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ジャパンオープン・荻村杯2015

6月27日のU-21男子シングルスの試合終了後、伊藤美誠と平野美宇に、ギネスワールドレコ−ズ(ギネス世界記録)の授与式が行われた。伊藤は2015年3月のITTFワールドツアー・ドイツオープンでのワールドツアーシングルス最年少優勝記録。そして、伊藤&平野の2014年3月のITTFワールドツアー・ドイツオープンでの女子ダブルス最年少優勝記録(合計年齢)。ギネスワールドレコ−ズの認定証を手に、笑顔のふたりだった。どちらの記録も、中国であってもなかなか破れない記録だろう。
●男子シングルス2回戦
朱世爀(韓国) ー10、8、8、ー6、7、6 水谷
吉村  10、10、−6、−3、7、ー7、6 唐鵬(香港)
村松 ー9、7、ー10、ー9、5、4、7 丹羽
尚坤(中国) 8、7、6、−5、8 馬龍(中国)

男子シングルス2回戦が行われ、明日の準々決勝へ進出する4名がまず決定。朱世爀、吉村、村松、そして世界チャンプの馬龍を破った尚坤だ。

吉村は蘇州大会ベスト8の唐鵬を破る殊勲の星。しかし、それを金星とは言わせないような迫力が今の吉村にはある。準々決勝では朱世爀と対戦するが、「初めてやる選手で、世界No.1のカットマンなので、彼が引退する前に一度やってみたかった。思い切って戦いたい」と闘志満々だ。
村松は丹羽にゲームカウント1ー3から逆転勝ち。蘇州大会前にバック面を表ソフトから粒高に変え、「粒高にしてから格下に取りこぼすようになって、まだ粒高でいくのか、表ソフトに変えるのか答えが出せない」とコメント。まだ試行錯誤の最中だが、丹羽戦は相手の体力切れを見抜き、大汗をかきながら粘り抜いた。

水谷は朱世爀に惜しい敗戦。敗れた後、ベンチに長く残って、邱建新コーチと言葉を交わしていた。「試合前の戦術としてツッツキを多く取り入れる予定だったのが試合でほとんどツッツキを使うことなく終わってしまった。朱選手には最近勝ててなかったのでやり方を変えようとしたけど、反省を生かすことができなかった」(水谷)。

そして世界チャンプの馬龍がここで姿を消した。尚坤は馬龍のチキータを果敢にカウンターのバックドライブで狙い打ち、リスキーな攻めに徹した。「馬龍とは2週間前の超級リーグでやって負けているけど、2年前にやった時は勝っていた。彼とはこの大会では、ホテルのルームメイトなんだ。作戦どうこうより、とにかく1本ずつ集中して戦うだけだった」と試合後に語った。
  • 吉村、この強さはまぎれもなく本物だ

  • チョッパーの本領を見せた村松

  • 水谷、悔しい敗戦。「韓国オープンで当たればリベンジしたい」

  • 世界チャンプといえども、すべての大会では勝てない

●女子シングルス2回戦
石川 10、5、10、2 リー・ジャオ(オランダ)
陳夢(中国) ー5、ー7、9、8、5、9 シャン・シャオナ(ドイツ)
若宮 ー5、ー5、8、7、3、8 田志希(韓国)
朱雨玲(中国) 2、7、8、10 杜凱琹(香港)

日本女子、石川と若宮が明日の準々決勝に進出!

石川は昨年の世界卓球東京大会で敗れたリー・ジャオに完勝。初戦のリン・イエ戦が非常に苦しい試合だっただけに、「リー・ジャオ戦は勝っても負けても自分の力を全部出そうと思っていた」と気持ちが常に前に出ていた。ヨーロッパ競技大会で優勝し、強行軍で日本入りしたリー・ジャオは、さすがに疲れ気味。「1ゲーム目と3ゲーム目を取っていればチャンスがあったけど、今日の石川はうまく私のバックにボールを集めて、クレバーなプレーだった」と石川を讃えた。

