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世界卓球東京大会WEB速報

 いよいよ大会最終日の5月5日。間もなく16時30分から、男子団体決勝のドイツ対中国戦が行われる。すでに発表されているオーダーは下記のとおり。

 〈中国 vs. ドイツ〉
 馬龍   vs.  ボル
 張継科  vs.  オフチャロフ
 許シン  vs.  フランチスカ
 馬龍   vs.  オフチャロフ
 張継科  vs.  ボル

 決勝の大一番で、中国男子の劉国梁監督は馬龍と張継科を2点起用。好調の許シンを3番で起用してきた。一方のドイツは不動のオーダー。トップの馬龍対ボルは、2010年モスクワ大会でもトップで対戦し、ボルが勝利している。ボルは昨日の日本戦で、好調の水谷を破るなど、その強さは相変わらず。十分にチャンスはある。先制点を取り、6連覇中の中国にプレッシャーをかけたい。
昨日の日本女子vs香港の「星野の眼」です。

ジュースとなった1ゲーム目を落としたのは石垣にとって残念だっただろう。石垣は緊張していたようだが、相手も緊張しており、カット打ちのドライブは単調だったし、ストップも台から出ていた。だからこそ1ゲーム目はチャンスがあったのだが、石垣の攻撃が昨日までとは違い、ミスが多かった。1ゲーム目をとった李は緊張がほぐれ、2 、3ゲーム目ではより早い打球点でのドライブが見られ、また1ゲーム目では打ちあぐねていたチャンスボールに対する強打もより厳しいコースで決めていった。

1ゲーム目は姜の早い攻めと両サイドへのコース取りに翻弄された石川だったが、2ゲーム目以降は我慢のラリーで、タイミングをはずして相手のミスを誘う展開となった。5ゲーム目の中盤まではシーソーゲームだったが、最後は勝負強さで石川に軍配。終盤になるにつれて、よりダイナミックなスイングで果敢に攻めた石川はさすがだった。

3番の平野vs呉は、「これぞ世界選手権団体戦!」というすごい試合内容だった。相手の一瞬の心の隙を平野は逃がさなかった。それまで呉はフォアもバックも回転をかけ、伸びるドライブで平野を圧倒していたが、5-9から相手の心理状態が変わった。まったく別人がプレーをしていると思われるほどフォアドライブを打たなくなり、ブロックも止めるだけになった。そこですかさず平野は相手のフォアを狙い、ミスを誘った。4、5ゲームは完全に平野のペース。最後に相手も力を振り絞ったが、緊張はほどけなかったようだ。一度集中力を欠くとそこから崩れていく、ということがよくあらわれた試合だった。逆にそこを逃さなかった平野はまさに勝負師だ。

石川は最後に勝利をもぎとれる戦い方と強い意志がある。技術的には、相手選手よりもストップ、ツッツキ、台まわりでの技が上回っていた。また5ゲーム目1-2、相手が石川のミドルに強打をしてきた時、石川は回転とスピードを利用してバックでカウンターは高度なテクニックで、そこからナイスプレーが続いて勝利した。さすが世界ランク一桁の石川だ。
昨日の日本男子vsドイツ戦の「星野の眼」です。

さすがに皇帝ボルだ。静かな闘志の中にクレバーな卓球が見えた。2ゲーム目からボルは丹羽に対して攻め方が徹底していた。サービス、レシーブは丹羽のフォア前に、ラリーはストレート狙い、もしくは丹羽のフォアを攻めた。そのストレート狙いがつなぎではなく、速い攻撃というところにボルの強さがある。個人的に非常に興味をひかれたのは、1ゲーム目の後半、二人の読み合いの勝負。ボルのフォア前へのサービスは、丹羽にフォアでレシーブをさせたい。対する丹羽は主にチキータ、もしくはボルに早い3球目攻撃をさせないレシーブをしたい。ボルのサービスの度に、お互いの読み合い、駆け引きが見られ、最終的にはレシーブの読みで勝った丹羽が1ゲーム目を奪った。

