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平成28年度全日本選手権速報

女子シングルス1回戦に登場した遠藤幸奈選手は国立大学である東北大の3年生。医学部に所属し、放射線技師を目指しているという。長身でスラリと長い手足から、キレのある両ハンドドライブを連発。1回戦で敗れたものの、伸び伸びとしたプレーは光っていた。

「全日本は山形西高1年の時に出て以来、久しぶりです。授業が結構詰まっているので、授業の合間とか夜に練習しています。宮城県予選は4位通過でしたが、全日本には出られることがすごくうれしかったので、緊張したらもったいないと思いました。相手が強いのはわかっていたし、向かっていく気持ちで楽しもうと試合に臨みました」(遠藤選手)。

講義の合間に練習に励んで全日本出場。意志の強さがなければできることではないですね。その健闘に拍手!
 愛知県春日井市にある中部大学。コアな卓球ファンの中には、91年度全日本チャンピオン、88・92年五輪代表の渡辺武弘氏が准教授を務める大学として記憶している方も多いだろう。渡辺氏は11年に中部大准教授に赴任、卓球部の監督になり、女子部は東海学生リーグ3部のスタートだったが、14年に2部に、そして今年度は1部に昇格した。

 その中部大から初の全日本出場選手となったのが、1年生ながらチームの主力として活躍する世古美鈴。愛知県出身で、小学3年時から卓伸クラブで卓球を始めた。高校は滋賀学園高に進んだが、大学は再び地元愛知に戻ってきた。

世古「目標は、まず1回戦突破でしたが、せっかく来たのにすぐに負けてしまって残念。もう少しプレーしたかったです。作戦をむっちゃ考えてきたのに、一番最初にサービスミスしちゃいました。得意技術はスマッシュで、何本か打てたのですが、最後はミスが多かったです。是非ともまた来年出場したいです」

 渡辺監督がベンチで見守る中、フォア、バックとも歯切れの良い攻撃を随所に見せた世古。初勝利はお預けとなったが、来年、またこの舞台に姿を見せてほしい。

●女子シングルス1回戦
船本さくら(愛知工業大) 8,5,4 世古美鈴(中部大)
  • 1回戦突破はならなかった世古

  • ベンチには渡辺武弘氏が入った

 大会3日目は女子シングルスからスタート。9時30分からの試合に女子最年長出場で、今大会での現役引退を表名している山本真理(オークワ)が登場。大家加帆(専修大)を3−1で下して2回戦進出を決めた。
 出足はミスが目立ち、大家に第1ゲームを先取されたが、2ゲーム目以降は変化系表ソフトのクセ球で大家のミスを誘い3ゲームを連取し勝利。厳しいコースを突くフォアスマッシュも随所に見せた。今大会で引退を決めている山本だが、高い集中力とガッツあふれる全力プレーは変わらず。気合いの入った戦いぶりを見せている。

 山本は2回戦では全中2位の皆川優香(昇陽中)との対戦となるが、伸び盛りの若手相手にどのような戦いを見せるか注目だ。

●女子シングルス2回戦
山本真理(オークワ) -7、6、5、9 大家加帆(専修大)
 男女シングルス1・2回戦がスタートする1月18日、大会第3日目。
 11時15分から開始される男子シングルス1回戦では吉田海偉(Global Athlete Project)、15時20分開始予定の同2回戦では岸川聖也(ファースト)と、男子シングルスでは早くも日本代表として名を馳せたふたりが登場。まだまだベスト8以上に進める力はある。このふたりのプレーが見られるだけでも、東京体育館に足を運ぶ価値はあるというもの。また、次代の日本代表となるであろう張本智和(JOCエリートアカデミー)も男子シングルスは2回戦から登場する。

 今大会での現役引退を表明している小野竜也(協和発酵キリン)、久保田隆三(シチズン時計)、女子では日本リーグの鉄人・山本真理(オークワ)など、日本リーグを沸かせたベテランたちのプレーも注目だ。
 ジュニア男女は4・5回戦と準々決勝の3ラウンドが進行し、ベスト4が出揃う。準々決勝はシード勢同士の激突となり、好ゲームとなることは必至だ。混合ダブルスも4回戦と準々決勝が行われ、こちらもベスト4が決定する。

 そして今回は男女シングルス1回戦で、各県の予選を勝ち上がってきた「ローカルヒーロー」たちのプレーにも注目していきたい。「ローカル」というと響きが良くないようですが、いずれも熾烈な予選を勝ち上がってきた、地元ではそれと知られた選手たちばかりだ。速報にはどこまでアップできるかわかりませんが、全国の皆さん、ご期待ください!
  • 岸川は男子シングルス2回戦から登場

