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速報・現地リポート

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全国高校選手権(インターハイ2015)

男子シングルスでは、選手番号137から163の間に5人の中国人留学生選手が集まり、「留学生ゾーン」を形成している(全体では男子で9人、女子で5人の留学生選手が出場)。どの選手も堂々たる体格で、カウンターや3球目で見せる一発のパワードライブはさすがの破壊力。その一方で、台上での細かいテクニックを得意とする選手は少なく、ややミスが多い印象。ミスを何よりも嫌う中国卓球のイメージとは、ちょっと違う。
  • 明徳義塾の左腕、豪打を誇る金博

  • 珍しく軟攻派、中陣でしのぐ日本航空の李沛陽

  • 堅いブロックから強打を連発、出雲北陵の李英儒

  • 溝部学園の曲春陽はオーソドックスな右シェーク

  • パワードライブでブイブイ飛ばす開志国際の鄭皓軒

学校対抗が終わり、本日はシングルスの2〜5回戦、そしてダブルスは決勝まで行われる。
シングルスは午前9時から怒濤の4試合、ダブルスも4試合。
多い選手は1日8試合をこなさないと行けないハードなスケジュールになっている。
しかし、そこを越えてこそ、真のチャンピオンといえるのだ。

男子の及川・三部、高橋、一ノ瀬、そして女子の芝田、木村、橋本には三冠の可能性が残されている。
本日15時に開始するダブルスの前には、シングルスベスト8までが決定する。
女子学校対抗決勝、四天王寺はトップに、準決勝の正智深谷戦2番で平に敗れた芝田を起用した。「あいつは根性だけはあるから」と決勝後に語った四天王寺の村田監督。その芝田は第1ゲームに9ー10で山陽女子・木村にゲームポイントを許してから、木村のバックストレートへのバックハンドに苦しみ、何度もゲームポイントを奪われながら、17ー15でしのぎきった。「決勝では体の動きはあまり良くなかったけど、1ゲーム目は絶対取りたかった」(芝田)。第2ゲームは落としたものの、要所では木村のフォアをパワードライブで打ち抜き、エースの貫禄を見せた。

正智深谷戦でチームの勝利を決めたカットの橋本は、決勝2番でも皆川を翻弄。ハイトスのバックサービス、巧みな反転カット、両ハンドでのキレのある攻撃と、抜群のセンスを見せる。そしてダブルスでは、準決勝に続いて起用された三條/梅村ペアが勝利し、優勝を決めた。ダブルスの大阪府予選で予選落ちしたペアながら、左腕の梅村が機敏な動きでパワードライブを打ち込み、三條のバック表ソフトの変化とフォア強打が炸裂した。「ちょっと信じられないですね。正智深谷さんが強くて、選抜でも奇跡の優勝と言われていた。今回も準決勝のオーダーはきつかったですけど、選手が頑張ってくれました」(村田)。

山陽女子も敗れたとはいえ、1・2年生主体のチームでの決勝進出は見事。試合後、開口一番「正直悔しいですね」と語った田代祐大監督。しかし、団体メンバーでは左腕の益岡がただひとりの3年で、エース格の枝松が2年、華々しい活躍を見せた木村と皆川のコンビは1年生と、まだまだ化ける可能性を秘めたチーム。来年も間違いなく優勝候補の一角に名を連ねるだろう。
  • 決勝1番では粘り強く、冷静に戦った芝田

  • 衝撃のインターハイデビュー、山陽女子の木村

  • 三條/梅村はファイト満点のプレーで優勝をたぐり寄せる

  • 四天王寺は3連覇を達成

男子学校対抗決勝、青森山田vs.野田学園のライバル対決の最終試合は、青森山田に軍配が上がった。

青森山田の1番・三部は見事なカット打ちで竹崎を下し、2番は逆に野田学園の青山が縦横無尽にコートを駆け回り、強烈なドライブを連発し、一ノ瀬を下す。

勝負となったダブルスはゲームオールの大接戦。野田学園の高取の高速バックカウンターが火を噴き、ラリーを優位に進めるも、最後は及川・三部の精緻さに屈した。

4番の及川は2ゲーム目を逆転で取り、完全にペースを握り、一気にたたみかける。
3ゲーム目も攻めと守りが冴え、5−0とスタートダッシュ。
相手の嫌なところにボールを送り、ラリー中でも隙を見つけてすかさず前陣に出て、速いカウンターブロックを送るなど、相手をしっかり観察したプレーはさすがだ。

