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世界卓球東京大会WEB速報

 ドイツの前に散った日本。08年の広州大会以来のドイツ戦勝利はならなかった。
 トップでボルに敗れた丹羽はいつもと同じように冷静に記者の質問に答える。
 また3番で松平を破り、ドイツのチーム勝利を引き寄せた21歳のフランチスカは笑顔でコメントを残した。

★丹羽孝希選手のコメント
「1ゲーム目を取らなかったら0−3になってしまうので、1ゲーム目を取ったのは良かったけど、ボルはサービスのコースがうまくて、最後までチキータで攻めることができなかった。ブンデスリーガでやって、いつも競り合いで負ける。まだまだ差があると思いました。1番でぼくが勝てば流れがくると思ったけど、ボルは強いボールはないけど、コース取りもうまくて、回転量も多くてなかなか自分の思ったとおりに攻められなかった。一球一球気をつけないと点は取れない。
 ボルはぼくの動きを見ていて、全部ぼくの逆に送ってきてやりにくかった。ぼく自身のプレーは全然悪くなかったし、こんなにたくさんの観衆のまでできて今までで一番楽しい大会だった。優勝を目指してきたけど、もっと経験をつまないと勝てない」

★フランチスカ選手のコメント
「今とてもハッピーだし、満足している。松平とは5年前にブンデスリーガでやっただけだ。あのときはノーチャンスだった。だから試合前はナーバスになった。戦術的には、まずレシーブに集中した。松平は良いサービスを持っているから。それがうまくできたと思う。中国戦は自分自身楽しみにしている」
  • 「もっと経験が必要」と丹羽

  • ドイツチームの秘蔵っ子、フランチスカ

 〈ドイツ 3−1 日本〉
○ボル −16、5、4、12 丹羽
 オフチャロフ −8、16、6、−6、−8 水谷○
○フランチスカ 10、−7、−6、5、5 松平
○ボル 6、5、6 水谷

4番水谷がボルに敗れ、日本男子はドイツに1−3。これで4大会連続の銅メダルが確定した。
ボルは序盤から高い集中力で、フォアクロスの打ち合いから早めに水谷のバックへコース変更。先手を取ってコースを変え、積極的にフォアハンドドライブの連打で攻めるボルに、水谷はなかなか主導権を奪えなかった。「自分で決める」という強い意志のこもったプレー。これほど強いボルは久しぶりに見た気がする。

★水谷隼の試合後のコメント
「前回大会の準決勝で完敗したオフチャロフに勝てたことはひとつの収穫。4ゲーム目からそれまで使っていないサービスを使っていった。これまで世界団体の準決勝では0勝5敗で、この壁を乗り越えたいと強く思っていたので、それはうれしい気持ちもある。でも、ボルに対しては精神的にビビってしまった。メンタルがまだまだ弱い。ここまで完璧にやられるとは思わなかった。
 日本は過去3大会連続でメダルを獲得しているから、当たり前のように思われているけど、やはりメダルを獲るのは容易ではない。8日にまたロシアリーグに出るために、ロシアに向けて出発します。今度はクラブのために頑張りたい」
  • ボル戦は緊張してしまったと水谷

  • 松平は惜しい逆転負け

  • 試合後に握手を交わす水谷とボル

 〈ドイツ 2−1 日本〉
○ボル −16、5、4、12 丹羽
 オフチャロフ −8、16、6、−6、−8 水谷○
○フランチスカ 10、−7、−6、5、5 松平
 ボル vs. 水谷

3番松平、第1ゲームを落としながらも、台上処理での技術力の差で優位に立ち、ゲームカウント2−1と逆転。しかし、第4ゲーム3−3から6点連取を許し、このゲームを落とすと、最終ゲーム中盤はフォアのフリックミスなどが続き、1−6のビハインド。最後までこの差を詰められず、痛い星を落とした。
4番水谷、再び出陣だ!

 〈日本 1−1 ドイツ〉
 丹羽 16、−5、−4、−12 ボル○
○水谷 8、−16、−6、6、8 オフチャロフ
 松平 vs. フランチスカ
 水谷 vs. ボル
 丹羽 vs. オフチャロフ

 水谷、ボルを破った!これで日本1−1ドイツ!
 両者ともイージーミスはなく、白熱のラリー戦。しかし、最終ゲームはオフチャロフが勝負を急いだが、終盤に3球目攻撃の打ちミスが2本。水谷は長いラリーでも集中力高く、粘り強く攻め、カウンターのスーパーブロックも決めた。水谷、勝利を決めてすぐにベンチとハイタッチ!