2番の水谷の勝因は2つ。4ゲーム目の中盤から、水谷は攻めで速さや回転量の変化を加え、レシーブをより多彩にし、オフチャロフのミスを誘った点。もう1つは、5ゲーム目の8-8からのカウンターブロック。ここで完全に水谷に流れがきた。今大会、目立ったカウンターブロックがここでも見られた点。2、3ゲーム目は単調になり流れを失いかけた水谷だったが、戦術のうまさと技術力で見事に逆転した一戦だった。

3番の松平は、1ゲーム目をジュースで落とし、波に乗れなかったのだろう。いつもの松平なら巧みなレシーブをした後、早い攻めをするのだが、この試合はネットプレーの後の動きが止まっていた。カウンターリターンも通常より打球点が遅く、止めきれなかった。若くて勢いがありドライブが走っていたフランチスカ。そのスピード、勢いに松平はうまく対応できなかった。

丹羽戦でもそうだが、ボルは水谷に得意なプレーをさせない戦術が徹底されていた。丹羽戦とは逆にボルは水谷に対して、ストップはバック前、ラリーはバックを中心に攻めていた。2ゲーム目、ボルの攻め方を水谷が察し、バックへのボールを回り込みドライブで得点すると、さらにボルはその水谷に対し、回り込みをよんでフォアを狙った。そして、またバックを攻める。サービスでも同様だった。それができる技術があるのだから、ボルは強い。お互いに読み合い、常に戦術が変化していく中、読みのうまさで水谷を上回ったボルが勝利した。

敗れはしたが、今大会の水谷の活躍はすばらしかった。日本のエースとしての役割を十分果たした。水谷を含め、これからの日本選手に期待したい。
昨日、大激戦の末、香港を破り31年ぶりの決勝進出を決めた日本女子。
テレビ東京系列では本日7時30分から開始の女子決勝、日本vs中国の試合を夜6時57分から放送予定だ。みんなで日本女子を応援しよう! お楽しみに。

●テレビ東京系列
「JA全農世界卓球東京 卓球ニッポン女子43年ぶりの栄冠へ宿敵・中国と対戦」
夕方6時57分〜夜9時

※放送内容は変更となる可能性があります。
 昨夜、劇的な勝利で31年ぶりの決勝進出を決めた日本女子。石垣は1ゲーム目がすべてではないだろうか。あれを取っていたら流れは変わった。石川は苦しみながらも最後はエースの力を見せた。そしてなんと言っても3番の平野は、分の悪い相手に奇跡的な逆転勝ちを収め、4番の石川につなげたのは大きい。

★平野早矢香選手のコメント
「本当に負け試合だった。3ゲーム目を気持ちで取れたのが勝ちにつながった。1、2ゲーム目は戦術がうまく立てられなかった。
 0ー2の3ゲーム目、4−9ですか? 覚えてないんですよ。そんなに離れてましたか? 6−9で相手がタイムアウトが取ったのは覚えています。相手がミスが続いていた。相手のタイムアウトの時には、監督に粘っていくぞと言われたのは覚えている。今、4−9というのを聞くと自分でも信じられないですね。最終ゲーム10ー8で嫌な流れになって、そこでフォアで攻めようとしたら中途半端になってしまったので、焦ることなく、相手が打つならしっかりブロックしよう、できることをしっかりやろうと。
 10ー10になって緊張したけど、確かエッジが入ってラッキーなポイントだったけどあれで冷静になれた。
 ロンドン五輪の時にはダブルスの出場が多かったけど、今回は2点使いも3番もあって、私は何とかして次の人に良い流れでつなぎたいと思ってやってきて、明日中国と日本でできるのは誰もができることじゃない。応援を力に変えて何とか食らいついて、今日みたいな戦いなると思うので最後まであきらめずに頑張りたい。昨日の試合も今日の試合も負けてもおかしくない試合だった。5人の力で乗り切ったという実感もあります。この場にいられるのは幸せです」。

★香港の李静監督
「選手はベストのプレーをしたよ。特にうちの若い選手(李・呉)は頑張ったね。ほめてやりたい。平野戦のネットインのサービス? それも含めて、これが人生というものだろう。運も少しだけなかった。監督としての初采配?もちろんハッピーさ」
  • 劇的な逆転劇を演じた平野

  • 銅メダルの香港チームを率いた李静監督(左から2人目)

