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速報・現地リポート

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アジア競技大会・卓球競技

〈男子団体〉
優勝:中国
2位:韓国
3位:日本、チャイニーズタイペイ

〈女子団体〉
優勝:中国
2位:日本
3位:シンガポール、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)

〈男子シングルス〉
優勝:許シン(中国)
2位:樊振東(中国)
3位:朱世爀(韓国)、荘智淵(チャイニーズタイペイ)
※ベスト8:水谷隼・丹羽孝希

〈女子シングルス〉
優勝:劉詩ウェン(中国)
2位:朱雨玲(中国)
3位:馮天薇(シンガポール)、梁夏銀(韓国)
※ベスト8:福原愛・石川佳純

〈男子ダブルス〉
優勝:馬龍/張継科(中国)
2位:許シン/樊振東(中国)
3位:松平健太/丹羽孝希(日本)、ガオ・ニン/李虎(シンガポール)
※ベスト8:岸川聖也/水谷隼

〈女子ダブルス〉
優勝:朱雨玲/陳夢(中国)
2位:劉詩ウェン/武楊(中国)
3位:キム・ジョン/キム・ヘソン(北朝鮮)、李皓晴/呉穎嵐(中国香港)
※ベスト8:平野早矢香/石川佳純、福原愛/若宮三紗子

〈混合ダブルス〉
優勝:キム・ヒョクボン/キム・ジョン(北朝鮮)
2位:江天一/李皓晴(中国香港)
3位:岸川聖也/福原愛(日本)、金ミン鉐/田志希(韓国)
※ベスト8:丹羽孝希/平野早矢香
  • アジアチャンピオンとなり、リオ五輪に近づいた許シン

  • 丁寧、李暁霞がいない中、勝つべくして勝った劉詩ウェン

●男子シングルス決勝
許シン(中国) 6,-5、-11、7、10、8 樊振東(中国)

本当にこれで五輪切符を持つ人が決まるのかもしれない。と思わせるような白熱した試合だ。同士討ちに強いよりも、対外的な強さを重視されるのだろうが、この決勝で対決したら勝って、首脳陣にアピールしたくなるのは当たり前だろう。
1ゲーム目を許シンが取れば、すぐさま樊振東は2ゲームを取り返す。3ゲーム目は樊が6-3でリード。次のフォアへの許の飛びつきがストレートに流れ、サイドかエッジの微妙な判定だったが、審判は許のポイント。6-4、そして許は6-6に追いつく。そこから樊が8−6,しかし8−8とタイ。9-9、9-10と許がゲームポイント11-10と樊が逆転、ここで許が裏面バックドライブとフォアドライブの連携で11-11。樊のカウンターバックドライブで12-11、最後は許のドライブがネットミスで13-11で燓が2-1とゲームをリードした。
4ゲーム目も両者がっぷり四つ。5-5。そこから9-6と許のリード、このゲームを11-7で許が取り返す。
勝負の5ゲーム目、4-4、6-6、一進一退は続く。10-8で許がゲームポイント、そこから樊が10-10に追いつく。ここで許の裏面カウンターが決まり11-10、最後は樊のレシーブミスで12-10と許が取り、優勝に王手をかけた。
6ゲーム目、6-4と許がリードで燓はタイムアウト。ここから許はガッツむき出しに一気に攻め込む。8-4と優勝へ近づく。中陣から強烈なドライブが決まる。9-4から許が焦ったかミスが続く9-6になり許のタイムアウト。9-7、9-8、樊がジリジリ迫ってくるが、10-8で許がマッチポイント、そして11-8で許が床に倒れ込み優勝をかみしめた。
  • 闘志むき出しの許シン

  • フォアドライブ、裏面カウンターを繰り出す許

  • 堂々とした17歳・樊振東は優勝ヘあと一歩だった

  • 敗れたものの燓の強さを見たら五輪切符はまだ混沌とした状態だろう

●女子シングルス決勝
劉詩ウェン(中国) 6,4、11、7  朱雨玲(中国)

準決勝では馮天薇を翻弄した朱雨玲の攻守を劉詩ウェンはパワフルな両ハンドで崩していく。2ゲームを劉が先取し、ここまでは格の違いを見せる。
3ゲーム目も劉のパワーは落ちずに、しかもガッツポーズを連発するなど同士討ちとは思えない気合いの入り方だ。やはりその先にあるのは五輪切符なのか。朱がパワーフリックで7-8と追い上げてきたところで劉はタイムアウト。8-8のあと高速ラリーを劉が制し、9-8でリード、しかし、9-9とジリジリと朱が自分のペースに持ち込む。9-10と朱が逆転するもすぐに10-10。10-11から劉の強打で11-11。ここがこの試合のポイントになるだろう。12-11と劉が再びリード。最後は劉のフォアクロスのドライブを朱がオーバーミスした。13-11。
まさに3ゲーム目のジュースがキーポイントだったのか、4ゲーム目の出足で劉はゆるめずに一気に5-1と離す。さすがだ。しかし、ここで朱もあきらめない5-4から劉のサービスミスで5-5と追いついた。しかし、ここで劉は最後のギアチェンジ。10-5と一気に離し、マッチポイント。7-10から最後はバックストレートの強烈なフォアドライブで打ち抜き、アジアの女王に輝いた。
朱の類い希なボール感覚は光ったが、劉の高速両ハンドが抜き去った試合だった。
  • 3ゲーム目の競り合いを取った劉詩ウェン

