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ジャパンオープン・荻村杯2015

大会初日、最後に終わったのはフロア中央の第1コートで行われた岸川聖也(ファースト)と尚坤(中国)の一戦。本来なら16時45分スタートだったが、第1コートの試合がどれも長引き、2時間近く遅れてのスタート。岸川は仲の良いアポローニャ(ポルトガル)と一緒に、ずっとフロアの入り口で試合を待っていた。

張継科と入れ替わる形で大会にエントリーし、中国男子で唯一予選ラウンドからの出場となる尚坤。中国超級リーグの上海龍騰でも活躍する、フォアの強打が武器のサウスポー。予選ラウンド1回戦で当たるのは岸川にとっては厳しい組み合わせだが、岸川もバックの横下回転ショートや回転量の多いバックドライブ、台上でのブッツリ切ったフォアツッツキなど、多彩な技術で接戦を展開。ゲームカウント1ー4で敗れたものの、十分に勝機のある内容で会場を沸かせた。第5ゲームは8ー10、9ー10、10ー11と相手の3回のマッチポイントをしのいだが、及ばず。

中国男子では荒っぽい強打者のイメージがある尚坤だが、得点するための引き出しは多い。フォアのパワードライブだけでなく、長短の変化をつけたループや、逆モーションを入れた台上プレーなどでも得点できる。確率を無視して、滅多やたらに強打を連発するような選手は、中国代表にはなれない。そして、そんな尚坤を前にしてなお、ベンチで貧乏ゆすりが止まらない劉国梁監督は恐ろしい……。
大会初日の男子シングルス予選で、存在感を示しているのがスウェーデンだ。

上写真左は、巧みなバックサービスを操るラーネフール。大島祐哉(早稲田大)をゲームオールで破った。ラリーになっても馬力があり、大物を食う可能性を秘めている。
上写真右は懐かしい選手、05年世界ジュニア3位で、バック面に粒高ラバーを貼るオーケストレム。韓国のチョッパー・姜動洙に競り勝った。ちなみにまだ26歳。

下写真左は、変化のわかりにくいフォアサービスを操るシェルベリ。下写真右は、今や世界的にも珍しい右シェーク・フォア表のマティアス・カールソン。

あるいは変則タイプ、あるいはパワーで押すゴリゴリタイプ。今のスウェーデン男子に、ワルドナーやパーソン、リンドのような天才はいない。ここに挙げた4人の中では、シェルベリの打球センスが最も良いように感じるが、偉大な先輩たちにはほど遠い。今のスウェーデンを見ていると、常に技術を革新しながら、着実に世代交代を進めていく中国の凄さがよくわかる。それでもスウェーデンには声援を送りたい。ドイツとフランスだけでは、ヨーロッパの卓球界もやはり寂しい。
大会第一日目の今日、会場の一室をお借りして、中国の丁寧、劉国梁監督、そして馬龍の写真撮影を行った王国取材班。東京から600キロの道のりを、愛車・プジョーを飛ばしてやってきた江藤カメラマンが朝10時からスタンバイする中、撮影がスタートしたのは午後5時。さすがに焦りましたが、さすがに3人とも撮られ慣れてます。短い時間でばっちりキメてくれました。

アメコミやヒーローもののフィギュア(人形)を集めるのが大好きという馬龍には、バットマンのフィギュアをプレゼント。そうしたらなんと、彼のiPhoneのケースはバットマンの車、バットモービルでした。撮影中、「彼女はいるの?」と聞くと、「いなかったら紹介してくれる?」と笑顔で返答。ちゃんといるみたいですが。上半身裸で、その肉体美を披露してもらおうと思ったら、全力で拒否しておられました。

右写真は劉国梁総監督の撮影風景。さすが国家卓球チームを束ねる男、貫禄あります。劉総監督が来ることがメールで流れた途端、サブアリーナの中国男子が一気に真剣モードで練習をはじめたとの噂あり。修学旅行の夜の見回りみたいですね……。
U-21男子シングルスに出場した小学6年生の張本智和(仙台ジュニアクラブ)は、寥振ティン(チャイニーズタイペイ/上写真左)に1ー3で敗れた。寥振ティンの安定した両ハンドドライブを何本もブロックで止めたが、止めれば止めるほど寥の攻撃は威力を増してきた。3ゲーム目、「チキータでのレシーブは相手がやりやすそうだったので、ツッツキからブロックしてラリーに入るようにした」という作戦が当たり、このゲームを奪ったが、及ばず。

「バックで相手のフォアへ、ストレートに打つ攻撃が去年よりも良くなった」と試合後に収穫も口にした張本。序盤での劣勢から、「負けたら終わりなので、1本1本ミスをしないようにプレーした」と語ったが、ブロック主体のそのプレーはどこか苦しそうにも見えた。今は目先の勝利を追い求める時ではないのだから、思う存分暴れてもらいたい。張本は木造勇人(愛工大名電高)とのダブルスにも出場する。
10時開始のU-21女子シングルス予選ラウンドから、今年のジャパンオープン荻村杯がスタート!

