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全国高校選手権(インターハイ2016)

「日本一になりたい」
選手としてインターハイで優勝し、全日本選手権でも天皇杯を獲得した今枝一郎監督。
しかし監督としては、インターハイ団体のタイトルにあと一歩で届かなかった。
真田、金氏が獲ったインターハイ優勝から21年、今枝氏の指導体制になって初のインターハイ優勝を勝ち取った。

「やっと優勝できました。選抜は監督として2度優勝させていただいたけど、インターハイは初なので本当にうれしいです。何よりも選手に恵まれて、活躍を見て、余計にうれしい。決勝の4番も勝つ流れじゃなかったけど、勝ちに持っていってくれた彼らを見ていると、恵まれたなと思います。選手たちには、おめでとう、ありがとうと伝えたい。

 木造はカット(竹﨑)と連戦だったけど、本人に聞いたら「いきます」と言ってくれた。オーダーは上から下まで野田学園さんとお互いに読み通りだと思います。交換した時に予定通りだと見て言っていたので、お互いに力勝負になった。
 1番を取られて、俺は何をやっているんだろうと思いましたよ。自分自身がもっとできることはないかなと。メモを取って伝えることを伝えないとダメだ、冷静になろうと思いました。

 まわりに本命と言われている中で、毎日プレッシャーで体調が悪くなっていたけど、期待されていることはありがたいことだと思いました。そして体調が悪くなるほど選手を信じていないのかと。だから選手を信じようと。やることをやってくれる選手たちなので信頼しました。

 試合は木造の疲れが心配でした。あのカットを5回戦で4−2打って、またカット打ち。そして一番負けて欲しくないダブルスを迎えるので、心配でいたが、木造には感服しますね。どんどんプレーが良くなっているんじゃないかなと思う。昨日の準決勝よりもはるかに良かったですから、たいしたものです。
木造、そして松山、ふたりが3点取って帰ってきたので、ありがたいと思いますね。
4番の松山も作戦変更を受け入れて、しっかり勝ってきた。そこが成長していると思います。無鉄砲に打っていただけのところを、こうしてはダメだと本当に理解できるようになり、実行できるようになったから伊丹くんに勝てた。相手も一流選手なので簡単ではない。勝っても負けてもおかしくない試合でしたが、その中で勝ってきたというのが力だと思う。うれしかったですね」

普段は選手が震え上がるほどの目力と熱血アドバイス。その鬼監督が優勝時にベンチで涙を流し、これ以上ない笑顔で表彰式を迎え、保護者と握手を交わしている。
優勝本命メンバーを任され、重圧に押しつぶさせそうな日々からようやく解放された笑顔と涙だった。

敗れた野田学園の橋津監督は
「今年の名電は鍛え込まれていると感じたので、もっともっと練習して鍛え直さないと。テクニックの部分は劣っているとは思わないけど、フィジカル、体力などを鍛えたい。前半に沼村と竹崎の2年生ふたりを並べられたことは今後にもつながるともいます。今枝先生は同級生なので、お互いに初優勝をかけた決勝戦でした。敗戦の弁はありません。また頑張ります」

愛工大名電、野田学園のライバル関係はこれからも長く続くだろう。
2016年は愛工大名電に軍配が上がった。
素晴らしい決勝戦を見せてくれた両校に拍手を送りたい。
  • ベンチでは熱く燃える今枝監督

  • 優勝をスマートフォンのカメラで記念撮影

  • 生徒には見せず、ベンチで歓喜の涙

  • 同級生の橋津監督。今後も日本一を争うライバルだ

 最強の挑戦者、明徳義塾の挑戦をわずか1ゲームしか落とさずに退けた四天王寺。

 決勝トップの四天王寺・梅村、明徳義塾・三村の2年生対決は、どちらが挑戦者かわからないほど梅村が気合い満点のプレー。「サァーッ!サアーッ!サアーッ!」という梅村の声が何度もフロアに響き渡る。一方の三村は、相手のポジションを見切ったクレバーな両ハンドの配球で勝負するが、気合いを前面に押し出すタイプではない。決勝トップもやや硬さがあり、第2ゲームは0ー0から2本連続のサービスミス。第3ゲームにようやく調子を上げてきたが、4ー4から5ー6、7ー9とリードを奪われ、8ー11で梅村に屈した。

