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2016世界ジュニア選手権大会速報

世界ジュニア団体戦の表彰式。男女とも日本が表彰台の中央に立った。中国の国歌ばかり聞いてきた世界大会の表彰式で、君が代が、しかも2回も続けて流れるなんて。感動というか、放心状態。脱力感という感じ。選手たちは最高の笑顔を見せてくれた。

そして中国や韓国の国旗より一段高く、掲げられた日の丸。……でもちょっと大きすぎて、なんの旗だかわからない。いやこの際、細かいことは気にしないでおきましょう。

第2ステージのチェコ戦、ルーマニア戦であわや敗戦という瀬戸際を乗り切り、頂点へと駆け上がった男子チーム。圧倒的な世界ランキングと国際大会での実績を誇る一方、優勝候補筆頭というプレッシャーの中で、見事にタイトルを獲得した女子チーム。

チェコ戦で2敗を喫した木造が、試合後に涙を見せた時は「男子チームはどうなるのか」と思ったし、日本女子も準々決勝以降は楽な試合はひとつもなかった。しかし、選手たちは困難から目を背けずに、正面からぶつかっていった。戦うごとに強く、たくましく。失敗を怖れないのが若者の特権、失敗を乗り越えられるのが若者の強さ。選手たちの芯の強さは半端ではないです。
  • 日本女子、6年ぶりの優勝だ

  • 団体戦のヒーロー・松山がトロフィーを掲げた!

  • 左から2番目が日の丸。旗が大きすぎたんです

  • 「これ使って写真撮りましょう!」。石田大輔コーチ、さすがの機転

  • 男子チームの選手&スタッフ

  • 女子チームの選手&スタッフ

  • この人数で、全員が最高のスマイル。すごいです

●男子団体決勝
 〈日本 3ー0 韓国〉
○木造 5、7、ー9、7 趙勝敏
○張本 4、ー5、8、10 安宰賢
○松山 10、6、8 金大宇

男子団体決勝、トップ木造の勝利で一気に流れに乗った日本。試合後、「韓国は勝てると思ってたんじゃないですか」と田㔟監督。準決勝で中国に挑んだ時のようなファイトが、韓国にはなかった。トップで総大将の趙勝敏が敗れ、チームが浮き足立ったまま、日本に押し切られたという感じだ。

トップで趙勝敏を下した木造は、団体決勝直前の混合ダブルス2回戦で、中国ペアに最終ゲーム7ー3のリードから逆転負けしていた。「混合で負けた直後は、かなり引きずっていたんですけど、それから練習して決勝のコートに入った時は、完全に決勝のモードでした。決勝の1番で行くということは練習の時から言われていたし、もうやるしかないなと。趙勝敏のサービスは右利きはみんな取りづらそうにしているけど、左利きのぼくはそうでもない。サービスをチキータで狙っていけたのが良かったです」(木造)。

完全復活した木造の勝利に、張本も続いた。第1ゲームから6ー1、9ー3とリードを広げて、硬さの見える安宰賢を圧倒。「ラリーでもフォアを使って思い切って攻められたのと、YGサービスが結構効いた。それは田㔟さんにずっと出していいと言われていた。そのふたつが大きかったと思います。木造さんがトップであんなに良いプレーをしたんだから、自分もそれ以上のプレーをしたいと思っていた」(張本)。ジュースにもつれ込んだ第4ゲームは、7ー9の場面でフォア前からチキータを連発して追いつき、12ー10と逆転して勝利をつかんだ。

こうなると、今大会の「全勝男」、3番松山はもう止まらない。「正直、2ー0で回ってくるとは考えていなかった」という松山。試合前はかなり緊張したというが、コートに入るとそこはもう彼の世界。「試合に入ったら全然緊張しなかったし、めっちゃ楽しかった。本当に決勝が世界ジュニア、という感じでした。こういう舞台が本当に好きなので、楽しかったです」(松山)。

対する金大宇、時折強烈なフォアのパワードライブを放ち、第1ゲームは4ー10から10ー10に追いついて意地を見せたが、最後は松山がチキータを決めて12ー10で先取。ここから劣勢を跳ね返す力は、金大宇にはなかった。「相手のことはよく知っていたし、2ゲーム取られたりするとすぐあきらめるタイプ。だから出足で取ろう、取ろうと思いすぎたところもある。でも、うまく乗り切れて良かった。常に冷静でした」(松山)。フォア前、ミドル前のサービスからの攻めで、大柄な金大宇を巧みにさばいた。

