●平成27年度全日本選手権速報

【条太】全日本の「別の意味の魔物」

2016/01/16

 「全日本には魔物が棲んでいる」と表現されることがある。意外な試合結果を指してのことだが、実はまったく別の意味の魔物も棲んでいる。

 それは、選手がサービスの体勢に入って会場が静まり返った瞬間に「がんばれっ!」などと叫ぶオヤジだ。魔物が登場するのは決まって人気女子選手の試合で、特に福原愛と石川佳純の試合がアブない。

 選手は集中しているだろうから気にならない場合もあるかもしれないが、あれだけはっきりとサービスを出すタイミングで恫喝するように叫ばれれば、気になる場合もあるだろう。応援というよりは選手を叱りつけているとしか思えない調子だから、相手にリードされている状態であれをやられたらかなりのダメージのはずだ。国際大会ともなると、日本語がわかる日本選手の集中力だけを狙い撃ちで乱すことになるのだから余計に始末に負えない。

 考えてみれば、一般人が、福原や石川といったスーパースターに語りかける機会などない。それが直接語りかけられるのだから、その快感たるや変態、いや大変なものだろう。

 金を払って入場している以上、どのような応援をしようが客の自由だという主張も一概に否定はできない。増してやその客が、応援をしているふりをして実はその選手の集中力を乱して負けさせようとしてやっているとすれば、相手の応援をしているのと同じことなので、それを禁じることなどできない。

 しかし、魔物たちの意図はそうではあるまい。あくまで福原や石川に勝ってほしくてやっているに違いないのだ。それならば話は簡単で「あんさん、それ逆効果でっせ」と教えてやればよいのだ。

 どなたか命知らずの人が注意をしてほしいものだが、難しいと思うので、選手には気の毒だが魔物観戦も全日本の風物詩ということで楽しむしかないのだろう。くれぐれもスマホやタブレットでこのコラムを読ませたりしないように!怖いから。 
                                             (伊藤条太・卓球コラムニスト) 

【マニア】悲願の全日本タイトル

2016/01/16

 何度も決勝で敗れてついにタイトルに手が届かなかった選手がいる一方で、決勝で敗れること数度の後についに悲願を達成した選手もいる。

 小野誠治は1978年度(高島規郎に敗れる)、1979年度(高島規郎)、1980年度(阿部博幸)、1985(齋藤清)と全日本決勝で敗れること4度の後、1986年度に渡辺武弘に勝ち宿願を達成した。1979年ピョンヤン大会で世界チャンピオンに輝いてから7年後であった。

 もう少し近いところでは渋谷浩が1991年度(渡辺武弘)、1995年度(松下浩二)、1996年度(岩崎清信)と3度準優勝の後、1999年度に偉関晴光に勝って優勝を果たした。

 優勝の前に3度準優勝を経験した選手はもう一人いて糠塚重造だ。1982~1984年度と3年連続で齋藤清に敗れた後、1987年に桜井正喜に勝ってタイトルを獲得した。

 この範疇には入らないが、悲願の全日本タイトルという感があるのは、最近では福原愛、昔だと河野満だろうか。ちょっと意外なのだが、両者とも決勝で負けたことはない。                       (岡本清美・卓球マニア)

【速報】天野「シングルスと同じくらいダブルス練習をしてきた」

2016/01/16

★女子ダブルス優勝:中島未早希/天野優(サンリツ)
●中島未早希コメント
「去年はすぐに負けていたので、緊張していた。でも今大会はすごく調子が良くて、思い切ってプレーできた。自分たちの持ち味は周りの早さとコース取り。試合の中で話し合って、しっかりした戦術で戦えたと思う。
 (準決勝の平野/石川戦は)相手の方がプレッシャーを感じているだろうし、こんなスゴい選手たちと試合をする機会はなかなかないので、自分たちは楽しんでプレーしようと臨んだ。相手は戦術転換も早いし、攻撃も守りもすごいけど、自分たちはできるだけ厳しいコースをついていこうと思っていた。
 (今後の目標は)日本リーグでも使ってもらっているので、そこでポイントゲッターとしてチームにもっと貢献できるペアになることが目標。国際大会でも活躍できるよう頑張りたい」