また、初戦で馮天薇を破った若宮は、田志希にゲームカウント0ー2から逆転勝ち。フィリピンオープンで0ー4で完敗した相手に対し、中陣で余裕をもって打たれると不利になるとみて、3ゲーム目からリスクを負って攻撃を仕掛けた。「調子が良いというより、攻め急がずにやれているのが良いですね。今大会は(ワールドツアーの)スーパーシリーズで、自分より強い人としか当たらないし、『勝たなきゃ』という気持ちがあまりない」(若宮)。無欲の快進撃だ。
  • 石川、難敵をストレートで料理

  • 若宮、明日は陳夢に挑む

●女子シングルス1回戦
丁寧(中国) 5、5、6、5 平野美
伊藤 ー7、9、7、9、ー4、12 劉斐(中国)
●男子シングルス1回戦
森薗 9、ー8、6、2、ー5、7 荘智淵(チャイニーズタイペイ)

女子シングルス1回戦、同時にコートに入った「ミウ・ミマ」、平野美宇と伊藤美誠。伊藤が得意とするカット打ちで劉斐に競り勝ち、明日の2回戦に進出した。
「試合中、貧血のような状態になって頭が痛くなった」という伊藤だが、時に大胆に、時に冷静に、正確な劉斐のカットを打ち続ける。「ちょっと思い切りが良すぎた」という第5ゲームをはじめ、スマッシュのミスは何本も出たが、だからこそ大事なところで一本が入る。中・後陣からのカウンターも得意な劉斐だが、伊藤のバック表ソフトのツッツキとループドライブが相手では、持ち味を出しきれなかった。明日は平野美が敗れた丁寧と2回戦で対戦する。

森薗政崇は荘智淵とのラリー戦に勝利。「これまで格下の選手には負けないけど、格上の選手に勝てないと言われてきた。変わるならここしかないと思っていました。海外のランキング30位以内の選手に勝てたのは初めてなのでうれしい。速いチキータだと相手に合わせられるけど、途中から少し薄く当てて前に落とす、ゆるいチキータを使ったらそれが効きました」(森薗)
  • 伊藤、中国越えを果たす!

  • 森薗は荘智淵戦の勝利でさらにランキングを上げる

  • 伊藤に敗れた劉斐は李暁霞とのエントリー変更。チャンスを活かせず

●男子シングルス1回戦
吉村 9、6、ー6、5、ー5、7 鄭栄植(韓国)
水谷 7、6、8、3 リヴェンツォフ(ロシア)
朱世爀(韓国) ー7、7、ー7、9、ー9、5、7 松平賢

男子シングルス1回戦、吉村と水谷は1回戦を突破。
松平賢二は、朱世爀をあと一歩まで追い詰めながら敗れた。ゲームカウント2ー1の第4ゲーム、9ー4から7点連取され、2ー2と並ばれたのが響いた。フォアストレートへの攻撃が非常に有効だったが、最終ゲームは中盤で逆に朱世爀のフォアストレートへの3球目攻撃を食らい、わずかに届かず。対カットならば確実に優位に立っていたが、ベテランになったとはいえ、やはり朱世爀はただのカットマンではなかった。シビれる最終ゲーム中盤での、攻撃の安定感はさすが。その朱世爀と、2回戦で水谷が相まみえる。
●女子シングルス1回戦
福原 7、4、ー9、7、8 陳思羽(チャイニーズタイペイ)

●男子シングルス1回戦
村松 6、5、4、ー8、12 李平(カタール)
丹羽 10、9、ー7、8、4 ワン(カナダ)

福原はタイペイのハードヒッター、陳思羽を4ー1で破り、2回戦進出。攻守の切り替えが良く、陳にスーパープレーを決められてもペースを崩さなかった。明日の2回戦では徐孝元(韓国)と対戦する。

男子シングルス1回戦もスタートし、村松が元中国代表の李平を破った。ベラルーシオープン決勝でカットのフィルスを破っていた李平だが、村松のサービスとカットに対して、イージーミスが多かった。1本決めるごとに声を出し、相当スタミナを消耗しながらも勝利をつかんだ。
●女子シングルス1回戦
石川 ー7、5、ー6、ー5、6、8、8 リン・イエ(シンガポール)
若宮 7、7、9、ー8、ー4、ー7、9 馮天薇(シンガポール)

