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速報・現地リポート

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ユース五輪・卓球競技

 おはようございます。出場した選手&混合団体のダブルスペアを全部撮影しようとしてフロアを動き回り、フロア担当のスタッフのオバさまに「試合中でしょ!」と怒られた速報担当です。ジン・ジュンホンをコワモテにした感じの方で、どうも目をつけられているような気がする。

 混合団体の決勝トーナメントのドローは、下記のように決定。日本の側のブロックに香港とチャイニーズタイペイ、どちらが入ってくるか(どちらと準決勝で当たるのか)が注目されたが、入ってきたのは香港。女子シングルス2位の杜凱琹を擁する強敵だ。正直に言うとチャイニーズタイペイに入ってきてほしかったが、決勝で中国と当たるまでは負けられない。

 初戦のフランスは、女子のザリフにそこまで怖さはなく、アックズも村松のカットはまだ攻略できないだろう。少々気になるのは準々決勝。カルデラノ(ブラジル)とロレンゾッティ(ウルグアイ)のラテンアメリカ1が上がってくれば、日本はシングルスで両方とも勝っている相手なので、まず問題ない。しかし、ラネフル(スウェーデン)とトロスマン(イスラエル)のヨーロッパ2が上がってくると厄介だ。
 トロスマンは気性の荒いファイターだが、ラリーでは粘り強く、球威もある。ラネフルは両ハンドドライブのパワーでは今大会でも三本の指に入る選手。村松のカットを打ちこなすほどの緻密さはないが、混合ダブルスでは脅威になる。

 ……とはいえ、ここまで来たら、日本は相手がどのチームであろうと勝つだけだ。しっかりベスト4に入って、明日の大会最終日を迎えたい。
 今朝、タクシーで五台山体育館へ向かう途中、信号待ちのタクシーから偶然見つけた「ピンパン(もちろん漢字です)」の文字。眠気が吹っ飛んだ速報担当、近くの電柱にあったその住所をメモして、帰り道に寄ってみた。
 その卓球専門店は「南京圓夢ピンパン」というなかなか雅(みやび)な名前。6時半過ぎに到着した時はもう明かりが消えていて、「遅かったか?」とガックリ。しかし、ほどなくして中の明かりがつき、ひとりの男性が店の奥から出てきた。

 店長の彭乾さん曰く、南京にラケットやラバーを置いているスポーツショップはいくつもあるが、卓球用品の専門店となると4つしかないとのこと。いやはや、砂漠に落とした砂を拾ったようなものだった(大げさすぎますか)。「もう今日は店は終わりだから、帰りたいんだけど」というのを平謝りして、少し店を見させてもらった。

 一番人気があるブランドは、安定の『バタフライ』。日本の卓球雑誌の記者が来たから、リップサービスをしているのではない。店に入ってすぐの、一番良いところにはバタフライの高級ラケットがズラリと並ぶ。「どれが一番人気あるんですか?」と聞くと、第1位はビスカリア、第2位はなんと張継科・SUPER ZLC。日本円に直すと3万円、5万円クラスの超高級ラケットだ。「LINING」の代表チームのウェアもあったので、値段を聞いたら399元。日本円だと7千円くらいか。うーむ、ちょっと手が出にくい。

 南京でも卓球は「DOスポーツ」として非常に人気があるそうで、地元の体育館や大学の体育館でラケットを握る人が多いそうだ。ほっとひと安心。「バドミントンより人気ありますかね?」「卓球のほうが人気あるよ」。妙なライバル意識を出してしまった速報担当。
 さすがに何も買わずに写真を撮るのも……と思い、ラバー1枚とタオル1枚を購入。編集部の用具マニア・佐藤ユウがいたら、店主の迷惑顧みず、戸棚の奥までなめるように探し尽くし、掘り出し物を見つけるでしょうが……。最後に彭乾さんと握手を交わして店を後にした。
  • こぢんまりしたお店の外観。人通りが多い……

  • 使い古されたハサミが渋い!

  • ラケットがずらりと並ぶ中国独特のディスプレイ

  • ユニフォームも結構な値段だった

  • なかなか迫力あるルックスの彭乾さん

  • サイン入りラケットもありました

 インターコンチネンタル1戦で混合ダブルスを落としたものの、まずは順調に予選グループを突破した日本。混合ダブルスの敗戦については、田㔟邦史監督は「特に気にしてないです。個人戦の間は混合ダブルスの練習ができなかったので、昨日と今日は混合ダブルスのサービス・レシーブで自分たちが何をやるべきか、確かめようと話をしながらやっていた」とコメントした。

 村松のカットを相手が強打してきたケースで、加藤はやや対応に苦しんでいるようにも見える。しかし、「加藤の返球に対応するのは女子だから、難しく考えずにまずは普通にブロックしてコースを突けばいい」と田㔟監督は語る。「ブロックが良いコースに入れば、次に村松が両ハンドで攻撃できる。『男子のボールを受ける』ということを意識しすぎるとナーバスになってしまうから、村松のカットを相手がツッツキしてきたら、もう一回ツッツキで返してもいいと彼女には言っている。もちろん、打てるボールは自分から仕掛ける。あとは自分の判断です」(田㔟監督)。