●天野優コメント
「決勝まで行けると思っていなくて、1戦1戦が勝負だと思ってやってきた。それが優勝という結果につながって最高にうれしい。
 準決勝がヤマだと思っていた。相手はプレッシャーもあるから、レシーブは安全にくるだろうなと予想して、そこからどんどん攻めて行こうと思った。1ゲーム目は相手のボールに圧倒されたけど、それも想定内。あとは相手にしっかり打たせないようなコース取りを考えて戦えたし、サービス、3球目でどんどん攻めていけた。
 ダブルスの練習はシングルスの練習と同じくらい、毎日やってきたし、チャンスがあると思っていた。毎日ダブルスでのフットワークをやってきたし、個人でもサービス、レシーブの練習もやってきた。毎日やってきたダブルスのフットワークでは、どのペアにも負けないと思っていた」

  • 全日本社会人優勝ペアが日本一に

  • 「優ちゃんはたまに私のことを“姉貴(アネキ)”って呼びます(笑)」(中島)

【速報】水谷「吉田を選んだことは間違っていなかった」

2016/01/16

★男子ダブルス優勝:水谷隼/吉田雅己(beacon.LAB/愛知工業大)
●水谷隼コメント
「これまで5回ダブルスで優勝しているけど、パートナーが変わっての優勝なので“初優勝”という気持ち。今回僕から吉田にオファーしてペアを組んだけど、吉田を選んだことは間違っていなかったと思う。
 (決勝は)相手が1ゲーム目に思い切ったプレーをしてきて、かなりヤバいと思ったし、負けるんじゃないかという恐さもあった。だけどそこから二人で話し合って、戦術をしっかり変えて、中盤から終盤にかけては自分たちのプレーに持って行けた。前半は吉田らしさがなかったけど、4ゲーム目は彼の持ち味の強気の攻めが出ていたと思う。このペアでワールドツアーなどで戦うことも多くなると思うので、そこで結果を出して、最終的には世界選手権で優勝を目指したい。
 (オリンピックイヤーに、まずは全日本ダブルス優勝だが)ダブルスの優勝はうれしいけど、僕としてはどうしてもシングルスのタイトルがほしい。ロンドンオリンピックの時は、全日本の決勝で吉村に負けて連覇が止まり、その後少しスランプになってしまった。その記憶を払拭するためにも、明日のシングルスで優勝してオリンピックに臨みたい。(準決勝で対戦する)笠原は昨年度の大会で、本当に苦しい思いをして勝った相手なので、今回も苦しい試合になると思う。世界ランキング6位のプレーを見せて勝ちたい」

●吉田雅己コメント
「決勝前半は自分のプレーがまったくできなかった。そこからコミュニケーションをとって戦術を変えて勝てたけど、決勝は最後まで自分のプレーはできなかった。水谷さんに助けられました。
 僕らの強みは、攻めるときは攻めて、守るときは守るでその場その場に応じた戦い方ができる部分だと思う。戦術に関してもよくコミュニケーションをとっているので、他のペアに勝っていると思う。
 水谷さんからオファーがきたときはビックリしたけど、もっと頑張らないといけないなと感じた。今回ペアを組んで、改めて水谷さんのすごさがわかったし、自分の未熟さもわかった。世界で勝つためには僕がもっと世界基準のプレーに近づく必要があると思うので頑張りたい。
 (水谷のすごさは?)プレーの的確さ、ラリーでの強さ…全部ですね(笑)。決勝の4ゲーム目で、レシーブに悩んでいたときに『最初からチキータの構えで待てば』と言われて、その発想に驚いたし、勝負所でそういう判断ができるのはスゴい。そのおかげで思い切ってプレーできた。これからペアでの経験を重ねて世界でメダルを獲りたい」
  • 目標は世界でのメダル獲得

  • 明日の笠原戦は「世界6位のプレーを見せて勝ちたい」

  • 「水谷さんのスゴいところは…全部です」

【速報】男子ダブルス、水谷/吉田がV!

2016/01/16

● 男子ダブルス決勝
水谷/吉田(beacon.LAB/愛知工業大)-8、10、8、7 松生/鹿屋(リコー)

水谷/吉田のダブルスは、初ペアリングで見事に優勝を飾った。
試合巧者のふたりだが、決勝は厳しい戦い。吉田が少し緊張気味だったか、動きが堅く、うまく点数が取れない。当たって砕けろの松生/鹿屋は少しでも浮いたボールを見逃さず、積極的に先手を取って互角以上に打ち合った。

松生のブチ切れのYGサービス、鹿屋の高速両ハンドのコンビネーションは素晴らしく、水谷/吉田を守勢に追い込んでいった。

しかし、下がっても強いのが水谷ペア。ロビングで鹿屋のスマッシュミスを誘い、勝負の3ゲーム目を奪取。
吉田の緊張も徐々にとれていき、最終ゲームに持ち込まず、4ゲーム目に勝負を決めた。

