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平成26年度全日本選手権大会速報

 男子ダブルス5回戦が終了し、ベスト8が決定。強豪ペアが順当に勝ち上がった。

●男子ダブルス 5回戦
森薗/三部(明治大/青森山田高) 8、-8、3、6 御内/加藤(シチズン)
加藤/吉田(愛知工業大)10、-9、9、-8、7 大野/大坂(中央大)

森田/軽部(シチズン)9、5、9 吉田/生田(日本大/法政大)

吉村/平野(野田学園高)9、8、9 池田/坪井(青森大/青森山田高) 

張/高木和(東京アート)-4、7、10、6 大島/上村(早稲田大)

吉村/藤村(愛知工業大)-6、7、3、7 滝澤/坪金(明治大)
松平賢/上田(協和発酵キリン)-11、9、9、-5、8 平野/有延(明治大)
岸川/水谷(ファースト/beacon.LAB)8、11、8 安藤/時吉(岐阜信用金庫/ZEOS)
  • 混合複準優勝の松平賢は上田との男子複でも上位を狙う

 女子シングルス5回戦で前々回大会3位の松澤茉里奈(日立化成)に敗れた平野早矢香(ミキハウス)。意外にも松澤と公式戦で対戦するのは初めて。「松澤さんは私のサービスに完璧に対応してきた。しっかり対策を立てていて、私は対応できずに凡ミスが出てしまった」と試合後に語った。「松澤さんが実力のある選手ということはわかっていたけど、今日実際にやってみたら、向こうのほうが攻撃的にプレーしてきた。私は左右に振り回されてしまった」(平野)。

 レシーブでチキータを取り入れるなど、よりバックハンドを活かすスタイルを模索している平野。モデルチェンジについては、「うまくいっている部分もあれば、まだまだの部分もある」と道なかばの様子。それでも、ベテランの域に差し掛かってプレーを変えようというのは、さすが平野早矢香。向上心はまだまだ失っていない。
  • ランク入りを逃した平野

  • 平野を下し松澤がランク入り

 第1シードの石川佳純〈全農)がランク決定戦で登場。相手は宋恵佳〈中国電力)。4-1で石川が勝ったものの、5ゲーム中3ゲームがジュースという競り合い。しかし、要所では石川が締めた。宋は4ゲーム目、8ー10で裏面ドライブから回り込んで強烈なパワードライブを決めるなど、11ー10と逆転したが、石川が再び13ー11と逆転して流れを渡さなかった。

「12月のファイナル4では簡単に負けたので、もっとスコスコに負けるかと思ったけど、意外と試合になったというかチャンスはあった。競った場面では相手の方が勝ちたいという気持ちが上で、経験の差が出たと思う」と敗れた後の宋のコメント。

●女子シングルス5回戦
石川(全農) 11、8、-12、11、9 宋(中国電力)
加藤(JOCエリートアカデミー)-7、-5、8、11、3、-10、8 野中(長崎県スポーツ専門員)
伊藤(スターツSC) 7、2、9、-7、7 中島(サンリツ)  
酒井(ミキハウス)-6、-7、4、10、1、9 加藤(県立岐阜商業高)
松澤(日立化成) 11、-8、6、8、6 平野早(ミキハウス)  
平野美(JOCエリートアカデミー) 7、-6、7、-7、7、4 芝田(四天王寺高)
前田(希望が丘高) -8、4、7、6、6 丹羽(淑徳大)  
若宮(日本生命) 5、6、6、2 土田美佳(中国電力)
牛嶋(正智深谷高)6、10、-9、6、8  阿部(四天王寺高) 
森薗(日立化成)8、5、6、9 河村(アスモ)
松平(ミキハウス)-4、-8、14、7、8、9 成本(同志社大)
田代(日本生命) -7、9、8、3、-9、3 森永(アスモ)
松本(ミキハウス)6、-8、7、-2、-8、7、8 土井(中国電力)
佐藤(札幌大谷高)8、-8、6、-9、8、8 根本(十六銀行)
石垣(日本生命)8、10、-10、8、-9、4 天野(サンリツ)
山本(中央大)-6、-6、-6、7、10、10、8 浜本(JOCエリートアカデミー/大原学園)
 