●混合ダブルス3回戦
田添健/前田(専修大/日本生命) 11、7、4 島村/湯本(駒澤大/大正大)
神山/岡(JR北海道) 10、ー4、2、ー7、9 郡山/木村(専修大/山陽女子高)
田中佑/田中千(愛工大名電高/早稲田大) 3、8、6 西谷/政本(同志社大)
定松/中澤(中央大) ー6、2、6、ー9、9 木原/馬場(ALL STAR & ふじもりTTC/芦屋学園高)
岩城/鷲塚(中央大/東京富士大) ー6、ー12、5、10、8 坪井/松澤(筑波大/十六銀行)
時吉/藤井(ZEOS/愛媛銀行) 7、ー5、ー9、6、9 有延/松本(明治大/サンリツ)
中林/宋(原田鋼業/中国電力) 6、4、9 徳島/山本(専修大/福井商業高)
平野/鈴木(協和発酵キリン/専修大) 9、10、6 松下/石田(愛知工業大)

稲津/堀(明治大/専修大) 7、8、ー5、ー7、8 千葉/平(埼玉工業大/日立化成)
岡田/古川(岡谷市役所/東京富士大) 10、ー8、5、5 佐藤/松浦(北海道科学大高/札幌大谷高)
吉村/石川(名古屋ダイハツ/全農) 5、6、5 瀬川/平塚(法政大/東京富士大)
藤村/楠川(愛知工業大) 6、8、10 椎﨑琢/椎﨑風(近畿大/専修大)
西/井(明徳義塾高) 6、5、ー14、ー5、9 加藤/中畑(フジ/愛知工業大)
及川/安藤(専修大) 4、ー4、7、7 川上/松村(静岡学園高/アスモ)
横山/土田美佳(原田鋼業/中国電力) 6、8、11 弓取/柴田(希望が丘高)
鹿屋/阿部(リコー/サンリツ) 4、ー8、5、9 宮本/高橋(中央大/十六銀行)

大会第2日目の最終戦、混合ダブルス3回戦の結果は上記のとおり。前回2位の宮本/高橋、3位の千葉/平が姿を消した。明日、混合ダブルスは準々決勝まで行われる。
  • 3回戦はストレート勝ちの吉村/石川

  • 第2シードの宮本/高橋を破り、笑顔の鹿屋/阿部ペア

  • 希望が丘高出身のふたり、定松/中澤は大接戦を制す

  • 強豪の坪井/松澤ペアを大逆転で下した岩城/鷲塚

 男子ダブルス2回戦、吉田海偉/西沢銘(Global Athlete Project/TTC浦和・土合)が登場。台上から丁寧に展開し、高校生ペアをストレートで退けた。
昨年、吉田はチャンピオンズリーグへの出場のため、全日本を無念の棄権。埼玉県予選でしっかり優勝し、2年ぶりに全日本選手権へ帰ってきた。

 プラボールになり、ボールのスピードが全体的に落ちているが、吉田海偉のボールはまだまだスピード違反の剛球。飛びついてのカーブドライブは台の下からグワンと上がり、コートを鋭く駆け抜けていく。

 まだまだ衰えを感じさせない吉田。一撃必殺のフォアドライブだけでなく、バックサービスやブチ切れのサイドスピンツッツキなど技術を確かめるように多彩に使い、3回戦に駒を進めた。
シングルスでの快進撃も可能性大だ!
 男子ジュニアのスーパーシード選手の初戦となる3回戦。13歳で初優勝を目指す張本智和(JOCエリートアカデミー)が21コートに入った。張本は序盤から鋭い両ハンド攻撃で終始相手を圧倒。少し前に行われた男子ダブルスとはうって変わって危なげなく初戦を突破した。
 張本は大会前から「全日本ジュニアで優勝しなければ、世界ジュニアで優勝しても意味がない。史上最年少でジュニアを優勝したい」と言っており、数々の記録を塗り替えてきた“怪物”が、今大会で記録更新をするかに注目したい。

●男子ジュニア3回戦
張本智和(JOCエリートアカデミー)2、6、6福原明雄(埼玉栄高)
 ペン粒高・裏ソフトの松島(コンパスクラブ)が、ジュニア女子で3回戦に進出、三村(明徳義塾高)に敗れるも、互角のラリーを演じた。 

 松島のプレーは、よくある粒高ブロックメインのスタイルではない。裏面打法を駆使、それも、裏面バックハンドだけでなく、裏面フォアハンドも使うのだ。反転はあまりせず、表面粒高FH、裏面裏ソフトFH、表面粒高BH、裏面裏ソフトBHを使い分ける「4面使い」のプレーは観ていても新鮮だ。バック面にゆるくつながれたボールには、裏面裏ソフトでストレートに弾き、また相手のフォアクロスのドライブをフォア裏面でカウンターするプレーも冴えた。