  • 強烈な台上での打球点でとらえる劉詩ウェン

  • 朱の巧みなボールさばきも劉には通じなかった

  • 劉のパワーの前に朱も沈黙

●男子シングルス準決勝
許シン(中国) 2、5、2、7 朱世爀(韓国)

スタートから許シンのドライブが炸裂。朱は為す術もない状態。回転量のあるドライブで長短の変化をつける許シン。4ゲーム目4-2許がリードで韓国タイムアウト、そして10-7で中国のタイムアウト。劉国梁監督は一気に勝負をかけにいき、しっかりと許が取り、11-7で許シンが完勝し、決勝進出を決めた。

樊振東(中国)  8,9、8,7 荘智淵(チャイニーズタイペイ) 

打ち合いになっても、攻められてからの盛り返しも樊振東が上。4ゲーム目の10-5から2本取られると中国の呉敬平コーチはすかさず、この辺の中国のツメは完璧だ。そして次のボールをしっかりとり樊振東の圧勝。ロンドン五輪ベスト4の荘智淵も勝機を見いだせなかった。

これで決勝は中国同士となった。馬龍、張継科が五輪ほぼ内定すれば、許シンと樊振東が3番目の切符を手にする。そのためのテストはすでに始まっている。樊振東は団体で負けたものの、優勝して自分をアピールしたいだろう。許シンにとっては初の五輪切符は手にしたい。壮絶な打ち合いになるのは必至だ。
  • 朱世爀のカットを打ち抜いた許シン

  • 完敗の朱世爀は銅メダルに終わる

  • 若さとパワーの樊振東は優勝に突き進む

  • ゲーム終盤で得点を取れなかった荘智淵

●女子シングルス準決勝
劉詩ウェン(中国) 3、5、1、7  梁夏銀(韓国)

地元の声援を受けるもスタートから主導権を奪ったのは劉詩ウェンだった。11-3で劉が先取。劉の回転の多い両ハンドドライブにミスが出る梁。2ゲームを先取し、3ゲーム目も10-0とリードを広げる劉。力の差は歴然としている。4ゲーム目は11-7で劉が取り、完勝で決勝進出を決めた。

朱雨玲(中国) 11、11、12、8 馮天薇(シンガポール)

1ゲーム目からラリーの応酬。強くはないが柔らかいボールで相手のミスを誘う朱。その誘いに乗らないように緩急をつけて攻める馮。ジュースで朱が取った。
2ゲーム目、馮が強めに攻めるとやや下がり目でブロックをしていく朱。実に上手い試合運びだ。打ちあぐむ場面のある馮。2ゲームをジュースで朱が連取した。
3ゲーム目、後半、馮リードで朱が追い上げた9-8の時に馮のタイムアウト。そこから三度ジュースになるが、朱は強攻するでもなく、ラリー戦で回転に変化をつけた両ハンドブロックとドライブで馮のミスを誘い、14-12で連取。絶妙なボールさばきと競り合いになった時の落ち着きぶりは素晴らしい。
4ゲーム目、スコアは離れないがじりじりと自分のペースト距離感に持ち込む朱。馮の攻撃をかわしながら、ショートスイングながら回転のかかったドライブで馮のミスを誘い、11-8で勝利した。
朱のクレバーなラリー能力が光った試合だった。
  • 朱に競り合いの中であと1本が取れなかった馮天薇

  • 実に柔らかく、ボールのさばきは天下一品の朱雨玲

  • 良いところ無く完敗。地元の声援に応えられなかった梁夏銀

  • 危なげなく決勝へ進んだ劉詩ウェン

長いアジア競技大会も本日が最終日。
残る試合は男女シングルスの準決勝~決勝だ。

10時~ 女子シングルス準決勝
劉詩ウェン(中国)vs.梁夏銀(韓国)
朱雨玲(中国)vs.馮天薇(シンガポール)

11時~ 男子シングルス準決勝
許シン(中国)vs.朱世爀(韓国)
荘智淵(チャイニーズタイペイ)vs.樊振東(中国)

12時~ 女子シングルス決勝
13時~ 男子シングルス決勝

地元韓国勢の男女が残っているため、中国選手にとって会場の空気はまさにアウェー。
大声援を受け、梁夏銀、朱世爀は中国越えを目指す。
●女子ダブルス決勝
朱雨玲/陳夢(中国)  10、6,-8、-8、3、10 劉詩ウェン/武楊(中国)

