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全中国運動会・速報2013

〈山東省 3−0 山西省〉
○陳夢 10、6、3 武楊
○李暁霞 3、6、5 李暁丹
○顧玉ティン 7、10、5 楊飛飛

 女子団体決勝で、山西省をオールストレートの3−0で破った山東省。エース李暁霞は、前回、前々回と決勝で涙をのんだ雪辱を果たした。

 トップの陳夢は、出足で武楊のカットに対してオーバーミスを連発。色白な顔色が蒼白に見え、さすがに緊張の色は隠せないかに見えたが、第1ゲームを8−10から逆転で奪って肩の力が抜けた。まともな連打では打ち抜けない武楊のカットに対し、逆モーションのバッククロスへのスマッシュなどを織り交ぜながら、丁寧に攻略した。武楊にとっては、第1ゲーム8−8から促進ルールに入ったのが不利となったか。

 2番の李暁霞対李暁丹は、昨日の準決勝ではあれほど光って見えた李暁丹の両ハンド強打が、李暁霞の前ではまるで一般と中学生というくらいの差があった。バック対バックで回転量に押され、不用意に李暁霞のフォアへ持っていったボールをクロスへカウンターされ、全く勝機を見出せなかった。

 前半で山東が2−0でリードした時点で、ほぼ勝負あり。3番では、抜群の身体能力を生かしたフォアドライブに、しっかりコースを突くブロックなどの柔軟性を加えた顧玉ティンが楊飛飛に完勝。チームの優勝を決めた。
 終わってみれば、やはり昨日の準決勝、対北京戦が山東にとって事実上の決勝戦だったのかもしれない。ベンチにも余裕が感じられる優勝だった。
  • 落ち着いたカット攻略で先陣を切った陳夢

  • 武楊は促進ルールに泣いたか

  • 顧玉ティン、歓喜の瞬間

  • 表彰台で笑顔の山東女子チーム

●女子団体決勝
〈山東省 3−0 山西省〉
○陳夢 3−0 武楊
○李暁霞 3−0 李暁丹
○顧玉ティン 3−0 楊飛飛

 前回準優勝の山東省が、頂点に上り詰めた!
 
 女子団体決勝があと15分ほど後にスタートする。会場には急に報道陣が殺到し、撮影用のビブス(ゼッケン)を受け取る所は、つかみ合いのケンカが始まりそうなほど殺気だっていた。

 今大会は会場に入る時に、スポーツセンター全体の入り口で必ず安全検査を受けなければいけない。ちなみにアルコール類は持ち込み厳禁。速報担当はお土産で持ってきた日本酒を没収されて怒り心頭。今日は23時過ぎまで表彰や会見があるのだが、「酒は手荷物の預かり所に預けなさい」と言われて、預かり所に行ったら、「今日は8時までだよ。明日になったら違うところへ回って、13日以降でないと受け取れないよ」とのこと。もう諦めました…。

 さて、女子団体決勝は山東対山西。山東のエース李暁霞は、前回決勝トップで丁寧に敗れ、優勝を逃した屈辱を忘れていないはずだ。昨日の彼女の出来を見る限り、敗れるところはちょっと想像しにくい。
 山西は武楊と李暁丹の両輪で山東に挑む。長身から両ハンド強打をビシビシ決めていた李暁丹、李暁霞との「ちょっとまぎらわしい対決」の行方は?

  • 李暁霞、団体のタイトル獲得なるか

  • 李暁丹、波乱を起こせるか

 昨日の男子団体準決勝、解放軍対北京市と上海市対天津市。上海市対天津市のトップで、天津市の李平が許シンと対戦した。李平は国家チームの中で、仮想・ヨーロッパ選手の両ハンドドライブ型として、練習相手を務めていた選手。そのバックドライブは流れるように美しく、切れ味も鋭い。

 しかし、解放軍の1・2番に出場した樊振東と周雨のバックハンドを見ていると、もう仮想ヨーロッパ選手は不要ではないかと思ってしまう。彼らは台上、前陣、中・後陣と、一撃で相手を圧倒する強烈なバックドライブを持っている。
 樊振東は台上バックドライブ封じのロングサービスにも、かなり対策を立てているようで、逆にバックストレートへの非常に打球点の早いバックドライブで、何本も打ち抜いた。周雨は勢いに乗ってくると、もう「何が何でもバックドライブ」という感じだ。それでいて、時折小さく切れたバックストップを混ぜたりする。一方、李平は時折レシーブでチキータを見せるくらいだ。

