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世界選手権ドルトムント大会(団体戦)

 バタフライの公式卓球台は、台の下に地球をあしらった今までにないデザイン。大きな地球の上で、小さなピンポン球が目にもとまらぬ速さで行き来している。最初は卓球台が4台あったメインアリーナだが、昨日は2台になり、準決勝が行われる今日は1台。夜の10時や11時に試合が終わってから、コートのセッティングをするスタッフの皆さんは大変だ。毎日お疲れ様デス。
 毎日、朝8時半にドルトムント中心街のホテルを出て、地下鉄で会場へ向かう王国取材班。地下鉄の案内表示にもさすがに慣れてきました。大会第7日目の王国速報です。

 昨日の日本女子対韓国の大激戦、ラスト石川が敗れた後、自然に涙が出てきて自分でもビックリしました。石川の健闘は素晴らしかったですが、マッチポイントを取られた場面でフォアドライブを2本決めた金キョン娥の精神力にも驚嘆。日本にとっても誇るべきライバルです。

 今日は13時、日本時間の20時から日本男子がドイツと対戦。おそらく会場は異様な雰囲気になるだろう。昨日のドイツ女子対シンガポール戦でも、ラリーごとに観客が手拍子を鳴らし、審判がドイツ選手のサービスフォルトを取ろうものなら、嵐のようなブーイングだ。これだけ「ホーム感」がある世界選手権も、ドイツならではという感じがする。
 自発的にウェーブを起こしたりして、非常にノリが良い観客なのだが、緊迫した場面でのミスやネットインには、日本でもよく聞かれる「オ~ゥ!」というため息とどよめきが起こる。観客の中には、感情移入しているホビープレーヤーもたくさんいるのだろう。

 下写真中央は大会初日に続いて会場に飛来した、ラジコンの小型飛行船。大きさはだいたい、水族館にいるシャチくらい(?)。操縦席部分からピンポン球を発射し、観客を攻撃するという恐ろしいヤツ。意外に正確に操縦されているが、制御不能に陥り、決勝の試合中のコートに飛来しないことを願う。下写真右は、大会のマスコットである「ラッケディーノ」の立て看板と記念撮影する渡辺トモ。良い友達になれそうだ。
★3月31日のタイムテーブル
10:00~(日本時間17:00~)
女子準決勝 韓国 vs. シンガポール

13:00~(日本時間20:00~)
男子準決勝 日本 vs. ドイツ

13:00~(日本時間20:00~)
女子5~8位決定戦 日本 vs. ドイツ

16:00~(日本時間23:00~)
女子準決勝 中国 vs. 香港

19:00~(日本時間26:00~) 
男子準決勝 中国 vs. 韓国

 日本は男女チームとも13時(日本時間20時)から、男子はメインアリーナで、女子はサブアリーナで、ドイツと対戦する。今日のドイツ女子とシンガポールの一戦では、物凄い声援がドイツ女子を後押しした。明日はすでにチケットがすべてソールドアウト。3階席まで埋まった大観衆が、ドイツに大声援を送る。日本男子、雰囲気にのまれずに戦いたい。
〈シンガポール 3-2 ドイツ〉
 馮天薇 -8、-9、-8 イヴァンカン○
 王越古 -6、-9、-7 呉佳多○
○リ・ジャウェイ 6、8、-9、-9、12 ジルベライゼン
○馮天薇 -9、9、4、10 呉佳多
○王越古 -9、5、-11、8、4 イヴァンカン

 お隣のヴェストファーレンハーレンスタジアムで行われている、日本の香川真司が所属するボルシア・ドルトムントが、シュトゥットガルトと4-4という大激戦を展開する一方(これはサッカーです)、ヴェストファーレンハーレンでは、ドイツ対シンガポールも物凄い試合をしていた!

 ドイツは地元観衆の大・大声援をバックに、トップのイヴァンカンがカット打ちの苦手な馮天薇に完勝。2番呉佳多も王越古とのラリー戦を粘り強く制して、あっという間に2-0とリード。3番ジルベライゼンが最終ゲーム10-10、5番イヴァンカンがゲームカウント2-1の4-2でリードと、シンガポールを幾度となく追い詰めた。しかし、最後の一本が遠かった。
 5番のイヴァンカン、終盤でフォアの攻撃の手数が減り、王越古に安心してカットを打たせてしまったのが悔やまれる。バック面は回転系表ソフトで、中陣からでもバックハンドが振れる。フォアの攻撃力は、予選リーグで試合に出ていた時に打ってばかりいるので、若手のヴィンターかと勘違いしたくらい。攻守自在のプレーで、予選リーグの日本戦の完敗がウソのような、素晴らしい内容だった。
●男子準々決勝
 〈韓国 3-1 チャイニーズタイペイ〉
 朱世赫 -6、-7、-7 荘智淵○
○呉尚垠 8、7、7 陳建安
○柳承敏 9、4、8 呉志祺
○朱世赫 7、3、4 陳建安

