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平成24年度全日本選手権大会

●男子シングルス5回戦
丹羽孝希(青森山田高・青森) 4 (10,-9,2,-7,7,-11,3) 3 松下海輝(明治大・東京)

男子シングルス5回戦で、明治大の松下が丹羽に挑んだ。強烈なチキータレシーブから果敢に攻め込んだ松下は丹羽と互角の展開。ミート気味のバックハンドでも丹羽のフォアサイドを突き、気迫のプレーで最終ゲームに持ち込んだ。しかし、松下の歯車が狂ったのか、丹羽の本気が出始めたのか、最終ゲームは6-0と丹羽が一気にリードし、そのまま逃げ切った。
大魚を逃した松下は悔しい表情。「自分から攻めることだけを心がけて、レシーブも全部チキータで狙うつもりだった。6ゲーム目まではうまくいったが、最後は自分が崩れてしまって、やろうと思ってたことができなかった。今大会は、ダブルスもシングルスも全部ランク決定で負けてしまったが、手応えは感じられた大会でした」(松下)
 「引退を決めて試合に出るのはだめですね。試合中にいろいろ考えてしまうから」と試合後、表情は柔らかいが、目にいっぱいの涙をためて、田勢邦史(協和発酵キリン)は語った。全日本選手権では男子ダブルスと混合ダブルスで優勝を重ね、シングルスでも表彰台に上がった男だ。
「ペン表ソフトのプライドを持って戦いました。大会前の1,2か月前は早くこの大会が終わってほしいと思っていたけど、2,3日前からは卓球を楽しむ子供のようでした。今は寂しいです。でも、いい思い出がたくさんありますから、すっきりとラケットを置きます」。
 長く、日本の卓球界に貢献した男はコートを去った。奇しくもその10分ほど前に同僚の坂本も最後のシングルスを終えた。二人とも、引退後は指導者の道を歩む予定になっている。
 2002年にドイツに渡り、岸川聖也とともに日本の若手の卓球を変えた坂本竜介(協和発酵キリン)が5回戦で高校の後輩になる松平健太(早稲田大)にストレートで敗れた。この大会で第一線を退く坂本はさばさばとした表情で、「悔いはないです。長年苦しめられたサービスのイップスも今大会は出なかった。まだ28歳で若いけれども、新しいことにチャレンジしたい。最後は、健太か聖也とやりたかったから、健太が相手でよかった」とコメントした。
 最後まで、得意のバッククロスのドライブ、鋭いバックドライブは健在だった。
●男子シングルス5回戦
水谷(beacon.LAB) 6,9,-8,-4,3,11 森薗(青森山田高)
岸川(スヴェンソン)7,5,-5,5,6 有延(野田学園高)
丹羽(青森山田高) 10、-9、2、-7、7、-11、3 松下(明治大) 

男子シングルス5回戦。
水谷、岸川、丹羽の五輪代表がそろってベスト16入りを決めた。
●女子シングルス準々決勝
福原(ANA) 8、-8、5、9、8  小野(日立化成)
藤井寛(日本生命)7、5、8、7 岡本(サンリツ)
松澤(淑徳大) 6、-9、4、4、12 田代(日本生命)
石川(全農) 10、4、9、3 藤井優(日本生命)
  • ベスト8入りを決めた福原

  • 福原に敗れた小野

●男子ダブルス準々決勝
水谷/岸川(beacon. LAB/スヴェンソン) 4、9、7  井上/藤本(近畿大)
松平/丹羽(早稲田大/青森山田高) -13、10、9、9 桒田/横山(明治大)
張/高木和(東京アート) 12、-4、4、8 田中/久保田(シチズン)
坂本/笠原(協和発酵キリン) 8、-12、6、10 時吉/安藤(TEAM GIFU/岐阜信用金庫)
  • 水谷/岸川 vs. 井上/藤本

●男子シングルス5回戦(ランク決定戦)
吉村(真)(愛知工業大) vs. 大島(早稲田大)
平野(明治大) vs. 塩野(東京アート)
上江洲(愛工大名電高) vs. 坪口(長崎県スポーツ専門員)
松下(海)(明治大) vs. 丹羽(青森山田高)
高木和(東京アート) vs. 田勢(協和発酵キリン)
有延(野田学園高) vs. 岸川(スヴェンソン)
森田(シチズン) vs. 村松(JOCエリートアカデミー/帝京)
坂本(協和発酵キリン) vs. 松平(健)(早稲田大)
松平(賢)(協和発酵キリン) vs. 韓(東京アート)
吉田(雅)(青森山田高) vs. 吉田(海)(えひめTTC)
大矢(東京アート) vs. 上田(青森大)
下山(協和発酵キリン) vs. 時吉(TEAM GIFU)
森本(愛知工業大) vs. 笠原(協和発酵キリン)
張(東京アート) vs. 吉村(和)(野田学園高)
瀬山(リコー) vs. 横山(長崎県スポーツ専門員)
森薗(青森山田高) vs. 水谷(beacon.LAB)
 大会第5日目の代々木第一体育館は、今までに見たことがないほどの入場待ちの行列ができていた。10時から女子シングルス準々決勝がスタート。福原愛と右ペン表速攻の小野思保の試合は、なかなか妙味のある一戦になりそうだ。女子シングルス準々決勝、および今日決勝が行われる男子ダブルス準々決勝の対戦カードは下記のとおり。

