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世界ジュニア

●男子シングルス準々決勝
樊振東(中国) 7、9、11、−9、10 村松
范勝鵬(中国) −8、8、−11、7、−7、7、6 ゴーズィ(フランス)
徐晨皓(中国) 9、4、7、10 デュダ(ドイツ)
林高遠(中国) 11、−9、8、4、5 吉田

 男子シングルス準々決勝が終了し、中国がベスト4を独占。日本勢は村松と吉田が敗れ、これで全選手が全種目を戦い終えた。

 村松は猛烈なパワードライブを誇る「驚異の15歳」樊振東と接戦を展開。ひとたびカットを打ち始めると、樊の連続パワードライブは最後までミスなく打ち切る完成度の高さがあった。一方で第4ゲームを村松に取られてからはやや慎重になった感もあり、第5ゲームも6−2、8−6、10−9と村松がリードしたが、樊が追いついて最後はパワードライブを村松のミドルへ打ち込んだ。村松は相当調子を上げていただけに、第2ゲームと第3ゲームの競り合い、どちらかを取って樊にプレッシャーをかけたかった。

 「最近、左利きの選手には非常に強い」と渡邊コーチが語る吉田は、林高遠と好ゲームを展開した、林高遠の強烈な両ハンドドライブもしっかりブロックし、要所で林のフォアへパワードライブを打ち込む。それまでは相手を威圧するような豪快なプレーを見せていた林も、明らかに動きが硬かったが、しかし最後まで大崩れはしなかった。
 今年で高校3年の吉田も、男子では町とともに最後の世界ジュニア。頂点への挑戦は、惜しくもここでストップした。

 写真上は村松対樊振東、下は戦い終えた林高遠と握手する吉田
 女子シングルス準々決勝で、中国選手がシングルス初の黒星を喫した。敗れたのは大会直前に陳夢とのエントリー変更で代表入りした劉高陽。P.ゾルヤとのサウスポー対決に敗れた。
 女子団体・第2ステージの谷岡戦ではもろさばかりが目立ったP.ゾルヤだが、個人戦に入ってから単複に渡って中国のライバルとしての存在感を示している。バックハンドは弧線が低く、相手の強打に対してもただ当てるだけでなく、回転をかけながら返せるので、対戦相手は連続攻撃が難しい。バックスイングが小さいために打ってくるコースも読みにくい。

 先日の速報では「ここ数年伸びていない」と書きましたが、彼女に読まれてしまったのかな…。読むわけないですね。明日は準決勝で朱雨玲(中国)と対戦。左の顧玉ティンと劉高陽には勝ったが、果たして第1シードの壁を越えられるか?
●女子シングルス準々決勝
朱雨玲(中国) 8、10、6、13 スッチ(ルーマニア)
P.ゾルヤ(ドイツ) −6、−7、6、10、8、8 劉高陽(中国)
顧若辰(中国) 6、2、5、9 リリー・チャン(アメリカ)
顧玉ティン(中国) 7、10、11、3 谷岡

 中学2年生で初出場した08年マドリッド大会から、5大会連続出場を果たした谷岡あゆかの世界ジュニアが終わった。団体決勝で敗れていた顧玉ティンに、競り合いながらストレートで敗れた。

 第4ゲームはプレッシャーの軽くなった顧に強打を浴びたが、顧は明らかに谷岡を意識していた。第1ゲームのラブオールから、いきなりカット打ちを大きくオーバーミス。決定打に中国選手らしからぬミスが目立った。
 第2ゲームには序盤で谷岡にエッジとネットが続き、さらに中盤でここまで確率の低かった谷岡のバックドライブが次々に決まって、10−5のゲームポイント。ゲームカウント1−1のタイになるかと思われたが、ここから顧が7点連取で大逆転。ここが勝負の最大のポイントだった。続く第3ゲームも5−9から谷岡が追いついたが、最後は顧の強打が決まってゲームカウント3−0。勝負の大勢は決した。

 バックサイドへの強打にはさすがに手を焼いたが、谷岡のカットは今大会で最高の安定感で、凡ミスは非常に少なかった。試合後は悔しさをにじませながら、どこか清々しい表情を見せた谷岡。地元の観衆のほとんどが谷岡に味方し、大きな声援を送った一戦だった。
●男子ダブルス準決勝
范勝鵬/樊振東(中国) 7、11、11、8 洪子翔/李佳陞(チャイニーズタイペイ)
林高遠/徐晨皓(中国) 7、13、−11、2、−9、5 村松/酒井

 村松/酒井は中国ペアに2−4で惜敗。中盤でリードを奪った第2ゲームをものにしたかった。第3ゲームを苦しみながらも奪った後、第4ゲームの出足で0−5とスタートダッシュをかけられたが、この「ゲームを奪った後のゲーム」は対中国では大きなポイントになりそうだ。どの試合を観ても、中国はゲームを落とした次のゲームは大差で奪うケースが多い。

