速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

平成26年度全日本選手権大会速報

 1月18日、平成26年度全日本選手権はいよいよクライマックスを迎える。男女シングルスの準決勝・決勝、今日行われるのはこの6試合のみ。試合数は少ないが、1台のみのコートで、極上のラリーを堪能できる。今日のタイムテーブルは下記のとおり。

10:00〜 ●女子シングルス準決勝
石川佳純(全農) vs. 前田美優(希望が丘高)
11:00〜 ●女子シングルス準決勝
森薗美咲(日立化成) vs. 石垣優香(日本生命)

12:00〜 ●男子シングルス準決勝
水谷隼(beacon.LAB) vs. 岸川聖也(ファースト)
13:00〜 ●男子シングルス準決勝
神巧也(明治大) vs. 丹羽孝希(明治大)

15:00〜 ●女子シングルス決勝
16:00〜 ●男子シングルス決勝

 女子シングルス準決勝、石川と前田のサウスポー対決は、バック対バックの攻防がひとつのポイント。準々決勝の平野美宇戦では、先に攻めさせる「後の先」の戦術を使った前田だが、女子では球威ナンバーワンの石川にその作戦は通じないだろう。森薗対石垣は、強烈なフォアハンドを武器にカットに強い森薗が有利か。ポイントとなるのはメンタルだ。
 男子シングルス準決勝の水谷対岸川戦は、手の内を知り尽くしたふたりの対決。水谷が6回目の優勝に突き進むか、それとも岸川が意地を見せるか。神対丹羽の明治大対決は、今大会絶好調の神が丹羽の速攻に挑む!
  • 最終日の入場を待つ会場前の卓球ファン

  • 朝から大盛況のメーカーブース

 決勝で阿部/森薗(四天王寺高)とのゲームオールの接戦を制した平野/石川。優勝後の会見では、「すごく苦しい試合でした。ふたりで力を合わせて勝ち取った優勝なので、去年の倍くらいうれしい」(平野)と声を弾ませた。

 「2ゲーム目を9本で落として、相手に流れがいってしまった。4ゲーム目も苦しかったけど、そこで声をかけあいながら、一本ずつ取れたことが大きな勝因です。阿部さんと森薗さんの勢いはすごかった。思った以上に、思い切りぶつかってきて、すごく強かったです。」(石川)
 「相手(阿部/森薗)はずっとストレートで勝ち上がってきていたけど、ラリーではしぶとくボールを入れてきて、勢いだけではない、強いペアだと感じました。やはり4ゲーム目を取れたのが大きかった。だから5ゲーム目に気持ちを切り替えて、新たな気持ちで戦うことができた」(平野)

 これで3冠に王手をかけた石川は、「2種目で優勝できたことは自信になったし、今日は苦しい試合も乗り切ることができた。明日は思い切ってプレーして、一球一球声を出して戦いたい」とコメント。明日の女子シングルス準決勝では前田美優(希望が丘高)と対戦する。21歳の石川でさえベテランに感じられるほど、若手選手に勢いがある今大会だが、「自分も受けて立つのではなく、挑戦する気持ちで戦いたい」と闘志をのぞかせた。
 表彰式後、優勝会見に臨んだ森薗/三部ペア。森薗は「大会前は周りから連覇だ、連覇だと言われていたけど、自分では意識していなかった。すごくビックリしています」とコメント。三部も「さすがに連覇は無理だと思っていた。去年と同じで、夢のようです」と続いた。

「去年に比べて、所属が変わったこともあるし、練習量は格段に減りました。クリスマス前の2日と、ワールドツアーでペアを組んだ3大会、練習をしたのはそれだけ。でも、今回ベンチに入ってもらった板垣監督に「常にチャレンジャーとして戦おう」と言われた。そういう気持ちで戦っていけた。
 岸川さんと水谷さんのペアには、昨年勝っていたけど、全然気持ちの余裕はなかった。去年のジャパンオープンでのプレーを見て、『何目線だ』って言われそうですけど、すごい成長しているように感じた。サービスのバリエーションも増えていたし……。次やったら勝てるかなと不安だったけど、しっかり研究して対応できた」(森薗)

「勝ち負けより、自分たちのプレーを存分に出して行くこと。それで自然と波に乗っていくことができた。去年はいっぱい練習していたのが、今年は練習量が減って、今大会も出足は良くなかったけど、知らないうちに調子が上がっていた」(三部)。