女子シングルス1回戦がスタート。大きなプレッシャーの中、シンガポールの強打者リン・イエの挑戦を受けた石川は、苦しい苦しい一戦。「レシーブからの強打はない」と要所で石川のフォアへロングサービスを出し、大きく回り込んで3球目でバックストレートにぶち抜くリン。そのスイングは女子離れしており、ゲームカウント1ー3とされた時点では万事休すかと思われた。しかし、石川は苦しい展開の中でも、少しずつリンのコースを読み、バックハンドの速攻と我慢のブロックで攻略した。

また、若宮が馮天薇にゲームカウント3ー0から3ー3に追いつかれ、最終ゲームも6ー9とリードされながら、最後の最後で再び逆転。大きな金星をあげた。

「昨年のジャパンオープンでは0-4で負けた相手で、左右に振られるラリーになって、振られないようにするのは難しいので、振られると思ってしっかりラリーにしていって、自分も相手を振っていこうとしたのがとても良かった。後半、バックへ長いサービスをたくさん出されて0-3から3−3になってしまった。
 3-0から3−1になった時点で3-3になると覚悟してました。そこで相手も勝てる思って緊張したと思う。最終ゲームも6−9で負けていて、相手も攻めていたのに入れに来てくれた。みんな強い相手なので一戦一戦頑張ります」(若宮)。
 U21で大島祐哉(早稲田大)が準決勝で三部航平(青森山田高)を、決勝では吉田雅己(愛知工大)を3-1で下し、優勝を飾った。この日の午前中に、ダブルスで中国ペアに勝ち、勢いに乗っている試合ぶりだった。決勝では試合巧者の吉田をパワーで打ち破った。

「フィリピンとオーストラリアのU21の決勝で負けていたので、今回優勝したかった。最後は日本選手に勝って優勝するしかないと思ってました。今大会、一般のシングルスの予選の初戦で負けてしまって、今の卓球じゃダメだと思って攻めていくことを心がけた。
(U21)決勝の出足から攻めて6-0でリードできたことが勝因だった。ダブルスで中国に勝って、良い感触でU21の試合もできた。技術的にはフォア前のサービスに対してチキータがうまくできたし、バックに来る深いボールには思い切って振っていこうと思ってました」(大島)。
●U-21女子シングルス決勝
佐藤瞳 9、ー8、8、9 ツォン・ジェン(シンガポール)

●U-21男子シングルス決勝
大島祐哉 4、6、ー7、6 吉田雅己

U-21女子シングルスは佐藤瞳、U-21男子シングルスは大島祐哉が優勝!
佐藤はツォンの粘り強いカット打ちを、カーブロングとスマッシュを交えたオールラウンドプレーで上回った。「ワールドツアーのU-21は日本選手が多い。常に戦術に頭を使っているし、常に優勝するつもりで臨んでいます。ツォンとは初めてやりました。カット打ちはあまりうまくないけど粘ってきた。自分も負けないよう、粘るところは粘って、終盤は攻めるところを攻めていけた」(佐藤)。

チキータの威力が増し、課題だったバックハンドや台上技術に進化が見える大島は、吉田のテクニックを豪打で上回った。フォアに飛ばされても、打球点を落とさずにクロスにカウンターで抜き去るプレーは、強靱な下半身のなせる技。プレーをするたびに自信をつけている感じだ。
男子ダブルス1回戦に登場した馬龍/許シン(中国)。水谷/吉村ペアを破ったスウェーデンのM.カールソン/オーケストレムをストレートで破ったが、変化のあるボールに対してミスも目立った。試合後は、早速ベンチに入った劉国梁総監督によるお説教タイム。「ずっと同じことを言い続けている」という噂もあるが、馬龍も許シンも腕を後ろ手に組み、真剣な表情で聞いていた。……許シンのマジメな表情は、なぜかコミカルに見えますが。

右写真はロシアのクズミン/ウラソフ。クズミン(左)はなぜかヒッピーのようになってしまった。誰の影響なんでしょう……。