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全中国運動会・速報2017

★大会第7日目・9月3日のタイムテーブル

[混合ダブルス準決勝]
●11:00〜(現地時間10:00〜)
樊振東/朱雨玲(解放軍/四川省) vs. ハオ帥/王芸迪(天津市/雲南省)
于子洋/王曼昱(黒龍江省) vs. 周雨/木子(解放軍)

[女子シングルス2回戦]
●11:45〜(現地時間10:45〜)
丁寧(北京市) vs. 文佳(遼寧省)
李暁丹(山西省) vs. 朱雨玲(四川省)
張瑞(湖北省) vs. 孫穎莎(河北省)
王曼昱(黒龍江省) vs. 商圓圓(安徽省)
●12:30〜(現地時間11:30〜)
車暁㬢(黒龍江省) vs. 陳夢(山東省)
劉詩ウェン(広東省) vs. 劉高陽(山東省)
李佳イ(遼寧省) vs. 武楊(山西省)
何卓佳(河北省) vs. 王芸迪(雲南省)

[男子ダブルス1回戦(ベスト8決定)]
●15:30〜(現地時間14:30〜)
馬龍/許シン(北京市/上海市) vs. 黄鎮廷/何鈞傑(香港)
方博/尚坤(山東省/上海市) vs. 呂翔/翟羽佳(浙江省)
張煜東/孫聞(江蘇省) vs. 梁靖崑/王楚欽(河北省/北京市)
于何一/王林塑(河南省) vs. 薛飛/趙大明(湖北省)
●16:00〜(現地時間15:00〜)
任浩/夏易正(河南省) vs. 劉吉康/ハオ帥(遼寧省/天津市)
閻安/林高遠(北京市/広東省) vs. 范勝鵬/程靖チィ(河北省)
許鋭鋒/厳昇(四川省) vs. 朱誠/蔡偉(江蘇省)
王建軍/尹嘉旭(浙江省) vs. 周雨/樊振東(解放軍)

[女子ダブルス1回戦(ベスト8決定)]
●16:30〜(現地時間15:30〜)
丁寧/劉詩ウェン(北京市/広東省) vs. 孫銘陽/孫ウェン蕾(寧夏回族自治区/浙江省)
王芸迪/李暁丹(雲南省/山西省) vs. 鄭詩暢/郭奕宸(河南省/浙江省)
孫穎莎/陳可(河北省/江蘇省) vs. 顧玉ティン/木子(山東省/解放軍)
范思琦/楊惠菁(四川省) vs. 文佳/陳幸同(遼寧省)
●17:00〜(現地時間16:00〜)
車暁㬢/王曼昱(黒龍江省) vs. 盛丹丹/袁雪ジャオ(北京市/河南省)
武楊/胡麗梅(山西省/解放軍) vs. 劉高陽/馮亜蘭(山東省/湖北省)
李佳イ/蘭㬢(遼寧省) vs. 張瑞/郭艶(湖北省/四川省)
李佳原/孫晨(北京市) vs. 朱雨玲/陳夢(四川省/山東省)

[男子シングルス2回戦]
●17:30〜(現地時間16:30〜)
馬龍(北京市) vs. 張超(広東省)
周愷(解放軍) vs. 張継科(山東省)
劉丁碩(山東省) vs. 馬特(天津市)
程靖チィ(河北省) vs. 王楚欽(北京市)
●20:00〜(現地時間19:00〜)
劉吉康(遼寧省) vs. 樊振東(解放軍)
許シン(上海市) vs. 周啓豪(広東省)
ハオ帥(天津市) vs. 方博(山東省)
閻安(北京市) vs. 夏易正(河南省)

[混合ダブルス3位決定戦]
●20:45〜(現地時間19:45〜)
[混合ダブルス決勝]
●21:15〜(現地時間20:15〜)
香港男子チームの黄鎮廷、女子チームの杜凱琹が男女シングルス1回戦に登場。世界ランキングが高いふたりは予選免除での出場となったが、黄鎮廷は豪腕サウスポー・程靖チィ、杜凱琹は右シェーク異質の何卓佳に敗れ、1回戦を突破できなかった。

黄鎮廷のパワードライブも、全中国運動会に来るとそれほど速くは感じられない。杜凱琹の鉄壁と思えるバックハンドも、それだけで相手がミスしてくれるほどあまくない。やはり全中国運動会のレベルは高い。