 それにしても、中国勢は前陣での攻めの速さを基本としながら、中陣での強さも際立ってきている。特に団体戦でも活躍した樊振東。前陣でバックストレートにパワードライブをたたき込んだかと思えば、中陣から威力ある両ハンドドライブで盛り返し、ラリー戦を制する。前での速い攻めだけでは、もはや中国を仕留めることはできない。
 
●女子ダブルス準決勝
顧玉ティン/朱雨玲(中国) 7、10、4、3 前田/谷岡
顧若辰/劉高陽(中国) 7、−2、10、4、2 チオバヌ/スッチ(ルーマニア)

 顧玉ティン/朱雨玲(写真下)に挑んだ前田/谷岡(写真上)はストレートで敗れた。中国ペアのループドライブの回転量は相当なもので、さすがの前田もブロックやカウンターにミスが多かった。ループドライブは積極的にスマッシュで狙いにいきたかったが、中国ペアはフォアストレートへのボールなどをうまく使って待ちを外し、ループドライブに狙いを絞らせなかった。前田/谷岡ペアは2年前のブラティスラバ大会以来、2個目の銅メダル獲得だ。
●男子シングルス3回戦
村松 7、9、3、4 アングレ(フランス)
樊振東(中国) 2、−8、3、6、5 カルデラノ(ブラジル)
范勝鵬(中国) 9、6、6、10 酒井
ゴーズィ(フランス) 9、8、6、9 洪子翔(チャイニーズタイペイ)
デュダ(ドイツ) 9、−9、−8、8、−10、6、15 町
徐晨皓(中国) 9、6、−10、8、−4、6 フロール(フランス)
吉田 −5、2、6、5、−11、6 デヴォス(ベルギー)
林高遠(中国) 6、7、8、10 アチャール(フランス)

 村松と吉田がベスト8進出。町がドイツのデュダに対し、最終ゲーム8−10のビハインドから逆転して二度のマッチポイントを奪ったが、あと一本届かず。日本ではまだ無名のデュダ、際立った個性はないが、変化のあるサービスと回転量の多いフォアドライブを持っている。この躍進でかなり自信をつけてくるだろう。

 酒井は范勝鵬に対しても相当良い勝負をすると思っていたが、范は酒井とのバック対バックの勝負を避け、早めに回り込むか、フォアにボールを飛ばしてフォア対フォアの勝負を挑んできた。范が後ろに下がる場面が多いのだが、旺盛なフットワークを使って回転量の多いフォアドライブを放ち、酒井のカウンターのミスを誘った。酒井、これからは前陣での連続カウンターで振り回しながら、決定打の威力と精度が求められる。

 村松はダブルスで対カットの弱さを露呈した左腕アングレに対し、終始余裕を持った戦いぶりだった。男子ダブルス準々決勝ではフォアドライブでのミスが多かったのだが、このアングレ戦ではカットから前陣にススッと躍り出てシュートドライブを決めるなど、今大会でも一番のプレーだった。
 写真上は町を破ったデュダ、下は范勝鵬
●女子シングルス3回戦
朱雨玲(中国) 5、7、11、3 黄シン(チャイニーズタイペイ)
スッチ(ルーマニア) 10、10、7、−10、8 伊藤
P.ゾルヤ(ドイツ) −5、7、4、−8、10、10 キム・ビョルニム(韓国)
劉高陽(中国) 7、−5、4、8、5 前田
顧若辰(中国) 3、8、−10、5、5 加藤
リリー・チャン(アメリカ) −9、7、6、4、7 A.ムケルジ(ドイツ)
谷岡 7、10、−7、8、7 チオバヌ(ルーマニア)
顧玉ティン(中国) 2、6、3、3 S.ムケルジ(インド)

 ベスト16まで快調に勝ち上がった日本女子だったが、ベスト8入りの壁は厚かった。
 伊藤はヨーロッパの「女王様」スッチに惜敗。第1ゲーム10−9、第2ゲーム10−7とゲームポイントを奪ってから逆転されたのは惜しまれる。スッチに台から距離をとられ、回転量のあるボールでミスを誘われるシーンが多かった。勝ち気な強打者の印象があるスッチだが、さすがに国際大会での経験は豊富。老かいな戦いぶりだった。しかし、史上最年少の世界ジュニア代表として、伊藤の戦いぶりは日本代表の名に恥じないものだった。

 前田は劉高陽とハイレベルな前陣でのラリーを展開したが、第2ゲームを大量リードで奪った後、第3ゲームではうまくリズムを変えられ、緩急をつけて攻められた。この戦術変更についていけないと、中国から連続でゲームを奪うのは難しい。
 加藤は顧若辰から1ゲームを奪った。独特のゆったりとした間合いに強打を混ぜる加藤のプレーに、顧もバックハンドで空振りをするなどいら立ちも見られたが、最後は思い切りの良い回り込みからパワードライブを打ち込んできた。