優勝の瞬間、ベンチから駆け出し、松山と抱擁した日本男子チーム。「10ー7ぐらいの時に、みんな『勝ったらいくぞ』と言ってました。フェンスをジャンプしていこうと思っていたんですけど、壊したらダメなのでドアの所から行きました(笑)」(張本)。戦うごとにたくましさを増した日の丸ボーイズ。強敵相手に、圧巻の勝ちっぷりだった。
  • チェコ戦の2敗から、あまりにもドラマチックな木造の完全復活

  • 対サウスポーでは、中国戦で見せた強さがなかった趙勝敏

  • 2番張本、安宰賢にこの大舞台で初勝利

  • 韓国ベンチは意気消沈。中国に勝ち、決勝はいけるという油断があったのではないか

  • チームを引っ張った松山と、歓喜の抱擁!!

●女子団体決勝
 〈日本 3ー1 中国〉
 平野 ー7、7、ー8、7、ー7 石洵瑶○
○伊藤 8、ー1、ー9、7、8 劉煒珊
○早田 9、3、ー6、6 孫芸禎
○伊藤 11、7、7 石洵瑶

中国を破り、6大会ぶりの栄冠に輝いた日本。しかし、トップ平野が大接戦の末に石洵瑶に敗れ、2番伊藤が1ゲームを先取しながら1ー2と逆転された場面では、チームに暗雲が漂った。「これだけのメンバーを揃えても、まだ中国に勝てないのか」と感じた。しかも今回の中国チームは若手の一線級ではなく、カデットの年代の選手もいるメンバー構成。ユニフォームの背中に書かれた他の選手の名前を、ガムテープで隠したウェアで出場しているのだから。

しかし、伊藤は動じなかった。今大会の団体戦は最後まで冷静。変化の激しいサービスと、バック表ソフトの多彩なレシーブ&ブロックで得点を重ねた。最終ゲームは10ー4から10ー8まで挽回されてヒヤリとさせたが、最後は3球目で強烈なバックストレートへのフォアスマッシュを振り抜いた。
「2番で3ー2で勝てたことが大きい。リオ五輪での経験が生きました。(五輪では)準決勝のドイツ戦トップで、すごく大事な試合でゲームオールの9ー3から逆転負けしてしまった。だから今回、10ー4から10ー8に挽回されることがあったとしても、ゆっくり考えることができるんですよ。勝ちきることができるようになったのは、五輪の経験が出ているんじゃないかと思います」。伊藤は試合後にそう語った。世界ジュニアはこれで4大会目の出場だが、リオという大舞台を経て、これまでとは違う伊藤がそこにいた。

そして3番早田は、第1ゲーム6ー9というビハインドから逆転し、11ー9で奪ったことが非常に大きかった。変化の激しい投げ上げサービスからのパワードライブ、ロートスのサービスからバックハンドで先手を取るラリー展開を巧みに使い分けた。自分と同じ左利き、そして憧れの選手でもある丁寧(中国)と同じ左利きの孫芸禎を、「絶対に丁寧ほどは強くない」と考えることで、自信を持って戦うことができたという。

「1ー1で回ってきたので、絶対に勝って美誠につなげたいと思っていた。自分が勝って、美誠がもっと自信を持ってプレーできたらいいなと思った」(早田)。希望が丘高のスーパールーキーとして、夏のインターハイでもチームを牽引した早田。まだ16歳ながら、団体戦での戦い方を知っていた。

そして4番で優勝を決めた伊藤は、決勝トーナメントの3試合すべてで2勝を挙げる圧巻のプレー。2ー1で回ってきた4番では自信満々、早田いわく「キラキラ輝いて見えた」とか。それくらい自信にあふれていたということだ。第1ゲーム、相手に先に2回ゲームポイントを奪われながら、12ー11と逆転してフォアスマッシュでの得点でゲームを先取。第2ゲーム以降はサービスで石洵瑶を翻弄しながら、試合終盤ではネットやエッジが続く幸運も味方につけた。歴史が動く時、という感じがした。

優勝を決め、ベンチに戻ってから涙があふれてきた伊藤は、団体戦を8戦全勝で終えた。世界ジュニアで唯一の五輪メダリストの貫禄を、存分に見せつけた。
  • 団体戦8戦全勝の伊藤

  • 優勝を決め、笑顔のち涙

  • フォアのパワードライブが強力な早田が、バックハンドで勝利をもぎ取る

  • ITTFの依頼で「自撮り」、みんなでピース!