  • 世界ランキング8位の黄鎮廷が初戦で敗れる。それが全中国運動会

  • 攻め手を欠いた杜凱琹

男子シングルス1回戦の試合も次々に終わっていく中、地元・天津市チームのエースとして長年活躍してきた左シェークドライブ型のハオ帥が、右ペン両面裏ソフトドライブ型の薛飛と対戦。薛飛のフォアストレートへのフォアドライブと、威力ある裏面打法に苦しみながらも、得意の変化サービスと重いフォアドライブで勝利を収めた。

会場に残る観客も少なくなる中、地元のファンや小さな子どもたちから「ハオ帥、加油(ジャーヨウ)!」の声援が送られた。女性ファンの大歓声や絶叫に圧倒された大会第6日目。ハオ帥への声援は、何だか心地良いものに感じられた。

天津市チームは、このハオ帥とカットの馬特がベスト16進出。天津市男子チームの馬文革監督が帰り際、「ふたり勝ち上がったよ!」と地元の人たちとうれしそうに話していた。
  • 若手のホープ薛飛を下したハオ帥

  • 攻撃力もあるカットの馬特

  • 迫力十分の馬文革監督。思い出しますね、95年世界選手権天津大会の男子団体決勝を

●男子シングルス1回戦
許シン(上海市) 8、9、9、5 許鋭鋒(四川省)
周啓豪(広東省) ー9、8、8、7、8 于子洋(黒龍江省)
ハオ帥(天津市) 6、9、7、ー6、ー10、8 薛飛(湖北省)
方博(山東省) 6、4、9、6 寥泓然(解放軍)
閻安(北京市) 5、7、ー8、ー4、ー5、7、4 孔令軒(山東省)
夏易正(河南省) 6、4、10、10 羅錚(海南省)
劉吉康(遼寧省) ー5、11、9、ー5、7、5 梁靖崑(河北省)
※シードの馬龍、樊振東は3日夜の2回戦から出場

大会第6日目の最終試合、男子シングルス1回戦の7試合の結果は上記の通りとなった。

団体戦の第1ステージでシングルス1勝5敗と惨憺たる成績に終わった梁靖崑(リャン・ジンクン)は、右シェークドライブ型のテクニシャン劉吉康に2ー4で敗れた。もともと体格が良い梁靖崑だが、さすがに今大会はオーバーウエイトなのか、バックハンド連打で追い込んでもフォアの決定打が少ない。

前回大会で馬龍と大打撃戦を演じ、15年世界選手権にもシングルス代表として出場したが、その後は伸び悩んでいる梁靖崑。最後に残った、王楚欽と組む男子ダブルスで少しでも結果を出したい。

王励勤がベンチに入った許シンは、昨日の男子団体決勝トップに続いて許鋭鋒を撃破。方博も順当に初戦を突破している。
14年世界ジュニアチャンピオンの于子洋は周啓豪に完敗。相手の強打を両ハンドのカウンターでさばき、台上からフリック強打で速攻を仕掛けるタイミングの良さは憎らしいほどだが、ややセンスに溺れている感あり。ジュニア時代の成績では上をいっていた周啓豪のパワフルなフォアドライブに蹴散らされた。
  • 今大会、勝ち星に見放されている梁靖崑

  • 梁靖崑を破った劉吉康は、国家チームの隠れた実力者

  • 許シンはストレートで勝ち上がった

  • 于子洋は周啓豪のパワーに敗れた

●女子シングルス1回戦
李佳イ(遼寧省) 7、10、ー7、10、ー6、ー7、1 盛丹丹(北京市)
武楊(山西省) 6、ー9、7、8、8 陳可(江蘇省)
何卓佳(河北省) ー6、9、6、7、3 杜凱琹(香港) 
王芸迪(雲南省) ー6、3、7、ー5、13、3 范思琦(四川省)
車暁㬢(黒龍江省) 8、ー9、5、5、ー8、ー8、5 蒋慧(西蔵自治区)
※シードの丁寧、劉詩ウェン、陳夢は2回戦から登場

女子シングルスと男子シングルスの1回戦が、数試合ずつ交互に行われた今夜。女子シングルスの残り5試合の結果は上記のとおり。

この中で目に留まったのは、混合ダブルスでハオ帥とペアを組み、ベスト4に勝ち上がった王芸迪(ワン・イーディ)。それほど上背はないが、キレのあるフォアのカウンタードライブを連発。女子団体で大活躍した范思琦との打撃戦は非常に見応えがあった。

プレーに迷いがなく、リスキーな攻撃で勝負を賭けられるのはひとつの才能。技術面よりもメンタル面の資質を感じた。今年1月に行われた中国女子の1軍チーム下位と2軍チームの上位のリーグ戦で、2軍チームに降格となってしまったが、まだ若いだけにチャンスはありそうだ。