 2番は四天王寺がカットの橋本、明徳義塾は左腕の熊中。明徳義塾の佐藤利香監督は、決勝後に「有望株の井(い)を前半で出したかったが、カット打ちにはまだ不安がある。橋本さんが前半に出てくるのが読めていたので、前半には出しづらく、4番に置いた」ことを明かした。熊中は橋本のフォアに正確なループドライブを集め、打ちたくなるようなボールも我慢してつなぎ、フォアスマッシュでたたく。ゲームカウント1ー1の第3ゲーム、熊中が5ー1、6ー2とリードを広げた時には「橋本危うし」の空気も流れた。
 
 しかし、橋本はフォアに来るボールもバックの表ソフトで、しかも相手のフォアサイドへカットを送ったり、フォアサイドへのループをフォアとバックで切り替えながらカットするなど、球質に変化をつけてミスを誘う。要所でのフォアスマッシュや変化あるバックサービスでのエースも決まり、なんと2ー6から10ー6と8点連取。第4ゲームも出足からフォアスマッシュを打ち込み、8ー1と大きくリードして勝負あり。

 3番ダブルスは、四天王寺の梅村/塩見(真)ペアが高い守備力を見せ、熊中/小脇の強打をほぼノーミスでブロック。しかも梅村のバック面、塩見のフォア面は表ソフトなので、ブロックがクセ球になり、連打が難しい。明徳ペアにしてみれば「打てば打つほど不利になる」と錯覚しそうなラリー展開。第2ゲームのジュースの連続を制した四天王寺ペアは、第3ゲーム出足から鮮やかなカウンターを連発して勝利をつかんだ。

 優勝を決めた四天王寺の村田充史監督。「高校選抜の決勝でも明徳さんとやっていて、選抜は3ー1。でもラストで木村が先に負けていたから、実質は3ー2。そこに塩見が入った分、こちらは層が厚くなったかなと思っていた。決勝のポイントになったのは2番の橋本ですね。梅村が良いスタートを切ってくれて、2番橋本がエース対決でしっかり勝ちきってくれたことで流れが来た。ダブルスは昨日の決勝で負けていることもあって、どうかなと思っていたけど、最後はきっちり勝ってくれた」とコメントした。
 
 連覇がかかる今大会を、チャレンジャーとしてアグレッシブに戦い抜いた四天王寺。「負けられないという気持ちは常にあるんです。だから選手たちには『向かっていけ』と毎年言っています」(村田監督)。女王はどこまでも勝利にどん欲だった。
  • ビクトリースマイル! 梅村(手前)/塩見(真)ペア

  • 橋本に肉薄した熊中、敗れたとはいえエースの意地を見せた

  • 橋本の存在感は絶大。二冠を制し、明日三冠王へと突き進むか

  • 必死の声援を送る明徳ベンチ

  • 毎年恒例、優勝後に村田監督が選手と握手

  • 男女通じて歴代単独1位の21回目の優勝だ

愛工大名電と野田学園のライバル対決となった男子学校対抗の決勝戦。

開幕は田中対沼村。
田中の起用について今枝監督は「大西、宮本、そして田中。誰を使うか悩みました。ただ、昨日の準決勝の5番で五十嵐くんを相手に素晴らしい試合をした。こいつなら行けるんじゃないかと“最強の捨て駒”になってもらいました。もし田中が落としても、2番で必ず木造がもぎとってくれるはず」とコメントしている。

その起用に応えたい田中だったが、初のインターハイ、そして決勝1番の舞台でやや硬くなったか。沼村の伸びのあるドライブに押されてしまう。台からサービスが出てしまい、それを見逃さなかった沼村の選球眼も素晴らしく、要所でレシーブエースを取った。
田中は力及ばず、沼村が先勝した。