 日本は明日、決勝トーナメント1回戦と準々決勝を戦う。シングルスで加藤がかなり調子を上げてきているのは頼もしい。シングルスで逃したメダルを、ぜひ混合団体でつかんでほしい。
  • 加藤/村松ペア、シンプルかつ積極的に戦いたい

 上段の写真左は、「ヨーロッパ1」チームのディオゴ・チェン(ポルトガル)。左腕からキレのあるフォアドライブを連発するファイターだが、メンタルが少々不安定。勝利が近づいてくるとプレーが守りに入ってしまう。また、その気持ちの動揺が手に取るように伝わってくる。今日午後のチェコとの試合では、強敵・レイツパイズから第4ゲーム10ー7でマッチポイントを握ったディオゴだが、ここでも入れにいくプレーで逆転を許してしまう。

 最終ゲームは中盤で大きくリード。しかし、ここを取れば楽になるというポイントが取れず、さらにマッチポイントを取ってからまたも10ー9まで挽回される。ベンチの後ろでアップしていたステフツォバとディアコヌ。もつれる泥試合に「本当にしょうがないわね」という感じで苦笑いしていたが、さすがのディアコヌも最後は「頼むから決めてよ〜」と祈りの表情。
 そして最後、レイツパイズのパワードライブをディオゴがまたも当てるだけのブロック。あまりのイージーボールに驚いたのか、レイツパイズがこれをミス。ベンチに戻ってもバツの悪そうなディオゴでした。

 下段の写真はチャイニーズタイペイと対戦した「ヨーロッパ2」のラネフル(スウェーデン/写真左)とトロスマン(イスラエル)。トロスマンはトップで、女子シングルス予選グループでは競り勝っていた邱嗣樺に惜敗。2番ラネフルは楊恒韋に、ゲームカウント2ー1から逆転負け。勝敗はすでに決し、意気消沈のふたり。これで混合ダブルスを戦うというのも少々酷ではある。
  • 辛勝になぜか服をめくるディオゴ

  • 「早く決めてよ〜」とディアコヌ

  • 試合中もガックリのヨーロッパペア

 混合団体・予選グループの第3戦、日本はアフリカ3に3ー0で完勝。35分ほどで勝負を決め、グループBを3戦全勝で通過した。

 トップ加藤はジブチのアリ・サラー、2番の村松はトーゴのアラッサニにともにストレート勝ち。アリ・サラーは恐らく、この大会で一番競技レベルが低い選手だろう。1ゲーム目にサービスミスが2〜3本出るし、レシーブのツッツキも半分くらいしか入らない。
 一方、アラッサニは自己流のスイングながら、試合が進むにつれて村松のカットを連続で打つ学習能力も見せていた。ただ、思い切り下から振り上げるスイングなので、写真を撮っても一体何をしているのか分からない。……上に吹っ飛ばしたボールが10本以上あって、「混合ダブルスではボールを拾いに行くのが大変だった」(加藤)とのこと。混合ダブルスも一方的な試合展開だった。

 「明日からは負けたら終わりだし、本当の勝負が始まる。今日の試合に入る前は、予選は全部3ー0でスカッと勝とうとふたりに言っていました。勝つのなら0点でも1点でもいい、入れにいくようなプレーはやめようと」(田㔟監督)。第2戦では混合ダブルスで敗れたが、個人戦の間は練習できなかった混合ダブルスで、得点パターンの確認などもしている。チームにまったく動揺はない。
 今日の夜、予選グループの全試合が終了した後にドローが行われる。第2シードの日本は第1シードの中国とは決勝まで当たらない。あとは香港、チャイニーズタイペイ、韓国といったアジアの強豪が、どのようにドローに入ってくるか。
  • 加藤に敗れたアリ・サラー

  • アラッサニのカット打ち。ボールは上……やや前に飛んでます

  • 顔がわからないので、アラッサニをもう一枚

  • 加藤/村松、明日からが本番だ!

