速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

全中国運動会・速報2013

●女子シングルス準決勝
陳夢(山東省) 10、-7、5、-12、-8、7、8 文佳(遼寧省)
李暁霞(山東省) 4、7、5、5 劉詩ウェン(広東省)

89分の大熱戦と、36分の早期決着。女子シングルス準決勝の2試合は対照的だった。

陳夢対文佳は、文佳の低く伸びるバックドライブと、陳夢の多彩にコースを打ち分けるフォアドライブの応酬。まったく互角の大ラリー戦、紙一重の勝負だった。地元開催の大会で、大魚を逃した文佳は、試合後にベンチでガックリ肩を落とした。

一方、李暁霞対劉詩ウェンは、世界選手権パリ大会決勝と同じカード。そして劉詩ウェンにとっては、パリ大会以上に勝機のない戦いだった。
バック対バックでは回転量に押され、甘くなったボールはバックサイドを切られ、不利になると見た劉詩ウェンは、積極的に李暁霞のフォアサイドを両ハンドで突いた。しかし、李暁霞のフォアへの対応は完璧で、フォアを抜かれたのは1試合を通しても数本。そしてまたバック対バックの展開に戻され、劉詩ウェンに先にオーバーミスが出た。
第3ゲーム終盤からは、やや諦めムードだった劉詩ウェン。打球のピッチの早さに特化してきた彼女にとって、天敵とも言える李暁霞。今後ビッグゲームで勝つチャンスはあるのだろうか。
  • 陳夢、前回の2回戦敗退から一気に決勝へ

  • 文佳、地元応援団の声援に応えられず

  • 劉詩ウェンを圧倒した李暁霞

  • 課題を突きつけられた劉詩ウェン

●女子ダブルス決勝
木子/曹臻(解放軍) 4、12、9、-9、12 郭躍/李佳イ(遼寧省)

●男子ダブルス決勝
樊振東/周雨(解放軍) 2、6、7、9 李木橋/尹航(解放軍)

女子ダブルス優勝は木子/曹臻。ともにバック表ソフトの異質攻撃型だが、下がってもバックハンドを振ることができ、フットワークを活かしてフォアで攻めることもできる。郭躍/李佳イは、序盤で李佳イがバック表ソフトの球質に対応できず、出遅れたのが響いた。郭躍は試合中もずっと首を気にしており、こちらもやはり本調子ではなかった。

遼寧応援団の大声援もあり、盛り上がった女子ダブルス決勝に比べ、同士討ちの男子ダブルス決勝はあまりに淡々とした内容。ともにラリー戦に持ち込む前に、カウンターを決めるか、カウンターをミスするかという感じで、全くラリーが続かなかった。順位決定戦を除いて、この全中国運動会で初めて盛り上がらない試合を見た感じだ。若手ペア同士のぶつかり合いを期待していたのだが…。
  • 木子/曹臻、うれしいタイトル獲得

  • 表彰台ではこの笑顔!

  • 樊振東/周雨、頂点に上り詰めた

  • 表彰で解放軍の大先輩に敬礼

●男子シングルス準々決勝
馬龍(北京市) -9、7、4、6、8 王励勤(上海市)
王皓(解放軍) 8、-5、4、7、-10、4 崔慶磊(河北省)
許シン(上海市) 8、-7、6、-6、-5、5、7 閻安(北京市)

男子シングルス準々決勝が終了。今日夜の準決勝の対戦カードは、馬龍対王皓、樊振東対許シンとなった。

この全中国運動会での引退が伝えられている王励勤は、最近はほとんど勝っていない馬龍に敗れた。前陣でのショートスイングのバックドライブ連打で1ゲームを先取したが、馬龍の動きの速さ、ピッチの早さにはさすがについていけず。
フルスイングのフォアドライブを打てるチャンスは少なかったが、マッチポイントを取られた第5ゲームの8-10で、レシーブから回り込んでバックストレートへパワードライブ。ボールはネットを弾いてオーバー。エースボールのバックストレートを最後の一球にして、今大会の戦いを終えた。

あ、王励勤はまだ大会後に超級リーグでの戦いがあるので、完全に引退ではありません。あしからず。
  • 最後の一本は…バックストレート!

  • まだまだ強いところを見せた大会だった

●男子シングルス準々決勝
樊振東(解放軍) 8、8、-4、8、-8、8 張継科(山東省)

現五輪・世界王者の張継科を樊振東が破った!