2番は木造と竹崎の対戦となったが、実はこの対戦は約1時間前の男子シングルス5回戦で行われたカード。両監督とも狙いにいった再戦は、打ち込む木造と粘る竹崎の構図。両サイドに振り、決め球を鋭角に打ち込んだ木造。前回の対戦と同じ状況になり、それをさせまいと竹崎も果敢に攻撃を入れていく。第2ゲームの後半、サービスエースと3球目攻撃で取った竹崎だが、あとが続かなかった。
第3ゲームの9−5で竹崎が鼻血を出し、一時試合は中断され、流れを切ったように思えたが、木造は打ち込む手を緩めなかった。

勝負所の3番ダブルスはお互いに流れをつかみきれない。競り合う中で、第4ゲームは野田学園が攻め手を欠き、チキータの精度がやや落ちてしまったか。思うように決まらず、名電ペアがたたみかけていった。

名電が2−1とリードした4番。大黒柱であり主将の松山がコートに入る。野田学園もエースの伊丹が入り、がっぷり四つの対決となる。
個人戦のシングルスで敗退していた伊丹の調子が気になっていたが、序盤から目にもとまらぬ両ハンドを連発。対する松山は力強くいきながらも冷静さを保ち、伊丹のミスを誘っていく。
中盤、松山のミスが目立つようになるが、しっかりと戦術を転換し、パワーだけでなくつなぎのボールをうまくつかっていく。伊丹のバックハンドは強烈だが、十分な体勢で打たせなければ威力は半減し、確率も下がる。第3ゲームは6点連続で、第4ゲームも2−6の劣勢からじわりじわりと追いつき、ついにマッチポイントを握った。
特に9−9のラリー。大きな打ち合いの中で回り込んでのバックストレートフォアドライブは松山らしさがこれ以上なく出たボールだ。
取って取られてのジュース合戦を制し、15-13。4球目カウンタードライブを伊丹のミドルに打ち込み、松山がガッツポーズともに歓喜のジャンプ!
21年ぶりの優勝をこの手につかんだ。
  • 落としたが、来年への糧にしたい田中

  • 執念の勝利、沼村はトップの重責を果たす

  • 連戦の疲れを見せずにカットを打ち込んだ木造

  • 個人戦に続き、木造に連敗した竹崎

  • 重圧に押しつぶされそうになりながら、大黒柱の松山が勝負を決めた!

  • 逆転負けを喫した伊丹だが、他校がうらやむほどの両ハンドを連発した

  • 観客席から降るような声援

  • 21年ぶり、長く獲れなかった団体優勝をついに手にした

●男子学校対抗決勝
〈愛工大名電 3ー1 野田学園〉
 田中 ー4、9、ー8、ー7 沼村○
○木造 3、ー8、6、7 竹﨑
○松山/木造 5、ー8、6、5 伊丹/沼村
○松山 7、ー4、5、13 伊丹

 男子学校対抗は、愛工大名電が21年ぶりとなる悲願のV!
 トップで1年生の田中が沼村に敗れながら、2番でシングルスに続いてカットの竹﨑を打ち抜き、ダブルスでも勝利をあげた木造がチームを牽引した。そして4番松山が相手エースの伊丹を下し、ついに頂点へ!
 詳報は後ほどお伝えします!
●女子学校対抗決勝
〈四天王寺 3ー0 明徳義塾〉
○梅村 3、3、8 三村
○橋本 6、ー11、7、5 熊中
○梅村/塩見 7、13、1 熊中/小脇

やはり強かった四天王寺。決勝で明徳義塾を3ー0で破り、4連覇達成!
詳報は後ほど!
●男子シングルス5回戦
木造(愛工大名電) 6、5、-8、-8、8、7 竹崎(野田学園)
吉田(希望が丘) 8、7、-4、9、4 穂積(明大中野)
田中(愛工大名電) 8、-9、8、4、9 出雲(遊学館)
弓取(希望が丘) -7、9、-5、2、7、10 宮本(愛工大名電)
大西(愛工大名電) 9、6、4、4 月舘(日大豊山)
高見(愛工大名電) 10、-9、10、6、5 龐博(日南学園)
中ノ瀬(瓊浦) 6、4、8、7 岩永(帝京安積)
松山(愛工大名電) 12、6、5、9 川上(静岡学園)

