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世界卓球クアラルンプール大会速報

 〈日本 vs. 中国〉
 福原 -5、-6、-8 劉詩ウェン○
 石川 vs. 李暁霞
 伊藤 vs. 丁寧
 福原 vs. 李暁霞
 石川 vs. 劉詩ウェン

 日本、トップ福原は劉詩ウェンに0ー3で敗れた。

 会場は福原がサービスの構えに入っても「加油! 中国隊!」の大合唱。第1ゲームの終了後に、英語と中国語で「プレー中は静かにしてください」というアナウンスが入るほど。この異様な雰囲気の中で、福原は第1ゲーム0ー6とスタートダッシュを許す。かつて超級リーグの広東省チームのチームメイトで、練習もともにしていた劉詩ウェンは福原のバック表ソフトの変化を苦にせず、少しでも浮けば回り込んでフォアドライブで攻める。異質速攻の選手は慣れられると苦しい。

 第3ゲーム、福原も劉詩ウェンのスピードに少しずつ対応し、バックフリックからのフォアスマッシュを決めるなど、随所に好ラリー。しかし、5ー5からフォア前のストップを2回続けてミスしたのが痛かった。8ー9で中国ベンチがタイムアウトを取った後、福原にバックハンドのミスが2本続きゲームセット。日本、2番は石川が出陣だ。
 〈日本 vs. 中国〉
 福原 vs. 劉詩ウェン
 石川 vs. 李暁霞
 伊藤 vs. 丁寧
 福原 vs. 李暁霞
 石川 vs. 劉詩ウェン

 女子団体決勝のオーダーが発表された。日本はトップ福原、2番石川、3番伊藤。丁寧のトップ起用、そして李暁霞の3番起用を予想したオーダーか。しかし、中国は意外にも丁寧を3番に下げ、伊藤をつかまえに来たか。そしてトップは劉詩ウェン。今大会、決して好調とは言えない李暁霞が2点起用だ。

 中国女子、決勝で3番丁寧のオーダーとは……。思い切った手を打ってきた。
 女子団体決勝に先立ち、13時から会場で平野美宇選手(JOCエリートアカデミー)と、エジプトのパラ卓球プレーヤー、イブラヒム・ハマト選手のエキシビションマッチが開催。このイベントはスポーツを通じた国際貢献事業「スポーツ・フォー・トゥモロー」プログラムの一貫として行われた。
 ハマト選手は2年前の東京大会でも話題を集めた選手。少年時代に事故で両腕を失いながら、ラケットを口にくわえてプレーし、パラのアフリカ大会でも好成績を収めている。

 ふたりのエキシビションマッチの後は、地元の子どもたちと一緒にラリーを続けたり、英語でのインタビューに応えたりと奮闘した美宇ちゃん。これからはじまる女子団体決勝にも、大きな声援を送ってくれるだろう。
  • 美宇ちゃん、頑張って英語でのスピーチも

  • 口にくわえたラケットで、しっかりボールを打ち込むハマト選手

 女子団体決勝を30分後に控えたマラワティ・スタジアム。なんと、メインスポンサーの完美(ワンメイ/日用品や化粧品の会社)が動員した、赤シャツと白シャツの中国大応援団が観客席を埋め尽くしている。テレビカメラを向けられると、それだけでとんでもない盛り上がり。

 日本、男女決勝は「完全アウェー」の中での戦い。この大観衆を黙らせてみせる!
 3番大島の敗戦、4番水谷の大苦戦で、格下と思われたイングランドに大いに苦しめられた日本。世界ランキングの数字や過去の実績だけでは計れない勢いがイングランドにはあった。2番吉村が逆転勝ちしていなかったら、一気に相手に流れを持っていかれた可能性もある。

 準決勝後のミックスゾーンで、「まさか大島が負けるとは思っていなかった。誕生日を飾れなかった男として、まあ1年はぼくらに言われると思います(笑)」と語った倉嶋監督。「良い舞台をセッティングしたにもかかわらず勝ち切れなかった。行く前から緊張で固まってましたから。それが世界選手権ですね。歴史を変えるには大きなエネルギーが必要で、水谷と吉村が本当に頑張ってくれた」(倉嶋監督)。明日の決勝は、水谷と吉村の2点起用は堅いが、3番手に誰を起用するか?