樊振東の台上バックドライブの回転量と安定性は、張継科を上回るほど。両者ともロングサービスを多用し、台上バックドライブを封じにかかった。
張継科はゲームカウント0-2の第3ゲームからエンジンがかかり、8-0でリード。緩急をつけた攻め、フォアストレートへのカウンタードライブ、ループドライブなどで得点を稼いだが、やはり待ちを外す「かわす」プレーが多く、対戦相手を圧倒する強さが影を潜めた。前回に続き、ベスト8で大会を終えた。

これまで多くの若手選手が、王皓、馬龍、張継科といったトップ選手を追い詰めてきたが、勝利が目の前にチラついてくると、ミスが増えたり、守りのプレーが増えるケースが多かった。しかし、樊振東は16歳という若さで、スコアにプレーが大きく左右されない、稀有な選手だ。
  • 台上バックドライブの応酬となった一戦

  • 張継科、右肩の故障の影響か、フォアが走らず

  • 張継科、今大会はタイトル0に終わる

●女子シングルス準々決勝
陳夢(山東省) 4、1、5、-8、-9、-10、11 丁寧(北京市)
文佳(遼寧省) 3、3、1、7 周シントン(解放軍)
劉詩ウェン(広東省) 8、-5、-3、2、4、-13、5 郭炎(北京市)
李暁霞(山東省) -10、8、7、3、7 武楊(山西省)

初優勝を狙った丁寧が、第6ゲームに左太ももの付け根を傷め、テーピングと治療を受けて試合を続行。最終ゲームも必死のプレーでマッチポイントを奪う健闘を見せたが、最後は陳夢にフォアを突かれ、惜敗。
ベスト8に残る健闘を見せていた周シントンは、文佳のロングサービス、そしてバック深くに切ってくるツッツキに対し、ショートが甘くなり、強打で攻められた。左右に振り回したショートも、文佳の回転量の多い両ハンドドライブで正確に返球され、バック対バックでは文佳のバックドライブに対して、先に裏面バックハンドのミスが出ていた。全く勝機を見出せなかった。
劉詩ウェンは郭炎との長いラリー戦を制し、李暁霞はスロースターターで武楊に1ゲームを落としたものの、中盤からは危なげないプレー。女子でベスト4が出揃った。
  • 陳夢、勝利の瞬間

  • 治療を受ける丁寧

  • 劉詩ウェン、前回大会に続きベスト4進出

大会もいよいよ第9日目。朝8時半にホテルを出るバスで、鞍山オリンピックセンター体育館に到着した速報担当。あと20分ほどで女子シングルス準々決勝がスタートします。

現地での食事は、朝がホテルのレストラン、夜と晩は報道陣向けの巨大な食堂で食べることが多い速報担当。こちらに来て驚いたのは、ジャガイモの千切りや干豆腐の細切り、胡瓜と牛肉の和え物などの冷菜が美味しいこと。香菜や唐辛子、花椒の効かせ方が絶妙。湯(スープ)も冬瓜や胡瓜を使ってサッパリと仕上げてあるので、メインのおかずが脂っこくても変化がつく。そして、包子(パオズ)の美味しさはさすが。
 
スイカやハミ瓜などの果物もとても美味しいです。スイカは日本で食べているものと全く変わらないので、これもまたビックリ。下写真は左がホテルでの朝食、右が報道陣向け食堂の昼食。朝食の右側にちらっと写っているのは黒米粥です。

まあしかし、そろそろ三つ葉を浮かせた吸い物なんかが、恋しくなってきたり、ならなかったり。いや、恋しいです。
 いよいよ大会も第9日目を迎えました。今日は男女シングルスが準決勝まで進み、明日の決勝へ進出するファイナリストが決定。男女ダブルスでは優勝ペアが決定します!

 さて、個人戦から、山東省女子チームの李暁霞や陳夢のベンチに入っているのが下写真の周樹森(ジョウ・シュセン)。全中国運動会女子団体3連覇(北京市女子チーム)、2010年世界団体選手権優勝(シンガポール女子チーム)などの実績を持つ、中国卓球界でも指折りの名指導者。元五輪・日本代表の新井周さんのお父さんでもある。

 山東省女子チームにとって、05・09年と女子団体決勝で優勝を阻止された北京市チームは、いわば宿命のライバル。そのライバルチームの元監督を、コーチとして招聘したわけだ。山東省女子チームの喬雲萍(チャオ・ユンピン/95年世界3位)が、李暁霞が成長し、陳夢がチームの主力となる今大会が優勝のチャンスと、シンガポール女子チームの監督時代から周樹森に白羽の矢を立てていた。

 団体戦でベンチに入ることはなかったが、大会前の集合訓練でも大会本番と同じタイムテーブルで練習に取り組むなど、豊富な経験を山東省チームにフィードバックした周樹森。選手がゲームを落としても語気を荒げることはなく、穏やかな口調でアドバイスしている。五輪&世界女王の李暁霞に、この百戦錬磨の名コーチが加われば、まさに鬼に金棒か。女子シングルスのカギを握る人物だ。
●女子ダブルス準決勝
曹臻/木子(解放軍) -7、7、9、7、6 饒静文/馮亜蘭(湖北省)
郭躍/李佳イ(遼寧省) -12、6、-7、7、7、10 劉斐/范瑛(江蘇省)