●女子シングルス準々決勝
福原愛(ANA) vs. 小野思保(サンリツ)
岡本真由子(サンリツ) vs. 藤井寛子(日本生命)
田代早紀(日本生命) vs. 松澤茉里奈(淑徳大)
藤井優子(日本生命) vs. 石川佳純(全農)

●男子ダブルス準々決勝
水谷隼/岸川聖也(beacon.LAB/スヴェンソン) vs. 井上一輝/藤本海統(近畿大)
桑田晋一郎/横山輝(明治大) vs. 松平健太/丹羽孝希(早稲田大/青森山田高)
田中満雄/久保田隆三(シチズン) vs. 張一博/高木和卓(東京アート)
坂本竜介/笠原弘光(協和発酵キリン) vs. 時吉佑一/安藤康寛(TEAM GIFU/岐阜信用金庫)

今大会の詳しい記録を、当ウェブサイトの「選手&大会」
http://world-tt.com/ps_player/player_top.php?selDspMod=Tour&selDspTor=43
で随時更新中!
全日本選手権大会の特集は卓球王国4月号(2月21日発売号)に掲載します。お楽しみに!
  • 2連覇を狙う福原

  • 福原と準々決勝で対決する小野

 女子シングルスで中学1年生でランク入りした加藤美優。この1年で最も伸びた選手のひとりだろう。

 左下写真は彼女のレシーブの構えだが、バックサイド寄りに構える選手が多い中で、ここまで中央に構える。そして同じ球質、同じ球速のボールが2本続くということが少ない。「単調」という言葉の対極にある、緩急自在のプレーの中で、相手が予想もしないタイミングから強打を放ったり、相手の体勢を見てループドライブで得点したりする。他の選手とは違う、独特の間合いを持っているのだ。

 彼女は自分自身の中にある「感性」を大事にしながらプレーしている印象を受ける。サービス・レシーブの厳しさはまだまだこれからだが、どういうプレーヤーに成長していくのか、楽しみな選手だ。
●男子ジュニア決勝
森薗(青森山田高) 5、7、-7、7 三部(青森山田中)

●女子ジュニア決勝
松平(四天王寺高) -7、9、-3、13、5 浜本(JOCエリートアカデミー)

 男子ジュニアは、台上から終始先手を奪い、前陣でのカウンターシュートドライブの決定率が高かった森薗が優勝。高校2年生で悲願のジュニアタイトル。試合の中盤からは三部が得意のバックドライブを生かして、森薗を大きくフォアへ動かしたが、森薗はフォアに飛びついてからさらにバックに回り込む驚異のフットワークを見せ、最後まで打ち切った。男子ジュニアはヤマダ勢が10年連続の優勝だ。

 「今までずっとJNTに選ばれていたけど、今年初めて外されてしまい、とてもショックでした。自分は元気と気迫だけで勝ってきたようなものなので、今回優勝できて本当にうれしいです。姉が選考会で1位になり、凄いと思っていた反面、自分ももっと活躍したいと思っていた。これからもっと世界で勝てるようになりたい」(森薗)

 女子ジュニア決勝は大激戦。長身を活かした高い守備能力を見せ、フォアサイドを切られたボールや相手の3球目強打もきっちりブロックした浜本。バック対バックのラリーから、浜本のフォアミドルをえぐるような強烈なバックハンドを打ち込んだ松平。ラリーが10球、20球と何本でも続いた。
 ひとつ勝負の分かれ目となったのは第4ゲーム。浜本が12−11と2回目のマッチポイントを取った場面で、松平が後陣から拾ったボールがエッジかサイドか、微妙なボール。この一本がエッジと判定され、松平がこのゲームを逆転。最終ゲームは中盤で一気に離し、勝負を決めた。
  • 森薗、ついにジュニア優勝を達成

  • 松平は2回のマッチポイントをしのいだ

  • 優勝後の会見での森薗(左)と松平