 4番で大逆転劇を演じた水谷は、「まだ終わったばかりで実感がない」と言いながらも、「極限状態で試合が終わって、しかも勝つことができて、自分の勝利でチームも勝ったのですごくうれしい。6-10の時でも1本取られたら終わりだったけど、ここで終わらせるわけにはいかないという気持ちでした」と達成感を語った。

 「今大会、台が止まるのでずっとフォア前のミスが多くて4ゲーム目からは打たないでダブルストップするようになってから流れが良くなった。下がって粘っている時は必死ですよ。ああなったら考えることもなくて、台に入れて、相手を苦しめるために1本でも多く台に入れることしか考えていない。
 歴史を変えたかった。今は歴史を変えることができたけど、これからは若い選手のために歴史を築いていきたい。今までの自分の経験が生きている。世界選手権やオリンピックの大舞台を経験し、そこで敗れたことの経験が生きている。今日もあんまり緊張しなかった。
 中国は、今大会初めて格上の選手とやるので、自分から積極的に攻めていくしかない。リスクを犯してどんどん攻めていこうと思っています」(水谷)

 男子団体決勝は3月6日の19時30分(日本時間20時30分)スタート。中国も馬龍と許シンの2点起用は堅いか。3番手に使うのは、若手の樊振東か、五輪金メダリストの張継科か。世界選手権団体戦もいよいよクライマックスだ。
●男子団体準決勝
 〈日本 3ー1 イングランド〉
○水谷 8、9、4 ドリンコール
○吉村 5、ー12、7、ー10、9 ピチフォード
 大島 ー6、ー6、8、ー9 ウォーカー○
○水谷 ー8、ー10、7、10、6 ピチフォード

 4番水谷、第4ゲーム6ー10でマッチポイントを握られてから、6点連取で大逆転!
 最終ゲームは10ー6のマッチポイントで3球目攻撃を決め、手に汗握る激戦に決着。日本男子、77年バーミンガム大会以来、39年ぶりの決勝進出だ!

 長身で非常に手足が長いピチフォードは、やや台から距離を取り、強烈な両ハンドのカウンタードライブを打ち込んできた。第1ゲーム、4ー0からフォアストレートへの3球目パワードライブを決めるなど、ピチフォードが7ー0とスタートダッシュ。水谷が格下相手に、第1ゲーム0ー7とされるのは非常に珍しいことだ。8ー10まで挽回するが、8ー11。第2ゲームも10ー12で落とす。ピチフォードは決定打を徹底して水谷のフォアへ集め、堅守を誇る水谷がなかなか返球できない。

 試合全体を通じて、水谷は台上に浅く浮いたボールの処理に苦しんだ。フォアでのフリックで狙い打てず、ゲームカウント1ー2の第4ゲーム、6ー8からバックハンドで台上を打つも、返球されて6ー9。6ー10でマッチポイントを握られる。水谷、8ー10、9ー10とジリジリ挽回。観客席から「ゴー!ピッチ!」というイングランド女子チームの声援が飛ぶ。
 水谷、ついに10ー10、11ー10。ここでフォアを何度もパワードライブで攻められながら、大きく飛びついて返球し、しのぎにしのぐ水谷、ついにピチフォードの強打にミスが出て、水谷が大きくガッツポーズ!

 最終ゲームも中盤まで競ったが、台上での強打を切り捨てた水谷は、下回転系のサービスから、相手のストップをダブルストップし、ピチフォードの台上のミスが続く。10ー6、最後は3球目攻撃を決めた水谷、ベンチに向かって大きく吠えた!
  • 水谷、最後まで勝利をあきらめなかった!

  • 大・大逆転でピチフォードに勝利

  • 倉嶋監督、万感の抱擁!

  • ピチフォード、詰めの甘さが出たが、本当に強かった

●男子団体準決勝
 〈日本 2ー1 イングランド〉
○水谷 8、9、4 ドリンコール
○吉村 5、ー12、7、ー10、9 ピチフォード
 大島 ー6、ー6、8、ー9 ウォーカー○
 水谷 vs. ピチフォード
 吉村 vs. ドリンコール

 2番での吉村の劇的勝利を受け、「ここで決まる!」と思われた3番。しかし、イングランドの3番手ウォーカーが、開き直ったような攻撃的なプレー。ブロックでも両ハンドのドライブでも、ストレートに強烈なボールを打ち込む。大島はなかなかクロスの展開に持ち込めず、得点できてもバックハンドが中心。なかなか調子を上げられなかった。

 快調に飛ばしていたウォーカーもさすがに勝利を意識したか、第3ゲーム終盤はミスが連続して大島が1ゲームを返す。第4ゲームも6ー3、8ー5とリードしていたが、8ー8に追いつかれ、またもウォーカーがストレートへ厳しい攻め。最後は9ー10から、フォアストレートへのフォアドライブを決められ、大島の返球がわずかにコートを外れた。今日が22歳の誕生日だった大島、バースデーを勝利で飾ることはできず。

 日本、4番水谷で決める!
  • 大島、開き直ったウォーカーの強打に押された

  • ストレートへ最後まで強気に攻めたウォーカー

●男子団体準決勝
 〈日本 2ー0 イングランド〉
○水谷 8、9、4 ドリンコール
○吉村 5、ー12、7、ー10、9 ピチフォード
 大島 vs. ウォーカー
 水谷 vs. ピチフォード
 吉村 vs. ドリンコール