  • 石川は宋を下し6回戦へ

  • 石川に競るも1-4で敗退の宋

 インターハイ三冠王、前年度ベスト8の坪井勇磨(青森山田高)をゲームオールの大激戦の末に破った神巧也〈明治大)。
「今まで4回戦を突破したことがなかったので、これやばいです。初のラン決、初のランク入りですから。スウェーデンに行ったことが生きている。相手も分の良くない相手だったけど、我慢するところは我慢して冷静にやるところは冷静にやれた。本当にうれしい」と初のランク入りを決めた神巧也はうれしさを隠さなかった。 

●男子シングルス5回戦 その他の結果

吉田(Global Athlete Project) 9、-8、10、7、8 久保田(シチズン)

神(明治大)9、-7、-9、7、-8、7、8 坪井(青森山田高)

吉田(愛知工業大)8、8、7、2 吉村和(野田学園高)

丹羽(明治大)-6、5、9、7、10 大矢(東京アート)

藤本(日鉄住金物流)-8、8、11、-8、-9、7、8 渡辺(明徳義塾高)
  • 坪井を破り初ランク入りした神

  • 「本当にうれしい」(神)と試合後にコメント

●男子シングルス5回戦
塩野(東京アート) ー6、5、9、ー4、9、ー13、2 酒井(JOCエリートアカデミー/帝京)
大島(早稲田大) ー5、5、6、8、3 村松(JOCエリートアカデミー/帝京)
松平(協和発酵キリン) 9、6、6、ー7、11 御内(シチズン)

男子シングルス5回戦(ランク決定戦)、昨年のJA全農世界卓球・東京大会代表の塩野真人が酒井明日翔を下してランク入りを決めた。
エリートアカデミーで村松のカットを打ち慣れており、非常に回転のかかったループドライブから、叩きつけるようなフォアドライブで広角に攻めてきた酒井。しかし、塩野は鉄壁のカットとカーブロングでこれをしのぐ。コートが2倍広く見えるようなラリー戦、第6ゲームをジュースで落とした塩野だが、最終ゲームは7ー0と猛烈なスタートダッシュで試合を決めた。

一方、若手のホープ・村松は成長著しい大島に苦杯。第1ゲームは村松のバック表ソフトのカットにミスが続いた大島だが、第2ゲームからじっくり腰を据え、強弱をつけながら村松のバックにボールを集める。大島の豪打に、なかなかカットの変化がつけられない村松。4ゲーム目に中盤までリードしながら逆転され、5ゲーム目は一気にリードを広げられた。

毎年全日本を沸かせる魅せるチョッパー・御内は、松平賢のパワードライブをよくしのぎ、鮮やかな逆襲を何本も決めたが、小細工をせずにフォアドライブで打ち切った松平賢に凱歌。チョッパー3人は明暗を分けた。
  • 久々のランク入り塩野

  • 御内のカットを打ち切った松平賢

 ランク入りを懸けた大激闘。水谷と同期の笠原が追い込んでいく。1ゲーム目を水谷が取るも、そこからの笠原は素晴らしかった。凡ミスがなく、連打が決まった。4ゲーム目は4-5から笠原が7本連取し、3-1と勝利に王手。そして3-2となった6ゲーム目は10-6と水谷がゲームポイントを奪うもジュースまで追いついた。最終ゲームも水谷が10-8とマッチポイント奪ったが、笠原は追いつき、観衆を大いに沸かせた。
「最高の準備をしてきたが最後の1本、2本が取れなかった。リードしているときには自分の凡ミスもなく、相手の動きもそうでもなかったが、3-1、3-2あたりから水谷の動きやボールが違ってきた。動きが少しだけ大きくなり、ボールも厳しくなる。ギアチェンジをした感じだった。チャンスはあっただけに悔しい」と敗戦後の笠原。

 大会前に水谷戦を想定し、練習を重ね、普段自分が使っているボールは水谷と同じためにあえて使用ボールを変え、ボール選球のジャンケンも研究していつもグーなのをチョキに変え、ボールを選んだという笠原。その執念がスコアにも現れたが、最後の一本は水谷のチャンピオンとしての誇りだったのか。大番狂わせは起こらなかったが、質の高い好ゲームだった。