中国選手団も、昨日の昼過ぎに関西国際空港に到着し、選手団のオフィシャルホテルである神戸ポートピアホテルに入った。男女の現五輪チャンピオン、張継科と李暁霞は欠場だが、その他はトップ選手が軒並みエントリー。サブアリーナでもハイレベルな練習を見せつけている。

今日、王国取材班は中国チームの劉国梁総監督と馬龍、丁寧の撮影を行い、後ほどインタビューもする予定。丁寧は一度撮影場所に来てくれたが、中国チームのウェアを持っていないということで、撮影は午後に延期。今野編集長セレクトの「ドラえもんグッズ」をプレゼントすると、笑顔でとても喜んでくれました(左写真)。周りを明るくする丁寧スマイル、イイですね〜。右写真は髪型が迷走中(?)の閻安くん。
 荻村杯のタイムテーブルは下記のとおり。大会前にチェックしておきましょう。今大会は取材する人数も少なく、少々ゆったりした速報になると思いますが、ご容赦ください。渋いトコから話題を拾います!

[6月24日]
10:00〜 U-21女子・予選ラウンド1回戦
10:30〜 U-21男子・予選ラウンド1回戦
11:30〜 女子シングルス予選ラウンド1回戦
14:30〜 男子シングルス予選ラウンド1回戦
17:30〜 U-21女子・予選ラウンド2回戦
18:15〜 U-21男子・予選ラウンド2回戦

[6月25日]
10:00〜 U-21女子・1回戦
10:30〜 U-21男子・1回戦
11:00〜 女子シングルス予選ラウンド2回戦
12:00〜 男子シングルス予選ラウンド2回戦
13:00〜 男子シングルス予選ラウンド2回戦
14:00〜 女子シングルス予選ラウンド2回戦

15:00〜 男子ダブルス予選ラウンド2回戦
15:30〜 女子ダブルス予選ラウンド2回戦
16:00〜 U-21女子・準々決勝
16:30〜 U-21男子・準々決勝
17:00〜 男子ダブルス予選ラウンド2回戦
17:30〜 女子ダブルス予選ラウンド2回戦
18:15〜 U-21男子・準決勝
18:45〜 U-21女子・準決勝

[6月26日]
10:00〜 女子ダブルス1回戦
10:30〜 男子ダブルス1回戦
11:00〜 U-21男子シングルス決勝
11:30〜 U-21女子シングルス決勝

12:30〜 女子シングルス1回戦
14:30〜 男子シングルス1回戦
16:30〜 女子シングルス1回戦
17:30〜 男子シングルス1回戦
18:30〜 女子シングルス2回戦(一部)
19:30〜 男子シングルス2回戦(一部)

[6月27日]
10:00〜 女子ダブルス準々決勝
10:30〜 男子ダブルス準々決勝
11:00〜 女子シングルス2回戦
12:00〜 男子シングルス2回戦

13:30〜 女子ダブルス準決勝
14:00〜 男子ダブルス準決勝
14:30〜 女子シングルス準々決勝
15:30〜 男子シングルス準々決勝
16:30〜 女子シングルス準々決勝
17:30〜 男子シングルス準々決勝
18:30〜 女子シングルス準々決勝
19:30〜 男子シングルス準々決勝

[6月28日]
10:00〜 女子シングルス準決勝
11:00〜 女子シングルス準決勝
12:00〜 男子シングルス準決勝
13:00〜 男子シングルス準決勝

15:00〜 女子ダブルス決勝
15:30〜 男子ダブルス決勝
16:00〜 女子シングルス決勝
17:00〜 男子シングルス決勝
  • 2012年神戸大会・初日のフロアの様子。今年はかなりお客さんが入りそう

 リオデジャネイロ五輪の代表切符をかけて、男子以上に厳しい戦いが繰り広げられている日本女子。このジャパンオープンこそ、リオ五輪・選考レースの大きなヤマ場だ。
 日本女子は女子シングルスになんと18名がエントリー。このうち、決勝トーナメントから出場する第16シードまでに入っているのは、第5シードの石川佳純(全農)、第7シードの福原愛(ANA)、第9シードの伊藤美誠(スターツSC)、第13シードの平野早矢香(ミキハウス)、第16シードの石垣優香(日本生命)まで。シードは15年5月発表のランキングによって決まるので、6月のランキングで19位に躍進した平野美宇(JOCエリートアカデミー)も、予選ラウンドから出場。決勝トーナメント(32人枠)に勝ち残るための予選ラウンドも非常に熱い戦いになる。

 女子ダブルスは活躍が期待された平野美宇/伊藤美誠が出場を回避。強行日程での疲労もあるが、リオ五輪が終わるまではこの名コンビもしばらく活動休止か。その代わりと言ってはなんだが、大会期間中の6月26日、14年ドイツオープンでの平野美/伊藤ペアの女子ダブルス、15年ドイツオープンでの伊藤の女子シングルスという、ふたつのワールドツアー史上最年少優勝に対し、ギネスブックの認定証の授与式が行われる予定だ。
 U-21女子シングルスには、日本選手団で最年少の小学5年生・木原美悠(ALL STAR)が出場。バック表ソフトの変化とフォアスマッシュ、抜群の勝負度胸で世界に挑む。