●女子団体決勝
 〈日本 3ー1 中国〉
 平野 ー7、7、ー8、7、ー7 石洵瑶○
○伊藤 8、ー1、ー9、7、8 劉煒珊
○早田 9、3、ー6、6 孫芸禎
○伊藤 11、7、7 石洵瑶

●男子団体決勝
 〈日本 3ー0 韓国〉
○木造 5、7、ー9、7 趙勝敏
○張本 4、ー5、8、10 安宰賢
○松山 10、6、8 金大宇

12月3日、現地時間の17時から行われた女子団体決勝、続いて男子団体決勝。日本は女子団体で、6連覇を狙う中国を破り、6年ぶり2回目の優勝。女子の優勝を追い風に、男子は苦戦が予想された韓国をストレートでノックアウト。こちらは中国の11連覇を阻止し、11年ぶり2回目の優勝を飾った!

表彰式で2回連続で流れた君が代。中国や韓国の国旗を従えて、メインポールに掲揚された日の丸。……シビレました。現地は深夜の1時、ようやくホテルに戻ってきましたので、詳報は後ほど!!
●混合ダブルス1回戦
張本/平野 10、5、ー8、ー9、7 オプレア/プライアン(ルーマニア)
松山/早田 7、6、8 ジャック・ワン/グレース・ヤン(アメリカ)
龍崎/加藤 5、6、ー9、3 ブレッサン/ニグエズ(イタリア/スペイン)
木造/伊藤 7、11、ー9、3 金大宇/許美麗(韓国)
●混合ダブルス2回戦
張本/平野 8、13、11 楊碩/石洵瑶(中国)
龍崎/加藤 6、6、4 ブベン/セブチコバ(チェコ)
松山/早田 10、9、7 ジャルビス/タカハシ(イングランド/ブラジル)
徐英彬/孫芸禎(中国) 7、9、ー8、ー8、9 木造/伊藤

混合複の1回戦&2回戦。日本は第1シードの張本/平野が、中国の楊碩/石洵瑶をストレートで破った!
そして惜しかったのは木造/伊藤。徐英彬/孫芸禎に対してゲームカウント0ー2から追いつき、最終ゲームも伊藤のネットインを拾う「横入れ(サポートの横から入れる)」などで6ー2、7ー3とリードを広げたが、最後に木造にミスが続き、逆転を許した。

さあ、間もなく女子団体決勝がスタート!
夜の団体決勝を前に、午前中は混合ダブルスの予選、午後から混合ダブルスの決勝トーナメントが行われる大会第4日目。編集部タローは午前中、ホテルのすぐそばにある巨大なショッピングモール「カナルウォーク」へ行ってみました。

カナルウォークはアパレルブランドからスポーツ用品、ドローンにテント、ハンティング用の銃から南アフリカ土産のTシャツまで、何でも揃う驚異の品揃え。日本と変わらないどころか、日本よりキレイなくらいです。カナル(運河)という名前のとおり、すぐそばに運河があり、そこを泳いでいる熱帯系の魚やにぎやかな鳥が、ほんの少しアフリカらしさを感じさせるだけ。

遠出は難しいけれど、アフリカの大地を感じたい。そこで買ってみたのは「ビルトン」。南アフリカ名物の干し肉だそうです。定番の牛肉の他に、何だかよくわからない名前のワイルドミートを干したものが並んでいる一角があり、売り場のお姉さんがひとつずつパソコンで画像検索して見せてくれました。一番下の写真左は、そのビルトン売り場。上段の「KUDU(クーズー)」は牛の仲間、下段の「OSTRICH」はダチョウ。

とりあえずダチョウを買ってみました。「スライスして」とお姉さんに言ったら、「そのままかじって」とのこと。ワイルドでしょ?
  • カナルウォークの全景。とってもお洒落

  • 周りの運河ではカヌーを漕ぐ人もいました

  • 気温は26度くらいありますが、今はクリスマスシーズン

  • 何となくユーモラスなピカチュウ

  • これが噂のビルトン。あちこちに売り場がある

  • 日本と南アフリカの珍味対決

多くの人が中国の決勝進出を予想する仲、韓国が決勝へと勝ち上がってきた男子団体。ともに大接戦とはいえ、アジアジュニア・世界ジュニアと2大会続けて中国を破った韓国の実力は本物だ。

決勝を前に、田㔟邦史監督が語る韓国のキーパーソンはやはり趙勝敏。「最近ワールドツアーにもよく出ていて、大島がやられているし、何年か前に丹羽も負けたことがある。パワーだけではなく、サービス・レシーブなどの細かい部分も安定していて、それが中国に勝てる原動力のひとつになっている」(田㔟監督)。この趙勝敏の2点起用は決定的で、ラストに配されるのは、中国に勝った2試合でいずれもラストの大役を担った安宰賢だろう。