水谷(beacon.LAB)6、-6、−8、-5、5、10、10 笠原(協和発酵キリン)

●その他の男子シングルス5回戦(一部)
森薗(明治大)8、6、-7、-9、5、-8、7 時吉(ZEOS)
上田(協和発酵キリン)-9、3、9、7、2 松浦(専修大) 
軽部(シチズン)7、9、-8、8、6 及川(青森山田高)
吉村(愛知工業大)-11、4、12、6、-8、-9、5 森田(シチズン)
森本(協和発酵キリン)9、4、-10、9、8 高木和(東京アート) 
岸川(ファースト)-7、5、-7、8、-3、10、5 濵川(日鉄住金物流)
松平(JTB)4、7、-6、9、-8、-10、5 張(東京アート)
  • 辛勝でランク入りを決めた水谷

  • 水谷を追い詰めた笠原

 大会も佳境の第5日目。1月16日は男女シングルス・ダブルスの5〜6回戦が行われる。朝10時スタートの男子シングルス5回戦、11時30分スタートの女子シングルス5回戦はランク(ベスト16)決定戦。ランカーの称号を巡って、熱いバトルが繰り広げられる注目のラウンドだ。その対戦カードは下記のとおり。

●男子シングルス5回戦
水谷(beacon.LAB) vs. 笠原(協和発酵キリン)
森薗(明治大) vs. 時吉(ZEOS)
森田(シチズン) vs. 吉村(愛知工業大)
森本(協和発酵キリン) vs. 高木和(東京アート)
岸川(ファースト) vs. 濵川(日鉄住金物流)
軽部(シチズン) vs. 及川(青森山田高)
松平(JTB) vs. 張(東京アート)
松浦(専修大) vs. 上田(協和発酵キリン)
吉田(Global Athlete Project) vs. 久保田(シチズン)
塩野(シチズン) vs. 酒井(JOCエリートアカデミー/帝京)
大島(早稲田大) vs. 村松(JOCエリートアカデミー/帝京)
神(明治大) vs. 坪井(青森山田高)
吉田(愛知工業大) vs. 吉村(野田学園高)
松平(協和発酵キリン) vs. 御内(シチズン)
丹羽(明治大) vs. 大矢(東京アート)
渡辺(明徳義塾高) vs. 藤本(日鉄住金物流)

 松平対張、森薗対時吉、大島対村松、丹羽対大矢など注目カードが目白押し。昨年度王者の水谷は、笠原との同期対決だ。

●女子シングルス5回戦
石川(全農) vs. 宋(中国電力)
野中(長崎県スポーツ専門員) vs. 加藤(JOCエリートアカデミー)
中島(サンリツ) vs. 伊藤(スターツSC)
酒井(ミキハウス) vs. 加藤(県立岐阜商業高)
平野早(ミキハウス) vs. 松澤(日立化成)
平野美(JOCエリートアカデミー) vs. 芝田(四天王寺高)
丹羽(淑徳大) vs. 前田(希望が丘高)
土田美佳(中国電力) vs. 若宮(日本生命)
牛嶋(正智深谷高) vs. 阿部(四天王寺高)
森薗(日立化成) vs. 河村(アスモ)
成本(同志社大) vs. 松平(ミキハウス)
森永(アスモ) vs. 田代(日本生命)
土井(中国電力) vs. 松本(ミキハウス)
佐藤(札幌大谷高) vs. 根本(十六銀行)
天野(サンリツ) vs. 石垣(日本生命)
浜本(JOCエリートアカデミー/大原学園) vs. 山本(中央大)

 平野早対松澤の優勝候補同士の一戦、全日学女王の丹羽とインターハイ女王の前田の対決、ジュニアに続く平野美と芝田の対決など、こちらも興味は尽きない。中学生プレーヤーの活躍が目立っているが、日本リーガーも意地を見せたいところだ。
●混合ダブルス準決勝
松平/若宮(協和発酵キリン/日本生命) 5、3、4 時吉/山梨(ZEOS/ミズノ)
吉村/石川(愛知工業大/全農) 6、4、8 田添/前田(専修大/希望が丘高)
●混合ダブルス決勝 
吉村/石川(愛知工業大/全農) 6、9、8 松平/若宮(協和発酵キリン/日本生命)