マッチポイントを握り、最後まで攻撃の手を緩めなかった及川が優勝を決めた。
青森山田、卓球部の最後の年で見事全国優勝を成し遂げた。

「オーダーは及川と三部が絶対獲る、ダブルスも獲る。だからオーダーは絶対に逃げない、変えないという姿勢でやってきました。
 一ノ瀬が2番で負けたが、杜若戦ではチームのピンチを救ってくれたし、高橋も決勝はまわらなかったけど、準決勝で勝利するなど非常に頑張ってくれた。今回のメンバー4人全員がエースだと思っています。インターハイはみんなが向かってくるので簡単じゃない。あれだけのOBが見ている前で負けられない」(板垣監督)

青森山田のインターハイ最後の団体戦には多くのOBがかけつけて、応援に声をからしていた。
そのOBの前で最高の勝利を送った。青森山田、おめでとう。
  • 及川が決めた!

  • 敗れはしたが好勝負を演じた一ノ瀬

  • 優勝を決め、観客席に向かってガッツポーズ

  • 駆けつけた青森山田OBたちも必死の応援

  • 野田学園、初優勝はお預け

  • ヤマダは表彰式後、OBも交えて大集合!

●男子学校対抗決勝
〈青森山田 3ー1 野田学園〉
○三部 9、5、7 竹﨑
 一ノ瀬 9、ー7、ー4、ー4 青山○
○及川/三部 5、ー3、7、ー10、8 高取/青山
○及川 5、6、8 沼村

●女子学校対抗決勝
〈四天王寺 3ー0 山陽女子〉
○芝田 15、ー8、10、6 木村
○橋本 9、6、5 皆川
○三條/梅村 8、ー2、6、9 枝松/木村

男子学校対抗は青森山田が2連覇、女子学校対抗は四天王寺が3連覇を達成!
ヤマダはOBのそうそうたる顔ぶれが観客席で声援を送る中、見事に優勝を飾った!
詳報は後ほど!
●女子学校対抗・準決勝
四天王寺 3−1 正智深谷
山陽女子 3−1 希望が丘

女子学校対抗準決勝は、四天王寺と山陽女子が勝利。決勝へ駒を進めた!

四天王寺と正智深谷の一戦は、トップで四天王寺の三條がパワードライブとバックの変化のコンビネーションを見せれば、2番で正智深谷の平が、バック対バックからのクレバーなコース取り、正確なカウンタードライブで相手エースの芝田に勝利。強豪対決にふさわしい、がっぷり四つの展開になる。

芝田・木村ペアではなく、三條・梅村ペアを起用してゲームオールでダブルスを制した四天王寺が3ー1で逃げ切ったが、実は2台進行の5番ラストでは正智深谷の牛嶋が四天王寺の木村にストレートで完勝していた。正智深谷は、4番で起用した右シェーク異質攻撃の田口が、今大会の不調を払拭できず、カットの橋本に対して本来の攻撃力を見せられなかったのが惜しまれる。

山陽女子と希望が丘の一戦は、2番でカットの朝田に勝利した山陽女子の1年生・皆川の頑張りにつきるだろう。女子シングルスでは1回戦で宇田(横浜隼人)に敗れた皆川。「試合後は泣いてしまって大変でしたが、そこからよく立ち直ってくれた」と田代監督。重いループドライブからのスマッシュで大仕事をやってのけた。

勝負を決めたのは山陽女子の4番・サウスポー枝松。サービス、そしてレシーブでのツッツキを徹底して中澤のミドルに集め、両翼からは強引な強打のある中澤の長所を封じた。枝松2ー1リードの第4ゲーム、9ー5から9ー6になったところですかさずタイムアウトを取った田代監督の危機管理も見事で、11ー9で振り切った。

敗れた希望が丘は、留学生の趙甜甜が左ひざの故障で出場できない中、1年生の岩越や柴田がよく健闘し、準決勝まで勝ち上がった。猛練習で、これからまた強いチームに仕上げてくるだろう。
  • 四天王寺の守護神、チョッパー橋本

  • カットの朝田を打ち抜いた山陽女子の皆川

男子学校対抗準決勝
青森山田に3−0と、ストレートで敗れたが、見せ場は満載だった瓊浦。

2年生の中ノ瀬の野生のようなプレーは迫力満点で、安定重視の三部の歯車を少しずつ壊していく。
ロビングに追い込んで、ライジングのカウンターで打ち込むなど、三部から2ゲームを奪った。
しかし、そこは三部の経験か。徐々にチキータのコースとスピード、そして深さをコントロールし、今度は中ノ瀬のカウンターを狂わせていった。