 3番はケンタ。続くぞ!
 〈日本 0−1 ドイツ〉
 丹羽 16、−5、−4、−12 ボル○
 水谷 vs. オフチャロフ
 松平 vs. フランチスカ
 水谷 vs. ボル
 丹羽 vs. オフチャロフ

 第1ゲーム、お互いが3回ずつゲームポイントを取り合う接戦の末に、1ゲームを先取した丹羽。しかし、ボルの回転量の多い台上BD、フォアドライブにラリー戦でなかなか優位に立てず。第4ゲームは8−4まで離し、10−9、11−10と2回のゲームポイントを握ったが、及ばなかった。
 2番は水谷対オフチャロフ。男子ECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)の準決勝で2回対戦し、1勝1敗だ。
 〈日本 vs. ドイツ〉
 丹羽 vs. ボル
 水谷 vs. オフチャロフ
 松平 vs. フランチスカ
 水谷 vs. ボル
 丹羽 vs. オフチャロフ

 日本男子とドイツの男子団体準決勝、両チームともオーダーは小細工なし。1・2番手を2点起用する正攻法のオーダーを組んだ。日本男子の3番手は松平健太。3番では確実に勝利を挙げたい日本だが、フランチスカにはカットの塩野よりも松平で勝負に出た。
●女子団体準決勝
 〈中国 3−0 シンガポール〉
○李暁霞 −8、8、5、7 馮天薇
○丁寧 6、3、6 ユ・モンユ
○朱雨玲 4、7、7 リー・イザベルスーユン

 中国女子が準決勝でシンガポールを一蹴し、明日の決勝へ進出した。
 敗れたとはいえ、存在感を見せたのはやはり馮天薇。中国に対して精神的にも、技術的にもプレッシャーを受けず、互角に勝負できる数少ない選手。ツッツキからのカウンターブロック、ミドルでの細かいコース変更、機を見ての回り込みフォアドライブ。第1ゲーム6−8から5点連取で逆転し、「これはもしや?」と思わせた。
 しかし、李暁霞は動じなかった。第2ゲーム9−4のリードでは、フォアミドルに来た厳しいボールに体をひねり、柔らかい身のこなしでクロスへカウンター。「柔」の部分も見せながら、バックサイドを切る上から叩きつけるバックドライブ、必殺のバックストレートへのパワードライブなど、「剛」の強さも存分に見せた。

 馮天薇が敗れてからは、完全に中国のワンサイド。シンガポールの2番ユ・モンユは、丁寧の回転量の多い両ハンドドライブに対し、チャンスを見出せず。3番のチョッパー、リー・イザベルスーユンはカットからの威力ある反撃も決めたが、ポーカーフェイスの朱雨玲は崩れず。フォアブロックはまさに鉄壁で、小さい体ながら相手にとっては大きな壁だ。

 コーチ時代は指導力を不安視された孔令輝監督は、これまでさしたる仕事もない。世界ランキングの1〜5位が揃っているのだから、当たり前だろう。負けさせるほうが難しいと言いたくなる。
  • 李暁霞、ミドル処理も完璧だった

  • 敗れても存在感を示した馮天薇

  • 淡々と戦い続けた朱雨玲

  • 試合後のベンチ、同郷の丁寧と馮天薇が仲良く談笑

 〈中国 3−0 チャイニーズタイペイ〉
○許シン 7、8、8 陳建安
○馬龍 9、11、8 荘智淵
○張継科 6、−10、3、6 黄聖盛

 中国がタイペイを破り、決勝に進出。これで93年イエテボリ大会から11大会連続の決勝進出となった。
 準々決勝で韓国に逆転勝ちしたタイペイの勢いも、中国には通じず。3番のサウスポー・黄聖盛が1ゲームを奪うにとどまった。昨年のワールドチームカップで張継科を破った陳建安に、切り込み隊長としてイキの良いプレーを期待したが、台上で先手が取れず、苦手のブロックに追いやられ、許シンのパワードライブを浴びた。

 絶好調の許シンと安定感抜群の馬龍を2点起用し、張継科を3番に配するこのオーダーは、現時点では中国男子のベストオーダーか。それにしても、現五輪&世界チャンピオンが3番のみの出場とは、何とも恐ろしいチームだ。さらに世界3位の樊振東、09年世界王者の王皓がベンチにいるのだから。
  • 許シン、充実感を漂わせる

  • 馬龍、このボールまで迷わず打つ!