しかし、王芸迪や范思琦、あるいは車暁㬢のプレーを見ていると、女子選手ながら全身を使ったスイングでものすごいパワードライブを放つ。中国女子の「男性化」は現在進行形だ。
  • 范思琦との大打撃戦を制した王芸迪

  • 敗れたとはいえ、范思琦のプレーにはキレがあった

  • 豪快きわまる車暁㬢のフォアドライブ

  • 清々しいファイター、何卓佳は杜凱琹を破った

●男子シングルス1回戦
張継科(山東省) 9、5、9、ー6、7 于何一(河南省)
張超(広東省) 11、ー1、4、ー8、7、10 劉イ(河北省)
劉丁碩(山東省) 6、9、8、ー9、8 朱誠(江蘇省)
馬特(天津市) ー4、10、3、ー7、6、6 周雨(解放軍)
程靖チィ(河北省) 8、ー9、7、ー9、9、10 黄鎮廷(香港)
王楚欽(北京市) 5、9、4、ー8、ー6、4 彭飛龍(上海市)
周愷(解放軍) ー11、8、ー9、4、8、9 徐英彬(黒龍江省)

夜の男女シングルス1回戦がスタートする、現地時間の午後7時の少し前。フロアへの入り口を抜けると、会場を埋め尽くす「張継科ガールズ」の大・大応援団が目に飛び込んできた。最初に女子シングルス1回戦が行われる間はおとなしかったが、フロアに張継科が入ってくると、場内は一気に沸騰した。

実際は5割程度だと思うが、現地にいる実感としては会場の8割くらいが張継科の女性ファンに埋め尽くされたような感覚だった。これはもう卓球の大会というより、アイドルのコンサートだ。声援を送るタイミングは、怖いくらい統制が取れているけれど。

対戦相手の于何一は、ボールのスピードではすでに張継科より上かもしれないが、出足からプレーが硬い。ファンの声援をバックに、張継科は確実にポイントを重ねた。一方で、第4ゲームを落とし、第5ゲームの出足でリードされた時には、会場にやや不穏なムードが漂ったのも事実。今の張継科は、若手が相手でも安心して見ていられる選手ではなくなっている。

第5ゲームの中盤で逆転して決着をつけ、大きなアクションもなくベンチに戻る張継科。そして一瞬だけファンの声援に応えて手を振る。その瞬間、超がつくほどの大歓声。この「ツンデレ」ぶりが乙女心をくすぐるのだ。これで明日も会場は大入りだ。

この男子シングルス1回戦でもうひとり、女性ファンの声援を集めていた周雨は地元・天津のカットマン馬特に敗れた。守備力のついてきた周雨だが、馬特のカットからのドライブでの反撃、さらに連続攻撃にミスが続いた。年齢的には、今大会が最大のチャンスだったのだが……。
  • 1ゲームを落としたが、世界ジュニア代表の于何一を下した張継科

  • 「超アウェー」だった于何一、さすがにプレーが硬かった

  • この一瞬のアクションで、場内が絶叫に包まれた

  • 退場時には観客席の最前列に警官が陣取り、ファンを制止

  • 場内を埋め尽くした張継科ガールズたち

  • 明日はもっと数が増える?

  • 初戦負けに落胆する周雨。もっと上のラウンドでプレーが見たかった

●女子シングルス1回戦
文佳(遼寧省) ー10、9、2、9、5 楊惠菁(四川省)
張瑞(湖北省) 9、6、5、ー7、9 張ビン月(西蔵自治区)
孫穎莎(河北省) ー10、ー7、9、4、ー9、6、6 張薔(江蘇省)
王曼昱(黒龍江省) 2、7、6、ー9、ー4、4 顧玉ティン(山東省)
商圓圓(安徽省) 4、5、6、ー6、4 劉斐(江蘇省)
李暁丹(山西省) 5、ー7、6、6、6 蘭㬢(遼寧省)
朱雨玲(四川省) 3、9、9、8 劉銘(雲南省)
劉高陽(山東省) 6、9、ー2、10、6 馮亜蘭(湖北省)

女子シングルス1回戦、最初の8試合の結果は上記のとおり。

ジャパンオープンでの優勝で、一躍世界が注目する選手になった孫穎莎(スン・インシャ)は、右ペンドライブ型の張薔に大苦戦。張薔の完成度の高い裏面ドライブ連打に手を焼き、ゲームカウント2ー3から辛くも逆転勝ち。国際大会では強心臓ぶりを見せる孫穎莎だが、国内大会の最高峰・全中国運動会となるとやはりプレーが硬い。