 中国女子は李暁霞がエントリーから外れ、カットの劉斐が替わりに出場する。丁寧・劉詩ウェン・朱雨玲・陳夢の4人は強い。蘇州大会で右足を傷めながらも優勝を飾った丁寧は、故障が長引きながらも、超級リーグで徐々に調子を上げている。蘇州大会でベスト8に終わった朱雨玲、シングルスのエントリーから外れた陳夢にも意地があるだろう。
 日本勢にとっては優勝への大きな壁となる中国だが、例年のような2軍(ジュニア)チームのメンバーではないので、思い切ってぶつかれる部分もある。五輪の選考レースという面から見れば、ランキングの低い2軍チームの選手に当たり、負けてレーティングポイントが大きく減点されるほうがリスクが大きいからだ。そして選考レースで逆転での代表入りを目指す選手には、ここで一発、大物食いを狙ってほしい。

 世界の強豪選手をピックアップすると、アジアでは第3シードの馮天薇(シンガポール)、香港の杜凱琹と帖雅娜、シンガポールの若い帰化選手リン・イエとジョウ・イーハンあたりが要注意。韓国は徐孝元・梁夏銀・田志希の3名がエントリーしてきた。ヨーロッパ勢では、日本女子がたびたび痛い目に遭っているサマラ(ルーマニア)、帰化選手のシャン・シャオナ(ドイツ)、リー・ジャオ(オランダ)とこちらもなかなか手ごわい。いやはや、今年の神戸は熱い!
  • 石川、中国の壁を突き破れ!

  • 昨年のアジア競技大会・女子団体決勝で丁寧を破った福原

  • 伊藤はリオ五輪へ向け、正念場となる大会

  • 世界女王・丁寧、親衛隊の来日はある?

  • 今年のワールドツアーで石川・福原を破っている杜凱琹

  • 回転量の多い両ハンドを操るサマラ

 6月24〜28日、兵庫・グリーンアリーナ神戸で行われるジャパンオープン荻村杯2015。今年は中国のトップ選手が、2008年大会以来7年ぶりのフル参戦。ITTFワールドツアー・スーパーシリーズの名に恥じない、例年以上にハイレベルな戦いとなることは間違いない。男子の見どころからチェックしていこう。

 日本勢は男子シングルスに14人がエントリー。2012年大会優勝の水谷隼(beacon.LAB)をはじめ、リオデジャネイロ五輪の代表入りを争う丹羽孝希(明治大)、吉村真晴(愛知工業大)、松平健太(JTB)、村松雄斗(東京アート)らが火花を散らす。ただし、吉村と松平は第16シードまでに入っていないため、予選ラウンドからの出場となる。
 現時点では、世界ランキングの上位2名(15年9月発表時)に与えられる五輪アジア大陸予選への出場権は、水谷と丹羽の手に渡る可能性が高いが、ジャパンオープンは世界ランキングのボーナスポイントの格付けが高い。中国選手を破って上位に進めば、一気にランキングポイントを上積みできるビッグチャンスだ。

 男子ダブルスでは、水谷隼/吉村真晴というリオ五輪をにらんだペアがエントリー。蘇州大会3位の松平健太/丹羽孝希との対戦があれば興味深い。蘇州大会で中国ペアを追い詰めた大島祐哉/森薗政崇(早稲田大/明治大)は、攻撃的なプレーで大いに会場を沸かせるだろう。そして昨年、10歳でジャパンオープンにデビューした張本智和(仙台ジュニアクラブ)のプレーも見逃せない。今大会ではU-21男子シングルスと木造勇人(愛工大名電高)との男子ダブルスに出場する。

 世界に目を向ければ、やはり中国の強さが圧倒的。中国超級リーグでも欠場が続く五輪王者の張継科は、残念ながら欠場となったが、蘇州大会の男子単決勝を戦った馬龍と方博をはじめ、許シン・樊振東・閻安という豪華メンバー。方博と閻安は対カットに不安があるが、馬龍・許シン・樊振東の「3強」は手ごわい。やはり優勝候補の筆頭だ。
 当然ながら、日本勢は対中国にばかり気を取られるわけにもいかない。江天一・唐鵬・何鈞傑・黃鎮廷という香港の強力カルテット、チャイニーズタイペイの荘智淵と陳建安、韓国の朱世爀・鄭栄植・金珉鉐など、アジアのライバルたちもベストメンバーを揃えてきている。また、ヨーロッパからはヨーロッパ競技大会後の強行軍ながら、ポルトガルのフレイタスとアポローニャ、スウェーデン勢なども出場予定。決勝トーナメント1回戦から、気の抜けない戦いが続く。
  • 2012年大会以来の優勝を狙う水谷

  • 世界を震撼させる吉村のマジックサービス

  • 馬龍、世界チャンプの貫禄を見せるのか

  • 日本のペンドラファン待望の来日、許シン

  • こちらもペンドラ、快足を飛ばす黃鎮廷

  • センスあふれる球さばきのフレイタス