「安宰賢はフォアハンドが強いのはわかっているので、うまくサービス・レシーブで崩して、バックサイドを突いていきたい。フォアハンドのチャンスは見逃さないタイプなので、サービス・レシーブでできるだけ先に仕掛けて、チャンスボールを与えないことが大事ですね。もちろん3番も必勝です。たぶん右の金大宇が出てくるでしょう。そこは絶対とらなきゃいけない。

オーダーはほぼ決まっているし、思い切ってやるだけですね。相手が中国でも韓国でも、勝って優勝したいという思いは、ぼくも選手も同じ。相手が変わってもそれほど変化はないです。一戦目から危ない試合を乗り切ってきていますから(笑)、決勝も一つずつ勝っていきたいですね」(田㔟監督)

写真左は試合後の張本にアドバイスを与える田㔟監督、右は団体決勝を前に練習する木造。これから混合ダブルス1・2回戦が控えている
アジアジュニア選手権のジュニア男子団体に続き、韓国が中国から金星を挙げた男子団体準決勝。この試合、実は両国の選手とも、サービスフォルトを何本も取られた。

試合を担当する2人の審判が、1試合ごとに主審・副審を交替しながらジャッジを行うのだが、どちらの審判も「手や体でボールを隠している」というジェスチャーとともに、「Hidden ball(ボールが隠れている)」というコールを連発。特に3番の金大宇と徐英彬の試合は、さながらフォルト合戦だった。両選手とも、いつどのタイミングでフォルトを取られるかわからない。

金大宇も徐英彬も、共通するのはサービスでトスを斜めに上げて、ボールが頭の後ろを通過していくこと。上写真左の徐英彬のサービスなどは、フリーハンドを思い切り広げてアピールしているが、さながら「ヘッドハイドサービス」という感じがする。上写真右の金大宇のサービスも、トスを上げた左手も残っているし、頭でボールが隠れている。このサービスの写真、試合の終盤で撮ったもの。サービスのフォームは毎日の練習で培われたものなので、急には変えられない。本人も諦め顔でサービスを出していた。

ただ、会場を見渡せば、トスからインパクトの間までにボールが頭の後ろを通過する選手は多い。両選手が特別ではないし、個人攻撃をしたいわけではありません。読者の皆さんも、オープン大会で「この人のサービス、全然見えないなあ」と感じた経験、結構あるんじゃないでしょうか。
サービスに関しては、草の根のプレーヤーの敗者審判でも、簡単にジャッジできるようなルールにならないものか……と思う。手に汗握るスーパーラリーも、サービスフォルトも同じ1点なのだから。

「サービスの判定については、大会に入る前、トレセンでの合宿の段階からリスクマネジメントについては話をしています。オーストリアオープンでも結構サービスのフォルトを取られる選手が多かったので、もし審判にフォルトを取られることがあっても、冷静に受け止めて対処しなさいとずっと言ってきました」(男子・田㔟監督)。日本選手はサービスに関しては注意止まりで、フォルトを取られるケースは少ない。男子団体決勝を戦う韓国と比べると、韓国のほうがフォルトを取られるケースは多い。一発でフォルトを取られることも多いので、試合の流れに与える影響は大きい。
  • 徐英彬のフォアサービス

  • こちらは金大宇のフォアサービス

  • 頭で隠れているよ、とジェスチャーする審判

●男子団体準決勝
〈韓国 3ー2 中国〉
○趙勝敏 8、9、ー5、8 于何一
 安宰賢 ー7、ー11、ー3 徐海東○
 金大宇 ー6、ー7、ー5 徐英彬○
○趙勝敏 6、ー7、7、7 徐海東
○安宰賢 9、ー2、10、8 于何一

男子団体準決勝のもうひと試合、なんと韓国が中国を破り、決勝に勝ち上がった!

韓国はエースの左腕・趙勝敏が、巧みなサービスとコースの読みにくい両ハンドを武器に2得点の活躍。4番の徐海東とのエース対決でも勝利を収め、5番安宰賢につないだ。安は台から下がりすぎて2ゲーム目を落としたものの、プレッシャーからミスが増えた于何一に対して時に粘り強くしのぎ、時に前陣で強気に攻めて押し切った。

試合後、笑顔があふれる韓国ベンチの隣で、落胆を隠せなかった于何一。中国選手にとって「団体戦」と「対外試合」での敗戦は、ジュニア選手とはいえ大きなマイナス査定。シングルスで巻き返すしかないだろう。ただ、ベンチに入った劉国正監督の態度はサバサバとしたもの。今大会のチーム力を冷静に受け止めていたのではないか。