 予選リーグで激戦を展開したチャイニーズタイペイを、韓国が2番呉尚垠から怒涛の9ゲーム連取で下した。さすがに韓国、同じ相手、同じオーダーで同じ失敗はしない。
 タイペイのイキのいい若手、陳建安(下写真左)のプレーが楽しみだったのだが、メインアリーナでのプレーはさすがにプレッシャーがあったのかミスが多く、自滅した形。4番朱世赫(下写真右)はアップ系のサービスも多く交え、陳に落ち着いてレシーブさせなかった。第3ゲームは10-3のゲームポイントから、フォアに来る陳のドライブをフォアストレートへカウンタードライブ。ネットの横から打ち抜いて、観客を驚嘆させた。
 男子準々決勝、中国対オーストラリア戦が終わった後、なにやら怪しげな雰囲気のふたりが。かつてオーストリアのクラブチーム、ニーダー・オーストリアのチームメイトとして、ヨーロッパチャンピオンズリーグなどで暴れ回った馬琳とシュラガー。ボディタッチはこれ以上発展しませんでした。
●男子準々決勝
 〈ドイツ 3-0 スウェーデン〉
○オフチャロフ 5、11、6 パーソン
○ボル 3、-11、6、2 ルンクイスト
○バウム 5、5、4 イェレル

 〈中国 3-0 オーストリア〉
○張継科 8、8、10 陳衛星
○馬琳 9、-10、9、7 ガルドス
○馬龍 8、4、9 ハベソーン

・女子の日本対韓国戦の途中に始まり、金キョン娥がサービスを中断するほどの大歓声がこだましたドイツ対スウェーデン。トップでパーソンが何本でも粘るバックフィッシュ、ネットをなめるように入ってくるカーブドライブでオフチャロフに迫ったが、球威の差はいかんともしがたかった。ドイツが3-0で勝利し、明日日本との決戦を迎える。中国対オーストリアは、ガルドスが馬琳の3球目強打を必死でブロック。見応えあるラリー戦も随所にあったが、勝利には至らず。

●女子準々決勝
 〈中国 3-0 ポーランド〉
○丁寧 6、5、3 パルティカ
○李暁霞 5、9、8 グルジボウスカ
○郭躍 7、3、3 リー・チェン

 〈香港 3-0 オランダ〉
○帖雅娜 -16、8、-9、9、4 リー・ジャオ
○姜華君 11、5、-12、-8、3 リー・ジエ
○李皓晴 9、8、-5、3 ティミナ

 中国対ポーランドは、2番でグルジボウスカと李暁霞が重量級のラリー戦。ストレートで敗れたとはいえ、グルジボウスカは今後の成長次第では、アジアの選手に迫るだけのポテンシャルを秘めている。香港対オランダはオランダが善戦したが、前半2試合はいずれも最終ゲーム出足で離された。オランダはこれで3大会連続ベスト8。

下写真:左から会場で最も大きな声援を浴びるボル、まだ全開モードにはならない馬龍、帖雅娜と長いラリー戦を演じたリー・ジャオ
 大激戦の末に敗れたものの、ドライブからのスマッシュで、世界トップクラスのチョッパー・金キョン娥と堂々と渡り合った石川佳純。試合後のコメントは下記のとおり。

 「本当に悔しいです。8-4でリードした時に点数を考えないようにしていたけど、少し焦ってしまいました。焦って打ってしまった。勝負したというよりは早く決めたくて打ってしまった。
 1本取りたいと思って、それまでは何も考えずにできていたのに、急に緊張してしまった。思ったよりも、変化がわかったし、もっと1ゲーム目から自信を持って打っていけば良かった。最後は勝ちきれないところが、まだまだ実力が足りない。最後まで我慢比べで負けてしまった。ただ、カット打ちは前よりも良くなっているし、課題も見つかったので、オリンピックに向けて良い経験ができたと思います」(石川)
 日本 2-3 韓国
○福原 4、-10、-10、8、9 金キョン娥
○石川 7、-9、7、-6、6 石賀浄
 平野 -9、7、-4、-9 唐イェ序○
 福原 -6、-8、-7 石賀浄○
 石川 -9、8、-9、8、-12 金キョン娥○

 ラスト石川の最終ゲーム、8-4のリードを追いつかれ、逆に9-10でマッチポイントを握られた、ここから追いつき、2回のマッチポイントを奪ったが、決め切れず。最後は金のマッチポイントで、石川のフォアドライブがラケットエッジに当たり、高く高く舞い上がった。
 日本女子、2-0からの悔しい敗戦。しかし、力は出し尽くした。結果は残念だったが、リベンジの舞台はある。7月のロンドン五輪でもう一度、韓国と勝負だ。
 日本 2-2 韓国
○福原 4、-10、-10、8、9 金キョン娥
○石川 7、-9、7、-6、6 石賀浄
 平野 -9、7、-4、-9 唐イェ序○
 福原 -6、-8、-7 石賀浄○
 石川 -9、8、-9、8、 金キョン娥

 ラスト石川、ドライブからたたき込むスマッシュ。金キョン娥のスマッシュを何本でも拾うカット。
 日韓の大激戦はついに最終ゲームへ!