 カットと攻撃の変則ペアの劉詩ウェン/武楊と強打者ペアの朱雨玲/陳夢。武楊のカットを思い切り打ち込めば朱雨玲/陳夢が得点を重ねるが、劉詩ウェン/武楊はツッツキに変化をつけたり、武楊が攻撃をしたりとあの手この手で十分にカット打ちをさせないように仕掛けるが、朱雨玲/陳夢の巧さとパワーに屈した。
  • カットと攻撃で決勝まで勝ち上がった劉詩ウェン/武楊

  • 女子と思えないほどの攻撃力だった朱雨玲/陳夢

  • 先輩ペアを下し、笑顔の表彰台

●男子ダブルス決勝
馬龍/張継科(中国)  12、3、7、6   許シン/樊振東(中国)

 男子ダブルスでは中国同士の対決ではあるが大勢の観客が会場へ足を運んだ。準決勝で松平/丹羽を下した馬龍/張継科が許シン/樊振東をラリー戦で飛ばした。
  • 準優勝の許シン/樊振東

  • 決勝で強さを見せつけた馬龍/張継科

  • 観客の声援に応える馬龍/張継科

●女子ダブルス準決勝
劉詩ウェン/武楊(中国) 5,-7、9,8,4 キム・ジョン/キム・ヘソン(北朝鮮)
朱雨玲/陳夢(中国) -4、9,5,4,4 李皓晴/呉穎嵐(香港)

●混合ダブルス決勝
キム・ヒョクボン/キム・ジョン(北朝鮮) 10、10、-10、6,6 江天一/李皓晴(香港)  

卓球が、スポーツが38度線を超えた瞬間だった。
2002年にやはり韓国の釜山で行われたアジア競技大会でも北朝鮮チームが韓国を訪れ、プレーしている。今回もまた北朝鮮が韓国を訪れ、卓球では、キム・ヒョクボン/キム・ジョンが決勝で香港ペアを破り、金メダルを獲得した。この北朝鮮ペアは2013年世界選手権パリ大会でも優勝している世界のトップペアだ。
試合の出足から、北朝鮮ペアには地元韓国の大応援団がついていた。
競り合いながらも最後の1本を後押ししたのはそんな「ホーム」の熱い空気だった。スポーツに政治は介在しない、というのは理想論だ。政治力が無くては国際舞台でスポーツは開催もできないし、選手たちも動けない。
北朝鮮と韓国は「休戦状態」である。1950年代の国を二分した「朝鮮戦争」は終わっていない。38度線という境界線を引かれ、同じ民族が分断された状態は未だ続いている。
同胞でありながら、戦争相手である北朝鮮チームの大勢の選手団を受け入れた韓国。その韓国の地で韓国の人たちから熱い応援を受けて戦う北朝鮮選手。政治あっての国際スポーツであっても、休戦ラインを超え、同じ民族として勝利を喜ぶ姿がそこにあった。


  • 混合ダブルスで優勝したキム・ヒョクボン/キム・ジョン(北朝鮮)

  • 優勝した瞬間の北朝鮮ペア

  • 表彰式の優勝ペア

  • 銅メダル獲得の岸川聖也と福原愛

大会最終日を待たずに、日本チームは女子団体の銀メダル、男子団体銅メダル、混合ダブルスと男子ダブルスで銅メダルの合計4個のメダルという結果で終わった。アジア大会がそのまま世界レベルと言われる卓球への一般のマスコミの注目度も高かった。
男子ダブルスを戦い終えて、倉嶋監督は「五分の戦いだった。勝負所での中国の思い切ったプレーにやられた」と語った。

ラリー戦の中国ペアの圧倒的なパワー。日本ペアはトリッキーなブロックを随所に見せるがそれだけでは勝てない。確かに2ゲーム目を取って流れをもってきたかったが、最後は中国のすばらしい攻撃にしてやられた。ボールのパワー、動きの速さとフォアへ飛びついたときの脚力とボールの威力の差はあったが、日本ペアは最後まであきらめずに観衆を沸かせた。
試合後の両選手のコメントは以下の通り。
丹羽「相手は右利き同士でやりにくい相手ではなかった。中国とやるといつも先手を取られ、ブロックになってしまうので、監督にも相手のフォアに攻めていけと言われたけども、ぼくの攻撃が入らなかった。2ゲーム目はチャンスがあったし、相手のエンジンもかかっていない状態だったけど、相手の中国ラバーでぼくのフォアに打たれるとタイミングが取りづらかった。
(相手が1ゲーム目を取られて変えてきたことは?)相手に打たれたボールを相手のバックに集めていたんですが、それを相手はオールフォアで打ってきた。これから大きな大会も続くし、世界選手権も毎年あるので、中国選手に少しでも近づいていきたい」
松平「終盤まで競ることができたけど、8−8、9−9というところで1本が取れない、勝ちきれないというところが自分たちには足りないところです。試合前はサービス、レシーブで先手を取って、あとは相手は右・右なのでバックサイドに詰めながら要所要所でフォアに攻めるのが作戦でしたが、サービス、レシーブで崩せなかったのが敗因です。ぼくたちの特徴である速さで食いついて行くことはできたのでそこは良かった」
  • 試合後にコメントする丹羽選手

  • 悔しさをにじませた松平選手