 12年ロンドン五輪での女子団体銀メダルに続き、世界選手権で31年ぶりの決勝進出という快挙を成し遂げた日本女子の村上恭和監督。3番平野の大逆転劇に対し、「0−2でリードされた3ゲーム目、4−9からの大逆転はぼくの監督生活の中でも体験したことがない。すごい平野の精神力に、改めてありがとうと言いたい」とコメントした。

 「平野は呉穎嵐に対して1勝3敗くらいで、最近は連敗しているから苦しいと思っていた。団体戦の独特の雰囲気に平野が引きずり込んで、相手を金縛りにしたような試合。第3ゲーム6−9で呉がタイムアウトを取った時、平野が『このサービスでいきたいんですけど』と言ってきた。試合の中で見えてきたものがあったんですよ。そこから逆転につながっていった。平野は自分の戦い方を見つけるのに時間がかかるんですが、ついに見つけたという感じでしたね。石川は今大会ずっと苦しんでいるから、接戦が普通になってきたけど、『最後には佳純が勝つんだろうな』という気持ちで見ていた」(村上監督)

 31年ぶりの決勝進出については、率直に「うれしいですね」と述べた村上監督。ちなみに最後に決勝進出した83年東京大会には、村上監督も選手として出場している。 「私はミックスダブルスだけ出て、女子団体の決勝を応援していた。それが再現できてうれしい。決勝は大変だけど、まだどのチームも中国から勝利は挙げていない。まずひとり勝ちたいというのが本音です。そこから、ホームである日本にとって、何かが起きるかもしれない。お客さんがたくさん来て下さる中で、恥ずかしくない試合をしたい」。
  • 村上監督、明日は中国に挑む

  • チームの勝利は平野の頑張りなくしては語れない

●女子団体準決勝
〈日本 3−1 香港〉
 石垣 −13、−10、−2 李皓晴○
○石川 −8、8、−6、9、6 姜華君
○平野 −8、−10、10、3、10 呉穎嵐
○石川 4、−8、−10、9、7 李皓晴

 勝った! 石川が李皓晴をゲームオールで下し、日本が決勝進出!
 1983年の東京大会以来、実に31年ぶりの決勝の舞台だ!

 石川佳純という選手は、やはり非凡だった。昨日のオランダ戦ラストでの、「どうやって得点していいのかわからない」という感じのリズムと待ちの悪いプレーから完全復活。「今日は自分が2回出るなら、2回勝てるように頑張ればいい。思い切ってやればいいと気持ちを切り替えることができた」と語ったとおり、緩急を巧みにコントロールし、李皓晴から得点を重ねた。第4ゲーム9−9の苦しい場面で、バックストレートにフォアスマッシュをたたき込み、次の一本はフォアクロスへ、曲げながらスピードを落としたフォアドライブを送り、李のブロックミスを誘った。「ゲームの達人」石川の面目躍如だった。

 最終ゲームは5−3のチェンジエンドから5−5となったが、ここからピタッと止める小さく切れたフォアストップ、フォアドライブ連打などで9−5と突き放す。最後は10−7のマッチポイントで3球目フォアドライブを決め、歓喜のジャンプ!

 「昨日のオランダ戦は負けたらベンチに帰れないと思って試合をしたけど、あの試合を乗り越えられたから、今日は思うぞんぶん戦うだけだし、こういう舞台で試合をできることは幸せだと思えました」(石川)。
  • 石川、大一番でエースの働き!

  • 李皓晴、第5ゲーム終盤に離された

  • 日本女子ベンチ、笑顔!笑顔!

  • 香港ベンチも大声援を送ったが…

 〈日本 1−1 香港〉
 石垣 −13、−10、−2 李皓晴○
○石川 −8、8、−6、9、6 姜華君
○平野 −8、−10、10、3、10 呉穎嵐
 石川 vs. 李皓晴
 石垣 vs. 姜華君

 3番平野、呉との最終ゲームは6−2のリードから6−6、さらに9−6、9−8と突き放しても呉穎嵐がしつこくついてくる。バック対バックでは呉の回転量の多いボールへの対応に苦しんでいた平野だが、徐々にそれにも対応。呉のバック深くへのナックルロングサービスで、平野が10−8とついにマッチポイント。

 ここで香港女子の李静監督が、オーロラビジョンに映った平野のサービスに対し「ネットをかすっているじゃないか」というアピール。しかし、これは認められず、試合再開。一発で決めたかった平野だが、さすがに力が入ったか、バッククロスへのフォアドライブを2本連続でミス。しびれるジュース!