混合ダブルス優勝は、2大会連続準優勝だった吉村/石川ペア!
波に乗った時の攻撃力は圧倒的に高い吉村/石川。前々回大会優勝の田添/前田を退けて進んだ決勝では吉村の変化サービスがよく効き、第2ゲーム10ー9では2段モーションのバックフリックでレシーブエースを奪って観客をどよめかせた。打球点が落ちた時にはループドライブをうまく使ってミスを誘うなど、ペア歴が長いだけあって試合運びにも安定感があった。

石川は吉村とのペアで2回決勝に進みながら、いずれも敗れていたが、「3回目の正直」で悲願のV(松平健太とのペアで平成21年度大会では優勝)。シングルスに向け、幸先の良い優勝となった。
  • 優勝を決め、笑顔を見せた吉村&石川

  • 悲願の初Vを達成した

●ジュニア男子準決勝

三部(青森山田高)5、-10、8、7 青山(野田学園高)

及川(青森山田高)-7、5、7、8 伊丹(野田学園高)
●ジュニア男子決勝

及川(青森山田高) 11、9、10 三部(青森山田高)

 ジュニア男子も準決勝・決勝が行われ、決勝に勝ち上がったのは青森山田高2年の同期、三部航平と及川瑞基。及川が競り合いながらも三部をストレートで下し、最後の全日本ジュニアでうれしい優勝を成し遂げた。

 同士討ちということもあり、時折チキータのオーバーミスがある他は、両者ともレシーブのイージーミスはほとんど出ない。フォア前のサービスに対しても積極的にチキータを使い、バック対バックのラリーの中から先に回り込んで先手を奪いにいく両者。そのラリー戦の中で、三部はややミスが多くなった。及川のサービスでボールが服に触れたり、エッジかどうかの微妙な判定があり、短い時間ではあるが試合が何度か中断。三部はこの中断にペースを乱された。
「今日の及川はループドライブに回転量があって、コース取りも良かった。全国大会の大きな舞台で負けてしまったことはすごく悔しい。及川とは来年のインターハイの決勝で当たる可能性もあるので、次当たる時は勝ちたい」(三部)

 ボディバランスが良く、大きなラリー戦の中でも体勢を崩さずに連打ができる及川。次を見据えてボールをうまく相手コートに運び、確実に優位な展開に持ち込む。クレバーさが光る新チャンピオン、これからはさらにパワーを磨いて、3球目攻撃の決定力を高めてほしい。
●女子ジュニア準決勝
早田(石田卓球クラブ)9、9、9 木村(ミキハウスJSC)
伊藤(スターツSC)5、−10、−5、4、12 平野(JOCエリートアカデミー)

●女子ジュニア決勝
伊藤(スターツSC)8、9、9 早田(石田卓球クラブ)

ベスト4を中学生が占める中、飛び出したのは唯一のバック表の速攻型の伊藤だ。
準決勝ではライバルの平野にマッチポイントを握られながら逆転勝ち。パンチのある攻撃だけでなく、バック表ソフトの変化をうまく使うようになっている。
表ソフトでガツっと切ったツッツキは裏ソフトと違い、スーッと滑るようにコートに入ってくる。それを平野は一発で狙いに行けず、ドライブで持ち上げさせられて、上から叩かれた。

決勝の伊藤は一転して攻撃よりも守備的なプレーになる。早田にあえて打たせてオープニングを突く戦術で、早田を前後左右に揺さぶった。ミスのない両ハンドが特徴の早田だが、伊藤の揺さぶりにいつもより1,2本とミスを重ねてしまった。

中学2年で頂点になった伊藤美誠。明日からはまだ一般シングルスと平野とのダブルスも残っている。ジュニアではチャンピオンとなっても伊藤の全日本はまだ続く。
  • ジュニア女王となった伊藤

  • 優勝を決めホッとした表情の伊藤

  • 伊藤に敗れ準優勝に終わった早田

  • 伊藤、ライバルたちを下し初V!