初優勝を狙う木造が、竹崎のカットに苦しめられる。
打っても抜けず、無理に打ったボールの威力を粒高で利用され、カットの蟻地獄に引きづり込まれた木造。

「最初は打ち抜けたからそのまま行ったけど、だんだん打ち抜けなくなっていった。途中からボールを見極めて、打つボール、繋ぐボールをしっかり判断していった」と木造。
カットマンよりもじっくりと台に入れていき、確実に点を重ねて接戦を制した木造。昨日のダブルスで敗退し、3冠王はなくなったが、シングルスのタイトルだけは譲れないと言わんばかりの執念の試合だった。
  • 威力をそのまま利用された木造。戦術を変え、難敵を乗り切った

  • 粘った竹崎。好勝負を演じた

●女子シングルス5回戦
橋本(四天王寺) 8、8、5、3 森本(白子)
枝松(山陽女子) 9、10、6、8 小脇(明徳義塾)
山本(福井商業) 4、3、7、8 岡崎(川口総合)
木村(香)(四天王寺) ー5、ー4、3、5、6、ー8、8 木村(光)(山陽女子)
梅村(四天王寺) 8、4、9、7 李欣然(中村学園女子)
馬場(芦屋学園) 4、4、8、12 青木(福井商業)
笹尾(横浜隼人 9、7、8、ー8、ー9、10 塩見(真)(四天王寺)
早田(希望が丘) 4、7、10、8 三村(明徳義塾)

女子シングルスが5回戦まで終了。明日の準々決勝に出場する8名が出揃った。

第1シードの橋本は、今日の2回戦から5回戦まで、4試合連続ストレート勝ち。「第1ゲームを落としてからの粘りが身上」というような、オールドスタイルのカットマンとは一線を画す両ハンドの攻撃力、そして変化の激しいバックサービス。準々決勝後には昨日のダブルス優勝後のコメントと同様、改めて「団体決勝と明日のシングルスも勝って三冠を獲りたい」と力強く語った。

一方、早田は明徳義塾の三村に快勝。「明日の最終日はしっかり決勝までいって優勝して、お世話になった皆さんに恩返ししたい。4回戦で1ゲーム先取されて苦しかったけど、あきらめない気持ちで戦えた。明日もその気持ちを忘れないようにしたい」と語った。体力的にもまだ不安はないだろう。

3人がベスト8入りした四天王寺勢は、梅村がカットの李欣然を完璧に料理。パワーがなくてもカットは打てると言わんばかりに、ボールをよく引きつけて打つループドライブでコースを突き、あまいボールはサイドを切るスマッシュで叩いた。

そして、その四天王寺勢の一角である塩見(真)を破り、初のベスト8入りを果たしたのが横浜隼人のスーパーエース笹尾だ。学校対抗でも大きな声援を送り続け、もうノドはガラガラ。それでも塩見の堅陣を打ち抜く、威力あふれるフォア強打を最後まで打ち続けた。
  • この気合い! 見る者を魅了する笹尾明日香のプレー

  • 1年生ながら別格と言える強さ、早田ひな

  • 福井商業の1年生・青木はここで進撃ストップ

  • こちらも1年生、川口総合の岡崎。団体戦の悔しさをシングルスにぶつけた

●男子シングルス4回戦
木造(愛工大名電) 3−1 渡井(静岡学園)
竹崎(野田学園) 3−0 西(明徳義塾)
穂積(明大中野) 3−2 柏(関西)
吉田(希望が丘) 3−0 田中(東山)
出雲(遊学館) 3−1 吉川(北科大)
田中(愛工大名電) 3−0 西村(浜松修学舎)
宮本(愛工大名電) 3−2 松山(埼玉栄)
弓取(希望が丘) 3−0 佐藤(北科大)
月舘(日大豊山) 3−1 伊丹(野田学園)
大西(愛工大名電) 3−1 高橋(青藍泰斗)
龐博(日南学園) 3−0 葉波(鶴岡東)
高見(愛工大名電) 3−2 五十嵐(遊学館)
岩永(帝京安積) 3−1 永田(希望が丘)
中ノ瀬(瓊浦) 3ー2 根上(北科大)
川上(静岡学園) 3ー0 羽佳(明大中野)
松山(愛工大名電) 3ー1 多田(星光学院)