 会場中から「先に一本!」「平野いけるぞ!」「頑張れ!」と声援が飛ぶ。若い高校生くらいの声が一番多いだろうか。日本中の卓球ファンに背中を押され、平野は11−10で再びマッチポイント。そして呉の回り込みフォアドライブが空を切り、ついに平野の勝利!!!

 日本、決勝進出に王手。4番石川、出陣だ!
  • 驚異の精神力!サヤカ大明神!

  • 下がっても粘り強い呉穎嵐だったが、ナーバスになったか

 〈日本 1−1 香港〉
 石垣 −13、−10、−2 李皓晴○
○石川 −8、8、−6、9、6 姜華君
 平野 −8、−10、10、3 呉穎嵐
 石川 vs. 李皓晴
 石垣 vs. 姜華君

 トップ石垣が李皓晴に対し、第1ゲームと第2ゲームにゲームポイントを奪いながら逆転され、ストレートで敗れた日本。しかし、2番石川が、昨日のオランダ戦がうそのように、本来のひらめきと試合巧者ぶりを発揮。バック表ソフトの強打が武器である、姜のバックサイドをあえて変化をつけながら攻め、ミスを誘い、カウンターで狙う。フォアに飛ばされたボールにも、うまく緩急をつけながら対応し、ゲームカウント1−2から見事な逆転勝ち!

 ただいま、3番平野が最終ゲーム。第3ゲーム4−9のピンチから6−9になったところで呉がタイムアウト。明らかにナーバスになっている呉、9−10で一度マッチポイントを握られたものの、逆転。一気に平野がペースを取り返した。このまま決めてくれ!
  • 石川、逆転勝ち!

  • 石垣、ゲームポイントをつかみながらも…

 初采配の世界団体で、銅メダルという収穫を手にした日本男子の倉嶋洋介監督。ドイツ戦のベンチでは決勝進出に賭ける意気込みの強さが感じられた。ドイツ戦後のミックスゾーンでは、オーダーについて質問を受け、「オーダーはいろいろ考えたけど、あの3人でメダルを決めたし、世界ランキングの上位3人でもある。こういう場を経験させることは非常に大きな意味があると思う。塩野を使って相手を疲れさせたり、そういうことも考えたけど、やっぱり将来的なことや今大会の流れを見て、このオーダーにしました」とオーダーの理由を語った。
 「彼らはオリンピックに出る可能性も高い。地元開催のこのプレッシャーの中で戦えたことは、大きな収穫だったと思う」。

「1番の丹羽に関しては、ある程度作戦どおりにプレーできた。ただ、ここ一番でボルがしつこく返してきた。あと数年で追いつき、追い越すところまではきていると思う。

 2番の水谷は、オフチャロフに対して最近分が悪かったけど、ここ2試合くらいは非常に良いプレーをしていた。あとは打撃戦の中で、1本、2本がどう決まってくるかというレベルだった。最後はオフチャロフに少しミスが出て、その差だった。心身ともに充実している水谷だった。

 3番の松平に関しては、ドイツ戦の3番は100%取らなければならないことを本人もわかっていた。その中で、相手のプレーも良かった。健太本来のプレー、自分らしさはちょっとなかったと思うけど、重圧がかかる3番で良い経験ができたと思う。4番の水谷対ボルは、2番で勝った勢いが出るかと思ったけど、ちょっと落ち着いた感じで試合に入ってしまって、そこをボルにパパッとやられた。先手を取られて、慌てて策がなくなった感がある。水谷については、ボルやオフチャロフの入れてくるボールに対して、ブロックではなく、積極的にカウンターを狙っていったのは評価できる。

 選手たちは苦しい試合が続く中で、地元開催の重圧の中で、一試合ずつ積み重ねてきた。攻める気持ちを恐れず、よく戦ってくれた。非常に収穫があった。これからはサービスから3球目、レシーブから4球目の厳しさを追求すれば、良い意味で楽に試合が進められると思います」(倉嶋監督)