殊勲の星をあげた安宰賢は「9月のアジアジュニア選手権で初めて中国に勝つことができて、中国にも勝てるという自信がついてきた。試合前、ぼくたちには中国に勝つだけの力があることはわかっていた」とコメント。アジアジュニア選手権の男子団体決勝の中国戦で、安宰賢は2番で于何一を3ー1で破り、ラストでは準決勝には出場しなかった楊碩をゲームオール18ー16という大激戦の末に破っていた。アジアジュニアあってこその今回の結果だった。

「日本との決勝はタフなものになると思うし、勝つためにこれまで以上にしっかり準備をしなければならない。でも僕たちは中国戦と同様、頂点に立つためにベストを尽くすよ」(安宰賢)。決勝は中国との対戦を予想していた日本、これからどう対策を立てるか。
  • 風格すら感じられる趙勝敏のプレー。相手に待ちを絞らせない

  • 4番のエース対決に敗れた中国の徐海東

  • 安宰賢、ラストでの勝負強さを見せた

  • 準決勝後、茫然自失の于何一

  • 歴史を作ったコリアンボーイズ

●男子団体準決勝
 〈日本 3ー0 チャイニーズタイペイ〉
○張本 11、ー10、9、12 黄建都
○木造 9、11、4 林昀儒
○松山 7、10、ー6、4 馮翊新

日本男子、団体準決勝でチャイニーズタイペイに完勝!
男女揃って決勝進出だ!

日本はトップ張本が黄建都に競り勝った一戦が大きかった。黄建都の前陣カウンターの速さと威力は相当なものだったが、ラリーになると動き切れずにミスが増え、最後の一本の差で張本が得点を重ねる。「黄建都とはこれまで2勝1敗。絶対に簡単には勝てない相手だったけど、しっかり勝てて良かった。試合前のウォーミングアップも、(4番で敗れた)ルーマニア戦のようにはならないようにしっかりやりました。4番までは回らなかったけど、回った時のためにウォーミングアップをしていました」(張本)。

そして2番木造は、林昀儒との「天才左腕対決」。回転量の多いチキータと両ハンドドライブで主導権を握りながら、ロングサービスから回り込んでバックストレートへ速攻を仕掛けるなど、木造らしい発想力のあるプレーが随所に出てきた。林はフォアの攻撃力が低く、スケールアップにはまだ時間がかかりそうだ。「自分が思っていたより良いプレーができた。少しナーバスになっていた準々決勝で3ー0で勝てたことで、この試合も良いプレーができました」と試合後のコメント。

3番松山は完全に硬さが取れ、思いどおりのプレーができている。キレのあるフォアドライブを軸に戦いながら、レシーブではチキータからの連続バックハンドも交え、非常に良いバランスで戦えている。「このタイペイ戦では今までどおりに戦えたし、相手もこれまでほどは強くなかった。力を出し切れれば勝てると思っていました。ここまで全勝で来ているのはうれしい。決勝は出られるかわからないけど、自分たちと実力差がそんなにあるわけじゃない。思い切ってぶつかっていきます」(松山)。

第2ステージのグループリーグで、チェコとルーマニアにあれほど苦戦しながら、今日の北朝鮮戦とチャイニーズタイペイ戦は3ー0で快勝。今大会の日本男子は不思議なチーム、しかし初出場の選手たちは試合を重ねるごとに強さを増している。田㔟邦史監督は、試合後に次のように語った。

「タイペイに対しては、(張本)智和がクロアチアオープンで、トップで戦った黄建都に勝っているというのがひとつ、それからアジアジュニアで木造が林昀儒と2回やって、2回とも勝っている。そのデータをもとに、今回のオーダーにした。3番は松山なら、今の調子ならやってくれるだろうと思っていた。こちらは絶対に負けたくない、決勝にいくという気持ちで戦っているけど、タイペイはベスト4に入ってちょっと安心しているような雰囲気だった。その差が出たと思います。あとは智和が準決勝という舞台でトップで勝ち切ってくれたのが、チームとしては大きかった。

 木造がだんだん良くなってきたのは、チームとしてもすごく良いですね。智和が世界ランキングでは上ですけど、木造はインターハイのチャンピオンであり、全日本ジュニアでもチャンピオン。やっぱりチームとしては彼が良くなってこないとまとまってこない。準々決勝で勝てたことが木造にとっては大きかった。チームの状態は非常に良くなっていると思います」(田㔟監督)。
  • 魅せたぜ、ハリバウア〜〜!

  • 張本に敗れた黄建都

  • 木造は尻上がりに調子を上げている

  • 3番で勝利を決めた松山を迎える田㔟監督