快進撃を続けていた多田は松山に惜敗。サービス・三球目での攻撃は効いていたが、ラリーに持ち込まれ、台からさげられてしまった。
また、野田学園のエース伊丹も4回戦で敗退。
積極的な前陣の攻めを見せる月舘に押し込まれ、中陣からのバックハンドも不発に終わった。
  • 日大豊山の月舘が伊丹を下す

  • 期待の1年生、岩永(帝京安積)も勝ち上がる

  • 不発だった伊丹。団体戦決勝までに気持ちを切り替えたい

●女子シングルス4回戦
橋本(四天王寺) 5、3、2 杉本(横浜隼人)
枝松(山陽女子) 9、10、1 大島(愛み大瑞穂)
小脇(明徳義塾) 6、7、10 松岡(慶誠)
山本(福井商業) 8、ー10、3、5 杉渕(駒大苫小牧)
梅村(四天王寺) 6、3、4 黒野(武蔵野)
青木(福井商業) 6、ー8、8、ー6、11 高山(札幌大谷)
塩見(真)(四天王寺) ー9、8、4、10 弓立(正智深谷)
木村(四天王寺) 5、7、10 西出(文大杉並)
三村(明徳義塾) 7、ー11、3、6 赤川(華頂女子)
早田(希望が丘) ー6、6、10、7 野村(愛み大瑞穂)

女子シングルス4回戦、第1シードの橋本、第2シードの早田をはじめ、強豪が続々とベスト16入りを果たしている。

上写真左は正智深谷の最後の砦、弓立。塩見から幸先良く1ゲームを先取したが、塩見の粘り強く正確な守りに屈した。上写真右は駒大苫小牧の長身左腕、杉渕。昨年ベスト8の山本から1ゲームを奪った。

下写真は早田から1ゲームを先取した野村。フォア前もバックのツッツキやバックハンドでカバーし、攻守兼備のユニークなスタイル。まだ1年生なので来年が楽しみだ。
●男子シングルス
2回戦
多田(星光学院) 3−0 岡本(桐蔭学園)
3回戦
多田(星光学院) 3−0 寶金(明徳義塾)

王子サービスの作馬六郎氏の秘蔵っ子。多田選手が男子シングルス2回戦、そして3回戦をそれぞれストレートで勝ち抜き、4回戦に進出した。

多田選手は弊誌卓球王国で連載した作馬氏の連載時、王子サービスのモデルを務めてくれた選手。
代名詞でもある王子サービスからのドライブ速攻、そしてレシーブでは表ソフトでのフリックを武器に、相手を圧倒。
強豪明徳義塾で腕を磨く寶金ですら、レシーブに苦しみ、入れるだけで精一杯の様子だった。

今大会、男女問わずしゃがみ込みサービス自体あまり見ない。サービスを置きに行き、ラリーで勝つ現代卓球に慣れている選手にとって、強烈にかかった王子サービスはストップもチキータもいきづらい。フォアにぬけるロングサービスを見せられてしまうと、怖くてチキータで狙いにいけないのだ。

多田が通う星光学院は大阪府の私立でもっとも偏差値が高い進学校だ。
学校の成績が悪いと王子クラブは練習を許さないため、クラスで5番以内をキープし、部活で週3回の2時間程度、そして王子卓球センターで週3回の1〜1時間半の練習でここまでやってきた多田。
強豪校に比べて練習時間はかなり少ない。しかし、サービスと3球目にしぼり、自分の長所で一点突破する卓球で見事に勝ち上がっている。

「4回戦の松山くん(愛工大名電)までいきたかった。この舞台でやってみたい」(多田)
第二シード松山にどこまで通じるか。秀才・多田が全勢力をぶつける。
  • 強烈な回転がかかっている王子サービス

  • 重い三球目フォアは決定力抜群

  • 寶金を圧倒した

  • ベンチでは師匠の作馬氏が的確なアドバイスを送る