 水谷 vs. ボル
 丹羽 vs. オフチャロフ

 日本男子チーム、トップでエース水谷がオフチャロフに敗れた。オフチャロフのバックドライブの破壊力は強烈だった。水谷、必勝のプレッシャーからか、ブロック主体のプレーとなり、最後もバックブロックがネットにかかった。2番丹羽は伸び伸びとしたプレー。ボルの重いドライブに何度もラケットを弾かれながら、3ゲーム目はキレのあるフォアドライブ連打が出て8-7までリードしたが、及ばず。
 
 ただいま会場の通信状況が悪く、速報が滞っております。申し訳ありません。詳報は後ほどお伝えします。
  〈シンガポール 3-2 韓国〉
 馮天薇 -10、13、9、-1、-7 金璟娥○
○王越古 7、-9、-9、10、6 石賀浄
 リ・ジャウェイ -11、-5、-6 唐イェ序○
○馮天薇 5、3、-9、8 石賀浄
○王越古 7、-10、-7、6、9 金璟娥

 5番ラストの最終ゲーム、韓国の金璟娥が5-9から9-9に追いつき、連日の逆転劇かと思われたが、王越古が根性の連続ブロックとフォアスマッシュでしのぎ切った。4時間を超える大熱戦だった。
 〈日本 vs. ドイツ〉
 水谷 vs. オフチャロフ
 丹羽 vs. ボル
 岸川 vs. バウム
 水谷 vs. ボル
 丹羽 vs. オフチャロフ

 日本対ドイツの対戦オーダーは上記のとおり。ともに水谷と丹羽、ボルとオフチャロフの2点起用は予想されていたが、3番に日本は岸川、ドイツはバウムを起用した。岸川は予選リーグ第2戦のポーランド戦以来の起用。まずトップ水谷が先制点を挙げられるかどうかが重要だ。

 現在、女子準決勝のシンガポール対韓国戦がラストまでもつれている。男子準決勝の日本対ドイツは、この試合の終了を待って、メインアリーナで行われる。ドイツの観客もさすがに「まだかな…」という感じ。
 〈シンガポール 1-2 韓国〉
 馮天薇 -10、13、9、-1、-7 金璟娥○
○王越古 7、-9、-9、10、6 石賀浄
 リ・ジャウェイ -11、-5、-6 唐イェ序○
 馮天薇 vs. 石賀浄
 王越古 vs. 金璟娥

 今日の朝10時にスタートした、女子準決勝のシンガポール対韓国。試合開始からすでに2時間半が経過しているが、やっと4番に入った。トップの馮天薇対金璟娥が大激戦だった。昨日のイヴァンカンに続き、またもカットに敗れた馮天薇。前回のモスクワ大会の時の、火の玉のような闘志とクレバーなコース取りは影を潜めている。背中が小さくなったような気がする。この選手が頑張らなければ、大会は盛り上がらないのだが…。

 しかし、両チームの対戦オーダーを見ると、馮天薇は黒龍江省、唐イェ序は吉林省、リ・ジャウェイは北京市の出身で、2番で戦った王越古と石賀浄はともに遼寧省鞍山市の出身。中国出身でないのは金璟娥だけ。日本でいうと東北総体のような感覚か(?)。