●男子ダブルス準決勝
樊振東/周雨(解放軍) 14、7、-10、-13、-8、9、9 ハオ帥/李平(天津市)
尹航/李木橋(解放軍) -4、8、10、8、9 ジャイ一鳴/徐輝(遼寧省)

夕方からスタートした男女ダブルス準決勝は熱戦の連続。試合終了の予定時間を大幅にオーバーしている。中国選手の真剣勝負、ハイレベルなラリーの連続で頭がクラクラしてきそうだ。贅沢な話です。

女子ダブルス準決勝で会場を大いに盛り上げたのは、地元・遼寧の郭躍/李佳イの決勝進出。李佳イが緊張からかカット打ちのミスが多く、序盤は劣勢。しかし、中盤から李佳イがツッツキでつなぎ、郭躍が正確なドライブで攻める。李佳イも少しずつ堅さが取れ、カット打ちのミスがなくなった。
4年前の青島での大会の時、当時15歳だった李佳イはまだまだ初々しく、「将来は中国代表で活躍したい」と夢を語っていた。夢はまだ道半ばだが、明日は地元の観衆の前でタイトルをつかみ、飛躍のきっかけにしたい。

男子ダブルス準決勝の第1試合も、ゲームオール9点の大・大激戦。レシーブから台上バックドライブで攻める解放軍ペアに対し、天津ペアは李平の威力あるバックドライブ、ハオ帥のカウンタードライブで応戦。第6ゲーム9-5と勝利まであと一歩だったが、ここから解放軍ペアが6点連取で逆転。最終ゲームは9-9からハオ帥がまさかのサービスミスで、万事休す。
  • 郭躍/李佳イ、遼寧にタイトルをもたらせるか

  • 劉斐/范瑛、敗れたとはいえ強かった!

  • ハオ帥/李平、惜敗に落胆を隠せず

 週末の日曜日でも、観客の入りは6〜7割程度の鞍山オリンピックセンター体育館。それでも応援する一人ひとりの声量が大きいので、かなり盛り上がっているように感じるのは、いかにも中国。マイクとスピーカーを持ち込んで大音量で応援したり、鐘や銅鑼、太鼓を打ち鳴らしたりと賑やかなことこの上ない。

一度、王励勤の試合で「王励勤、加油(ワンリーチン、ジャーヨ)!」の声援が続いた後に、狙いすましたように「王力宏、加油(ワンリーホン、ジャーヨ)!」と声援を飛ばした人がいた。王力宏は中国語圏で人気のある台湾の男性歌手で、これが大ウケ。「誤会了〜(勘違いだよ)!」という声が、あちこちから飛んでいた。

写真下段は、解放軍チームの応援で、iPadを使って選手名を表示していた女性。2枚セットで見てみてください。良いアイディアかもしれないけど、ちょっと怖いです…。
●女子ダブルス準々決勝
木子/曹臻(解放軍) 8、5、6 周芳芳/呉ジエ(広東省)
饒静文/馮亜蘭(湖北省) -12、5、5、9 盛丹丹/李天一(北京市)
郭躍/李佳イ(遼寧省) 7、3、6 周シントン/劉イ(解放軍)
劉斐/范瑛(江蘇省) -7、3、12、6 郭炎/丁寧(北京市)

●男子ダブルス準々決勝
ハオ帥/李平(天津市) 7、-10、9、8 王励勤/許シン(上海市)
樊振東/周雨(解放軍) 6、9、-7、5 邱貽可/許鋭鋒(四川省)
李木橋/尹航(解放軍) 4、8、7 陳楚熙/楊磊(福建省)
ジャイ一鳴/徐輝(遼寧省) 7、6、-1、13 王建軍/朱霖峰(四川市)

大会第7日目は男女ダブルス準々決勝、準決勝が行われる。男女シングルスはすでにベスト8が出揃っているが、1日挟んで明日が準々決勝・準決勝、そして最終日の夜に決勝というゆるやかなタイムテーブル。まさに五輪本番さながらだ。

男女ダブルスでは、王励勤/許シン、郭炎/丁寧といった優勝候補が敗れ、混戦模様となっている。王励勤/許シンは、すでにシングルスで敗れ、ダブルスにタイトル獲得の望みを託すハオ帥/李平の気迫に押された。
郭炎/丁寧は、郭炎にカット打ちのミスが続き、最後は集中力が切れてしまった。丁寧のカット打ちが安定しないので、返球も難しくなるのだろう。

そういえば、体育館行きのバスの中で、中国の記者さんに「東京五輪決定おめでとう!」と言われました。中国からも、おめでとうございます〜!
  • ハオ帥/李平、王励勤/許シンを破った瞬間

  • 郭炎/丁寧、ガックリ……