 彼らのバックハンドの攻撃力は、完全にヨーロッパを圧倒している。威力だけならば、台上バックドライブの本家・張継科にも引けをとらない。そして、サービスよりもレシーブのほうが得点率が高く、より自信を持っている。

 ふと、ロスコフの中陣バックドライブ、グルッバの居合抜きバックハンドを懐かしく感じました。個人的な感傷ですが。
  • 決勝でも大いに暴れそうな周雨

  • 樊振東は抜群の勝負強さも魅力

  • 李平のプレーは…優雅に見えました

●男子団体準決勝
〈解放軍 3−0 北京市〉
○樊振東 7、9、5 閻安
○周雨 −8、12、7、8 馬龍
○王皓 9、9、2 侯英超

〈上海市 3−0 天津市〉
○許シン −10、9、5、6 李平
○王励勤 −11、6、−9、9、5 ハオ帥
○尚坤 6、7、3 劉亜楠

 男子団体準決勝、有力な優勝候補だった北京市が、解放軍に完敗を喫した。
 解放軍は王皓を3番に下げ、若手の樊振東と周雨にシングルス2点を託すリスキーなオーダー。これがズバリとはまった。まずトップで樊振東が、回転量の多い台上バックドライブと、叩き潰すようなバックドライブ連打で閻安を圧倒した。

 そして圧巻は2番に出場した周雨。特筆すべきはバックドライブの攻撃力。馬龍の低く切れたツッツキを強烈なパワードライブで打ち抜き、ラリーでも中陣から馬龍のフォアと互角以上に引き合う。
 「少々競り合っても、まさか馬龍は負けないだろう」と思っていた速報担当はあまかった。結局最後まで、周雨がバックドライブで押し切ってしまった。打球点の早さ、台上の攻撃力、そして圧倒的な回転量。バックドライブもここまで来たか、という感じだ。チャンスボールを一発で決めるフォア強打もすさまじく、まさに「暴風雨」だ。
 3番王皓は、得意のカット打ちで侯英超に快勝し、勝負あり。

 もうひと試合の上海市対天津市は、2番で王励勤がハオ帥を逆転で下した。威力ある台上バックドライブはないが、王励勤のバックハンドの巧みなコース取りは、かつての強打者のイメージとはまたひと味違う魅力がある。ロビングでハオ帥の攻撃をしのぐ場面も多く、一球に対する集中力の高さは際立っている。

 プレーは成熟していても、上海市チームの若手をガッツポーズで鼓舞する姿に、35歳の王励勤がひと回り若返って見えた。ちょっと泣けました。
  • 強烈な両ハンドドライブで押しまくった周雨

  • 馬龍は試合後のミックスゾーンでもぼう然

  • 王励勤、まだまだやれます!

  • 上海の頼れる3番手・尚坤(シャン・クン)

●女子団体準決勝
〈山西省 3−2 四川省〉
○武楊 5、−8、11、6 李茜
 李暁丹 −7、11、−8、10、−9 朱雨玲○
○楊飛飛 8、9、7 聶維
 武楊 −3、−9、−9 朱雨玲○
○李暁丹 8、−9、6、7 李茜

〈山東省 3−1 北京市〉
 陳夢 −7、−3、9、−7 丁寧○
○李暁霞 12、10、−9、1 郭炎
○顧玉ティン 8、6、7 盛丹丹
○李暁霞 5、7、9 丁寧

 女子団体準決勝、4連覇を狙う北京市が山東省に敗れ、明日の3位決定戦に回ることになった。
 北京市はトップ丁寧が幸先良く先制し、2番郭炎も李暁霞と素晴らしい打撃戦を展開。ミドル対ミドルの攻防から、郭炎の中・後陣からのパワードライブと、李暁霞の前陣カウンターが飛び交うラリー戦は、見ていてゾクゾクした。郭炎は第1ゲームの競り合いで何度もゲームポイントを奪いながら落とし、第2ゲームも大量リードを逆転されたのが痛かった。
 そしてロンドン五輪決勝の再現となった、4番の李暁霞対丁寧戦は、李暁霞の完勝。丁寧の決定力不足、攻めの遅さが露見した一戦だった。丁寧は中陣からの連続ドライブをことごとく止められ、フォアストレートへのカウンタードライブで打ち抜かれた。この試合を見る限り、両者の差はかなり開きつつある。

 準決勝のもうひと試合、山西省対四川省は、要所の3番で楊飛飛が聶維に勝利した山西が勝利。2番の李暁丹と朱雨玲の前陣での攻防は見応えがあった。国際大会への出場は少ない李暁丹だが、世界ランキング20位以内には悠々入る実力がある。常にポーカーフェイスの彼女も、決勝進出を決めた後はさすがに笑顔が満開だった。
  • 一気にペースを上げてきた李暁霞