そして注目していたのは、女子シングルスで唯一のペン粒高攻守型、商圓圓(シャン・ユエンユエン)。対戦相手にカットの劉斐を引いたのは、商圓圓にしては幸運、そして劉斐にとっては不運だった。非常にミスの少ない劉斐のカットだが、商圓圓のカット打ちはそれ以上にミスがなかった。前回大会でベスト8に入ったペン粒高の周シントンに続き、躍進なるか?
  • 辛くもベスト16に勝ち進んだ孫穎莎

  • 好プレーを連発した張薔

  • カットに対して、「天敵ぶり」を発揮した商圓圓

  • 団体戦で活躍したカットの劉斐、不運だった

 今回の全中国運動会で、アパレル全般のオフィシャルサプライヤーになっている中国のスポーツブランド「喬丹」。これで「チャオダン」と読む。英語で表記するなら「Jordan」。あのバスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンのことを、中国ではこう表記するのだ。この喬丹のロゴにも、バスケットボールを手に華麗に舞う選手のフォルムがデザインされている。

 ただ、この「喬丹」、マイケル・ジョーダン本人が展開する、あるいは公認のブランドなのかと言うと、さにあらず。2012年に自身の氏名権を侵害したとして、マイケル・ジョーダンがこの「喬丹」ブランドを訴えた。つい最近、この告訴が名誉毀損だとして、「喬丹」がジョーダンを逆に訴えるという、ちょっと信じられないニュースもあった。

 そんなこんなで(?)、コートを仕切るフェンスのあちこちにこの喬丹のロゴが入っている。バスケの神様が選手たちのプレーを、非公認で見守っているわけです……。
●混合ダブルス1回戦
樊振東/朱雨玲(解放軍/四川省) ー6、7、6、2 宋旭/孫銘陽(寧夏回族自治区)
ハオ帥/王芸迪(天津市/雲南省) 5、ー1、ー9、10、9 張煜東/蒋慧(江蘇省/西蔵自治区)
張超/張美竹(広東省) 8、12、ー9、7 蔡偉/銭天一(江蘇省)
王博/車暁㬢(黒龍江省) 8、8、ー8、6 梁靖崑/文佳(遼寧省/河北省)
周雨/木子(解放軍) ー10、ー9、7、3、8 林高遠/劉詩ウェン(広東省)
于子洋/王曼昱(黒龍江省) 3、5、13 房胤池/蘭㬢(遼寧省)
閻安/顧玉ティン(北京市/山東省) 6、10、ー5、9 翟羽佳/孫ウェン蕾(浙江省)
許鋭鋒/范思琦(四川省) 6、ー6、ー9、8、9 徐英彬/劉銘(黒龍江省/雲南省)

●混合ダブルス準々決勝
ハオ帥/王芸迪 4、8、10 王博/車暁㬢
樊振東/朱雨玲 ー7、6、9、9 張超/張美竹
于子洋/王曼昱 9、ー6、ー12、2、7 閻安/顧玉ティン
周雨/木子 ー10、ー9、9、2、6 許鋭鋒/范思琦

個人戦の口火を切る混合ダブルス1回戦・準々決勝が続いて行われ、早くもベスト4が決定。わずか16ペアしか出場していないだけあり、1回戦からハイレベルなラリーが随所で展開された。女子選手も、男子選手のボールに簡単に抜かれることはない。

最も会場を沸かせる活躍を見せたのは周雨/木子。2試合とも0ー2からの逆転で勝ち上がり、周雨の女性ファンを大いに沸かせた。相手の緩急にミスを連発する周雨に、ベンチの王涛監督(解放軍)は落胆と失笑の連続。気が気ではない試合展開だった。ミスをするとわかっているボールでも、全部振り切ってミスをしてしまうのが周雨。入ったら一発で抜ける威力があるのだが。
  • 2戦続けて大逆転、周雨/木子ペア

  • 団体戦には出場できなかった劉詩ウェン、個人戦の初戦は痛い逆転負け

  • 王涛監督、苦労が絶えません

  • 地元・天津のハオ帥、王芸迪とのペアで4強入り

 今大会の会場である武清体育センター体育館は、2016年12月に完成したばかり。中国のインターネット上の地図でも、少し古いものにはまだ載っていないくらい。近未来的かつ巨大な建物は、前回の鞍山大会と同様だ。今後、使い道あるのかな……と思ってしまう。

 会場の周りにはダフ屋がたくさんいて、女性ファンも大挙して押し寄せている。今夜の男女シングルスも賑やかなことになりそうだ。