松島「今年は高校受験で練習はあまりやりこめなかったけど、昨年よりも良い試合ができた。フォアの裏面打法は、卓球王国の新井卓将さんの連載(粒高NEW GENERATION)を見て試していたところ、高島規郎さんに『反転していたら遅れるが、その打ち方ならラリー中も振り遅れない。どんどん使いなさい』と言われて練習をしました。試合で使えるようになるには時間がかかりました」

 ペン異質のマルチフェイスプレーの新たな可能性を見せた松島。今後、4面打ちの第一人者としての活躍に期待したい。


●ジュニア女子3回戦
三村優果(明徳義塾高)-6,6,5,9松島由佳(コンパスクラブ)
 会場内では男女ダブルスがスタート。男子ダブルスには40代プレーヤー2人が出場した。

 徳島から出場の42歳・西川義文(パナソニックエナジー徳島)は早雲朋彦(パナソニックエナジー徳島)とのペアで安藤康寛/佐藤卓央(岐阜信用金庫/駒澤大)と対戦。小技を交えたプレーで相手を崩しにかかったが、ストレートで敗退した。全日本への出場は7年ぶりという西川。「7年前よりも攻撃のタイミング、打球点が早くなっていて、対応できなかった。対策はしてきたけど、まだまだ力不足。でも楽しめた」と試合を振り返った。
 「(7年ぶりの出場は)やっとここに帰ってこれたという気持ち。7年ぶりに出場できて、今の自分の力がどれくらいなのか確かめる意味で楽しみだった。40代の意地みたいなものはあります。昨日も徳島のジュニア選手たちがほぼ負けてしまっていて、今度は僕が1回でも勝てたらという気持ちはあった。
 卓球は大好きです。本当に面白い。自分を表現する場だし、年齢も上下関係もなく、強いヤツが強い。自分の生き甲斐」(西川)

 2年ぶりの全日本出場となった2014年マスターズ40代王者の44歳・西村雅裕(ZERO)は篠原祥太(FEVER)とのペアで出場。日本リーグ・原田鋼業の松浦佑紀/中林滉貴ペア相手に西村の思い切りの良いフォアフリックと篠原のフォア表からのクセ球で1ゲームを奪取。1-3で敗れたものの、健闘を見せた。
 「サービス・レシーブが安定しなかったので、そこが敗因。基本的なことだけど、この歳になってもできない。篠原が頑張ってくれて1ゲーム取れて良かった。
 最近はケガもあって、年齢を重ねるごとにそういうこととも向き合っていかないといけないし、無理をすれば自分自身の選手としての寿命を縮めてしまう。そういうところは2年前と変わったところ。
 この歳になると『これが最後の全日本かな』と思って出ている。でも自分よりも年上の人(49歳・大栗寛)も出ているので、まだまだやれるところまでやりたい。このあとどれくらいチャンスがあるか分からないけど、少ないチャンスを活かして、もう一回ここに立てるように頑張りたい」(西村)

 ともに初戦で全日本を去ったが、それぞれの生き様を見せてくれた40代の2人。チキータやカウンタードライブをバンバン決める若者たちの「イマドキ」のプレーはカッコイイ。10代、20代の選手に混じり、必死にボールに食らいつき、勝利を目指した西村と西川、2人の姿も若い選手たちのプレーに負けないくらいカッコ良かった。

●男子ダブルス1回戦
安藤康寛/佐藤卓央(岐阜信用金庫/駒澤大) 1、5、7 西川義文/早雲朋彦(パナソニックエナジー徳島)

松浦佑紀/中林滉貴(原田鋼業) 7、-9、4、5 西村雅裕/篠原祥太(ZERO/FEVER)
  • 西川/早雲

  • 西村/篠原

 男子ダブルス1回戦に中学生コンビの宇田/張本(JOCエリートアカデミー)が登場。世界ジュニアで13歳で優勝し、今大会でも注目されている張本の初戦ということでコートサイドには多くのメディアが集まった。
 試合が始まると、硬さの見える宇田/張本に対して、和田/神(愛知工業大)はキレのあるドライブで攻め立てる。第1、第2ゲームを和田/神が取り、流れは完全に大学生ペアにあった。
 第3ゲームから宇田のミスが減り、張本のブロックも冴え始めてこのゲームを奪うと、接戦の第4ゲームも中学生ペアが取り返し、最終ゲームは完全に試合をコントロールして出足から大量リード。初戦負けというピンチを切り抜け、2回戦に駒を進めた。

●男子ダブルス1回戦
宇田/張本(JOCエリートアカデミー)−8、−8、7、8、3和田/神(愛知工業大)