 日本チームの混合団体が行われている最中、日本選手のプレーに声援と拍手を送る制服姿の皆さんを発見。
 どうやら日本の方々らしいので話を聞いてみると、愛知県から一週間の日程で訪中している「平成遣中使」の皆さん。上山奨学財団の主催で、今回でももう19回目なのだとか。19日に南京に入り、無錫や蘇州、上海などを巡る中で、このユース五輪・卓球競技の会場に足を運んで下さった。

 せっかくなので、記念写真をパチリ。生徒たちを引率していた愛知県立高浜高校の村松利之校長(前列一番左)は、今年のJA全農世界卓球もテレビで観て、卓球に注目して下さっているとのこと。皆さんのことは日本チームに伝えておきますよ。これからの道中、お互いに気をつけて参りましょう。
  • ちょっとわかりづらいですが、最後列が平成遣中使の皆さん

  • 後列の子たち、顔が隠れてしまってゴメンナサイ

●混合団体・予選グループ第2戦
〈日本 2ー1 インターコンチネンタル1〉
○加藤 4、4、4 ルオ・アンチー
○村松 4、2、2 アファナドル
 加藤/村松 7、ー8、5、ー11、ー12 ルオ・アンチー/アファナドル○

 混合団体予選グループの第2戦。日本はインターコンチネンタル1に対し、トップ加藤、2番村松が圧倒的な内容で勝利。村松と再び対戦したアファナドルは、カット打ちのフォアドライブにやはりミスが続出。中盤からはツッツキでの持久戦も試みてきたが、村松はまったく崩れなかった。

 日本は2ー0ですでに勝利が確定したが、3番混合ダブルスで最終ゲーム10ー7から4回のマッチポイントを奪いながら逆転負け。ルオ・アンチー/アファナドルは、アファナドルが丁寧にループドライブとツッツキでつなぎ、浮いたボールをルオ・アンチーが強打で打ち抜くなど、通常の混合ダブルスとは違う役割分担も見せた。日本ペアにとってはそれほど気にする必要のない敗戦だが、村松のカットを強打された時の対応、あるいはカットの割合をもう少し減らすのか、調整する必要がありそうだ。

 トップ選手はほとんど経験しないであろう、この試合方式。2ー0で試合が決まり、立ち直れないまま、混合ダブルスで魂の抜けたようなプレーをするペアもいる。シングルスの時のような緊張感は、フロアにはまだ漂っていない。
  • 加藤/村松、予想外の逆転負け

  • ルオのフォア強打が強烈だった国際ペア

  • 混合ダブルスで敗れた瞬間。観客席より

 今大会、男女各32名の出場選手で、ペンホルダーの選手はゼロ。前回は男子シングルスでチャイニーズタイペイの右中国式ペンドライブ型・洪子翔が銀メダルを獲得したが、今大会はペンはひとりもいない。どのコートを見てもシェーク両面裏ソフトの選手ばかりだ。

 バック表ソフトのカットマンである村松、バック粒高のシェーク異質攻守型・邱嗣樺(チャイニーズタイペイ)、シェークフォア表のワン・ユエン(ドイツ)、裏ソフト以外の選手はそれくらいしか……と思ったら、いました。チュニジアのベンーヤヒア(下写真)。バック面に使用しているのは、泣く子も黙るスペクトル。弾き打つバックプッシュとナックルブロックで、ヨーロッパの強豪とも結構良い試合をしている。引き締まった体躯で、動きも速い。

 シェークドライブ型といってもスタイルは様々なのだが、やはり多様な戦型で、多様なラリーがあったほうが見ていて面白い。昨日の混合団体では、村松のカットプレーが観客に大いに受けていた。樊振東とやっている時はさすがに中国への声援が圧倒的だったが、単純に見ている分には、やはりカットマンは面白い。
 大会もはや第5日目の8月21日。会場に到着したタクシーが、トランクに入れたカメラバックを乗せたまま発車し、慌てて追いかけてトランクをぶっ叩いた速報担当です。ちょっと強く叩きすぎたかも。
 会場入り口のセキュリティチェックでは、カメラのレンズに取り付ける一脚(いっきゃく)に目をつけられた。確かに、パッと見た目には警棒のようなもの。実際に取り付けてみせるほかなかった。

 今日は混合団体の予選グループ・第2戦と第3戦。日本は現地時間10時スタートの第2戦で、プエルトリコのアファナドルとカナダのルオ・アンチーによるインターコンチネンタル1と対戦。同16時15分スタートの第3戦では、トーゴのアラッサニとジブチのサラーによるアフリカ3と対戦する。

 村松は男子シングルスの予選グループで、アファナドルにストレートで完勝している。トップの加藤も、昨日のインド戦のプレーを見る限り、ルオ・アンチーには問題なさそう。しっかり3ー0で勝利したい。第3戦は、1ゲームに5点以上とられることはまずないだろう。混合団体は明日準々決勝まで終了し、最終日に準決勝と決勝が行われる。
 速報担当の泊まっているホテルの近くはアパレルブランドの小さいショップが建ち並び、様々なレストランが建ち並ぶ「獅子橋美食街」もある。そして、歩いて5分圏内に3軒のスタバ(スターバックス・コーヒー)。中国では大人気なんですね。日本食のレストランもチラホラ。
  • いかにも現代中国的な風景

  • 道路には二輪車専用レーンが作られている

  • 巨大なウェスティン・ホテルのビル

  • なんだか懐かしい感じです

  • ホテルから近い玄武湖の入り口、玄武門

  • 市民の憩いの場、玄武湖

  • 獅子橋美食街の入り口です

  • 中は深夜でも人、人、人……