  • 威力ある台上バックドライブを見せた黄聖盛

 昨日の女子団体準々決勝で、日本を敗戦の瀬戸際まで追い詰めたオランダ。ベテラン、リー・ジャオが勝負所で見せたメンタルの強さと、フォアドライブ&バックショートの恐るべき技の冴え。そしてラストのエーラントが見せた、威力あるバックドライブと懸命の頑張り。試合後、エレナ・ティミナ監督(元ロシア代表)は「まず最初に言いたいのは、このチームと選手を誇りに思っていること」とコメントした。

「今日の夜は眠れないわね、話をし続けるかもしれない。リー・ジャオは素晴らしかった。プレッシャーがかかったと思うけど、大事な場面、大事なポイントをしっかりと取っていた。日本チームはすべて良かったと思う。今日は私たちより少しだけ運もあった。今日のオーダー? これしかなかった。エーラントはカットマンに強くないから」(ティミナ監督)

 ラストで惜敗したエーラントは、涙で顔をくしゃくしゃにして、真っ赤な顔でミックスゾーンに現れた。長身で、コートの上ではふてぶてしいくらいに見えた彼女も、コートを離れれば可愛らしい20歳の素顔がのぞく。
 「残念だけど、よい試合ができたので誇りに思っている。今まで3番でずっと出ていたので、トップで起用されて少し緊張したけど、そこでプレーできたのはハッピーだった。ラストは相手が石川だから、勝つチャンスが小さいのはわかっていたし、その小さなチャンスをつかみたいと思っていた。私は全力を出し切りました。石川がナーバスになっているのはわかったけど、最後は私もナーバスになってしまった」(エーラント)

 昨日のオランダは、讃えられるべきグッドルーザー(良き敗者)だった。その頑張りには胸を打たれた。
  • リー・ジャオの強さには参りました

  • 今大会のヒロインのひとりになったエーラント

  • 敗れたエーラントをベンチは笑顔で迎えた

少し遅くなりましたが、昨夜の大激戦、日本女子vsオランダの「星野の眼」です。

1番の平野は安定したフォアドライブで相手のミスを誘った彼女らしいプレーだった。相手は平野のフォアサイドを狙ってきたが、ポイントどころで平野はそれを待ってのカウンターや、先に攻めて相手のフォア攻めを封じ勝利を勝ち取った。

2番、石川対リージャオ。エース同士お互いゆずれない一戦。その中でわずかにリーのほうがミスをしなかった。石川のほうが“勝たなければ”という気持ちが強かったようだ。石川は1ゲーム目のスタートは最高だった。回り込んでのフォアドライブの打球点が早く、しかもストレートを狙っていた。サービスの組み合わせも良く、サービスでのポイント、3球目攻撃が光っていた。2ゲーム目からリーはフォア前をフリックレシーブ。要所でストレートへのフォアドライブ攻撃で石川の攻めを封じた。3ゲーム目から石川の回り込みドライブの打球点が下がった。リーのフォアへのコース攻めに対して足が止まりだしたからだ。4ゲーム目は石川が相手のループドライブを上から押さえた速い攻めと、フォア攻めが有効だった。5ゲーム目はお互いに勝ちたい気持ちが強くなり、力みが入ったように見えた。10-8で石川リードの時にはこのまま押し切ると思われたが、やはりここはチーム戦、石川に力みが見え、逆転を許してしまった。とにかくリーはペン特有の打球点の早いショートがうまく、プッシュ気味のショートも自在に操り、その多彩なテクニックで相手を両サイドに振り回す。バックに比べてフォアは弱いが読みとコース取りが非常に良い選手だ。

3番の石垣の勝利はチームをメダルへと近づけた大きな一勝だった。1ゲーム目の3-7から促進に入った。促進スタート時点での得点差が大きすぎてそのゲームは落としたが、次のゲームからはまさに攻撃力の差が出た試合で最後まで攻撃を確実に決めた石垣の勝利。この緊張した中で、石垣の攻撃にほとんどミスがなかったのはすばらしかった。リーは石垣のフォアへサービスを出し、フォア面裏ソフトでレシーブしたボールを狙っていったが、石垣はそれを封じるためフォアをバックで回り込み表ソフトでレシーブ。それによりリーの3球目での強打ができなくなった。

4番、平野対リージャオ。リーはサービス、フォアへのストレート攻撃、止めるショートやプッシュなどの多彩なバック技術をうまく試合の中で使える選手。この試合は要所でそれをうまく使い平野上回りリーが勝利した。平野はリーのショートを封じるため、リーのフォアサイドを狙ったが、それを読まれて早い打球点で返され、有利な展開にならず。リーの要所で見せる速いフォアカウンターに平野は翻弄され、うまく攻めきれなかった。

5番、石川はまさに執念の勝利。エーラントは3ゲーム目から台から距離をとり、中陣でフォア・バックとも回転をかけてラリーを有利にしていった。そのドライブを石川が止めきれず、3,4ゲーム目を失った。最終ゲーム序盤で0-3とリードされた場面で石川がタイムアウト。そこから流れが変わり、石川のネットプレーからの攻撃も効き、相手はポイントしていた中陣からのラリーができなくなった。石川の実力と勝利への執念がメダルを呼び寄せた。
各選手が実力を発揮し、勝利に貢献。チーム一丸となって勝ち取ったすばらしい勝利だった。