2番の李佳睿は強烈なフォアドライブを持ち、青森山田の高橋を序盤は圧倒していく。高橋は相手にフォアを振らせまいと、バックとラリーのテンポで勝負し、勝機を見いだしていった。「チャンスあるぞ!」とベンチから板垣監督が声をかけ、点差を徐々に詰めていき、ついに李佳睿を下した。

ダブルスは及川・三部の黄金ダブルスが締め、青森山田が決勝進出を決めた。

「青森山田は強かったけど、この舞台で戦えたことは生徒たちに良い経験になりました。うちの選手は少し固かったけど、良い試合ができたと思います。
うちはまだ2年生が主体のチームだから、むしろ来年への楽しみが大きい。この経験を活かして、来年この舞台に戻ってきて、日本一を目指したい」(麻生監督)

またひとつ、新たな強豪校が誕生した。
来年の瓊浦はさらにパワーアップして返ってくるだろう。
  • 中ノ瀬、来年は本命校のエースとしての活躍が期待される

  • 青森山田の最後のインターハイを優勝で飾りたい三部

  • 好勝負だった中ノ瀬vs三部

  • 負けはしたが素晴らしい試合だった瓊浦に拍手を送りたい

●男子学校対抗準決勝
青森山田3−0瓊浦
野田学園3−0愛工大名電

やはり団体戦での野田学園の爆発力は凄まじい。
春の選抜優勝校の愛工大名電に対し、前半は沼村と青山が先陣を斬って2−0とすると、ダブルスはゲームカウント0−2から逆転。
特に青山が2番松山とのエース対決を制したのが大きい。青山は春の選抜の決勝で敗戦、そしてインターハイは県予選でシングルス枠を獲得できなかったが、乗った時の力はやはり高校トップクラスだ。
伸びのあるドライブ、思い切ったカウンター、そして勝負強さを見せつけて、野田学園を決勝へ導いた。

初優勝まで、あとひとつ。王者・青森山田との最後のライバル対決が実現した。
  • 昇り龍・青山が大スパーク!

  • 松山、無念。愛工大名電を勝利へ導けず

会場では男子シングルス1回戦に続き、女子シングルス1回戦もスタート。目を引いた大型チョッパーが下写真左、佐賀・佐賀清和高の李欣然。長身から繰り出すしなやかなフォアカットに加え、フォアの攻撃も鋭い。明日の2回戦では横浜隼人高のルーキー・笹尾と対戦、接戦が予想される。

下写真右は和歌山・粉河のファイター、椎﨑楓花。日南学園の土橋との両ハンドのたたき合いを制し、2回戦進出。粉河高の監督は、日本リーグの和歌山銀行や日産自動車で活躍した谷口陽一さん。フォアの攻撃力を備えた好選手が育ってきている。
シングルスの1回戦が行われる中で、来年以降のインターハイを盛り上げるだろう1年生が登場している。
木造、出雲というスーパー1年生以外でも注目したいルーキーたちを紹介しよう。

まずは大阪桐蔭の菅沼湧輝。昨年度の全日本選手権ジュニアの部では、木原(東山)を倒して4回戦へ進出。ラリーに強く、中陣での打ち合いの精度は豊富な練習量を感じさせる。1回戦で石山(開志国際)とのゲームオールを制した。

次に希望が丘の蛭田龍。1年生ながら団体に起用される期待の星は、前陣での小気味良い両ハンドが特徴。甘いボールは一発で振り抜いていくパワーも魅力。昨日の野田学園戦ではカットの竹崎を相手に「打たされている」状態になってしまっていただけに、選球眼が今後の課題か。

3人目は関西の柏友貴。ボールさばきのセンスと、速いボールと遅いボールの使い分けが良い。1回戦では最終ゲーム10−6の大ピンチから大逆転するなど、諦めないガッツもある。まだ荒い卓球だが、そこに精緻さとパワーが加われば化ける逸材だ。
  • 中陣でのラリーにめっぽう強い菅沼

  • 蛭田は前陣で打ち抜く鋭いボールが特徴

  • 柏は2回戦は青森山田の高橋に挑戦する

  • 大逆転勝ちで安堵の表情の柏