 吉村、相手エースのピチフォードをゲームオール11ー9で下し、大きな大きな2勝目!
 序盤は快勝ペースだった吉村。軽快なリズムで、3球目の待ちも良く、次々に威力ある3球目ドライブを決めていく。第1ゲーム11ー5、第2ゲーム9ー5から相手のサービスがフォルトを取られ、10ー5。2ゲーム先取は目前だった。

 しかし、このフォルトからピチフォードがあきらめ半分に出したフォア側からのYGサービスに、吉村のチキータが合わない。なんと10ー10に追いつかれ、その後の2回のゲームポイントもものにできず、12ー14で落とす。ここから試合は接戦となり、最終ゲームに持ち込まれた。

 最終ゲーム、1ー2で今度は吉村のサービスがフォルト。ここから2ー6、4ー8、6ー9とリードされる。さらに6ー9から、吉村が決めたラリーでボールが割れ、カウントが戻る。苦しい苦しい場面だったが、受け取ったボールをラケットのサイドでポンポンつく余裕があった。吉村は冷静だった。9ー9に追いつき、5球目フォアストレート、さらに3球目フォアドライブをクロスに決め、ピチフォードのドライブが空振り。日本が2勝目だ!
  • 頼りになるぜ吉村、日本に大きな2勝目

  • ピチフォード、大魚を逃す

●男子団体準決勝
 〈日本 1ー0 イングランド〉
○水谷 8、9、4 ドリンコール
 吉村 vs. ピチフォード
 大島 vs. ウォーカー
 水谷 vs. ピチフォード
 吉村 vs. ドリンコール

 男子団体準決勝、日本対イングランド戦がスタート!
 トップ水谷は、昨日のフランス戦ラストで勝利したドリンコールの挑戦を受けた。ラリー戦では高い打球点の両ハンドドライブで攻め、好調を持続するドリンコールに対し、水谷はサービスが抜群のよく効いた。第1ゲーム8ー8からサービスエース2本、特に下回転系サービスの変化が、ドリンコールはまったく読めない。第2ゲームも要所でサービスエースを取り、10ー7から10ー9となったゲームポイントでも、高く浮いたレシーブを3球目フォアドライブでミドルへ打ち込む。
 最終ゲームは、完全にドリンコールのボールを見切り、水谷らしいブロッキングプレー、安定したフォアクロスのドライブで圧倒した。日本が先勝!
 
「準決勝にイングランドが勝ち上がってきたのはちょっとビックリしていますが、勝ち上がる力があるチームということだし、油断はしていない。自分の力が出せました。次の吉村は今大会まだ負けていないので、その勢いのまま勝ってほしい」(水谷・直後の会場でのインタビュー)
  • 第3ゲームは一気に突き放した水谷

  • ドリンコールは水谷の術中にはまった

●女子団体準決勝
 〈中国 3ー0 チャイニーズタイペイ〉
○丁寧 6、7、4 陳思羽
○李暁霞 9、13、2 鄭怡静
○朱雨玲 7、6、2 鄭先知

 これが世界団体準決勝のスコアか。中国がチャイニーズタイペイをオール3ー0のストレートで下し、決勝進出。明日14時30分(日本時間15時30分)から、日本女子との大一番だ。

 トップ丁寧は相変わらず強烈な回転量のフォアドライブで、陳思羽を圧倒。序盤からしゃがみ込みサービスも繰り出し、早めに勝負をかけた。第3ゲームは0ー1から9点連取と圧倒した。

 2番李暁霞、さすがにかつてのような超前陣両ハンド、必殺のシュートドライブは影を潜めたが、強烈なバックドライブとコースの厳しいバックハンドで鄭怡静をバックサイドに縛り付け、流れを渡さない。第2ゲームは10ー6から10ー10に追いつかれるなど、ややもたついたが、15ー13でこのゲームを奪い、第3ゲームは第1試合と同様、ワンサイドの内容だった。

 3番に孔令輝監督が起用したのは朱雨玲。2番手の劉詩ウェンを控えに回し、リオ五輪の代表3番手を争う李暁霞と朱雨玲をテストした形だ。タイペイは今大会、活躍を見せる鄭先知。安定したバックドライブから、バック対バックを軸にラリーを展開し、両ハンドの強打を混ぜるスタイルは朱雨玲によく似ている。しかし、回転量とスピードでは朱雨玲が二段、三段は上。こちらも第3ゲーム、1ー2から朱雨玲が10点連取と、実力差は明らかだった。

 中国の壁に跳ね返されたタイペイだが、エースの鄭怡静のプレーは今大会を通じて安定しており、課題だったカット打ちも克服。準々決勝の香港戦でラストを締めた陳思羽、今大会で第3集団から抜け出した鄭先知は自信をつけた大会となった。アジアの強豪として存在感を示した。
  • かなり体重を落とした感のある丁寧、軽快な動き

  • 勝利後はコートの後ろですぐインタビュー

  • 仁王立ち、李暁霞

  • 3番に出場したタイペイの鄭先知