 お互いの性格を評して、「三部はどこか抜けてる。寝坊も多いし、恥ずかしがり屋。かわいい後輩です(笑)。技術面では、バック前を普通の選手はなかなか強く攻められないのを、三部は攻めてくれるので、そこからぼくらの展開を作っていける」と森薗。一方の三部は「森薗さんはちょっと厳しい性格で、試合中も絶対気を抜かない。だからダブルスだと森薗さんに引っ張ってもらえます。試合での読みと判断が早いので、次が攻めやすい」と照れながらもコメント。「まずは世界選手権に出場したいし、そこを意識してやりたい」と今後の抱負を語った。
●男子ダブルス決勝
森薗/三部(明治大/青森山田高) 9、7、11 岸川聖也/水谷隼(ファースト/beacon.LAB)

 昨年、センセーショナルな優勝をさらった若武者ペアは、さらに強くなっていた。森薗/三部ペア、2連覇!
 森薗の前陣での広角の攻めと、三部の中陣からのコース自在なフォアドライブは,今年もラリー戦で抜群のコンビネーションだった。岸川/水谷も、岸川がフォアストレートへのカウンターで会場をどよめかせるなど、随所に好ラリーを展開したが、サービス・レシーブで思うように先手が取れず、ラリーでは後手に回る展開が多かった。

 球質という部分でも、森薗の横回転やナックルのクセ球と、ドーンと重い三部のフォアドライブは、相手ペアにとっては対応が難しい。ゲームカウント2ー0の3ゲーム目、岸川/水谷が先に10ー9でゲームポイントを奪ったが、ここで岸川のバックドライブがミス。11ー10と逆転した森薗/三部は、最初のマッチポイントは森薗のチキータでのレシーブがオーバーしたが、11ー11で三部のカウンターのバックプッシュで得点。最後も三部がチャンスボールをフォアクロスに豪快に打ち抜き、ストレートで押し切った。

 「まさか2連覇できるとは思っていなかったので、とてもうれしい。作戦うんぬんより、自分たちの力を出し切ることを考えて1回戦から戦ってきて、その集大成として決勝で良いプレーができた」と優勝インタビューでの森薗。このペア、果たしてどこまで優勝回数を積み重ねるか?
  • 優勝後、少し照れながら抱き合う二人

  • 三部選手、顔が緊張気味です

●女子ダブルス決勝
平野早矢香/石川佳純(ミキハウス/全農) 6、-9、-7、12、8 阿部愛莉/森薗美月(四天王寺高)

 女子ダブルスを制したのは平野/石川ペア。2年連続3回目の優勝!
 敗れたとはいえ、インターハイ2位の阿部/森薗ペアは強かった。森薗の俊敏な動きから放つ打球点の早いフォアドライブと、阿部の強烈なフォアのミート打ちで、実績でまさる平野/石川に一歩も退かない戦いぶり。フォア前のレシーブでは阿部がバック面の粒高を使い、揺さぶった。若手ペアらしい、素晴らしいファイトに観客からも大きな拍手が送られた。
 4ゲーム目に4ー8のビハインドからジュースまで持ち込んだ阿部/森薗。5ゲーム目も6ー6から10ー6とマッチポイントを握られながら、フォアでの強打を連発して8ー10まで追いすがったが、及ばず。勝利の瞬間、平野/石川は抱き合って優勝を喜びあった。

 試合後の優勝者インタビューでは、「自分たちの力を信じて、強気にプレーするしかなかった。決勝は本当に自分の一番大きな声を出して、相手に向かっていこうと思ってやったのが良かった。私たちのペアもまだまだ強くなれると思います」と平野。一方の石川は、「(相手ペアは)本当に強かったです。途中でなんども崩れそうになったけど、平野さんに声をかけてもらったり、お互い声を出して一本一本、立て直せたことが良かった」と笑顔で語った。
●女子ダブルス準決勝

平野早矢香/石川佳純(ミキハウス/全農) 6、5、7 田代早紀/藤井優子(日本生命)

阿部愛莉/森薗美月(四天王寺高)8、9、10 中村薫子/市川梓(日立化成)



●男子ダブルス準決勝

森薗政崇/三部航平(明治大/青森山田高)6、6、-6、-10、5 吉村和弘/平野晃生(野田学園高)

岸川聖也/水谷隼(ファースト/beacon.LAB) 3、4、5 張一博/高木和卓(東京アート)

●男子シングルス準々決勝
岸川聖也(ファースト)-9、-5、9、10、8、10 松平健太(JTB) 

岸川のラリー能力の高さが松平のカウンターを跳ね返し、接戦で準決勝進出を決めた。
岸川は序盤2ゲームを連取される苦しい展開だったが、それでもラリーを確実につないでいく。前陣のバック対バック、中陣での打ち合いでは松平が一発で撃ち抜く場面もあったが、ミスの少なさでは岸川に軍配が上がる。
松平の強力なカウンターをブロックし、コースをついて確実に得点する。派手さはないが、職人のようなラリー精度で強い岸川を見せつけた。