5回戦で2連覇中の森薗/三部に勝利、そして決勝でも勝負強さをみせた水谷/吉田。新ペアの優勝で男子ダブルスは幕を閉じた。

現在、表彰式が行われております。その後に行われる記者会見の様子、優勝者コメントはこのあとアップいたします。少々お待ちください。
  • 勝負どころで強気の攻めをみせた水谷/吉田

  • 当たっていた松生/鹿屋。あと1本が遠かった

  • 水谷、新ペアでV

  • 試合後にうなだれる鹿屋「チャンスはあった」

【速報】女子ダブルスは天野/中島が初優勝!

2016/01/16

●女子ダブルス決勝
天野/中島(サンリツ)8、6、8 土井/土田美紀(中国電力) 

全日本社会人優勝ペアの天野/中島、全日本初優勝!

右利きの土井と左利きの土田の中国電力ペアに対し、右利き同士で組んだ天野/中島は、ストレートへのカウンター攻撃をうまく使った。台上の攻防や対下回転のボールでは、天野が威力あるボールで押し込み、上回転のラリーでは中島が打球点の早い両ハンドでコースを突く。役割分担がはっきりしており、中電ペアにつけいる隙を与えなかった。
  • 優勝を決め抱き合う天野/中島

  • 笑顔のピース☆ 左はベンチに入った近藤監督

  • 終始攻めのプレーを見せ、見事な勝利

  • 持ち味出せずストレートで敗退した土井/土田

【フォト】リアル全日本フォト更新中

2016/01/16

大会第6日目のフォトも随時更新中です。
ぜひ、ご覧ください。
●女子シングルス準々決勝
●男子シングルス準々決勝
●女子ダブルス準決勝

【動画】動画を3本アップ!

2016/01/16

・男子シングルス準々決勝、吉村vs大矢、第4ゲーム後半
・女子シングルス準々決勝、石川vs佐藤、第3ゲーム後半
・女子シングルス準々決勝、伊藤vs浜本、ラスト2本

以上3動画を「リアル全日本ムービー」ページに公開しました。

【速報】水谷/吉田ストレート勝利で決勝へ

2016/01/16

● 男子ダブルス準決勝
水谷/吉田(beacon.LAB/愛知工業大)7、8、6 大島/上村(早稲田大)
松生/鹿屋(リコー)11、4、-9、-8、9 山本/平野(早稲田大)

水谷/吉田ペアは、吉村/丹羽ペアを破って勝ち上がった大島/上村ペアを寄せつけず。試合後、大島は「水谷さんの一つひとつの技術の質の高さにやられた」と脱帽。パートナーの上村は「浅いボールや深いボールをうまく使われて、距離を合わせられなかった」と語った。自在なチャンスメイクと多彩な攻撃を見せる水谷と、威力あるフォアドライブをどのコースにも打てる吉田のペアリング、なかなか崩れそうにない。

一方の松生/鹿屋ペアは、大躍進の決勝進出。最終ゲーム6−9からの大逆転で、山本/平野ペアを下した。10ー9からの一本は、早稲田大ペアにとっては不運なエッジボールだったが、リコーペアは最後まで勝負をあきらめなかった。
  • 水谷/吉田、優勝まであと1勝だ

  • ストレートで敗戦となった大島/上村

  • 大学生ペアを下し決勝進出を決めた松生/鹿屋

  • 最終ゲーム、リードを保てなかった山本/平野

  • 松生/鹿屋は初の全日本決勝の舞台へ

【速報】平野早矢香「今後のことはゆっくり考えたい」

2016/01/16

 ダブルス準決勝で敗れ、ダブルス3位、シングルスベスト16という成績で全日本選手権を終えた平野早矢香。ダブルスの試合後の会見で、今後について語った。

 「リオ五輪の代表に入ることができなかったけど、その後も1試合だけですけどオーストリアリーグに参戦したり、世界代表選考会があったり、目指すものは変わっても試合が続いていく中で、今後のことはとりあえず全日本までしか考えていなかった。これから実家に帰ってゆっくりして、今後のことを考えたい。まだ正式には何も決まっていません」(平野)。

 シングルスのランク決定戦で田代早紀を破り、平野美宇とも互角の接戦を演じてまだまだ力のあるところを見せた平野だが、今年3月で31歳という年齢を迎える。果たして今後について、どのような決断を下すのだろうか。