 チオバヌを堅実なカットで振り切った谷岡は、準々決勝で顧玉ティンと相まみえる。団体決勝2番で敗れた借りを返す時が来た。写真上は谷岡が勝利した瞬間、下は伊藤
●男子ダブルス準々決勝 ※日本選手関係のみ
村松/酒井 9、−14、6、−9、10、9 アングレ/アチャール(フランス)

●女子ダブルス準々決勝 ※日本選手関係のみ
前田/谷岡 5、4、−7、5、−8、4 キム・ビョルニム/イ・ジオン(韓国)
スッチ/チオバヌ(ルーマニア) 6、9、8、5 伊藤/加藤

 男女ダブルス準々決勝、日本は男子ダブルスの村松/酒井、女子ダブルスの前田/谷岡が準決勝進出。個人戦でメダルを確定させた。これで世界ジュニアでは3大会連続でペアを組んでいる前田/谷岡は、相手ペアのイ・ジオンが全く谷岡のカットを打てず、優位に試合を進めた。準決勝で顧玉ティン/朱雨玲にどう対抗するか?
 昨日の女子シングルス2回戦、女子シングルスで最後の試合となった加藤美優対メシュレフ戦。10時近くに試合が終わった直後、加藤が突然「ドーピング検査の対象になった」とドーピング担当のスタッフから告げられた。

 ドーピング検査に帯同して会場に残ったチームドクターの西川先生の話によれば、ドーピングルームは4畳半ほどの広さしかなく、検査官はわずかふたり。数カ国の選手たちが呼ばれ、ドーピングルームにはとても入りきれず、外にあふれていた。選手たちが未成年なので、コーチやドクターがひとりずつ帯同するのだから当然だ。結局ドーピング検査が終わり、ホテルに戻ったのは12時近くだったという。「明日試合がある選手をこんな時間まで残したら、他の選手たちとプレー条件の違いが出てしまう。試合がない敗者にやるのが普通です。検査官が名前も名乗らないし、検査官ふたりでは全員を監視下に置くことなんてできないですよ」と西川ドクター。

 電光掲示板の不備や照明が落ちることはあったが、大会の運営そのものはほぼスムーズに進行していた今大会。しかし、ドーピング検査となるとさすがに発展途上だったようだ。
 世界ジュニアもいよいよ大会第7日目。今日は男女シングルスが準々決勝まで、男女ダブルスと混合ダブルスが準決勝まで行われる。シングルスではすべての選手が準々決勝までに中国選手と対戦。何人が中国の壁を破るのか、注目だ。

●男子シングルス3回戦
村松 vs. アングレ(フランス)
カルデラノ(ブラジル) vs. 樊振東(中国)
酒井 vs. 范勝鵬(中国)
洪子翔(チャイニーズタイペイ) vs. ゴーズィ(フランス)
町 vs. デュダ(ドイツ)
徐晨皓(中国) vs. フロール(フランス)
吉田 vs. デヴォス(ベルギー)
アチャール(フランス) vs. 林高遠(中国)

●女子シングルス3回戦
朱雨玲(中国) vs. 黄シン(チャイニーズタイペイ)
伊藤 vs. スッチ(ルーマニア)
P.ゾルヤ(ドイツ) vs. キム・ビョルニム(韓国)
前田 vs. 劉高陽(中国)
加藤 vs. 顧若辰(中国)
リリー・チャン(アメリカ) vs. A.ムケルジ(インド)
谷岡 vs. チオバヌ(ルーマニア)
S.ムケルジ(インド) vs. 顧玉ティン(中国)

●男子ダブルス準々決勝 ※日本選手関係のみ
村松/酒井 vs. アングレ/アチャール(フランス)

●女子ダブルス準々決勝 ※日本選手関係のみ
前田/谷岡 vs. キム・ビョルニム/イ・ジオン(韓国)
伊藤/加藤 vs. チオバヌ/スッチ(ルーマニア)

●混合ダブルス準々決勝
林高遠/顧若辰(中国) vs. 李佳陞/黄シン(チャイニーズタイペイ)
ムッティ/ラコバチ(イタリア/クロアチア) vs. 徐晨皓/朱雨玲(中国)
寥振ティン/邱嗣樺(チャイニーズタイペイ) vs. ジョスト/P.ゾルヤ(ドイツ)
趙頌煕/杜凱栞(香港) vs. 樊振東/劉高陽(中国)

今日もまったく雨の気配がないハイデラバードの街。「野良犬に噛まれると狂犬病の恐れがある」「治療が遅れたら100%助からない」と日本で聞いていた取材班。「野良犬なんて、滅多にあわないでしょ」と思っていたら、わんさかいました(笑)。少し広い野原のようなところがあると、何十匹も群れをつくっている。おとなしそうな連中ですが、やっぱりちょっとコワイな…。