敗れた松平は「最後のほう、負けはじめてからは戦術が偏ってしまって相手のペースになってしまいました。2ゲームとったけど、3ゲーム目からはサービスを変えられました。
上回転系を多く出されて、ぼくがストップではなく少しかけていってしまったので、それを上から攻められてしまった。レシーブでの展開が悪くなると厳しい。レシーブで点が取れないからサービスで取りに行かないといけないので、余計にプレッシャーがかかってしまいました。
試合を決めるのはサービスです。今日の岸川さんはサービスが良かった」
とうつむいた表情で語った。アジア3位のダブルスは初戦で負け、世界ベスト8のシングルスは、メダルなく終わった。この結果に天才は納得しないだろう。
  • 岸川、鮮やかな逆転勝ち

  • 松平健太、悔しいベスト8

 技のデパート・水谷が吉村の快速豪打をかわし、順当にベスト4入りを決めた。
水谷を相手に吉村はいつもより積極的な攻めを見せる。“攻撃は最大の防御”と言わんばかりレシーブからフォアドライブで打ち込んでいき、水谷から先手を奪っていく。
上から攻められると厳しい水谷だが、しっかりとコースを読み、冴えたブロックが1本、2本と入り、それがゲームを左右した。
今大会の水谷は勝負所でYGサービスを使う。吉村のレシーブ角度、そしてチキータのミスを誘い、試合の主導権を握っていた。

●男子シングルス準々決勝
水谷隼(beacon.LAB)11、4、8、-10、7 吉村真晴(愛知工業大)
神巧也(明治大)9、9、9、3 吉田海偉(Global Athlete Project)
  • 順当に準々決勝進出を決めた水谷

  • 積極的なプレーを見せたが吉村はベスト8で敗退

 先ほど場内アナウンスで、「吉田雅己選手の男子シングルス準々決勝の棄権、および丹羽孝希選手の不戦勝」のアナウンスがあった。吉田はインフルエンザによる発熱のため、プレーできる状態ではないとのこと。昨年の男子シングルス6回戦に続く、大いに注目されたライバル対決だったが、思わぬ展開になってしまった。
  • インフルエンザで棄権となった吉田。写真は大会5日目のプレー

 試合は終始、松平志穂(ミキハウス)ペースだった。主導権を握っていた松平だが、森薗は執念を見せた。
 マッチポイントを取られながらも、勝負強さで逆転勝利した森薗美咲(日立化成)の試合後のコメント。
「3回くらい死んだ〈笑〉。最初から緊張しなさ過ぎて・・決勝で(石川)佳純ちゃんとやりたかった。自分のできることをやって負けるんだったら仕方ない。相手も調子が良くてつけいる隙がなかった。相手も若い選手だし、簡単には勝たせないぞという気持ちで臨んだ。高校1年以来のベスト4ですね。ここ2年くらいは初戦で負けていたので、1戦1戦勝とうと。
 最終ゲームに入る前は、王子サービスは長くくるので狙っていました。それで決まらなかったらしょうがない。2本くらいリードされてても挽回できると思ってました。
 最近、負けてて勝つとか、こういう試合ばかりですね。大丈夫だと心のどこかで思っている。佳純ちゃんとは同年代で、公式戦で勝てていないので、決勝で必ず当たりたい。
 (優勝すると世界代表ですね)私は監督推薦が難しいと思っているので、あまり意識はしていないけど、狙っていきます。
 美宇ちゃん、美誠ちゃんと若い選手が注目される中で、私はまだ22歳だけど、こういう選手もいるんだよとアピールしていきたい」

 カットマン対決となった石垣vs.佐藤は、石垣に軍配が上がった。世界代表選考会では3−2で佐藤が勝利していたが、石垣が2ゲームを先取し、試合を優位に進めた。「出足が悪かったのがひとつの敗因。昨日もカットの根本さんと対戦して、バックで先に仕掛けてからの展開だったけど、今日は先にフォアで打ち急いでしまった。促進ルールに入ってからも、フォアで打てないボールまで打ちにいってしまった」(佐藤)。ベスト8入りを果たしても「メダルを獲れるのと獲れないのでは大きな違い。満足できない結果でした」と悔しさをあらわにした。

●女子シングルス準々決勝 
森薗美咲(日立化成) -7、7、-7、-10、11、6、9 松平志穂(ミキハウス)
石垣優香(日本生命)8、6、−8、12、-8、6 佐藤瞳(札幌大谷高)