  • 丁寧、シングルスで李暁霞にリベンジできるか

  • ラストを締めて笑顔の李暁丹

  • 四川の李茜(03年世界ジュニア優勝)は集中力が続かず

 今回の全中国運動会・卓球競技の会場である鞍山オリンピックセンター体育館は、鞍山市の中心から車で20分ほど走った郊外にある。巨大な経済開発区の一角で、全中国運動会・サッカー(U-20)が行われているメインスタジアム、水球の会場である屋内プールもすぐ横にある。「ひと昔前の近未来」的なフォルムだ。

 卓球の街・鞍山での開催に、前回の青島大会を上回る盛り上がりを期待していたが、交通の便の悪さもあってか、観客の入りは今ひとつ。地元の遼寧が男女団体とも姿を消して、ますます観客が減ってしまった印象だ。
  • 記者用のミールサービスもあります。謝謝

  • 中国版フランクフルトは人気アリ

 今日の午前中を利用して、鞍山市の中心部にある、体育専門店街を訪れました。

 訪問したお店の名前はジン(金が3つ)望体育。卓球・バドミントン・テニスという3つのラケットスポーツを取り扱うお店。残念ながら、卓球だけの専門店は鞍山にはないとのこと。
 看板にピン(兵の右足が欠けた字/卓球)、羽(羽毛球/バドミントン)、網(網球/テニス ※写真では簡体字)の順番で書いてありますが、売り上げもやはり卓球が一番多いとか。「鞍山では卓球は人気があるからね」と女社長の徐暉さんがうれしいことを言ってくれました。写真を撮らせてくださいと言ったら、すばやくオススメのラケットを手にした徐さん、さすがにやり手ですな。

 鞍山市で唯一の胡蝶(バタフライ)の代理店だけあって、バタフライのラケットやラバーが充実。ちなみに、一番売れているラケットはティモボル・ZLC、一番売れているラバーは…なんとスレイバー・FXだそうです。2番目がテナジー・64だそうで、スレイバー・FX、大健闘しております。
 編集部の佐藤ユウが来たら1時間半は粘りそうな店ですが、組織委員会の方に車で連れてきてもらったため、あわただしく退散しました。
  • ジン望体育の外観

  • ラケットがズラリとディスプレイ

  • 卓球台は完全に物置、そしてなぜか招き猫が

  • スーパーのほうはなかったですが、張継科・ZLCはありました

  • おお、コファレイト!

  • 写真左が女社長の徐暉さん

 大会第4日目の9月4日。本日は午前中が男女団体の順位決定トーナメント。15時から女子団体準決勝、19時から男子団体準決勝というスケジュール(日本との時差は1時間)。準決勝の見どころは後ほどお伝えします。

 昨日撮影した全中国運動会のひとコマから。

 写真左上から4枚、時計回りに行きます。まず左上は「嘆きの徐晨皓クン」。今大会、レンタル移籍で新疆ウイグル自治区からの出場になってしまった彼。本来の所属である解放軍のチームメイトでありライバル、周雨が準々決勝で大活躍するのを、少々寂しそうな表情で見つめていた。

 次に右上。男子団体準々決勝を戦い終えた、某チームのベンチ。まさに「全中国の環境汚染」。ちなみに負けたチームでしたが、この状態でベンチを後にして、気分が悪くならないものかと…。

 左下はペンドラ健在を印象づけた四川チームの王建軍。今さら言うまでもないですが、国家チームで長く柳承敏の仮想選手を務めた後、中国式ペンホルダーに戻った彼。でも、やっぱり前ではプレーできない。「元日ペンの宿命」です。

 右下は河南省チームのエース、鄭詩暢のクールダウン。柔らかすぎます。また両足の角度が素晴らしい。まるで「次世代型戦闘機」です…。訳が分かりませんが。
 男子団体準々決勝に出場したチームの監督や選手は、かなりのコワモテ揃い。写真一番上の二枚、天津市チームの馬文革監督(左)と北京市チームの張雷監督は言うに及ばず、解放軍対広東省戦3番で「角刈り対決」を繰り広げた張超と樊振東など、集まって街を歩いていたら結構怖そうです。サングラスなんぞかけた日には…。

 …ちなみにひとり異彩を放っている写真一番下右のメガネの方は、解放軍チームの范長茂監督。83年世界選手権東京大会の男子団体優勝メンバーなんです、これでも…。